上出遼平『ハイパーハードボイルドグルメリポート』誕生までの道のりを語る

上出遼平『ハイパーハードボイルドグルメリポート』誕生までの道のりを語る 佐久間宣行のオールナイトニッポン0

テレビ東京の上出遼平さんが2020年4月8日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に出演。佐久間さんと『ハイパーハードボイルドグルメリポート』誕生までの道のりについて話していました。

(佐久間宣行)『ハイパーハードボイルドグルメリポート』っていう番組自体は普通の通り方っていうか、企画の成立の仕方をしたんじゃないもんね。あれはね。

(上出遼平)そうですね。結構特殊で。だから基本的には編成局が我々の企画書を通すじゃないですか。

(佐久間宣行)テレビ局っていうのは編成が企画募集をして。「この枠、空いてます」とか「正月特番募集します」って言ってどんどん送られてきた企画の中から編成が選ぶんだけど。それじゃ『ハイパーハードボイルドグルメリポート』は通らなかったよな。

(上出遼平)通らないですよね。

(佐久間宣行)出していたけども通らなくて。で、どういうきっかけで通ったの?

(上出遼平)3年前、1枠を我々の制作局に渡しますみたいな瞬間がありましたよね? で、そこでたまたま選んでもらったっていう。

特殊な企画の通り方

(佐久間宣行)だから制作のディレクターが企画を自由に選んでいいっていうことで選んだのが『ハイパーハードボイルドグルメリポート』なの。で、これの裏話を言うと、それって同じことが10年前にもあって。その時、僕もちょっとだけ関わっていた永井さんっていうテレ東を辞めたスーパープロデューサーがいるのよ。『和風総本家』とかそういうのをいろいろ立ち上げてテレ東を辞めた方なんだけども。テレ東を辞めてすぐ最初に手がけた仕事が『バイキング』のサンドイッチマンの地引き網っていう(笑)。すげえ優秀な先輩がいたのよ。

その先輩と、僕とかも選んでいいって言われた時に初めて選んだのが今、『家、ついて行ってイイですか?』をやっている高橋弘樹っていう変わったディレクターがいるんだけども。そいつが作った『ジョージ・ポットマン』の企画。あれ、制作が選んだやつなのね。それも普通、編成では通らないだろうっていうやつで。その彼がそこから『吉木りさに怒られたい』とかを当てて、今は『家、ついて行ってイイですか?』っていうすごい変わっているけど面白い番組をやっているの。で、そこから10年ぶりぐらいに編成じゃなくて制作の中で1枠、選んでいいですよってなった時、その高橋がプッシュして通したのが『ハイパーハードボイルドグルメリポート』なのね。だからその、そういうのが……。

(上出遼平)そうだったんですね。もう高橋弘樹さんは僕のお師匠さんですから。

(佐久間宣行)だから、高橋は俺の番組のADをやっていた時期もあるから。だから高橋がいて、上出は孫的な感じなのよね(笑)。

(上出遼平)はいはい。脈々と遺伝子は受け継いでいると思いますね。

(佐久間宣行)それで、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』っていうのはどういうきっかけで思いついたんですか?

(上出遼平)その『世界ナゼそこに?日本人』という番組でそもそも結構いろんな国に行ってたんですよ。で、それは日本人を紹介する番組なんですけど、その手前の10分ぐらいはディレクターがそれぞれその国の面白いところを撮ってくるみたいなのがあって。

(佐久間宣行)本編の前振りね。

(上出遼平)前振りで。僕、それがもう楽しくてしょうがなくなっちゃっていて。まあ結構ディレクターに裁量があったんで。だからスラム街とかおかしな集落とかに勝手に行き始めたんですよ。

(佐久間宣行)それって本線じゃないでしょう?

(上出遼平)全然ですよ。全然関係ないです。

スラム街取材が楽しくなる

(佐久間宣行)フフフ(笑)。日本人の人の頑張ってる姿を追いかけなきゃいけないのに、前振りでスラム街に行っちゃったんでしょう?

(上出遼平)そうです。もうそっちが楽しくなっちゃって。挙句の果てにはもう、そのロケはADと一緒に行っていたんですけども。これ、言ったら怒られるかもしれないですけど、その日本人の密着は途中からもうADがしてくれるみたいな。僕はスラム街に行っているみたいな。

(佐久間宣行)まあまあ、追っかけていればいいんだもんな。

(上出遼平)そうです。まあ基本的な方針さえ決まれば、あとはもうとにかく密着してくれればいいっていう。で、僕がスラムを撮ってくるみたいなことをやっていて(笑)。

(佐久間宣行)なるほど。それはね、言っちゃ絶対ダメ(笑)。それさ、だって本編尺で言うと50分のうちの40分はADに密着させて、スラム街の潜入ロケをやっていたんでしょう?

(上出遼平)そうです、そうです。使い尺は10分です。

(佐久間宣行)それをさ、プレビューで見せるわけじゃん? 自分より上の演出家とかに。その時さ、プロデューサーとか演出はスラム街があるってわかってないわけじゃん。そのお前のハードボイルド前振りが。それ、どういう空気になるの?

(上出遼平)「いや、面白いね」みたいな。それはそれで。で、僕もまたいい気になっちゃって。「これで番組を作ったらいいんじゃないか?」っていう思いが生まれてきて。

(佐久間宣行)ああ、なるほど。褒められて褒められて曲がった方向に行くタイプなのね?(笑)。

(上出遼平)そうですね。先輩方の褒め間違いですね(笑)。

(佐久間宣行)まあ、たしかに上出の作るそういうのが面白いっていう噂は来てて。で、「この企画、どう思います?」みたいなので。「こういうのが制作で通るんですよ」って言われたのが『ハイパーハードボイルドグルメリポート』で。「えっ、これ、面白いけど。企画書は書くの、簡単じゃん? 行けるの? 誰が、どういう風に行くの?」って言ったら、「上出が1人で行くそうです」って……(笑)。

(上出遼平)そうですね(笑)。僕、「通った」って連絡が来た時、やっぱり震えましたよね。企画書はもう1枚目が「今までの3人、4人のロケクルーじゃ入れないところに僕が1人なら入っていけるんです。僕は生きて帰ってくることができるんです」っていう宣言で……(笑)。

「僕は生きて帰ってくることができるんです」

(佐久間宣行)フフフ、ちょっと待って? 企画書に「僕は生きて帰ってくることができるんです」っていう……それってもう格闘術とかじゃん?(笑)。

(上出遼平)そうですね(笑)。まあ、通らないと思ったんですけど。高橋弘樹さんがちょっと、本当にクレイジーなんで。

(佐久間宣行)高橋がね。高橋、本当に面白い変わったやつだからな。なるほど。「あいつだったら生きて帰ってこれるのか。よし……GO!」っつったんでしょう?(笑)。

(上出遼平)どうかしてますよね(笑)。

(佐久間宣行)どうかしている(笑)。それで、その『ハイパーハードボイルドグルメリポート』、一発目に流れると思って見たら、リベリアだっけ?

(上出遼平)アフリカのリベリアでしたね。

(佐久間宣行)リベリアの国内で一番危険な墓場に踏み込んで。そこで要は娼婦の人がその一晩で稼いだお金で食べる飯を追っかけるっていうのが一発目のVTRっていう(笑)。俺は見て震えたよ(笑)。

(上出遼平)いや、ありがとうございます。

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