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町山智浩『ファイティング・ウィズ・マイ・ファミリー』を語る

町山智浩『ファイティング・ウィズ・マイ・ファミリー』を語る たまむすび
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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でアメリカのプロレス団体の元女子王者ペイジを描いた映画『ファイティング・ウィズ・マイ・ファミリー』を紹介していました。

(町山智浩)で、そこからブルース・ブラザーズは出てきて。なんでか?っていうと、「ブルース」っていう音楽もそうやって作るんですよ。

(山里亮太)ああ、そうか!

町山智浩・山里亮太・赤江珠緒『ブルース・ブラザーズ』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で山里亮太さん、赤江珠緒さんと『ブルース・ブラザーズ』についてトーク。ロケ地のシカゴやジョン・ベルーシとダン・エイクロイドを輩出したコメディー学校セカンド・シティ取材などについても話していました。

(町山智浩)そう。コード進行だけが決まっていて。だからそれぞれのソロのパートを自由に弾くんですよ。「今度はピアノ、今度はベース……」っていう感じで受けていくんですよ。ボーカルとハーモニカで。ジャズもそうですけど、セッションをしていくんですね。みんな、同じなんですよ。プロレスも。技を出して、受けて返して。それを即興で……という話で、今日はフロレスの話です。

(山里亮太)プロレスの話?

(町山智浩)今日はイギリスで作られた映画なんですけども。『ファイティング・ウィズ・マイ・ファミリー(Fighting with My Family)』という映画を紹介します。これはWWEという世界最大のプロレス団体がありまして、そこで女子のチャンピオンだったペイジという人がいるんですね。そのペイジの生まれ育ってチャンピオンになるまでの話を映画化したものです。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)チャンピオンになったのは結構最近で2014年なんですね。で、WWEっていうのはご存知ですよね? 昔はWWFって言っていたんですけども。世界最大のプロレス団体で、ドナルド・トランプも出たことがあります。

プチ鹿島 ドナルド・トランプがWWEプロレスで学んだことを語る
プチ鹿島さんがTBSラジオ『デイ・キャッチ!』の中で、ドナルド・トランプ氏についてトーク。トランプ氏が2007年にアメリカのプロレス団体WWEに参戦し、ビンス・マクマホンCEOと戦った際に学んだ手法を現在の大統領選挙に活用しているという話をしていました。

(赤江珠緒)でもWWEでチャンピオンになるって相当すごいことだってうかがいましたけども。

(町山智浩)だって全世界のプロレスラーのトップだから。大変なんですよ。で、この主人公、実在の人物なんですけどもペイジさんという女性は13歳の頃からリングに上がってプロレスをしているんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、どうしてかっていうと、家族経営のプロレス団体の娘さんなんですよ。お父さんもお母さんも2人のお兄ちゃんもプロレスラーで家族で戦っているんでこの映画のタイトルが『ファイティング・ウィズ・マイ・ファミリー』なんですよ。「家族同士で戦う」っていうタイトルなんですよ。

(赤江珠緒)ふーん! うんうん。

(町山智浩)で、イギリスのノリッジという街でずっとプロレスをやっていて。そこでお父さんとお母さんが……もともと、お父さんは強盗だったんですよ。

(赤江珠緒)フフフ、いまサラッと聞いちゃいましたけど。そこ、流すところかな?(笑)。

(町山智浩)で、お母さんはホームレスのヤク中だったんですよ。で、出会って、「こんなことやってられない!」っていうことで。それで2人ともなにが好きかというとプロレスだったんで、「じゃあ、プロレスを始めよう!」っていうことになって更生した人たちなんですね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)でも、お兄ちゃんはまだ刑務所に入っていたりするんですけども(笑)。それでまあ、主人公の女の子であるペイジは13歳の頃からずーっとリングに立って家族でがんばっていたんですけども。その試合のビデオをWWEに送って、「WWEのオーディションに出ないか?」っていう風に言われて、オーディションをお兄ちゃんと一緒に受けるんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)ところが、お兄ちゃんは落っこちちゃうんですよ。お兄ちゃんの方がプロレスは上手いのに。で、ペイジだけが採用されて、それでたった1人でフロリダのWWEのファーム、2軍があるんですね。NXTっていうところなんですが、そこで修業をするんですよ。そうすると、このペイジはずーっと家族でプロレスをやってきたんですが、はじめて全く知らない他人の中に飛び込むことになるんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)そこでまあ、すごい苦労をすることになるっていう映画なんですけども。それで、まず行くとWWEの女子プロレスの選手たちってご覧になったこと、ありますかね? レースクイーンみたいな人たちなんですよ。

(山里亮太)そうですね。スタイルが良くて、胸もバッと出ているような。

(町山智浩)そう。おっぱいが大きくて、ド派手でね。モデルとかレースクイーンとかミス・ユニバースとか、そんな感じの人たちなんですよ。でもこのペイジっていう子はものすごくゴス……「ゴス」ってわかるかな? 黒いメイクして、黒い口紅とかを塗って……。

(赤江珠緒)ゴスロリとかの。

(町山智浩)そうそう。ちょっとゴシックな、ホラー系のキャラなんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

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ゴス系レスラー・ペイジ

(町山智浩)だから、浮いちゃうんですよ。しかも、いちばん若くて。まだ18歳なんですよ。それで、貧乏な家から来たっていうことだったり、イギリスから来たっていうこともあって、全然他の選手たち、練習生たちとバックグラウンドが違うんで、溶け込めないで苦労するんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)基礎体力のテストもすっごい厳しくてものすごい特訓をやらされるんですけども。それ以上に浮いちゃって、うまく周りとコミュニケーションできなくて。うまくプロレスができなくなるんですよ。で、ここですごく面白いにはこれ、WWEが自分たちでオフィシャルにこの映画をサポートしているんですけども。「プロレスというのは相手の技を受け合うものなんだ」っていうことをはっきりと言ってしまっているんですよ。

(山里亮太)ああっ、そうか。

(町山智浩)このお兄ちゃんのザックっていう人がお互いの両親を会わせるっていうシーンがあるんですね。そうすると、向こうの両親はプロレスとかを全然知らないから心配するんですよ。「プロレスってあれは本当にやっていないわよね?」って向こうのお母さんは言うんですよ。それは要するに、「本当にやっているとしたらそんな危ない旦那にうちの娘は嫁にやるわけにはいかないわ」っていう気持ちで言っているんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)ところが、それを言われたお父さんはプロレスラーだから侮辱されたと思って。「俺の膝を見ろ! グチャグチャだよ! プロレスラーっていうのはみんなボロボロなんだ! プロレスがインチキでフェイクなら、なんで俺はこんなボロボロになっているんだよ!?」って言うんですよ。

(山里亮太)わかるよ、お父さん……。

(町山智浩)するとお母さんはね、「プロレスは反則や金的もありだからね、うちの旦那のチンコはボロボロよ! 見せてあげたいわ!」とか言うんですよ(笑)。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(町山智浩)「プロレスっていうのは本当なのよ。本気なのよ!」って。そのWWEのラダーマッチっていうアルミ製の脚立でボコボコに殴り合う血みどろの試合を見せて「ほら、みんな真剣に本当にやっているでしょう?」って言うんですけど、逆効果っていう(笑)。

(赤江珠緒)そうですね(笑)。両家の打ち合わせにはちょっといらないかな?っていう(笑)。

(町山智浩)「そんなところには嫁にやれないわ!」っていうね。まあ、そういう話なんですよね。だから一応話としてはプロレスというのはシナリオがあってやっているんだけども、その戦い自体は本気だし。ボクシングや総合格闘技と違って、相手の技は全部受けるわけなんですよ。ボクシングだったら避けるのが大事なんですよね。でも、プロレスの場合にはチョップとかやられたら全部胸で受けなきゃいけないんですよ。ガードしないで。

(赤江珠緒)うんうん。

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相手の技を受けるプロレス

(町山智浩)殴られる時もガードをせずに頭を殴られなきゃいけないんですよ。それは、互いの強さを見せていくことだから、避けてはダメなんですよ。投げられたら投げられなきゃいけない。受け身を取るんですよ。だからより、実はプロレスの方が過酷なんですけども。

(赤江珠緒)そういうことだ。うん。じゃあ本当に相手とコミュニケーションを取れないとダメなんですね。

(町山智浩)そうなんですよ! だから、さっき言った(コメディー養成学校の)セカンド・シティの即興もそうなんですが、打ち合わせはできないんですよね。お客さんの門前でやるとそれは聞こえちゃうから。まあ、一瞬やったりはするんでしょうけども、基本的には動きとかだけで相手に自分がなにをやろうとしたかを伝えて、相手もその動きだけで「次になにが来る」っていうのを察して。で、タイミングよく受け身を取ったり、殴られる時にもその殴られる勢いを自分で殺すように引いたりするんですよね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)だからドロップキックなんかも食らうんだけども、ダメージがないように食らわなきゃいけないんですよ。でも、そのためにはものすごい相手の動きを察して、次になにが来るかっていうのを即座に判断をして受けなきゃいけないんですよ。やる方も自分でやることを無言で伝えなきゃならないんですよ。で、それを秒速で続けていくんですよ。しかも、それで2人でひとつの物語を無言でつむいでいくんですよ。

(赤江珠緒)うんうん!

(町山智浩)もうすさまじいコミュニケーション能力が必要なんですよ。で、もしこれが伝わらなかったら、どうなると思いますか? 技が成立しないんですよ。で、エンターテイメントとしても失敗だし、大怪我もしてしまうんですよね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)だから彼女、ペイジはコミュニケーションが取れなくて、それができなくなっちゃうんですよ。

(山里亮太)プロレスラーとしては致命傷だ……。

(町山智浩)そう。その一方でお兄ちゃんの方も選ばれなかったんで、つらくなっちゃって。プロレスを続けていけなくなっちゃうし。で、ペイジがコーチにこう言うんですよ。「なんでお兄ちゃんの方が上手いのに採用しなかったんですか?」って。すると「いや、上手いだけじゃダメなんだ。プロレスが上手い人を『ジョバー(Jobber)』というんだよ。上手い人はただ受けるだけの人になってしまう。受けるよりも大切なことは、輝くこと(Spark)なんだ!」って言われるんですよ。

(赤江珠緒)うーん、難しい!

(町山智浩)「……そうしないと、ただのジョバーになっちゃう。君はそれ(Spark)ができると思う」って言われるんですけど、それが難しいんですよ。で、「どうしたらいいんですか?」って聞くんですよ。そしたら「君はなんでプロレスがやりたいんだい? プロレスで何を表現したいんだ?」って言われるんですよ。松岡修造さんみたいなことを言うわけですよ。

(赤江珠緒)フフフ(笑)。

(町山智浩)「私はずっと家族とやってきたからプロレスをやっているので……」って言うと、「君自身に理由はないのか?」って言われるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ? 突き詰める……。

(町山智浩)でしょう? 「それがないと、スパークできないね」って言われるんですよ。で、ロック様も出てくるんですけども、実はザ・ロック、ドウェイン・ジョンソン。ハリウッドの大スターですけども、彼はもともとWWEの人だったんですが。彼もプロレス一家から出てきた人なんですよ。

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ザ・ロックがプロデュース

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)だから、彼はこの映画をプロデュースしています。で、その彼に相談をするんですよ。「どうしたらロック様みたいになれますか?」「あのな、第二のロックになろうと思っているようじゃ一生ダメだ! 君はペイジなら最初のペイジになれ!」って言われるんですよ。

(赤江珠緒)かっこいい!

(町山智浩)だから「自分自身を見つけて、自分を表現しないといけない」って言われるんですよ。しかも、コミュニケーションも取らなきゃならない。相手を輝かせて、自分も輝いて。相手も素晴らしく見えるようにしながら、自分がやっぱりいちばん目立つように競い合わなきゃいけない。矛盾しているんですよ。これ。でも、お笑いもそうじゃないですか?

(山里亮太)そうですね! 本当にいま、「そうだ!」って思いながら聞いていました。

(町山智浩)ねえ。ブルースとかジャズとかもそうなんですよ。互いを輝かせて、なおかつ自分がいちばんすごいところを見せてやるという矛盾したことをやらなきゃならないんですよ。めちゃくちゃ大変なんですよ。

(赤江珠緒)そうなんだなー!

(山里亮太)これは見たいな!

(町山智浩)これね、日本公開はまだ決まっていないんですけどもね。『ファイティング・ウィズ・マイ・ファミリー』。でもね、これで「ああ、ブルースもお笑いもプロレスも同じなんだ!」っていうのがわかりましたね。

(赤江珠緒)ねえ。エンターテイメントの真髄って実はそこなのかな?

(町山智浩)そこなんですよ。みんなバンドなんですよ。だからコミュニケーションを取って、家族でなきゃいけないんですよ。それでいてなおかつ、自分が出ていかなきゃならないんです。自分を表現しなくちゃいけない。難しい!

(赤江珠緒)難しい!(笑)。

(山里亮太)難しい世界に来ちゃった……(笑)。

(赤江珠緒)なるほど、いやー、面白い。

(山里亮太)勉強になる。プロレスって本当に勉強になることいっぱいあると思うもん。見ていて。

(町山智浩)はい。という映画が『ファイティング・ウィズ・マイ・ファミリー』でした。日本公開されるといいですね!

(赤江珠緒)そうですね。

(山里亮太)映画関係者の方! かならず……。

(赤江珠緒)わかりました。じゃあ町山さん、シカゴのお話なんかもお願いします。

(町山智浩)はい。どうもでした!

<書き起こしおわり>

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