いとうせいこうと吉田豪 ラッパー泰葉を語る

いとうせいこうと吉田豪 ラッパー泰葉を語る SHOWROOM

いとうせいこうさんが2020年7月7日放送のSHOWROOM『豪の部屋』に出演。吉田豪さんと泰葉さんがラップにチャレンジした際にプロデュースをしていた件について話していました。

(吉田豪)あの、全然関係ないんですけど。僕がここ何年かでいろんな人をインタビューしている中で、せいこうさんの話が出てきた回があるんですよ。それがあの泰葉さんのインタビューをした時で。

(いとうせいこう)おおっ! そう。それはすごいね。

(吉田豪)泰葉さんがなぜか日本でかなり早い段階でのラップをやっていて。それはちょうど『笑っていいとも!』にいとうせいこうさんが出てるのを見て衝撃を受けて。「あれをやりたい」と言ってせいこうさんが実はプロデュースとかをしているっていう。

(いとうせいこう)ああ、その出だしのところはすっかり忘れてたけど。でも、僕がやったっていう……まあ、基本的に音楽のプロデュースってでもほら、僕はミュージシャンじゃないからできないけれど。「わかりました。じゃあ全体のイメージをプロデュースしましょう」っていう話にたぶんになって。『YAHHOO!!』っていうアルバムだったから。そのアルバムジャケットとか、スタイリングとか。あとはカメラマンを連れてきた理とか、デザイナーはこの人とかっていう、そういうセレクションをまずしたんですよ。で、中にたぶんラップの曲が1個あって。

(吉田豪)そうです。

泰葉『ChanceはCuteにGood-bye』

(いとうせいこう)で、それをやったのは覚えているんですよ。それでその時、僕が覚えてるのはどこかで……結構デカい会場で泰葉さんがライブを。そのアルバムを引っさげてやって。それで、お母さんの海老名香葉子さんが袖にいて。で、僕も泰葉さんが「いとうさんも出てくれ」って言うから「イエーッ!」って出ていって。

で、「セイ、ホー!」とかってやったわけですよ。それで結構まあ、コール・アンド・レスポンスとかは割とみんな、わからなくても好きなもんだから。ワーワーやって、「ウオーッ!」ってなって帰ってきたら、お母さんが本当につくづく感心した顔で僕に「あなたはね、うちのお父さんによく似てる。うちのお父さんもね、本当に人を盛り上げたもんなんだよ」って。

(吉田豪)フフフ、林家三平?(笑)。

(いとうせいこう)三平(笑)。「そこに出てくるか!」っていうね。三平さん……まあ、光栄なことでしたけども。でもコール・アンド・レスポンスは三平さん、しなかったとは思うんだよね(笑)。

(吉田豪)してないはずですよね(笑)。

(いとうせいこう)でも、お母さんからしてみると、たぶん若い頃の三平さんってそういう前のめりに客を盛り上げる力……まあ要するにお祭り野郎ですよね。「ああ、そうだったんだ」っていうのはちょっとびっくりしましたよね。

(吉田豪)あの時期、泰葉さんもそうだし、こぶ平さんもそうだし。意外とサブカル寄りでしたよね?

(いとうせいこう)そうそう。だってこぶ平も……今は林家正蔵師匠だけども。こぶ平もワハハ本舗にいたからね。

(吉田豪)ですよね。

(いとうせいこう)立ち上げ、僕もだ大竹まことと見に行って。で、こぶ平が役で出てくるんだけど。セリフを忘れちゃったもんだから、「あ、あ……」って詰まった時の言葉が「うーん、なんだな……」って言って。「ああ、そこは落語になるんだ!」と思って(笑)。「面白いな」と思った記憶はある。で、僕もあの頃のこぶちゃんとはすごい付き合いが不思議にあって。

(吉田豪)へー!

(いとうせいこう)こぶ平に連れて行かれて、それこそお家の中に行って。そこでお母さんに会ったりとかしてたんですよ。不思議なんだよね。で、まあ正蔵になったからはたまに浅草で公な場でちらちらっと会ったり。あとは今、正蔵師匠は小唄も熱心にやってるから。それを誰が弟子入りすればいいのかみたいなのを僕も聞かれて。僕の師匠を紹介して。それでたまに浅草の見番っていう芸者さんのいるようなところの小唄の部屋ではすれ違うんですよ。なんか、若い頃から知っていたあの人がこんな感じで芸熱心な人になったんだなっていう風に見てますね。

(吉田豪)泰葉さんとはすっかり接点もなくなり?

(いとうせいこう)そうなの。だからね、またラップをやった方がいいよね? いや、今じゃない?

(吉田豪)フフフ、まあ今やったらリアリティーが相当ありますよね(笑)。

(いとうせいこう)今なら相当……だって相当ディスるわけだし。ビーフも受けて立つわけじゃん? 当然いろんなやつがビーフしてくるから。やったらいいのになって。やったら超かっこいいのに!

(吉田豪)元旦那へのディスも相当やってましたからね(笑)。

(いとうせいこう)相当すごいと思うんだよね。あの人の歌の上手さをほら、みんな評価し忘れてるから。レベルはものすごく高いから。

(吉田豪)もっとシティポップの文脈とかで今、評価されていいはずなのに……っていう。

(いとうせいこう)そうです、そうです。まさにシティポップの……南佳孝が書いてとかね。そういうところに入っていないでしょう? かわいそうだよね。おかしいよね。

(吉田豪)『フライディ・チャイナタウン』とかもっと普通にカバーされていいはずの曲なのに。

シティポップ文脈からもっと評価されていい

(いとうせいこう)そうなんですよ。いい曲をやっていたし。今も歌えるはずなんだろうと思うんだけどね。そういえば……そうだね。そんな話をしてて、その話が着ちゃったらちょっと嫌だけど(笑)。

(吉田豪)フハハハハハハハハッ! 「またプロデュースしてくれ」って(笑)。

(いとうせいこう)怖い(笑)。

(吉田豪)そうなんですよ。いとうさんのWikipediaにも書いてなかったんですよね。泰葉さんの話ってね。

(いとうせいこう)ああ、書いてないんだ? それは誰か、ぜひ書いておいてくださいよ。これはたしかいいアルバムだった記憶が……。

(吉田豪)ジャケからよかったですよね。

(いとうせいこう)ジャケ、いいよ。「ヤッホー!」ってやっているの。それは僕もよく覚えている。

<書き起こしおわり>

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