宇垣美里さんが2021年1月18日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で映画『心の傷を癒すということ』について話していました。
(宇多丸)あとはRHYMESTERマネージャーの小山内さんが一押しだったNHKのテレビドラマシリーズ『心の傷を癒すということ』。これもご覧になったということで。
(宇垣美里)これがめちゃくちゃよくって!
(宇多丸)これ、まさに神戸の震災を描いているから。宇垣さんもある種、当事者性というものもあるでしょうしね。
(宇垣美里)まあ、最後の記憶のある世代というか。私よりも小さい子はたぶん記憶がないでしょうけど。それでもすごく覚えていることで。実際に安先生という精神科医の方がいろいろ、避難所を回ってその皆さんの心のケアをしたり。また、地震ごっこをするような子供たちがいて。でも、それはそういう風なごっこ遊びをすることで子供たちが乗り越えているんだよっていうことをみんなに伝えるシーンがあるんですけど。なんかそういうのって全部、私たちは授業で習うんですよ。毎年あって。
(宇多丸)ああ、そうなんだ!
毎年受けた震災授業
(宇垣美里)毎年あって。震災授業みたいなのがあって。その時に「こういうことがあるから、こういう遊びをしたという人もそれは別に悪くないんだよ」とか「こういう風な避難所でした」とか。「黒焦げになってしまったけども、こういう風に私たちは復興をしてきました」っていうのをもう、細かく細かく教えられすぎて。それが自分の記憶なのか、それとも伝え聞いたことなのかがわからなくなるくらい毎年毎年、その日は絶対に学校で全校集会があって。校長先生のお話があって。教室に帰ってきて教室で先生のお話があって。もう絶対。高校までずっとあったから。
改めてそれを、知ってることなんだけど改めて振り返って。それで、私ではない誰か神戸の人をこうやって優しい目線で救ってくれた人がいたっていうのがすごくやっぱりありがたくて。泣いて……もうめちゃくちゃ泣いたんですけど。その中で改めて……その安先生は「人はすごく弱い。すごく傷つきやすい」と何度も言うんですよ。「でも、だからこそ、その傷つきやすさを受け入れる社会になるのか、傷つく人を切り捨てる社会になるのかをこれからの社会は選ばなきゃいけないよね」っていう風なお話をされるシーンがあるんですけど。
まさしく、この人類史では何度もあったその伝染病の新しいものを今、私たちが直面している。その中で、当たり前のようにそういう傷つきやすい人を切り捨てることがあったりとか。そういう、この時期だからこそ響くこともすごくあって。
(宇多丸)ねえ。まさにそうですね。このタイミングだからこそっていうね。しかも、その全員がもう自分ごととして捉えるしかない件じゃないですか。だから、よりそのドラマが持ってる意味みたいなものがね、その射程をさらに伸ばしてるという時期なのかもね。
(宇垣美里)改めて、こういう風な映画とか、それは舞台もそうですけど。この非常事態だからってカットされやすいものだけど。その意義っていうのをこの映画はすごくやっぱり、「ああ、こうやって伝えていくし、そういうものだったなってもう1度、思い出させてくれるし……」っていう。それをすごく伝えてくれる映画でもあったなという風に思いました。
(宇多丸)NHKのテレビドラマシリーズ。『心の傷を癒すということ』。
(宇垣美里)これが劇場版になって、1月29日から上映されますので。これもぜひぜひ。
(宇多丸)ということで、これも僕、ドラマ版の方はディスクに埋もれているので。これから……。
(宇垣美里)ドラマ版もすごくよかったんです。映画ももちろん……。
(宇多丸)ああ、そうか。宇垣さん、映画版の方も。失礼しました。
(宇垣美里)でも、ドラマの方ももちろん見ているので。やっぱり、いいですね。
(宇多丸)まあ、私はようやくM-1を見終わったので。ここから先に進むことができます(笑)。
『心の傷を癒すということ』予告
<書き起こしおわり>