吉田豪と水野しず サイコパスを語る

吉田豪と水野しず サイコパスを語る SHOWROOM

(吉田豪)フフフ(笑)。『吉田豪とハミダシ女』とか超評判がよかったですよ。

(水野しず)ああ、そうなんですか? でも、うーん。あれも誰がご覧になるのか……。

(吉田豪)わからない番組でしたよね。うん。でも、ものすごい評判がよくて。たしかに見ての通り、間とかはテレビ的ではないんだけど、繰り出すフレーズが明らかに、それもテレビ的じゃないから面白いっていう感じで。やっとこういう人なのかっていうのがわかったっていうか。あれきっかけでテレビに呼ばれたりとかもあったと思うんですよ。

(水野しず)ああ、そういう感じだったですね。

(吉田豪)でも、ちょっとそっちには向いていないなと思ったんですか?

(水野しず)フフフ……うーん、えー……あ、ちょっと、あの……わかんないです(笑)。

(吉田豪)フフフ(笑)。はい。

(水野しず)あ、でも楽しくはあったかな?

(吉田豪)古舘さんに会えて喜んでましたよね。最初。

(水野しず)でも、古舘さんはなんか思っていた人と違いました。

(吉田豪)ああ、違った? 前に僕、『AERA』でやったインタビューですごいツボに入ってくれたんですよ。たしか。

吉田豪 古舘伊知郎を語る
吉田豪さんが2014年8月20日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で、古舘伊知郎さんにインタビューした際の模様を紹介していました。 (赤江珠緒)さあ、そして今日、豪さんが取り上げるのが古舘伊知郎さんということなんですが。雑誌『AERA』の...

(水野しず)なんだっけ?

(吉田豪)覚えてない?

(水野しず)自分の古舘さんのすごい好きなところは、あんまり人の心がなくて……(笑)。

(吉田豪)フハハハハハハッ!

(水野しず)悪い人じゃなくて、なんか能力が偏っているじゃないですか。異常な方向に。なんか辞書を暗記したりとか。だからやっぱり人間の心を理解するみたいな機能があんまりないっていうか……ちょっとはあるんですけど。

(吉田豪)フハハハハハハッ!

(水野しず)なんかあんまりないからニュース番組とかをやっていた時とかもすごい擬態して、人間みたいにならなきゃいけないんだってたぶん思っていて。古舘さんなりにニュースを「この事件は本当に、本当に……この人たちを忘れてはいけません」みたいなことを言っているんですけど、なんかそれががんばるロボットみたいな……。

(吉田豪)フハハハハハハッ!

がんばるロボットっぽい

(水野しず)すごい愛おしいみたいなの、あるじゃないですか。健気な感じというか。見守って応援したくなる感じというか。それがあって。「ああ、人の心がわからないのに一生懸命、人の心がわかるみたいに……」って。で、それが通用するとも思っていて……でもわかったことがないから通用すると思っていて、一生懸命やっているんだって思って。

(吉田豪)うんうん。

(水野しず)いちばん面白いのがアウシュビッツに行った回(笑)。

(吉田豪)フフフ、超デリケートな話題ですよ、それ?(笑)。

(水野しず)ああ、ごめんなさい(笑)。すいません、ごめんなさい。そうですよね。

(吉田豪)はい(笑)。でもね、ニュースステーションっておそるべしだと思うのが、前任者の久米宏さんの明らかにヒューマンの心がない人なんですよ(笑)。いい意味で性格の悪い人で、その人がああいう社会派な役割をやっていて。で、古舘さんが久米さんからバトンを渡される時、すごいやっぱり嫌な思いをしたみたいで。イヤミを言われて。基本、イヤミな人なんで。久米さんにだけはかなり恨みごとを言っていたんですね。そのへんの関係性も面白くて。2人続けてたぶんヒューマンじゃない人がやっていたっていう。

(水野しず)やっぱり戦争とかってすごいよくないですよね。

(吉田豪)なんですか、それ?(笑)。まあ、そりゃそうですけどね。

(水野しず)私、さっきちょっとあの……あの、ええと……ええと、あのー、自分もちょっとそれを取り入れて。

(吉田豪)取り入れてるんですか?(笑)。ヒューマンじゃない感を?

(水野しず)……

(吉田豪)フフフ、はい(笑)。あ、評判いいですよ。「古舘さんはがんばるロボットは名言」って。

(水野しず)いや、このコメントをしている人が同一の人物かはわからないですけど、「名言」ってすぐ言うの、やめてくれない?っていうのはある。

(吉田豪)フハハハハハハッ! なるほど。気軽に使いがちですよね。

(水野しず)気軽に使いますか? あります? 最近、名言とかって。

(吉田豪)なんだろうな? でも、たまに年に数回はTwitterでつぶやいていると思いますね。「これは名言」みたいな。水野さんはそこにはモヤモヤする?

(水野しず)いや、モヤモヤは別に考えたらしないですね。別にいいや。なんかそんな気にならない。他人が別に……(笑)。いや、さっきのは違うだろって思っただけで。

(吉田豪)それに関しては名言じゃないと。

(水野しず)自分にとっての事実を感じ取っただけで、名言という言葉を使う人は大いに使ってくださいっていう感じ。

(吉田豪)水野さんは思うことあるんですか? 「これは名言だ」って。

(水野しず)えっ、名言? なんだろうな。うーん。なんか、私の父親がお正月にマッコリを飲んでいて。

(吉田豪)日本酒を……?

(水野しず)そうですね。日本酒を作っているんですけど。マッコリを飲んでいて……それまで、マッコリを飲んだことがないらしくて。ゴクリと飲んでいたから「味、どう?」って聞いたら「極めてマズい」って言っていて。

(吉田豪)フハハハハハハッ! 極めちゃった?(笑)。

(水野しず)うん。すごいと思って。ちゃんとしてるって思って。なんで「極めてマズい」って言ったかっていうとちゃんと理由があって。マッコリって乳酸発酵のお酒なんで、乳酸発酵って日本酒で乳酸発酵が起きるとそれは「火落ち」って言って腐った状態になってしまうんですよ。だからまあ、そういう仕事をしている人からするとすごく悪い、ワーストな状態であるみたいなことだと思うんですけど。それをちゃんと言葉にして言うのが態度として誠実だなって思って。それはいい……いい言語のやり取りだなと思って。そこはちょっと覚えています。

(吉田豪)水野さん、でも本当に今日の放送を見ても思うんですけど、ものすごい誠実な人だなと思っていて。自分の中で納得がいかないこととかを本当に……ちゃんと整理しないと落ち着かないし。きちんと、時間がかかってもちゃんと説明をしようとするとか。結構人はそういうのを端折ったりもするじゃないですか。「もういいや」みたいに。ちゃんとやりますもんね。

(水野しず)うんうん。だからちょっとその、もうちょっと便利になりたいみたいなところがあるんですけど。やっぱり使い分けれたらすごいいいなって思うので。便利になるコツを教えてください。

(吉田豪)フハハハハハハッ! 僕はでもあんまり人に期待しないっていうのはありますよ。最初から「理解してもらえないだろう」って。テレビとかは特にそうですけど。「しょうがない」って諦めているみたいな部分があって。わかる場ではわかってもらおうとするけど、そうじゃない場ではもうかなり諦めていて。だから成立している部分はありますけど。水野さんってそういう場でもちゃんとやるじゃないですか。

(水野しず)うんうん。

(吉田豪)水野さんに密着した地上波の番組とかでも、「ああ、がんばっているな」って思うこととかよくあって。

(水野しず)ああー。あれもすごい怒っちゃいましたね。なんかコンセプトかなんかを聞かれて。

(吉田豪)「この絵はどういうコンセプトで?」みたいなやつでしたっけ。

(水野しず)うん。聞かれて「いや、そういうのは……」って、すごい説明をしたっていう……。

<書き起こしおわり>

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