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高橋芳朗と渡辺志保『生活が踊る歌』を語る

高橋芳朗と渡辺志保『生活が踊る歌』を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101
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高橋芳朗さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』に出演。渡辺志保さんと著書『生活が踊る歌 TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」音楽コラム傑作選』について話していました。

生活が踊る歌 -TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』音楽コラム傑作選-

(渡辺志保)続いては、お待ちかねのゲストの方をご紹介したいと思います。今日、こちらにいらしてくださっているのは音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんです。

(高橋芳朗)どうも、こんばんは。よろしくお願いいたします。

(渡辺志保)お願いします!

(高橋芳朗)番組スタート、おめでとうございます。

(渡辺志保)いやー、恐縮です、ヨシさーん! 私にとっては音楽ジャーナリストとしての先輩。そしてこういうラジオで音楽を紹介してらっしゃる先輩としてもですね、常に「ありがたや、ありがたや」というね。アドマイヤーといいますか、崇めている存在の高橋芳朗さんを今日はもう念願のゲストという形でお招きしました。と、言いますのも、なんてったってこちら。新しいご著書が出たばかりということで。

(高橋芳朗)そうなんですよ。というか、番組がまだスタートして早々にもかかわらず、他の局の番組本を取り上げて頂けるなんて、この太っ腹ぶり。本当に素晴らしいですね。

(渡辺志保)ディレクターさんの懐の深さがうかがい知れる感じです。

(高橋芳朗)タイトルは『生活が踊る歌 TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」音楽コラム傑作選』という本なんですけども。まあ、この副題にある通りですね、TBSラジオの月曜日から金曜日、昼帯で放送しております『ジェーンスー 生活は踊る』というですね、生活情報番組の中で、私はの金曜日に音楽コラムを担当していまして。その傑作選を加筆しつつまとめたもの。

あと僕、この番組の全体の選曲も手がけてるんですね。で、それの放送開始から最初の2年……2016年から2018年までのプレイリスト。約2000曲ですね。これ、虫眼鏡がないと見れないだろ?って苦情が舞い込んできてますけども。

(渡辺志保)すごいな、これ!って思いまして。

(高橋芳朗)ほとんどでもダブりはないんですよ。

(渡辺志保)いや、それがすごいし。で、やはりそのお昼の生放送の番組。そしてTBSラジオの冠番組的なところもあるわけじゃないですか。毎日お昼にやっていて。どういうことに気をつけて選曲してらっしゃるのかな?って思って。それをいちばん知りたいんですよね。

(高橋芳朗)やっぱり、さっきも言いましたけど、生活情報番組なんですよね。音楽番組では決してないわけなんですよ。だから、かならずしもリスナーの方が音楽を求めて聞いてるわけではないんですよね。「もっとジェーン・スーのトークを聞かせろ!」とか。そういうリスナーの方もきっといらっしゃると思うんです。

でも、普段音楽を聞かない人に振り向いてもらう絶好のチャンスでもありますから。だからやっぱり何よりもそのわかりやすさ、敷居の低さを重要視して。基本的には「洋楽コラム」を名乗ってるんですけれども、邦楽も織り交ぜて、洋楽をよりわかりやすく解説したり。あと、最悪やろうとしてる企画の趣旨が伝わらなくても、聞きざわりだけ。「なんか気持ちのいい曲が流れてるな」っていう、その感じは大事にしてますね。

(渡辺志保)すごい。でも本当にこれ、パッと開いてみても、ジェイ・Zから安室奈美恵まで。そしてはっぴいえんどから松任谷由実まで。

(高橋芳朗)欅坂46も登場しますよ(笑)。

(渡辺志保)だからフラットさがなによりもすごいなと思ったんですよ。その数多ある音楽コラムの中からよりぬきで今回はご著書にまとめられているということで。どういう風に選んでいったんですか?そのエピソードを。

(高橋芳朗)そうですね。それが最初は、なんかちょっと面白い歌詞の特集だとか、ちょっと笑えるやつとかで組んでいこうかなと思ったんですよ。ただ、この番組がちょうど始まったのが2016年なんですけど、それ以降のアメリカの社会情勢って結構大きな動きがあったなって。

(渡辺志保)そうですよね。2017年には現政権につながるトランプ大統領が誕生したりとか。

(高橋芳朗)たとえば「Black Lives Matter」っていう現代の公民権運動といわれるような人種差別撤廃運動もあったし。あとはLGBTQを取り巻く環境も大きく変わりましたよね。同性婚が認められたりとか。あとは何があったかな? そうだ、「#MeToo」とかさ、「#TimesUp」とか。

(渡辺志保)それぞれの立場の人たちの権利をもっと向上していこう、主張していこうというような機運は高まっていきましたね。

(高橋芳朗)そう新しいフェミニズムの運動もあったし、それに連なるようなところもあったけども。たとえばボディポジティブみたいなムーブメントもあるじゃないですか。自分の美しさを認めていこうみたいな。そういう社会運動みたいな動きが結構ポップミュージックにものすごく強く反映された時期でもあったと思うんですよ。で、これをちゃんと記録にしておきたいなっていう思いもあって。

(渡辺志保)ああ、素晴らしい。

(高橋芳朗)そういうところから、傑作選……まあ自分で「傑作選」って言っていますけども。まとめていったところはあるかもしれないですね。

(渡辺志保)そうなんですね。で、加筆もされてね。いや、本当にすごい。その、だからいまおっしゃっていたような社会情勢も一緒にお話ししながら。で、やっぱり文字で改めて読むと、やっぱり高橋芳朗さんのすごいところって、楽曲と楽曲をつなぎ合わせてやっぱりドラマを作るようにして。で、それはご自身、このご著書の中でも「映画がヒントになっていて」というようなことも書かれてらっしゃいましたけども。やっぱりそこのセンスというか、マジックのような……。

(高橋芳朗)ありがとうございます。嬉しいな!

(渡辺志保)いやいや、そこがもうね、すごい。しかもこことここを掛け合わせて紹介してくれるんだ! みたいな。

(高橋芳朗)そうですね。そこの意外性は大事にしたいですよね。

(渡辺志保)そこがやっぱりすごい。私もこうやってヒップホップとか洋楽とか、特に多いのは英語圏の歌ってことになりますけれども。たとえば、若いリスナーの子と話している時も、ラップひとつとっても「英語のラップを聞いてもわからないから聞かない」とか。「やっぱり日本語じゃないとと聞いてても楽しくない」っていう意見を度々聞くというか、言われることもありまして。やっぱり大事な要素として伝えるという意味では、彼らのバックグラウンドであるとかストーリーをとにかく伝えていきたいなと思ってまして。となると、やっぱりこの高橋芳朗さんの『生活が踊る歌』にまとめられているのはその真骨頂的なやり方というか。

(高橋芳朗)ありがとうございます。で、そうだよね。ヒップホップの面白さを伝えるのは本当に難しいよね。

(渡辺志保)本当に難しい!

(高橋芳朗)いまのヒップホップは特に難しいだろうな。うん。

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ヒップホップの面白さを伝える難しさ

(渡辺志保)でも、高橋芳朗さんだってずっとね、『Blast』時代があったり、『BMR』とか。そういうブラックミュージックとかヒップヒップ専門誌で書かれていた時期も非常に長いじゃないですか。その時のヒップホップの楽しさの伝え方といまの伝え方って違いますか?

(高橋芳朗)そうですね。いまも話していた通り、やっぱりそのアメリカの社会情勢とかと絡めて紹介していくと、より興味・関心を持ってくれやすいかな?って気がしますね。その、やっぱりオバマ政権になって、初の黒人大統領が誕生して。で、まあ人種差別的なところが多少は改善されるかな? みたいな期待感もあったと思うんですけど、それが残念ながらもうひとつ、成果が上がらなかった。彼の任期の終わりの方になってくると、ポリスブルータリティーというか。白人警官による無抵抗の黒人の人たちへの暴力とかが顕在化していって。そういう中でヒップホップの意義みたいなところをうまく伝えるチャンスなのかな?っていう気がしますかね。

(渡辺志保)そうですね。私もやっぱりそういうことがあって……私はね、日本で、東京でそういう海の向こうの出来事を傍観している身ではありますけれども。やはりまたひとつ、ヒップホップというカルチャーが持つ意義であるとか意味であるとか、ラップミュージックがみんなの声として重宝されているような状況にもなっておりますし。それは非常に見ていてドラマティックだなって思いますよね。

(高橋芳朗)まさに80年代後半とか90年代前半のロドニー・キング事件とか。それでやっぱりコンシャスラップの盛り上がりがあったじゃないですか。

(渡辺志保)KRS・ワンがいて、パブリック・エナミーがいて……っていうような。

(高橋芳朗)ああいった時の状況に結構近いのかな?っていう感じもするし。あの時よりももっと、より切実な問題となっているのかな?っていう印象もありますね。

(渡辺志保)そして、もうSNSがこれだけ広まっているから、そういったものを瞬時に伝えることができるっていうね。

(高橋芳朗)そのポリスブルータリティーもさ、SNSがなかったら可視化されなかったケースも結構あるでしょう?

(渡辺志保)そうですよね。だって本当にInstagramとかFacebookでライブ中継しながら「こんなひどいことが行われている!」とかね、そういったケースもありますしね。

(高橋芳朗)ロドニー・キング事件はたまたまビデオ撮影されていたからね、ああいう騒ぎになったけどさ。

(渡辺志保)で、せっかくなので、『生活が踊る歌』から高橋芳朗さんに印象的な1曲をこの番組用に選んでいただければなと思うんですが。

(高橋芳朗)ヤング・ジージーの『My President is Black Remix feat. Jay-Z』を紹介したいと思います。

(渡辺志保)なんと! ありがとうございます。

(高橋芳朗)これね、この本の「ラップで振り返るオバマ大統領の8年」という企画からの
選曲なんですけど。この曲はあれですよね。ちょうど2009年1月にオバマ大統領の就任式かな? そのタイミングを狙ってジージーが発表したんですよ。もともとたしか、オバマ大統領が当選した時に、それを受けてヤング・ジージーとナズでもともと最初にコラボして作った『My President is Black』に、ジェイ・Zが新しいバースを加えたリミックスとしてリリースされたんですけれども。まあ僕、『生活は踊る』でやっぱりヒップホップが好きだからヒップホップを紹介したいんですよ。めちゃくちゃ。でも、時間帯とかリスナー層とかを考えると、なかなか難しい。

(渡辺志保)そうよ! ヤング・ジージーなんて流したらダメよ、先生! みたいな(笑)。

(高橋芳朗)でも、ヒップホップをかけるひとつの抜け道として、やっぱりこういう社会問題と絡めたり。で、この……志保さんは十分ご存知だと思いますけども。このジェイ・Zのバースが本当に素晴らしくて。オバマ大統領の誕生を公民権運動からの黒人の戦いの歴史と結びつけているんですよね。ざっと本から歌詞を紹介しますと、「ローザ・パークスがバスの白人専用座席に座ったことがキング牧師のワシントン大行進につながった。キング牧師が行進したことが、オバマ大統領の誕生に結びついた。そしてオバマが大統領になったことで未来の子供たちが空に羽ばたいて行けるんだ」という。

(渡辺志保)いや、すごい。だからこのローザ・パークスがバスの前の方に座って、「どいてくれ」って言われてもどかなかったというような、そういったエピソードがありますけども。その「座った」というアクションから最後、子供たちが「空を飛ぶ」っていうところに見事につないでいくのがね!

(高橋芳朗)ジガ! 素晴らしい! すごいですよ。だからこういうラップを聞くと、やっぱりヒップホップってなんか公民権運動からのスピリットを継いだムーブメントでもあるんだなっていうの改めて確認しましたね。

(渡辺志保)そうですよね。あと、やっぱり自分のルーツを大事にする背景もありますから。そもそもはアフリカから連れてこられて……というところもありますし。だからそういったこともその教科書とかで学ぶと頭に入ってこなかったりするかもしれないですけど、ナチュラルにこういう風にリリックの中に落とし込まれているので、私もそれがあってなんか彼らの歴史であるとか、アメリカの歴史であるとかっていうところに興味が向くようになりましたので。ぜひそうしたところにも面白みを見つけてほしいなと。

(高橋芳朗)夜更かししているあなたも、ちょっと教科書がわりになりますので。ぜひとも聞いてください。

(渡辺志保)じゃあ、ちょっとここで高橋芳朗さんからいま、おすすめいただいた楽曲の紹介をお願いいたします。

(高橋芳朗)ヤング・ジージー『My President is Black Remix feat. Jay-Z』。

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Young Jeezy『My President is Black Remix feat. Jay-Z』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのは高橋芳朗さん、新しいご著書『生活が踊る歌』から1曲、選んでいただいたヤング・ジージー『My President is Black Remix feat. Jay-Z』。

(高橋芳朗)ちゃんと志保ちゃん用に選曲しましたので(笑)。

(渡辺志保)フフフ、すいません。こんなのを昼間に流されたら……。

(高橋芳朗)昼ジージーはヤバいですよね。

(渡辺志保)ジェーン・スーさんもびっくりしちゃうんじゃないですか?

(高橋芳朗)でも「オバマ大統領を振り返る」という名目の上でやればこういうのもかけられるということです(笑)。

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