古川耕さんがblock.fm『INSIDE OUT』に出演。渡辺志保さん、DJ YANATAKEさんと『ウィークエンド・シャッフル』や『アフター6ジャンクション』、『生活は踊る』などでのラジオ放送作家の仕事について話していました。
【この後すぐ!!22時からは #INSIDE_OUT by @yanatake ,@shiho_wk 】
ゲストに放送作家・ライターの古川耕さんをお迎えしてヒップホップを黎明期から支えメジャー局へ早くから日本語ラップを送り込んだ、その挑戦と裏側をインタビュー!⁰ #ラジオ革命 #blockfm #MassiveWeekhttps://t.co/PdoSwcDQQ5 pic.twitter.com/af8Y94JU6p— block.fm (@blockfmjp) December 9, 2019
(DJ YANATAKE)ちょっとね、ライターとしてはお話も聞きたいんですけど、ラジオ編の話もいっぱい聞きたいのでね。
(渡辺志保)そうそう。なので、そうしてライターとしても活躍しつつ、もういまはすっかりラジオの方っていう認識のされ方がメインなのではないかと思うんですけれど。じゃあ、そんな古川さんがなぜ、そのラジオ業界の方に手を伸ばしていかれたのか?っていう。そこはどうだったんですか?
(古川耕)それはライムスター宇多丸さんがよく放送中で言ってもいるんですけども。ある日、宇多丸さんがTBSラジオで番組を持つことになったという。まあ、『ウィークエンド・シャッフル』なんですけども。その時に、本当に宇多丸さんが直接、メールだったかだと思うんですけど。「俺の高田文夫になってくれ」っていうので。
(渡辺志保)素晴らしい!
(DJ YANATAKE)パンチライン!
(古川耕)要は、その時に明確に「放送作家」として呼ばれたわけじゃないんですよ。「ただ中でなにか協力してほしいし、スタジオの中にいて相槌を打つ役でもいいから来てくれませんか?」ってことになって。それはもう僕のキャリアの出自から見たら超光栄なオファーだったので。「なんでもやりますよ」って言って。それで実際にラジオのスタッフと話をして。それで僕、その時までラジオのキャリアが一切なかったものですから。本当に僕ね、何をやっていいか全然わからなかったので。それで実際はね、タマフル。『ウィークエンド・シャッフル』に関して最初の1年は僕、ほとんど何もやってないんですよ。
(渡辺志保)へー!
(DJ YANATAKE)えっ、そうなの?
(古川耕)台本も書いてないです。
(渡辺志保)へー。いただけっていう?
(古川耕)そう。いただけ。だから夕方に来て、メールを読んだりとかして。で、「超気まずい……」と思っていて。だから番組のブログをすごい充実させたりとか、できる範囲のことやろうみたいな感じが1年間ぐらい続いていて。
(渡辺志保)それがだから10年前ぐらい?
(古川耕)12年前とかですかね。
(DJ YANATAKE)そうなんだ。
(古川耕)で、最初にもともと別の作家さんがいらっしゃったんですけど、その方がちょっといろんなご事情で辞めることになって。で、さらに来た別の作家の方も辞めざるをえなくなって。それで1年間、見ていて「これ、たぶん僕ができると思うので。じゃあ、僕がやりますよ」って言って2年目から作家として正式にやるようになったという。
(渡辺志保)そうだったんですか。
(DJ YANATAKE)でも1年あったんだ、そこ。
(渡辺志保)すごい単純な質問なんですけど、ラジオの構成作家さんというのはどういったお仕事なんでしょうか?
ラジオの放送作家の仕事
(古川耕)これね、たぶん番組とかね、人によって全然違うと思うんですけど。こと僕がやってきたことに関して言うと、企画を考えて、あるいは「この人を紹介したい」っていう人がいたらその人に会ったりとか、相談をしたりして、一緒に企画を考えて、台本を書いて。あとはスタジオの中でそれを聞いていたりするみたいな感じですかね。ざっくりと言うと。
(渡辺志保)まあまあ、シナリオライターというか、なんて言うんでしょう? ラジオの番組の方向性をバッチリ決めるというか、色付けをするというか。そういう感じではあるんですかね?
(古川耕)そうですね。僕の場合だと結構自分が会いたい人とか、この人をいま呼んだ方がいいんじゃないかとか。あるいはこういったトピックを扱った方がいいんじゃないかっていうのは一応自分なりに考えて提案して。で、もちろんこれはやった方がいいとか、これはやらない方がいいとか。あるいはこの人を呼びたいけど断られたとかがありつつも、自分から何かやりたいというのは提案するようにしていますかね。
(渡辺志保)へー! でも本当に多岐に渡る、もうアンテナの高さと角度がすごいじゃないですか。
(DJ YANATAKE)それそれ!
(渡辺志保)私とかは本当にこのヒップホップのこの狭い狭い、もう3センチ四方ぐらいの箱の中をこう、爪楊枝後でほじくり返しているような……。
(古川耕)フフフ、だとしたら爪楊枝で相当深いところま掘っていると思いますよ。素晴らしいですよ。
(渡辺志保)そんな感じのフィールドでやってるんですけれども。それこそ古川さんとか宇多丸さんっていうのはそのアンテナの角度と幅っていうんですかね? その深度といいますか。そういったものがもう本当に無限に広がってるようにお見受けする。それはどうやって普段……たとえばざっくりとネタ集めっていうか。そういうのはどうしてらっしゃるのかなと思って。
(古川耕)これね、たまに聞かれることがあるんですけど。「ネタを集めるってどうやってるんですか?」とか聞かれることがあるんですけど。実はあんまりネタを集めているという感覚はなくて。自分の中では。たとえばSNSとかで自分が興味があるものだったりとか、あるいは「この人が言ってることってすごく面白いことを言ってるな」みたいな人をフォローするとか。そういう人の本を読むとか。基本的にはやっぱり自分の興味とか問題意識とかっていうところからしか出発はしてないので。「幅広くジャンルを抑えよう」とかっていう気はいまもって、たぶんさらさらないんですよね。
(渡辺志保)なるほど。で、その古川さんのご提案にだいたい宇多丸さんも「いいね」とか。「じゃあこの間、こういう方を呼んだから、次はこういう人を呼んでみたいな」とか。そういったものはあるんですかね?
(古川耕)そうですね。まあ『ウィークエンド・シャッフル』時代は週1回の番組だったので。それでもちろん宇多丸さんのアイデアもある。他のスタッフからのアイデアもあるっていう中で厳選して1本というのを週イチでやってたんですけど。いまは『アフター6ジャンクション』になって、それが5曜日分あるので。
(渡辺志保)すごいことですよね。
(古川耕)僕だけじゃなくて、当然他のスタッフがいっぱいアイデアを出したり。他のスタッフのあたためたものとかがいっぱいあるような状態なんだけれども。
(DJ YANATAKE)いっぱいある状況なんだ。だって、簡単に「本日のトークテーマは」みたいな感じで言うのとかだって、それを毎日考えなきゃいけないわけですよね。
(渡辺志保)すごいですよ。毎日ライブもやって。
(DJ YANATAKE)それで面白がらせなきゃいけないわけだから。
(古川耕)フフフ、まあね、なかなかそれが毎回できてるか?っていうと、それは別の問題かもしれませんけど。でもまあ、宇多丸さんに関してはそれこそ他のスタッフに比べて僕は『ウィークエンド・シャッフル』でのキャリアがある分、ある程度はちょっと信頼はしてもらっているかもしれないので。おそらく、これは宇多丸さんのメインのフィールドじゃないなっていう……たとえばアニメーションの話とかは宇多丸さん、そんなに本来元々は興味がなかったかもしれないけど。
僕はたぶん「いま、このクリエイターを押さえておくといいですよ」とか「この話はいま、しておいた方がいいですよ」みたいなのを、まあ無理よりちょっと提案させてもらって。でも一応、それを宇多丸さんにも。ひいては普通のリスナーにもちょっと面白かってもらえるか、もしくは「これを知っておくとためになるよ」みたいなことをやるようにはしていますかね。
(渡辺志保)なるほど。このタイミングで1曲、古川さんの推し曲を……。
(DJ YANATAKE)そうね。とめどなく話せちゃうからね(笑)。
(古川耕)あ、すいません。ごめんなさいね。
(DJ YANATAKE)いやいや、超面白い!
(渡辺志保)私がもうすごい聞きたいことだらけで。
(DJ YANATAKE)せっかくなんでね、古川さんにも選曲をしてきていただいたんで。そういう曲も1回挟みましょう。
(古川耕)じゃあ、僕が1曲選ばせていただいたのが、僕の友人でもあるんですけども。小林大吾という詩人がいまして。僕が2000年代初頭に新宿スポークンワーズスラムというイベントの審査員をやっていたことがあるんですね。それはスラムっていうのは要は元々はアメリカで……都市はどこだか忘れちゃいましたけども。シカゴだったかな? 要は、カフェとかクラブとかライブハウスとかでいろんなパフォーマーが出てきて。
主に詩の朗読だったとか、あるいはちょっとスタンダップコメディみたいなものとか、あるいはラップもそうなんですけど。そういうのを表現、パフォーマンスし合って、お客さんとか審査員がジャッジして……っていうものを日本でもやろうという試みがあって。それで僕がそこでお呼ばれして。初めて行った時に出てきたのがこの小林大吾っていう人で。彼はそこで初めて人前でパフォーマンスしたんですけど。それはアカペラで朗読だったんですけど、「この人は絶対に音楽好きな人じゃないとできない詩の朗読だ」と思って聞いてみたら、やっぱりすごくソウル、ヒップホップ、ファンクのマニアで。
それで「一緒に作品を作りましょうよ」って言って僕が唯一、ある種プロデューサー的な形で関わった人なんですね。その彼が2008年に作った最初のアルバム『1/8, 000, 000』というのがありまして。その中に入ってる『棘 tweezers』という曲があるので、それをちょっと聞いていただければと思います。
小林大吾『棘 tweezers』
(渡辺志保)はい。いまお届けしておりますのは古川耕さんからの推薦楽曲でございます。小林大吾さんで『棘 tweezers』でした。
(古川耕)ありがとうございます。
(渡辺志保)(ツイートを読む)「古川さんの話、とても面白いです」「セカンドは何度も何度も繰り返し聞きました」ということで、この小林大吾さんの作品のことですかね。
(古川耕)セカンドアルバム『詩人の刻印』のことですかね。
(渡辺志保)(ツイートを読む)「古川さんの番組になってる。聞きやすい」「ブラストはバイブルでした」とか、などなどでTwitterでもいただいております。で、まあ本当にね、さっきもお話をうかがった通りですけれども、幅広くカルチャーを取り上げて毎日、ラジオという電波に乗せて。それをお仕事にしてらっしゃるという、そういうイメージがあるんですけれども。まあラジオって、特にTBSラジオの夕方・夜帯なんてすごく分母が大きい世界だと思うんですが。その中で「手応えを感じるな!」っていう。「今日のはハマったな!」みたいな。そういう気持ちになるのってどういう時ですか?
(古川耕)それはね、これはちょっと聞いてる人にとっては失礼に当たるかもしれないんですけど。あんまりね、リアクションではないんですよね。すごくメールが来たとか、すごくTwitterのハッシュタグが動いてバズっているとか、それってもちろん嬉しいんですけど。それはまあ、後からついてきたら嬉しいボーナスみたいなもので。それよりも自分が……「僕がいままでに見てきた中で、この人をこういうテーマで呼んできたことはないだろう」とか、「この人にいま、スポットを当てる番組とかメディアはないだろう」っていうのができて、それが実際にその自分が持ってた理想で「こんな話が聞ければいいな」とか、「こんなテーマが出てきて、なにか新しい話題が出ればいいな」っていうのが想像以上にできた時がいちばん、自分の中では手応えがありますね。
(渡辺志保)へー! なるほどね。で、あとやっぱりその今日もね、ブラスト・フロントのお話とかもうかがってまいりましたけど。そんな中でこう、宇多丸こと佐々木士郎さんとずっとやってらっしゃる中で、なにかしらそのヒップホップの楽しさを伝えたいなとか、そういったちょっと使命感みたいなものってありますか? そのヒップホップ寄りのマインドで……っていう。
(古川耕)ヒップホップの魅力はまだまだやっぱり伝えきれてない。伝わりきってないと思うので。それはやっぱり、ベーシックなところからでもちゃんと伝えなきゃいけないなとは思うし、伝えたいとも思ってるんですよね。たとえば、それこそこれ、近日中にやれるかどうかわからないけど。ブレイクビーツの話って、いま改めて……。
(渡辺志保)ああ、そもそもね。
(古川耕)いまのポップスにも絶対にブレイクビーツ、どこかで鳴っているので。でもたぶん、そもそも知らないよねっていう話だったりとか。そういう本当にベーシックなこととかはいまだにやりたいし、やらなきゃいけないなと思っていますね。で、やっぱりそれはヒップホップが単に昔、聞いていたからとか。まあいまでも当然聞いてますけど。昔から聞いていて愛着があるからっていうこと以上に、いまもってまだフレッシュだと思ってるから。それはラップもそうだし、BボーイングもグラフィティもDJもスクラッチも……いまだにフレッシュな表現だと思うから、それは伝えたいなとは思っていますね。
(渡辺志保)なるほど。ちなみにラジオっていうメディア。私もこのblock.fmから参加させてもらって、もう8年ぐらいにはなるんですけれども。そのラジオの面白さっていうのは古川さん的にどういうところにあると思いますか?っていう、すごいざっくりした質問なんですけども(笑)。超抽象的な……。
(古川耕)フフフ(笑)。
(DJ YANATAKE)いや、すごいいい質問です。
(渡辺志保)テレビじゃなくて、ラジオ。小説じゃなくて、ラジオ。Twitterじゃなくて、ラジオ。
ラジオの面白さ
(古川耕)うーんとね、「ちっちゃくてスピーディー」っていうのは1個、ありますね。要はちっちゃいだけだったら出版というのはいちばんちっちゃいメディアでできると思うんですよ。1人で出版社を作って、1人で本を書いてっていう。だからすごく個人の色が出やすい。けど……そうだな。本としてそれをまとめるには、それなりに時間がかかる。それは自分が編集もライターもやっていたからわかりますけども。やっぱりすごい労力をかけるものなんですよね。だから、スピード感はやっぱりそこまで出ないと思います。
(渡辺志保)うんうん。
(古川耕)で、テレビに関して言うと、ものすごい大きな人数が関わっているので、やっぱり個人の色だったりとか、そういうのが出しにくいですよね。だから雑誌とラジオが僕は比較的近いジャンルのものだと思っていて。それは誰か個人の見方だとか、その人個人の思いみたいなものがスピーディーな形でポンと出る。そういう意味でラジオは僕の中では雑誌と仲間なんですよね。
(渡辺志保)同系列というか。なるほど。ヤナタケさんから何か、古川さんにご質問などありますか? まあありすぎてっていう感じでしょうけど。
(DJ YANATAKE)ありすぎてあれなんですけど。僕ら、専門局みたいなところでヒップホップをやって。「いろんなところに届け、届け」と思ってやってたりするんですけど。昔、ニートTOKYOっていうところでYouTubeのインタビューに答えたこともあるんですけど。やっぱりメジャー局でなかなかね、ヒップホップがメインでかかっていかない。でもアメリカではビルボードを制するぐらいのものになっているような状況なんだけど。いままでもヒップホップをそういうところにいっぱい届けてくれてる側の人じゃないですか。なんか、でもメジャー局でヒップホップを扱う大変さみたいなのってやっぱりありますか?
(古川耕)あんまり「メジャー局だから」という意識というのとはちょっと違うかもしれないんですけど。たとえば、「こういう類のラップルスタイルはちょっと嫌がられるかもしれないな」とか。あるいは、下手にフレンドリーに作られた曲の方がいいかっていうと、そういうことでもないと思っていて。つまり、「ヒップホップっていうのはこういうエッジが効いているものなんだ。こういう最新のものなんだ」っていうのを分からせる。
そこが実は最もキャッチーだったりするので。僕とか宇多丸さんに関しては恐らくなんですけど、そういうセンサーは……だから自主規制的に「安全なものをかけよう」というよりも、ちゃんと自分たちが「かっこいい」と信じてかけられるものとか、「これは本当にちょっと不穏当な言葉が使われてるかもしれないけど、でも作品として本当に素晴らしいし聞く価値があるからかけよう」っていうののジャッジが厳しいかもしれない。
(渡辺志保)なるほど。
(DJ YANATAKE)だから逆にそうなんだよね。専門局でかける方が楽かもしれないよな。だって『アフター6ジャンクション』なんて本当に夕方、八百屋さんでおばちゃんたちが買い物してる時にかかっているところに向けて曲をかけるわけだから。その中でのジャッジみたいなね。
(古川耕)そうですね。だからもちろんね、そういうところで働いてる人とかお店のBGMにしてるところに急にTajyusaim boyzみたいなものがボーンとかかったりすると申し訳ないなと思いつつ……。
(DJ YANATAKE)フハハハハハハハハッ!
(渡辺志保)「リボで買えねえわ……」みたいなね(笑)。
(古川耕)でも、あの突き抜けた面白さとかは逆にいろんな人。ヒップホップの文脈を知らなくてもわかりうるじゃないですか。それはもう、フリースタイルダンジョンなんかも証明しているわけで。ある種、極まったものはむしろポップっていうところもあるわけで。
(DJ YANATAKE)ちょっとTajyusaim boyzをよろしくお願いします。
(古川耕)素晴らしいですけどね(笑)。
(DJ YANATAKE)なるほどね。でもやっぱり古川さんの話を聞いてると、物を見る角度の話なのかな? 切り口のセンスっていうこと?
(渡辺志保)ねえ。でもそれに尽きる気がします。本当に。
(古川耕)「切り口があるかどうか」ですね。センスっていうのはたぶん最終的には好みになっちゃうんですけども。そもそも、切り口が存在しているかどうかだけです。重要なのは。
(DJ YANATAKE)うんうん、なるほど。それを探してるっていう感じかな。
(渡辺志保)素晴らしい。私もだから何度かトークでお呼びいただくことがありますけれども。やっぱり最初のオファーをいただくところから非常にAccurate、的確な内容の指示を前もっていただくことが多いなと思ったり。私が逆にすごくふんわりと「こういうの、どうですか? こういう知り合いがいるんですけど……」とか。「今度、こういうことに私が携わるんですけど……」みたいなふんわりしたことを古川さんとか他のアトロクのスタッフの方にプレゼンしても、それをすごくパパパッと瞬時に、非常に的確な形にスッと落とし込んで。それで気付いたらもうリスナーの方に届いてるっていう。なんかすごいそういうイメージが強いですね。
(古川耕)ああ、それは嬉しいです。出演者の方にそう思っていただけているなら、まずは本当に嬉しいですね。
(渡辺志保)とんでもないです。本当に。
編集者も放送作家もやっていることは同じ
(古川耕)だからまあ、雑誌と……僕はキャリアがもともと雑誌なんですけど。実はね、変わってないです。放送作家も結局やっていることは。ある事象があって、それをどういう切り口にまとめて。それが最終的に文字になるか、声になるかっていうだけの違いだったりするので。そこにさらに宇多丸さんという、もう当代随一のね、パーソナリティーと言われる方ですから。それはね、ある種楽な仕事っちゃあ楽な仕事ですよ。
(DJ YANATAKE)いやいやいや!
(渡辺志保)いやいやいや!っていう感じですね。ちなみに普段の……いろんなね、お時間の使い方があると思うんですけど。ご趣味っていうのは何になるんですか?
(古川耕)ご趣味?(笑)。
(渡辺志保)文房具とかもね、お詳しくてらっしゃるから。本当に時間が足りないのでは?って思いますけ度。
(古川耕)何でしょうね? まあほぼ自分の趣味はいま、ラジオに突っ込んでいるので。境目がなくなってきたんですけど。まあ、ひいて言えば本なのかな?
(渡辺志保)読書という。
(古川耕)でも、あんまりそんな言うほど読んでないですけどね。
(渡辺志保)いやいや、本を読むのって本当に時間がかかるなって思いますね。私も自分でラジオを聞くようになってから。
(古川耕)効率悪いですね、本ってね。
(渡辺志保)ねえ。効率が悪いって思っちゃうけど、やっぱりまあそこはもちろんね、やめられない。根源的な魅力があるからですけれどもね。
(中略)
(DJ YANATAKE)じゃあ、まだ少し時間があるので。いやー、でも今日は本当にこんなところに……(笑)。
(古川耕)ありがとうございます。生で見れて感激。しかし、2人はしゃべりが上手いですね。なんなの、これ? 恐ろしいですね。
(渡辺志保)何をおっしゃいますかですよ。本当にもう。
(DJ YANATAKE)いやいや、僕らラフすぎちゃって。台本とかなくて本当に申し訳ない。こんなところにお呼び立てしていいのかっていうね。
(古川耕)これでいいです。これがいいですよ。
(渡辺志保)でも、聞きたいことと言えば、そのラジオパーソナリティーとしての宇多丸さん。そして最初に古川さんが「この人の文章、すごいな!」って思った佐々木士郎としての宇多丸さん。そしてライムスターのラッパーとしての宇多丸さんって全然違う表情を持つ方なのか。古川さんの目から見て、どうなのかをちょっと聞きたいですね。
古川耕さんから見た宇多丸さん
(古川耕)アウトプットの形はそれぞれ違うと思うんですけども。根底にあるものはつながっていて。まあ、要はそこに信頼感があるわけですけども。一言でいうと自分の表現をしたことによって社会になにかいいエフェクトを与えられるんじゃないか。自分の表現というものは誰かのためになるし、それが本当に社会をよくすることがあるんじゃないかって信じていると思っていて。そこが僕はいちばん信頼できるところかなっていう感じですかね。ちょっと漠然としていますが。
(DJ YANATAKE)逆にどうですか? 近くで見ることもいっぱいあるでしょう?
(渡辺志保)いや、私は本当にレジェンドすぎて……っていうところもあるし。でも本当に本当にいちばん最初、タマフル時代にお呼びいただいた時から「うおー!」って思っていたんですけども。私なんかの話もですよ、生放送中にすごい丁寧にメモを取って聞いてくださっているんですよね。
(古川耕)メモ、取りすぎですよね。あの人ね(笑)。
(渡辺志保)タランティーノ監督にも「メモがすごい」って言われていて。びっくりした(笑)。
(古川耕)そうそうそう(笑)。
(渡辺志保)でも、そこまでの探究心というか、誠実に「この人の話を聞こう」みたいなね、そういったご姿勢が本当に本当に素晴らしいなっていうのは前から思っていましたね。
(古川耕)伝えておきましょう。
(DJ YANATAKE)僕も一言。超勉強家の方だと思いますね。そこは間違いないです。
(古川耕)伝えておきましょう。
(DJ YANATAKE)いつか引っ張り出してやるからな!(笑)。
(古川耕)フフフ(笑)。
(渡辺志保)というわけで、『INSIDE OUT』。今日も60分間お付き合い、どうもありがとうございました。最後、じゃあ古川さんから曲紹介をしていただいてもいいですか?
(古川耕)近年、僕がいちばん好きな曲で。いまだに何度も聞いています。SUMMITに敬意を表する意味でC.O.S.A. × KID FRESINO『Swing at somewhere feat. コトリンゴ』です。
(DJ YANATAKE)では、こちらを聞きながらお別れですね。
(渡辺志保)ありがとうございました!
(古川耕)ありがとうございました!
C.O.S.A. × KID FRESINO『Swing at somewhere feat. コトリンゴ』
<書き起こしおわり>