安住紳一郎 新元号「令和」発音問題総まとめ

安住紳一郎 新元号「令和」発音問題総まとめ 安住紳一郎の日曜天国

(安住紳一郎)選びましょうね。2つ目。今度は母音を伸ばすか伸ばさないかの決断をしなくてはなりません。これももう、お分かりですよね。平成31年の「平成」をひらがなで書くと「へいせい」の4文字になりますね。これを全部均等に不公平なく「へいせい」と読む人と「へーせー」と伸ばしの横棒記号を入れたように読む人に分かれると思います。

(中澤有美子)はい。ええ。

(安住紳一郎)みなさん、どちらですか?

(中澤有美子)「へーせー」と伸ばしていたように思いますね。

(安住紳一郎)そうですね。うん。「へいせい」なのか「へーせー」なのかですね。日常生活ではほとんどの人がやはり後者。横棒のように読むという人が多いですけども、問題になってくるのは、みなさまの大好きな公共放送のアナウンサーのみなさま方の発音になってくるわけですが。前もお話ししたと思いますが、公共放送のアナウンサーのみなさん方はきちんと2つ目の母音を読み上げてきますので、混乱する時代が続くかもしれません。

(中澤有美子)フフフ(笑)。ええっ?

(安住紳一郎)そうですね。放送局ごとにルールが決められていて、私たちが勤める民放とまた公共放送とのルールが違うということなんですが。NHKはもう「エヌエイチケイ」の「ケイ(K)」から違いますよね。「エヌエチケー」じゃないですからね。「エヌ・エイチ・ケイ」なので。きちんと「ケイ」って言うんですよね。

(中澤有美子)ふーん!

(安住紳一郎)頑なですよ。なので、「AKB48のみなさんです」とアナウンサーが紹介するにしても、民放のアナウンサー、私のようなものが紹介する時には全部伸ばして「エーケービー48ののみなさんです」と言いますが、NHKの方が紹介する時は「エイケイビイ48のみなさんです」と紹介します。

(中澤有美子)そうでしたかー!

(安住紳一郎)そして民放よりNHKの信頼度の方が高いので、私の元にクレームがたくさん来るという25年間を過ごしております。

(中澤有美子)来ていますか。

NHKと民放では方針が違う

(安住紳一郎)来ていますね。「あなたはなぜ『エーケービー』と言うのですか? 「エイケイビイ」でありませんか?」って。そうなんですよ。勤めている放送局が違うとルールが違うので、違うんだなっていうことなんですけども。まあNHKのみなさん方が言ってる方がなんとなくルールに則ってる感じがするというのが民放で働くアナウンサーの課題ですね。うーん……あ、今回はそれぞれ新元号に伴う発音の問題と共に、私の愚痴を併せてそれぞれ1センテンスずつ付けてお伝えしております。はい。

(中澤有美子)フフフ、そうなんですね(笑)。

(安住紳一郎)で、これを決めなきゃいけないでしょう? どっちがいいですか? 新元号ね。

(中澤有美子)そうですね。ということはじゃあ、公共放送様は「い」で来るわけですよね?

(安住紳一郎)そうですね。「ー」ではなくて「い」と来るんじゃないでしょうかね。まあ、固有名詞なので、これからみなさんがどういう風にお使いになるかによって決まっていくということなんですけれどもね。事前に「こうだ」と決めるわけではなくですが。そしてお客様にはもうひとつ、決めていただかなくてはなりません。最後はアクセントですね。頭高にするのか平板にするのか。これですね。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)ちなみに昭和も2つありましたね。「↑しょうわ」と「→しょうわ」っていう。頭高か平板かということですけども。

(中澤有美子)「↑しょうわ」って言う人もいましたよね。

(安住紳一郎)そうですね。出だしの音を高くして入る「↑しょうわ」。一方、全部平べったい「→しょうわ」の2つですね。みなさんはどちらをお使いになってましたでしょうか? アクセント辞典などには「どちらでもよい」と書かれていましたけれども、実は2016年くらいから「『→しょうわ』の方がよい」というような記述に変わりました。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)「昭和」のアクセントを2016年ですよ。もう終わって何年経ってるんだ?っていう頃に、ようやくその段階になって「どちらかといえば『→しょうわ』がいい」って言ってるっていうね。「うーん!」って思いました。まあ、それほど言葉のルールを決めるっていうのは時間がかかるということですけれどもね。まあ今回の新元号もどちらになるのかということですけれども。後ろにね、違う言葉がつくとコンパウンドして、どうしても前の言葉が平板化してしまうので。長い時間使ってると、どうしても単語は平板化の方に流れていくということがありますね。

(中澤有美子)はあ。

(安住紳一郎)なので元号「昭和」などもそういう傾向が強かったかなという気がいたします。「コンパウンド」はお分かりになりますか? なんとなくわかりますね。

(中澤有美子)はい。言葉が2つくっつく時に滑らかになるように人は勝手に調節しますね。

(安住紳一郎)はい。江東区の住所に「豊洲」というところがありますけども。いま、ほとんどのみなさんは「→とよす」という風に平板化で読んでおりますが、元々は「↑とよす」だったんですが。鉄道が通りまして、あそこに駅ができますと「↑とよす」と単独で呼ばずにみんな「豊洲駅」という「駅」という言葉を住所にくっつけて、みんな「→とよすえき」「→とよすえき」って言うんですね。で、後ろに言葉がつくと、前の言葉が後ろが読みよいように平板化されるんで「→とよすえき、→とよすえき」っでずっと聞いたんで、それを初めて聞いた人はそこの住所は「→とよす」だろうということで「駅」が外れた時にも「→とよす」って読んじゃうという、そういう流れですね。

(中澤有美子)ふーん!

(安住紳一郎)これは私たちの間の中では「東京スカイツリー前駅」が非常に顕著な例として知られています。はい。

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)もうコンパウンド祭りと言われていますが。元々は「↑東京スカイツリー」っていうものがあったんですが、そこに「前」っていうのがつくと「→東京スカイツリー↑前」になるでしょう? で、その「前」に今度は「駅」がつくと「→東京スカイツリー→前↑駅」になるでしょう? だから前の2つが全部平板になっていく。恐ろしい、その後ろの強さ!

(中澤有美子)フフフ、そうですね(笑)。

(安住紳一郎)後ろになんかつけば前が全部平板していくっていうね。その「駅」に今度は「構内」ってつけてやるともうお「→東京スカイツリー→前→駅↑構内」になって。

(中澤有美子)フハハハハハハッ! 恐ろしい(笑)。

(安住紳一郎)恐ろしい! 後ろにつく言葉のパワーたるや、恐ろしいんですよ。「どんなもんでも平板化してやりましょう!」みたいな。ブルドーザーみたいなもんですよ。ねえ。だって「↑東京スカイツリー」「↑前」「↑駅」っていう、それぞれが頭高のアクセントがあるのをそれを全部、「→東京スカイツリー→前→駅↑構内」って!

(中澤有美子)フフフ、本当だ(笑)。

(安住紳一郎)ねえ。ということで、新しい元号は3分野から決めなくちゃいけないということで、選択肢がそれぞれ2つ、2つ、2つで全部で8パターンの中からお選びいただくということになっておりますね。みなさん、もう意見は決まったでしょうか? 安倍さんと菅さん自体も発表の時に既にパターンが違ったという北大の教授の指摘もありましたけれども。とにかくね、なかなかパッと聞いてもわからないということなんですけれども。ではAからHまでの8パターンを紹介します。では中澤さん、アルファベット読み上げてください。

考えられる8つのパターン

(中澤有美子)はい。A。

(安住紳一郎)「↑れいわ」。

(中澤有美子)B。

(安住紳一郎)「↑れーわ」。

(中澤有美子)C。

(安住紳一郎)「→れいわ」。

(中澤有美子)D。

(安住紳一郎)「→れーわ」。

(中澤有美子)はい。E。

(安住紳一郎)「↑レイワ」。

(中澤有美子)F。

(安住紳一郎)「↑レーワ」。

(中澤有美子)G。

(安住紳一郎)「→レイワ」。

(中澤有美子)H。

(安住紳一郎)「→レーワ」。はーい。

(中澤有美子)フフフ……(笑)。

(安住紳一郎)これは困ったよ(笑)。

(中澤有美子)あらららららら?

(安住紳一郎)あらららららら……。ねえ。知らなきゃよかったなっていう感じでしょう?

(中澤有美子)アハハハハハハッ! そうですね(笑)。

(安住紳一郎)ねえ。おまかせにしておきましょう。誰かに決めてもらいましょう。いいんじゃないですか。ねえ。おまかせメニューがいちばん楽ですよ。

(中澤有美子)違いがよくわからない……。

(安住紳一郎)そうですか? まあでも、頭高なのか平板なのか、RなのかLなのか、そして「い」と読むのか、「ー」と読むのかっていうことですよね。なので……「↑れいわ」「↑れーわ」「→れいわ」「→れーわ」「↑レイワ」「↑レーワ」「→レイワ」「→レーワ」。うーん。

(中澤有美子)そうか……。

(安住紳一郎)「↑れいわ」「↑れーわ」「→れいわ」「→れーわ」「↑レイワ」「↑レーワ」「→レイワ」「→レーワ」。ふーん……。ん? 満足?

(中澤有美子)う、うーん……。

(安住紳一郎)うーん……。「↑れいわ」、「↑れーわ」、「→れいわ」、「→れーわ」、「↑レイワ」、「↑レーワ」、「→レイワ」、「→レーワ」……あー、楽しかった!

(中澤有美子)フハハハハハハッ!

(安住紳一郎)あと1ヶ月、新しい元号とともに始まる時代がみなさまにとっていい年でありますように(笑)。

(中澤有美子)そうですね。フフフ(笑)。

(安住紳一郎)いや、なかなかにね、興味があっても、うーん、たしかに……ですね。どれで定着するんでしょうかね。

<書き起こしおわり>

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