でか美ちゃんさんと町山智浩さんが2023年9月11日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で韓国映画『オアシス』について話していました。
(でか美ちゃん)そんな「Hey, Brother!」な町山さんには先週、韓国のイ・チャンドン監督の『オアシス』とスペインのホラー映画『PIGGY ピギー』。こちらは来週22日公開ですね。この2本をご紹介いただきまして。私、『オアシス』をU-NEXTで見ました。
(町山智浩)ああ、わざわざありがとうございます。
(でか美ちゃん)いや、もう「面白くて」というか。やっぱり刑務所から出所した男性とね、脳性麻痺で体が不自由な女性のラブストーリーなんで。なんか、いろんなことを考えたり思ったりしながら。あと、シンプルに主人公が結構最低最悪だな、みたいな部分も思いながら見ましたけど。なんかやっぱり韓国の作品って、そのカメラのカット割とか撮り方が面白いですね。
(町山智浩)はい。もうすごいですね。この『オアシス』は特に、ひとつのカメラの動きの中でカットをしないで。その脳性麻痺の女性が心の中で、体が自由に動く自分になるんですよね。ワンカットで。
(でか美ちゃん)妄想というかね、ふいになる瞬間があるというか。
(町山智浩)あれはすごいですよ。普通、ワンカットでやらないですよ。
現実と妄想の世界をワンカットで描く
(でか美ちゃん)ねえ。で、私はそのお芝居のそのシーンの時、「ああ、この脳性麻痺の方を演じてるのは女優さんなんだ」って思いました。その、お芝居がちょっとすごすぎて。体が不自由なお芝居がすごい。
(町山智浩)あれはムン・ソリさんという女優さんなんですけど。他の映画だとあの人、政治家とかやってる人ですよ。それが脳性麻痺の人と1年ぐらい本当にずっと暮らして。自分で演技をもう本当に、内面からやってるんですけど。
(でか美ちゃん)ああ、それだけ役作りをしっかりされて撮影されてたんですね?
(町山智浩)あれ、すごいですよね。もう本当に奇跡的な瞬間ですよね。彼女の心の中の自分になるのがね。
(でか美ちゃん)そうなんですよ。なんかすごいグッと締め付けられるし。この『オアシス』がヒューマントラストシネマ有楽町などで、『イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K』として上映もされてるので。映画館でも見れるんで、見てほしいんで。なかなかシーン、各物語の詳しいことはネタバレなっちゃうんで言えないんですけど。私、最後の展開は結構、ポロポロポロポロ涙が出ちゃいましたね。
(町山智浩)あれは泣きますよね。
(でか美ちゃん)なんか、世の中には人それぞれにいろんな愛情表現があるんだなっていう。
(町山智浩)ねえ。本当にあれは泣きましたよね。いや、今日紹介する映画もちょっと似てるんですけど。『オアシス』は脳性麻痺の人というのを見ると、普通の人は……脳性麻痺のことを知らない人は「知能とか精神に問題がある」と思い込んじゃうんですよね。
(でか美ちゃん)そうですね。本当はただ、体が不自由なだけなのに。ちょっと見た感じの印象で決めつけちゃうというか。
見た感じの印象で人は決めつけてしまう
(町山智浩)決めつけちゃうんですよ。でも、実は体が単に不自由なだけなんですよ。そういうことがあって、非常に偏見で見られるんですけども。今回の話もね、そういう話なんですけども。これは『ロスト・キング』というイギリス映画です。これ、『500年越しの運命』というタイトルがついていて。日本では9月22日からTOHOシネマズなどで公開なんですが。これはリチャード三世というイギリスの王様についてのお話なんですよ。
<書き起こしおわり>