モーリー・ロバートソン トランプ大統領のサウジ・カショギ氏殺害への声明文を語る

モーリー・ロバートソン トランプ大統領のサウジ・カショギ氏殺害への声明文を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』に出演。サウジアラビア王室のカショギ氏殺害への関与をCIAが結論づけたというニュースと、それに対するドナルド・トランプ大統領が出した声明について解説していました。

(モーリー)はい。よろしくお願いします。今日は11月17日のワシントン・ポストのツイートを紹介しましょう。こちらです。まずは英語。読んでみましょう。「The CIA has concluded that the Saudi crown prince ordered Jamal Khashoggi’s assassination」

(モーリー)日本語を見てみましょう。「CIAはサウジアラビアの皇太子がジャマール・カショギ氏の暗殺を命じたと結論づけた」という。サウジの側は「現場の人たちが自分たちの判断で早とちりでもみ合っているうちにうっかり殺しちゃったんだ」みたいな感じ。それでトランプ大統領もそれに合わせるようにふんわり幕引きをしようとしていたんですね。そういう流れだった矢先なんですけども……CIA、アメリカの世界クラスの情報機関が「いや、サウジ皇太子の命令でしょ?」と自分たちが見つけたエビデンスから結論を出してしまったんですよね。で、いままでトランプ大統領はとにかくサウジ寄りで。「いや、皇太子は『知らなかった』って本人も言っているし、国王とも電話で話したけど……」っていう風にお茶を濁してきたわけですよね。

で、「結論がまだ出ていない。CIAはこう報告しているけど、私が結論を出すのは時期尚早だ」という言い方をして、「正式な報告は20日に出す」という風にコメントをして。その言葉通り、声明をホワイトハウスのページにトランプさんの直筆なんじゃないか?っていうぐらいの文体で掲載しました。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)その文章がこちらです。はい。「Statement from President Donald J. Trump on Standing with Saudi Arabia」。「サウジアラビアとの関係についてドナルド・J・トランプ大統領による声明」と書かれた「FOREIGN POLICY(外交)」みたいな。で、2018年11月20日の日付。アメリカのマークがついて。で、そこの横にキャッチコピーで「America First!」。

(プチ鹿島)フフフ(笑)。

(モーリー)で、全部見てください。この感嘆符「!」。ビックリマーク。「America First!」「The world is a very dangerous place!(世界は危ないぞ!)」「maybe he did and maybe he didn’t!(彼はやったかもしれないし、やってないかもしれないぞ!)」。

(プチ鹿島)フハハハハハハッ!

ドナルド・トランプ大統領の声明文!

(モーリー)「中学生の作文」とかそういうことを言い始めると、これがトランプの罠なんですね。こうやって彼がアホだとかバカだとかって思い始めると、それは真理を揺さぶられていることになるので。ここはトランプさんが挑発してきた時はじっくりとそれを虫眼鏡で精査していくのが詰めていく方法です。そこで、一応トランプさんの抜粋を日本語にしました。

「アメリカ・ファースト! 世界はとても危険な場所である! サルマン国王とムハンマド皇太子はカショギ氏殺害計画や執行を知り得ていたかについて強く否定している。私たちの諜報機関(CIA)は全ての精査を続けていますが……」。ほら、CIAは結論を出しているけど、大統領は「精査中」って1個引いているわけですよ。乗っていない。「……皇太子はこの悲劇的な出来事を把握していた可能性は十分にありえる。知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない!」。

(プチ鹿島)フフフ、なんだそれ?(笑)。

(モーリー)ということなんですよね。で、声明には他にもいろんなことが書いてあるんですけども。「いかなる場合でもサウジは米国の不動の同盟国である。これは大事だ」と。そして、それがアメリカの雇用にいかに役立っているのか?っていうのを金額でトランプ大統領は示しています。サウジへの巨額の武器売却を挙げて、サウジは4500億ドルの米国への支出や投資に合意している。この何十万人もの雇用ととてつもない経済発展。「とてつもない(tremendous)」なんですよ。自分で「とてつもない」とかって言う。「いまだかつてない!」って言っちゃうんですよ。トランプさんは。

(プチ鹿島)フハハハハハハッ!

(モーリー)その「いまだかつてない」雇用を生んでいるサウジと仲違いしてどうする?っていう。で、これはヘタをするとね、結局そこでなにが暗示されているのか?っていうと、要は第二次世界大戦っていうのは国益だけを追求する大国同士が争って大衝突したのが第一次、第二次世界大戦で。破滅的な戦争だったわけですよね。ファシズムみたいなものが生まれて。だからそれを二度と起こさないように「国連」という仕組みを作り、国益よりもなによりも人道というものが大事。人道や人権、基本的人権っていう概念を謳ったわけですよ。

それをオーバーライドしていて、国連の精神も含めて「なになに? アメリカ人でもないサウジの人間が1人殺されてバラバラにされた? ああ、でもサウジじゃよくあることだろ? 本人同士でなんかやって。もしかしたらやられた側もなんかあったかもしれないし」ぐらいの。そういう踏み込み方に近いニュアンスをトランプ大統領は語ってしまわれているんですね。だから本当に、いままでの大統領がやったことのない領域に踏み込んでいる。で、結局落とし所はなにか?っていうと、やっぱり数十万人分のアメリカの雇用を生むかもしれない。サウジの巨額の投資、これがほしい。

そしてもうひとつ、全文を読んで興味深かったのはサウジがかねがね主張しているのは「うちだって悪いことやるかもしれないけど、イランの方がもっと悪い。イランは核を持とうとしているぞ。イランをのさばらせたら、アメリカの国益に反するぞ。うちとイスラエルと組むことでしかアメリカの国益はない」っていうことをずっと主張しているんですね。イラン悪玉論。これをそのままきれいにトランプ大統領、反復しておられました。ですから、イデオロギーとしては完全にサウジ王室に溶け込まれていて、「雇われ大統領」って今日、思っちゃったね。アメリカの大統領なのに、アルバイト。「当事者意識、ありません。チラシを配っているけど、やる気のないチラシでーす」って。

(プチ鹿島)さっきの話(メガネスーパーの経営立て直し)が全然違うじゃないですか(笑)。

(モーリー)どこかから社長がやってきて目を見て「こうやってやるんだ!」って教えてもらわないといけない大統領になっちゃったんですよ。

(プチ鹿島)星崎産、どうですか? トランプさんについては、どう……?

(星﨑尚彦)いや、こんな大国が「大人の事情です」って言っていますよね、これ(笑)。

(プチ鹿島)本当、そうですよね(笑)。

「大人の事情です」

(星﨑尚彦)「細かいことは聞かないでください。大人の事情です!(終わり)」みたいな。

(モーリー)フハハハハハハッ!

(プチ鹿島)威張っている割には大人の事情で……(笑)。

(モーリー)弱いの(笑)。人権のことを言ってサウジに強く出て、「お前らの汚い金なんかいらない! アメリカ人は偉大なんだ! 発展途上国のくせに頭が高い!」ぐらい言うかと思ったら逆で。「いやいや、お金くれるから……だって、僕を支持してくれている自動車や部品工場の赤さび地帯、ペンシルバニアやオハイオ、ミシガンの人、この雇用はほしいでしょう? だったら、だったら……」っていう風にウィンクしているんですよ。

(プチ鹿島)ほー!

(モーリー)「別に彼が死んだのはもしかしたら心臓麻痺だったかもしれないじゃない? 別に、人は死ぬもんなんだよ!」ぐらいの大人の事情。

(プチ鹿島)でもこれ、最初からもう「アメリカ・ファースト!」って来るわけですよね?

(モーリー)だから、なにがファーストでなにがセカンドなのかっていうと、「カショギさん、殺された人の命よりもアメリカの利益、俺の支持者の雇用の方が上だろう」とはっきりと言っている。そして、「世界は危険な場所だ!」っていうことは「まあ流れ弾もあるし、人は毎日殺されているんだ。人は毎日死んでいて、その中の1人だよ? 1日に何人の人が死んでいると思う? その中の1人がたまたま、もしかしたら国王も含めた皇太子の命令で殺されたかもしれないけど……」みたいな。

(プチ鹿島)だから最初は勢いよく入ったのに、なんかゴニョゴニョゴニョッてなって、失速していく。

(モーリー)で、途中で急に話をすりかえて、「イランがいかに危険か」って。そしてサウジがイエメンで戦争をやっていて、そこで子供が何万人も餓死しているんですよ。「サウジがやっている」ということが国際認識なんだけど、「イランがイエメンで戦争をやっているから子供が死んでいて、イランがイエメンから手を引けばサウジはすぐにでも人道支援をするだろう」みたいにサウジ側の理屈を言っているんだよね。これ、雇われちゃっている状態。籠絡されてます。

(プチ鹿島)もう1回、最後に「アメリカ・ファースト!」で終わればちょっと芸人のネタっぽいかなと思ったんだけど(笑)。

(モーリー)たぶんそういう締めくくりをしたんじゃないかと思います。ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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