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Moment Joonと宇多丸『Passport & Garcon』を語る

Moment Joonと宇多丸『Passport & Garcon』を語る アフター6ジャンクション
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Moment Joonさんが2020年4月30日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に電話出演。宇多丸さん、磯部涼さんとアルバム『Passport & Garcon』について話していました。

(宇多丸)というわけで、お待たせしてしまいましたがここらで先ほどから言っている、磯部涼さんが今、最も重要だと語るアルバム……というか、最重要アルバムということに関しては僕もそうかなと思います。やっぱり。ご紹介しましょう。

(宇内梨沙)最重要アルバム『Passport & Garcon』をリリースしたMoment Joonとは?

(宇多丸)はい。Moment Joonさん、改めて磯部さんから。

(磯部涼)はい。Moment Joonは日本で活動している韓国人のラッパーですね。元々が1991年にソウル特別市で生まれて、中学時代からラップミュージックを愛好し、その中で、アメリカのラップも聞く中で日本のラップも聞いていって……っていう風な感じだったんですが。彼は2010年に大阪大学に留学をするんですね。その中で留学生としてコミュニケーションのひとつになったのが日本語ラップというか。元々、外国語の高校で日本語を学んでいたので日本語もできて、ラップも好きで……ということで、日本語でラップを作ってみたらそれがコミュニケーションの道具になったっていうことで。それでYouTubeにアップした『I LOVE HANDAI』っていう曲がすごいバズッたりとかして。

(宇多丸)うんうん。

Moment Joon『I LOVE HANDAI』

(磯部涼)それでいつの間にか日本語ラップシーンに入っていって……という感じなんですが。まあキャリアをどんどん紹介していくと長くなってしまうんですが、その後に韓国に戻って軍隊にも入ったりとかしていたんですが。彼は本元々はその外国人ラッパーみたいなアイデンティー……あえてその外国人というキャラクターのステレオタイプを使いながらラップをしていたんですが、いろいろ日本の社会の中で生活をしていく中で、今は「移民ラッパー」ということを肩書きみたいにしていて。

まあその留学生として、移民として日本で暮らすという中から日本の社会を見ていく。あるいはその日本の社会の映し鏡としての日本語ラップシーンみたいのを突いていくみたいな曲がどんどん増えていって。去年、もちろんずっと戦後、戦中から「移民」っていうのは日本の社会において重要なテーマであるわけですが。あるいは隠蔽されてきたテーマではあるわけですが、去年いわゆる入管法が改正されたりとかして、移民というものがすごい社会的なキーワードになったわけですけど。という状況の中でMoment Joonさんの状況っていうのもすごく揺れ動いていったりとかして。

その状況っていうのが今回出した『Passport & Garcon』というアルバムにはすごく反映されていると思います。それで「このコロナウイルスのパンデミックというものは今までの社会のあり方を変える」っていう意見もあったんですが、「むしろ元々ある格差みたいなものを強化していくんじゃないか?」っていう見方が今、出てきていて。アメリカでも黒人だったりとか貧困層ほど感染率、死亡率が高いっていう調査報告も出ていたりとかして。だからこそ、そういう中で最初に言ったようにアルバムを出さなきゃいけないっていう人たちは大変だったりするんですけど、元々日本の社会を突いていたアルバムっていうのはむしろ、もっと聞かれるべき作品になったっていうか。

元々あった問題っていうのをさらに深く、この状況だからこそ突くことができるっていうことにもなっていると思っていて。そういう中で3月13日という、まさにコロナ禍の中で発表されたMoment Joonの『Passport & Garcon』というファーストアルバム。それはすごく重要なアルバムだなと思って。この機会にこの特集の中でぜひ紹介したい。本人にも出てもらいたいと思いました。

(宇多丸)はい。もちろんアルバムのタイミングでね、たとえばスタジオライブとかもぜひ来てもらいたいと思っていたんですが。改めて、さっきからずっと電話がつながっていて待たせてしまっているんですけども。Moment Joonさん、電話がつながっているようなので。もしもし?

(Moment Joon)あ、もしもし? どうもです。お疲れ様です(笑)。

(宇多丸)お待たせしました(笑)。ずっとね、待っていてもらってすいませんでした。

(Moment Joon)いえいえ。呼んでいただいてありがとうございます(笑)。

(宇多丸)Moment Joonさん、去年の7月17日にスタジオライブをしてもらったんですけども。俺が本当にマジで挨拶だけして、直接ライブを見る前に風邪で本当に具合悪すぎて帰ってしまうという事件がありまして。本当、その時はすいませんでした。

(Moment Joon)いえいえ。

(宇多丸)しかも、ちょっとこれは今回のアルバムとも関連していて。先にちょっとこの話しておきたいんだけども。ちょっと僕がその後にそのMoment Joonさんのライブの感想を後日、番組で語って。その時の発言というのがあって。それでそれに対してMoment Joonくんが「それはちょっと違うんじゃないか?」みたいなことをTwitter上でも反応されていて。まさにそのくだりっていうのが今回のアルバムにも反映されていて。

(Moment Joon)はい。

(宇多丸)それで、ごめん。僕の発言、どういう文脈で言ったのか?っていうと、要するにMoment Joonくんのラップが素晴らしいっていうことを言いつつ、どう素晴らしいのかを説明する時に、僕的には日本語ラップシーンの内側でずっとやってきた人間として、なんというか自分の表現の限界みたいなものがあるとしたら、これは内側の自分たちの精神的な規制が大きかったんじゃないのか?っていうことをMoment Joonくんのパフォーマンスだとか作品を聞いて思い知らされたということで。僕がでも迂闊にもそこで「外からの視点」ということを言ってしまっていて。たしかにそこでモーメントさんが反応をしたように「外」っていうワードを使っちゃうと「内と外」っていう……「この人はちょっと特別枠だから」みたいな意識のように……その語彙を使うとそういう風にも思えちゃうし。

(磯部涼)すいません。ちょっと解説を挟みますね。このアルバムに『Losing My Love』っていう曲があって。その中で「本当にすごいと褒めつつ『モーメントは外だよ』と言った宇多丸さん」っていうラインがあるんですけども。

Moment Joon『Losing My Love feat. Hunger』

(宇多丸)いや、その「外」っていうのはどっちかって言うと「今までにないラップの視点」という意味で使ったんだけども。ただ、その「外」っていう語彙の使い方にやっぱりその何というか、やっぱりその「あんた、本当にわかってるの?」って感じが出ちゃってるのは間違いないので。

(Moment Joon)いやいや、そんなことはないです(笑)。

(宇多丸)いやいや。で、俺としてはまあ「たしかにこの指摘は……」と思ったんだけど、まさか曲に入るとは思っておらず(笑)。ということ。なので……。

(磯部涼)一方でね、この「内と外」っていうのは本当にアルバムのコンセプトにも関わるすごい重要なテーマでもあったりとかして。だからこの曲も重要だったりとかするんですけど。さっき、ざっくりと自分で僕の方からアルバムのコンセプトについて思うところを言っちゃいましたけども。それを踏まえてモーメントくんからこのアルバムだったりとか、その『Losing My Love』で言った宇多丸さんに対するネームドロップだったりとかを説明するとどんな感じになりますか?

(Moment Joon)ええと、その『Losing My Love』っていう曲自体が僕の未熟さ、子供っぽさっていうものを表わすための曲なんですね。そこで僕が言ってることは実はあんまり……なんて言ったらいいのかな? 今の僕が思っているっていうよりは、まだ成長ができてない自分の側面からそういうのを歌ってるので。たとえばその宇多丸さんの発言に対して「なんでわかってくれないんだよ!」みたいなその感情を抱くっていうのも、ある意味では子供っぽい自分などなんですよね。

なので、僕は冷静に考えるとそこで「外」って言われても仕方ないなっていう風に今は逆に思いますけども。ただ、たしかにその時点で、去年のスタジオライブに出た時とかに比べると、今は「あんた、じゃあ『外が嫌』って言っているんだったらそういうのを証明しなさい」って言われた時、それを証明できるアルバムというものを今回でちゃんと作れたと思うので。この後も「外だ」って誰かに思われたら悲しいって思いますけど。でも、まあこの時点では仕方なかったなと今は思います。

(宇多丸)なるほど、なるほど。

アルバムの内省的な側面

(磯部涼)このアルバムってすごく政治的、社会的な一方で内省的な側面もあって。アルバムのワードの片割れの「ギャルソン」っていうのは「少年」っていう意味でもあったりしますけど。それが象徴するようにジュヴナイル……成長譚。未熟な心を持っている若者の成長譚みたいな感じにも聞こえるんですよね。それでこの『Losing My Love』っていうのはすごくそれを象徴するような曲で。

自分の部屋に閉じこもりながら、自己嫌悪と疑心暗鬼にさいなまれていくみたいな歌詞で。その中で、その宇多丸さんのに対するネームドロップも出てくるんですけど。で、ある意味もっとすごい使われ方をしてるのは、後半でフィーチャリングしているGAGLEのHUNGERさんで。彼のラップはそんなモーメントくんに対して愛を問いていくんですけども、途中で「うるさいよ!」って遮られてしまって。バースの途中で切られてしまうっていう。

(宇多丸)たしかに。すごい使われ方で。

(磯部涼)あれもでも、コンセプチュアルに作ったわけですよね?

(Moment Joon)そうですね。そういう演出を入れないと、本当に誰かから……僕が今、経験しているそういうものを全部経験した大人が、心からのそういうアドバイスをしてくれるのに、それも「いや、聞きたくないですよ!」っていう、そういう自分まで見えないとその子供っぽさというのが……なんかロマンティックに見えるのが嫌だったんですよね。みんなその子供っぽさであったり若さっていうものをロマンティックに描いたりしますけど。

それに伴う本当の、その子供っぽいからこそできてしまうものまでは描かないじゃないですか。なので、そういうものをロマンチックに描くんじゃなくて、「こいつ、本当にダメだな」っていうのを見ているために、HUNGERさんには最初から「バースの途中でたとえば『うるさいです!』って言って切るかもしれません」というのを伝えてお願いしたんです。

(宇多丸)それで受けるHUNGERもすごいね。やっぱりね。

(Moment Joon)フフフ(笑)。

(磯部涼)だって本当はあのバースでもっともっと長かったりするわけですよね?

(Moment Joon)その後があります。

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