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松任谷由実と宇多丸 ラジオと日本語ラップを語る

松任谷由実と宇多丸 ラジオと日本語ラップを語る ニッポン放送
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宇多丸さんがニッポン放送『松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD』に出演。松任谷由実さんとラジオや日本語ラップについて話していました。

(松任谷由実)ここからはユーミン・宇多丸の気ままな座談会ですね。第一章のテーマは「ラジオ」。まずは宇多丸さんの華麗なラジオ歴を紹介します。2007年、TBSラジオで来週土曜日22時から『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』がスタートし、ラジオパーソナリティとしてブレイク。2年後には放送文化に貢献した優秀な番組や担当者に贈られるギャラクシー賞でDJパーソナリティ賞を受賞。これはすごいことですよ。

(宇多丸)恐縮です。びっくりしちゃいましたね。

(松任谷由実)去年4月からは同じくTBSラジオで『アフター6ジャンクション』のパーソナリティ。放送は月曜日から金曜日。毎日18時からの3時間ということで宇多丸さんの毎日はまさにラジオ、ラジオ、ラジオ。

(宇多丸)ラジオ、ラジオ、ラジオでございます。ということですね。まあまあ、まさにユーミンさんもね。

(松任谷由実)そうね。ラジオ、好きですね。好きでしょう?

(宇多丸)もちろんです。ずっとね、ラジオパーソナリティやりたいなとか、まあ正直自分には向いているなって思っていたんですね。ラッパーもやりながら。

(松任谷由実)自分で判断?

(宇多丸)判断なんですけど。で、そんなことを言っていていざ、ライムスターで番組をやったりしたら「なんだ、全然うまくできねえな」って思って。なんかすごく自信は喪失していたんですよね。

(松任谷由実)それは「3人だから」っていうことじゃなくて?

(宇多丸)うーん……なんかいろいろと条件が整わなかったっていうのもあるし。でも思ったよりできねえなって思っていたんですけど、(『ウィークエンド・シャッフル』を)始めたら評価をいただいて。よかったなという、そういう感じですね。

(松任谷由実)なんかこう、カルチャーが服着て歩いてるみたいな……。ベースボールキャップをかぶって。

(宇多丸)キャップって……それはいまの格好じゃないですか(笑)。

(松任谷由実)いや、カルチャーがそういう格好をしているっていうぐらい、多岐に渡っているから。私なんかもそういうところがあるんだけど、何が役に立つかわかんないじゃない? 作詞とか、特にね。

(宇多丸)はいはい。そうですね。フィードバックされるから。

(松任谷由実)曲は曲で何が役に立つかわからないし。雑食になりますよね。

(宇多丸)ユーミンさんのアンテナも本当にすごいしね。だから、そうなんですよね。

(松任谷由実)そう言わせようと思って話したわけじゃないけど、宇多ちゃんは自分がラジオに向いてるっていう判断は、そういう多岐にわたって興味持ってるから向いてるかなっていうこと?

「ラジオが向いている」と思っていた

(宇多丸)あとはおしゃべり野郎だったんで。昔からこの調子で放っておけばしゃべるから。

(松任谷由実)小学生の時からそう?

(宇多丸)そうですね。少なくとも人と会っている時はしゃべります。逆に言うと、一人っ子だから。なのでそうじゃない時は……すごくオン・オフが激しいですよ。1人っていうか、プライベートになるとものすごいおとなしくなるっていう。で、そういう人がいるような公の場にいるともうブワーッとなるっていう感じなんで。昔からそうだったんですけども。

(松任谷由実)ハレとケがはっきりしているのね。

(宇多丸)そうそうそう。

(松任谷由実)で、さっきチラッと言ったんだけど、スマホとかしてないんじゃない?

(宇多丸)ああ、いわゆるSNSはやっていないですね。

(松任谷由実)SNS、やってないじゃん。それがかっこいいと思うんだけどね、私。

(宇多丸)ああ、そうですか。というか、アウトプットはもう毎日やってますからね。とか、アウトプットをするところは集約したいんですよね。それはあるんですけども、あとはその間はインプットに使いたいし。

(松任谷由実)そうね。くだらないところに気づくと時間を割いちゃっているよね。

(宇多丸)まあね。特にSNSはよくみんな……まあ、もちろん使いこなしてる世代の人はいいんでしょうけど。なかなか、足を取られることも多かろうに……って見ていて思いますけどね。

(松任谷由実)毎日のインプットっていうか。ゲストの予習とか本を読んだりとか曲を聞いたりっていうのは?

(宇多丸)そう。いまは毎日番組になっちゃって、毎日ゲスト、面白い人が次から次へと来るから。もうね、インプットにアンテナを張る必要がないという新時代が到来! こうやってイスに座ってスタジオで待っていると、次から次へと面白い人が現れてインプットをしてくれるというね。もう北京ダックですよね。こうやってね。口を開けているとどんどん続々とカルチャー情報を入れられて。こっちは肥え太るばかりという。大変ですよ。

(松任谷由実)フフフ、それ、摂りすぎっていう時はないの?(笑)。

カルチャーの過剰摂取

(宇多丸)摂りすぎ、摂りすぎ。だからもう過剰摂取ですよ。でもまあ、嬉しいことですよね。前からその本も好きだし。音楽だっていろんなのが好きだしとか、いろんな方向があまり出す場所がなくて。「こういうのが好きだ!」みたいなのを。別々の場所でやってたらなかなか僕の全体像を理解されなかったから。

番組始めたらなんか宇多丸ゾーンっていうか。なんとなく宇多丸界みたいなのができて、ようやくわかってもらえたことでグループでの表現に対するストレスもなくなったんですよ。要するに前は「もっと俺はこういうのを入れたい。ぶち込みたい!」っていうのがあったんですけども。いまはそれがもうちょっとバランスが取れたっていうか。グループに対しても。「ここまあ、自分のところでやればいいや」みたいな。

(松任谷由実)じゃあ同時に、マミーもJINくんもそういうことをしているんだろうね。「同時に」っていうか、同じベクトルじゃなくても。

(宇多丸)そう。もちろん。だから活動休止中はMummy-Dはマボロシっていう自分のユニットをやっていたし、JINはJINですごい自分の活動をしていたんで。だからそれがよかったですよね。なぜお互いがお互いを必要としてるのかが逆にわかったっていうか。それはすごい良かったところですね。

(松任谷由実)別居した夫婦みたいだもん。

(宇多丸)いや、本当に夫婦感、ありますよ。だからこれ、3人っていうのがいいんですよ。なんか。ちょうどうまく力が分散されるっていうかね。キャラとかも全員違いますしね。

(松任谷由実)私さ、いま思ったんだけど。だから「宇多丸界ができて……」とか「夫婦感ありますよ」とか漢字で書くといろんな字が当てはまるようなところがやっぱりパッと……「宇多丸界」なら「界」っていう字が入ってくるところがすごいなと。ラッパーなんだって思う。

(宇多丸)おお、おお。そうですか。そう取りますか。面白いな。

(松任谷由実)発音、イントネーションとかそういう問題じゃなくて。なんかね、「文字」を伝える力があるというかな? 受け手の能力もあるとは思うんだけども。

(宇多丸)もちろん、もちろん。そうなんですよ。日本語は同音異義語が多いから。「かい」って言ったってね、いろいろと……。

(松任谷由実)「Shell(貝)」かもしれないし(笑)。

(宇多丸)ああ、そうそう。『私は貝になりたい』の「貝」かもしれないし。田中角栄の「◯◯会」かもしれないしさ。なんだけど、ちゃんと「世界」の「界」になるかっていうのはね。文脈も大きいですけどね。でもね。

(松任谷由実)たしかに。

(宇多丸)だってこれ、普通にユーミンさんの歌詞でもそうでしょう? 聞こえでよくわからなくなりかねない単語、あるじゃないですか。

(松任谷由実)そうね。あとはそこを逆利用してダブルミーニング、トリプルミーニングってね。

(宇多丸)もちろん。僕は同音異義系のライミング、韻がすごい好きなんで。それを利用することももちろんありますね。

(松任谷由実)なんかお作法っていうのかな? ライムスターとかが日本語で草分けで確立した感じがずっと……ちょっとずつ進化して。

(宇多丸)まあ、僕ら世代がというかね。

(松任谷由実)それで去年、その飲み会でしゃべったみたいに、「あるところからもう理解不能っていうところになった」って言っていたじゃない?

トラップ世代の日本語ラップ

(宇多丸)ああ、そうでしたっけね。新世代は新世代で……いまはちょっとヒップホップの世界的な流行の流れ、トラップっていう新しい流れがあったりとかで。あと、みんなオートチューンを使って声を加工してやるっていうのもあって。それでそういう……。

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(松任谷由実)オートチューンにした時に、聞き手が「いい」とか「悪い」とか……それでも好き嫌いってあるの? 違いがわからないんですけど。

(宇多丸)たしかにね、似通うけれども……ただ、似通ってくるのはヒップホップってやっぱり共通ルールのスポーツみたいなところがあって。「ルールが一斉に改正されました」みたいなことがある。ドレイクとかみたいなゲームチェンジャーみたいな人がいるんだけども。そういう人が「オートチューン、超ありになりました」ってすると、もう一斉に「じゃあオートチューンを使ってどういうことをやるのか?」っていう同一ルールで競い合うみたいなところがあるから。

(宇多丸)似ているんだけど、やっぱりその中にも優劣というものがあって。それをヒップホップが好きな人たちは読み取っていくというところがあるので。だから、当然それはあるんですけどもね。言っていることが面白いかどうかとか。あとはメロディセンスとかもありますからね。

(松任谷由実)うんうん。

(宇多丸)ただ、そこを俺らがそんなに単純に乗っかるわけにもいかないみたいなところもあって。まあ面白いところでもあり、悩みでもあり。

(松任谷由実)長年ね、日本でラップっていうカルチャーはあり得ないよなって思っていたわけ。主張すべきとか、反発すべきことがない、骨抜きにされちゃっている社会的資本主義みたいなこの国でなにを言うの?っていうのが私の中であって。そんな中でライムスターはすごく……うーん。ちゃんとしていたわけよ。

(宇多丸)まあ、日本人として言っておかしくないようなラインというかね。

(松任谷由実)そう。それで高度なライミングで。それででも、他はあまり認めていないっていうようなところがあったんだけども、ある時ふと気がついたら、フリースタイルになっていて。それはそれで日本人、日本語として、そのゲーム世代みたいな。反射的に言うのもすごいなって思うようにはなった。

(宇多丸)ああ、なるほど。もちろんあれは本当に技術がすごいことになっていて。もちろんそこも面白いし。あと、やっぱり日本社会が――もちろんもともと貧困というものはずっとあったと思うけれども――そこがすごい前面化することになって。まあ、わかりやすいところで言うと川崎の……。

(松任谷由実)BAD HOP!

(宇多丸)そう。ご存知の通り。だから、そういう時代になってきたっていうのはありますよね。

BAD HOP『Foreign feat. YZERR & Tiji Jojo』

(松任谷由実)では、またその続きは後ほどということで……。

<書き起こしおわり>

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