吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』で『北斗の拳』などの原作で知られる武論尊さんを紹介。本宮ひろ志先生との不思議な関係や『ドーベルマン刑事』、『北斗の拳』の制作秘話などを話していました。
(小林悠)今日は、どなたのその筋ですか?
(吉田豪)はいはい。ええとですね、漫画原作者 武論尊さんですね。『北斗の拳』でお馴染みの。まあね、『マッドマックス』がヒットしてるということで、武論尊さんもちょっといいネタになるんじゃないか?ということで持ってきましたよ。
(玉袋筋太郎)そうだ。だって『デス・ロード』のパンフレットにちゃんと載ってたからね。インタビューが。武論尊先生の。
(小林悠)そうですか!
(吉田豪)まあね、『マッドマックス』見てね、いろんな人がね、『北斗の拳みたいだ』って言うんですけど、逆なんですよ。『北斗の拳』がパクッてるんですよ(笑)。
(小林悠)『パクッてる』って(笑)。
(玉袋筋太郎)いや、そういうことなのよ。そうなんだけど。
(吉田豪)時系列的には、そうなんですよ。
(玉袋筋太郎)今回の『デス・ロード』の武論尊先生は、『でも、向こうもパクッてんじゃねーか?』っつってね、開き直っているってところが面白かったよ。
(吉田豪)『逆に俺たちの設定を取り込みやがったな!』って(笑)。
(玉袋筋太郎)『取り込みやがった』って言ってんだよ。なんなんだ?どっちなんだ!?みたいなね。うん。
(小林悠)お互いアイデアがこうね、影響しあっているということなんでしょうね。そんな武論尊先生のあらすじとその筋のご紹介です。
(玉袋筋太郎)うん。
武論尊先生のあらすじとその筋
(小林悠)武論尊さんは1947年、長野県のお生まれ。現在68才です。中学校卒業後、航空自衛隊に入隊し、7年間在職。その後、除隊すると元同僚の漫画家、本宮ひろ志さんのすすめで漫画原作者の道に進みます。そして、72年に週刊少年ジャンプ掲載の『五郎君登場』でデビューを果たすと、75年には『ドーベルマン刑事』、83年には『北斗の拳』。90年には『サンクチュアリ』など、いまもなお多くのファンがいる数々の名作漫画を生み出していらっしゃいます。
(玉袋筋太郎)うん!
(小林悠)そして、吉田豪さんの取材によりますと、武論尊のその筋は、その1 そんなひろ志に誘われて 本宮プロ時代の使えない資料係の筋。その2 安月給は競馬で解消 みんなの金は俺の金の筋。その3 4年がかりでヒットしたドーベルマン刑事。いただいたお金はお世話になった人への熱海の宴会で大盤振る舞いの筋。その4 ちょいワルオヤジなんかじゃないんだ。実は女性が怖いんだよの筋。その5 潰れかけのピンチを救ってくれた本宮ひろ志さんからの1本の電話の筋。その6 近い関係だからこそ 武論尊と本宮ひろ志コンビによる作品は絶対にあり得ない筋。その7 名作『北斗の拳』は行き当たりばったりのギャグ漫画の筋。その8 武論尊ワールドの魅力的なキャラクター。やっぱりジャギが好きの筋と、8本の筋が張ってらっしゃいます。
(玉袋筋太郎)おおー!自衛隊っていうのは、じゃあ本当に本宮先生と同じ。
(吉田豪)そうなんですよ。自衛隊でこの名前だから、相当硬派なイメージあるじゃないですか。チャールズ・ブロンソン感のある。
(玉袋筋太郎)そうだよね。武論尊だもんね。
(吉田豪)1回、たまむすびにも出てるんですよね。月曜日に。武井壮さんがとにかく大ファンで。『「サンクチュアリ」がもう人生の教科書で。尊敬して、男の生き方を学びました!』って感じで呼んだら、イメージと全然違う人が来ちゃったっていう(笑)。
(玉袋・小林)(笑)
(玉袋筋太郎)そうなんだ?
(吉田豪)すっごい面白かったですよ。男の中の男ぐらいの感じで来たら、軽ーいおっさんが来て。『もうとにかく、赤江さんに会いたくて来ただけだ。赤江さん、最高!』っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)なんだ。なんか、もろ肌に革のベストとか着てさ、入ってきそうだよね。黒いサングラスして。
(吉田豪)傭兵っぽい感じのイメージ、ありますよね。
(玉袋筋太郎)そうそうそう。そうじゃなかったんだ。赤江さんのファンだったって。メロメロになっちゃったっていう話だよね。武論尊さん。
(吉田豪)武井さんの話、聞いてなかったっていう(笑)。
(玉袋・小林)(笑)
(小林悠)結構ミーハーな方なんですね。
(吉田豪)ミーハーですね。軽いんですよ。すごく。
(小林悠)へー。意外ですね。
(吉田豪)で、やっぱり話も面白いです。だからちょっと順番に行っていいですか?
(玉袋筋太郎)順番に行こうよ。ねえ。『ひろ志に誘われて』って、本宮ひろ志先生ですよね?
(吉田豪)はいはい。本宮先生がいなかったら、本当こういう世界に入ってなかったっていう話で。まあ、自衛隊出た後に、同期の辞めてきた連中に退職金全部食い潰されて。どうしよう?って思った時に本宮先生が『ちょっと手伝ってくれ』って誘ってくれて。
(玉袋筋太郎)おおー。いや、これ絵心があったのかね?武論尊先生は。
(吉田豪)何もないんですよ。
(玉袋筋太郎)何もないの?
(吉田豪)何もないです。原作とかもなにもわからないから、とりあえず資料係の仕事を与えたんだけど、結局プラプラしてただけで。で、ベタも塗れない。消しゴムをかけたら原稿を破いちゃうしで。
(小林悠)ダメじゃないですか!
(吉田豪)何にもできないんですよ。
(玉袋筋太郎)ダメですよ、それ。
(吉田豪)絵も書けないけど、とりあえずやることないからアシスタント希望者の採用を本宮先生と決めていたっていう。で、基準は『高卒はダメ。中卒は採用』っていうね。
(小林悠)またそれ、どうして?
(吉田豪)理由は本宮先生も武論尊先生も中卒だからっていう。俺たちより上の学歴はいらない!っていう。
(玉袋筋太郎)(笑)。そうだよね。
(吉田豪)その結果、なんかね、漁師とか番長とかだけが入るシステムに(笑)。
(玉袋・小林)(笑)
(玉袋筋太郎)なんだ、そりゃ!?(笑)。
(吉田豪)当時、アシスタントで『壁、描け』ってたのむと、たのんでないのに必ずシミが入っていたりとか(笑)。もうね、生活の水準がそういう人たちしか入ってこないような状態で(笑)。
(玉袋筋太郎)いいね、それ!うん。
(吉田豪)そうなんですよ。
(玉袋筋太郎)だからね、そういった部分の生活感が出るわけだ。
(小林悠)ですよね。生活の匂いが出ますね。
(玉袋筋太郎)匂い、出てるよ。それ。
(吉田豪)だから、後に『銀牙』とかを描いた高橋よしひろさんが来た時も、なぜ採ったか?っていうと中卒だからなんですよ。
(玉袋筋太郎)あの人、そうなんだ?
(吉田豪)『中卒?はい、決定!』っていう(笑)。
(小林悠)絵の腕前とかはチェックしないんですか?
(吉田豪)後で、みたいな感じで。まあ、とりあえず中卒なら良し。根性あるだろ?みたいな(笑)。
(玉袋筋太郎)あらー!じゃあ西村賢太先生もここに行けばよかったんだな、うん。
(小林悠)(笑)。違った人生が待っていた可能性がありますけども。
(玉袋筋太郎)だけどこのね、『安月給は競馬で解消』っていうね。
(吉田豪)ひどいんですよ。仕事しないでとにかくギャンブルしかしなかったらしいんですよね。
(玉袋筋太郎)(笑)
(小林悠)よく追い出されなかったですね。
本宮ひろ志先生との不思議な関係
(吉田豪)まあ、友達ですからね。とにかく、麻雀やって酒飲んでただけらしいんですよ。『なんか調べたい』って言われると図書館に行くけれども、本宮先生が煮詰まって原稿をほっぽり出すっていう時には、『おい!これから逃げるぞ』って言われると、本宮先生が武論尊さんをバイクの後ろに乗せて逃げ出すみたいな。
(玉袋筋太郎)原稿か。
(吉田豪)原稿がもう辛いっていう時に船橋のオートレースとか行って。『もう仕事辞めよう』って思って船橋のオートレースとかに行くと、そういう時に限って勝っちゃって。機嫌よくなって、『よし、帰ろう!』っていう。そういうのを何度か繰り返したっていう話をしてて。
(玉袋筋太郎)すごい!
(吉田豪)で、これで思い出した話があるんですよ。本宮ひろ志先生って、デビューでいきなり大ヒットを飛ばして。『男一匹ガキ大将』っていう。ところが、これが辛くなっちゃって。富士の裾野に番長がいっぱい集まった、何万人と集まった回で、突然主人公が腹になにか刺さって。『完』っていきなり描いちゃって、失踪したことがあるんですよ。
(小林悠)勝手に自分で終わらせちゃったんですか?
(吉田豪)そうなんですよ。雑誌サイドは続けようとしてるんだけども、『辛いから、もう主人公を殺して俺は逃げる!』ってやったら、それを勝手に『完』っていうのをホワイトで消して続けさせられたっていう事件があったんですよ。
(玉袋筋太郎)(笑)
(小林悠)じゃあ、編集者が勝手に消したってことですか。
(吉田豪)その時に、当時付き合っていた女をバイクの後ろに乗せて逃げたっていう話があって。僕は当時、本宮先生にも聞いたんですよ。その女性の正体まで聞いたんですよ。僕、本宮先生がカラーグラビア載っている当時の少年ジャンプを持っていって。バイクの後ろに女の子を乗せている写真があったんですよ。『あ、これこれ!』って言っていて。『俺、この子を乗せて逃げたんだよ』っていう話まで聞いていたんですけど。
(玉袋筋太郎)おうおう。
(吉田豪)その話を武論尊さんに言ったら、『違うよ。それ、嘘だよ』って言い出して。『その頃、本宮、女と付き合ってないもん。後ろに乗っていたの、俺だよ』って言い出して。
(玉袋・小林)(笑)
(吉田豪)『ええっ!?』って(笑)。
(玉袋筋太郎)なんで武論尊と(笑)。
(吉田豪)そんないい話だったのが、急に!?(笑)。『後ろに武論尊先生乗せて逃げてたんですか!?』っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)そうなんだ。女じゃなかったのね。
(吉田豪)って言い張ってましたよ。全然、謎なんですよ。この2人の関係も。
(小林悠)そうですね。濃い関係ですね。やっぱり、男と男の。
(玉袋筋太郎)なんか一線を越えてんのかな?『ブロークバック・マウンテン』みてーになってんのかな?
(吉田豪)『そんなことが2、3回あって、不思議な関係だった』とは言ってるんですね。で、そんな感じで、何もしてないから、どうしようもないっていうんで、編集の人とかが『お前、原作書くか?』とか言ってきたっていう感じで(笑)。
(玉袋筋太郎)ほー!
(吉田豪)『これはなんとかしなきゃいけない』っていうんで、仕事を与えたんですよ。
(小林悠)えーっ!?でも、原作って誰でもなれるわけじゃないですよね?
(吉田豪)誰でなれるわけじゃないですよ。当然。
(小林悠)何かそういう素養があるという風に、やっぱり判断されてっていうことなんでしょうかね?
(吉田豪)ただ、もうそれで始めて。まあね、給料3万程度だったんですけど。土日になるとみんなに『この馬がいいからこの馬を買え』とか本宮プロのやつらに言うらしいんですよ。で、みんなから金を集めて、『じゃあノミ屋にたのんでくるから』ってそのまま懐に入れたりとか。
(玉袋筋太郎)(笑)
(吉田豪)当っても配当金を払わないとか、そんな状態だったんで。『これは本宮から離さなきゃいけない』って編集が思ったらしいんですよ。
(小林悠)どういうこと!?
(吉田豪)こいつがここにいたら、大変なことになるぞ!っていう(笑)。
(小林悠)本宮先生にまで影響がということですか?
(吉田豪)そう。仕事を与えて追い出せ!っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)いやなノミ屋だね、それも。うん。
(吉田豪)払わなきゃね。
(玉袋筋太郎)払わなきゃ。配当は。うん。いるけどね。あ、いや、いるらしいですけどね。『いるけどね』っつったら、俺がやってるみたいになっちゃう(笑)。
(小林悠)やってないですよ(笑)。
『ドーベルマン刑事』で大ヒット
(玉袋筋太郎)さあ、そしてほら、『ドーベルマン刑事』でしょ。やっぱり!
(吉田豪)いきなり大ヒット飛ばしちゃう。
(玉袋筋太郎)そう。大ヒットですよ。
(小林悠)じゃあ、最初の原作の作品が?
(吉田豪)最初じゃないんですけどね。3年ぐらいかかっての連載で大ヒットを飛ばして。これが映画にもなったんですけど。千葉真一主演で。ところが、ドーベルマン刑事なのに原作と全然違うの撮っちゃって。深作監督かな?ブタ連れてるんですよ(笑)。
(玉袋・小林)(爆笑)
(玉袋筋太郎)千葉ちゃん、そっか。ブタ連れてたね。うん。
(吉田豪)ドーベルマンじゃないの!?っていう(笑)。
(小林悠)ブタ刑事ですよね(笑)。
(玉袋筋太郎)ブタ刑事。ブタ刑事。アグー豚。うん。『ドーベルマン刑事』。でもこれ、当たったよね。
(吉田豪)4年かかったみたいですね。それまで、年収120万円で。アパートの家賃が2万円だったんで、8万円ぐらい残ると。だから、毎日飲みに行っていた。それが年収が1200万になっちゃったから、もう夢のような世界で。まず何をやったか?っていうと、お世話になった人たちを連れて、当時住んでいた石神井公園の駅からタクシーで熱海まで行って芸者さんと宴会やって。タクシーずっと待たせておいて、ベロベロに酔っ払って、峠の上で全員がゲロを吐いてまた戻ってくるっていうのを。それを、何度かやったらしいんですよ。
(玉袋筋太郎)やっちゃうんだよね、そういうこと。
(小林悠)もったいない使い方ですねー。
(玉袋筋太郎)やるよ、そういうの。
(吉田豪)何度かやった結果、1年で肝臓がパンクして1ヶ月入院っていうね。いきなり。初のヒットで。
(玉袋筋太郎)(笑)。もうでもね、やりたい気持ち、わかるよ、それは。うん。だって当時の1200万っつったら、大変だよ。デカいよな。言ってみりゃ。あの当時だ。
(吉田豪)まして20代でね、そんな。
(玉袋筋太郎)20代でやっちゃったら、そりゃやるっつーのよ。
(吉田豪)いちばん忙しいっていうか、いちばん大事な時期だったんで、休ませてもらえないから点滴を打って、寝ながら病院で原作を書いて。その時にお医者さんが『もう酒を飲んだらダメ』って言えばよかったんだけど、『完治しました。もう1回、肝臓が悪くなったらまた飲み過ぎなだけです』って言われたんで、また飲み始めたっていうね。
(玉袋筋太郎)かぁー!
(吉田豪)大丈夫だったんだっていう。
(玉袋筋太郎)でも、この頃はなんだろうね?赤江さんにゴロニャーゴするような武論尊さんのイメージはないね。
(吉田豪)まだ硬派な感じ。
(玉袋筋太郎)まだ硬派だよ、これ。
(吉田豪)まあ、でもね、女性には弱かったみたいですけどね。
(玉袋筋太郎)女性、弱かったんだ。
(吉田豪)ちなみにその『ドーベルマン刑事』のヒット、相当ヒットして。調子に乗ったらしいんですよ。本人曰く。調子に乗って、ちばあきお先生に怒られたりとかして(笑)。
(玉袋・小林)(笑)
(吉田豪)真面目な人ですからね。
(玉袋筋太郎)まあ、そりゃそうだろうな。うん。怒られたら何も言えないよ。改めるはずだけどな。普通は。
(吉田豪)(笑)。全然改めてない。
(玉袋筋太郎)で、当時の少年ジャンプ。だから、『ドーベルマン刑事』。『トイレット博士』はもうねえのか?終わってんのか?
(吉田豪)まだ、でもそれぐらいの頃ですかね。
(玉袋筋太郎)頃かな?もう『こと亀』は始まってるか?
(吉田豪)あの、原作の扱いが当時のジャンプって低かったらしいんですよ。
(玉袋筋太郎)あ、そうなんだ。
(吉田豪)原作者が叩き台を書いたら、漫画家と編集で作っちゃうみたいな感じで。だから印税もジャンプだけは6:4の4だったらしいんですね。原作が。
(玉袋筋太郎)へー!
(吉田豪)『じゃあ、当時ジャンプで書いていた梶原先生もですか?』って聞いたら、『うん。梶原先生は逆。6だった』って。
(玉袋筋太郎)さすが!さすが俺たちの先生!腕力でもぎ取った!
(吉田豪)(笑)。拳で。
(玉袋筋太郎)拳で(笑)。もう銀座で、『この野郎!』っつって。逆さ吊りにして。
(吉田豪)(笑)
(小林悠)そんなことしたんですか!?
(玉袋筋太郎)ガム子!
(吉田豪)まあ、そんなことする人ですから。
(玉袋筋太郎)する人。先生は。そうなんだ。
(吉田豪)通常、5:5らしいんですけどね。だから『北斗の拳』、原哲夫先生と後に、コアミックスっていう本に移って。それから5:5になったらしいんですよ。なぜか?っていうと、移ったら集英社といろいろモメるから、『5:5だったらいい』ってゴネた結果ッて言う。
(玉袋筋太郎)ほー!5:5。
(吉田豪)でも、基本言うことを聞かない人なんで。ジャンプの専属契約って当時あったんですよ。そういうのを無視して、『他の漫画でも書きたい』って言って、史村翔っていう名前で外で書いたりとかして。
(玉袋筋太郎)そう。史村翔ですよ。
(吉田豪)マガジン系でね。
(玉袋筋太郎)マガジン。そうそうそう。
(吉田豪)ペンネームを変えたら許すっていうことで勝手にやって。だからそういう勝手にやっていたから、実は『北斗の拳』が終わってから、あんだけヒットしたのに1回もオファーが来てないっていう。ジャンプから。
(玉袋筋太郎)出た!
(小林悠)ちょっとモメましたか?
(玉袋筋太郎)伊集院とニッポン放送みたいな。
(吉田豪)(爆笑)
(玉袋筋太郎)ねえ。そういうことじゃないの?そういうことじゃないかもしれないけど。だけどジャンプはかならず、『武論尊先生の漫画が読めるのはジャンプだけ』『秋本治先生の漫画が読めるのはジャンプだけ』って。
(吉田豪)『本宮ひろ志先生の漫画が・・・』とかね。
(玉袋筋太郎)かならず書いてあったんだよ。
(小林悠)あ、そういう宣伝文句があったんですね。
(玉袋筋太郎)かならず。そう。
(吉田豪)専属の契約料を払うかわりに、そういうのをやっていたんですよ。
(玉袋筋太郎)で、それが俺たち、ずーっと染み付いてたから。鈴木その子先生がね、テレビに引っ張りだした時に、他のチャンネルに使われるのが嫌だから、『鈴木その子先生が見れるのは未来ナースだけ!』ってかならず言ってたんだよ。それ、ジャンプシステム。『未来ナース』って番組でやってたから。
(吉田豪)即、でもみんな使っちゃいましたね(笑)。
(玉袋筋太郎)使われちゃった。即使われちゃって。先生。
(小林悠)ジャンプシステム、通用しなかったんですね(笑)。
(玉袋筋太郎)通用しなかった。鈴木その子さんには。うん。さあさあ、これね。だからその、ちょいワルオヤジなんかじゃないんだと。実は女性が怖いんだよっていう。
(吉田豪)女好きっぽい話をよくするんで、それを掘っていったら実はデビューは自衛隊の実習で浜松に行った時に、遊郭で17才の時に初めてで。
(玉袋筋太郎)あ、プロ相手なんだ。
(吉田豪)そう。『だからエッチの方が先でキスの方が後だから。最初にキスした時はすごい感動だった』と。
(玉袋筋太郎)わかるなー!これ、わかるなー!わかるよー!
(吉田豪)『キスは恋愛感情が入るので、唇の柔らかさを感じて、うわっ!となった』って(笑)。
(玉袋筋太郎)わかるよ!なんであれ、キスさせてくれなかったんだろうな。初体験のサリーちゃんも。
(吉田豪)(笑)。そこだけは守る!っていうね。
(玉袋筋太郎)守られちゃったんだよ。そこだけは。そんなことまでしてくれるんだったら、いいじゃねえか?と思ったんだけど。
(小林悠)ダメダメ(笑)。
(吉田豪)その後はプロ一辺倒で。『女性千人斬りした』って言ってるんですけど、『990人はプロだ』って言ってるんですよ(笑)。
(玉袋筋太郎)(爆笑)
(吉田豪)もうほぼプロなんですよ。
(玉袋筋太郎)プロなんだ。ええ。
(吉田豪)実は漫画関係のパーティーとかで女性に軽いセクハラっぽいのをやってるのも見たことがあるんですけど。基本、本当不器用な。プロしか経験がない人が照れながらやっている感じで(笑)。かわいげがあるんですよ。
(玉袋筋太郎)いいじゃない、それ。
(小林悠)恥ずかしいのをごまかすためにやってるんですかね?
(玉袋筋太郎)だってほら、お金あるからさ。そういう邪な気持ちの女だって寄ってくるはずなんだから。それだったらもう、プロの方がいいと。割り切ったって言うかもしれないね。うん。
(吉田豪)『でも、「北斗の拳」でね、あれだけヒットしてキャーキャー言われなかったんですか?』って聞いても、『何もなかった。ただ、銀座のクラブとかに行った時に、ウェイターのお兄ちゃんとかがコソッと「サインしてください」とかはあったけど。基本、男性』っていうね。
(玉袋筋太郎)やっぱ男性なんだね。
(吉田豪)まあ、作品がやっぱり全部男ばっかなんですよ。女出てきても、そんなに主要な役ではないっていうか。本人も言ってたんですよ。『女の子、よくわかんない。基本、俺の漫画ね、全部ホモ漫画なんだよ』っていう。
(小林悠)ええっ!?そんなことないですよ。
(吉田豪)まあ、完全に男と男の話ばっかりっていう。『だから、コミケとか行ったら、俺の漫画とか全部パロディーはホモだから。みんなやっぱり、そうやって見ちゃうんだよ』っていうね。
(玉袋筋太郎)うん。
(吉田豪)女性がモチベーションで書いているのに、がんばってもそこには届かないっていうね。
(玉袋筋太郎)そうなんだよ。憧れている、自分が実現できない憧れている男同士の友情だとか、そういったところをイメージして、投影しちゃうんだよな。
(吉田豪)そうなんですね。自衛隊時代の濃厚な男同士の関係とかが漫画にはなっていて。そこに女性が入ってこれないんですよね。『それは女性の心までわかろうとしてないからだ』って自分で言っていて。『やっぱり15才から22、3才まで自衛隊ですごしていて。1対1で女性と話すことが苦手』と。お酒飲まないで話せないらしいんですよ。女性と。
(玉袋筋太郎)ああー、わかるわ。それ、俺も一緒だもんね。
(吉田豪)(笑)
(小林悠)そうですか?そうでしたっけ?
(玉袋筋太郎)俺はもう、シラフでそんな女性と話したり・・・
(吉田豪)フランス座にいたせいで。若い頃に(笑)。
(玉袋筋太郎)そうかもしれない(笑)。もう、変態だな。うん。シラフで女と話しているのは。ってことはじゃあ、俺いま飲んでんのかな?って。
(吉田豪)(笑)
(小林悠)本当ですよ、もう。でも、たしかにシラフでは口説けないって言ってますよね。
(玉袋筋太郎)しかし、千人斬りで990人プロって、これまたいいですね。潔くて。それを言えるってことが。
(小林悠)自分で言えるところがね。
(吉田豪)傭兵っぽい感じがありますね(笑)。プロの軍人みたいな感じが(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。ねえ。まあでもそうやってヒットがあって。まあ大変ですけども。
(吉田豪)そう。だから奥さんにも・・・本宮先生が結婚する時に、奥さんがもりたじゅんさんっていう漫画家さんだったんですけど。奥さんも疑っていたらしいんですよ。
(小林悠)2人の関係をですか?
(吉田豪)『あんた、ホモじゃないの?』って、武論尊先生、『ブーちゃん』って呼ばれているんですけど。『ブーちゃんとデキてるんじゃないの?』って言われたぐらいに仲よすぎて。
(玉袋筋太郎)ああー、そうだろうな。うん。
(小林悠)バイクの後ろに乗ってね、逃避行したぐらいですもんね。
(吉田豪)怪しいんですよ(笑)。
(玉袋筋太郎)バイクの後ろに乗っている人って、運転してる人の腰に手、巻くんだから。そういったことですよ。そして、自衛隊ですもんね。
(吉田豪)で、バイクのね、振動が。吊り橋効果で、たぶん(笑)。
(小林悠)(笑)
(吉田豪)『恋だ』と思いますよ、絶対(笑)。
(玉袋筋太郎)『来いよ、おい!』っつって。『武論尊!』って。うーん、マンダム!
(吉田豪)ビッグマグナムが(笑)。
(玉袋筋太郎)ビッグマグナムが(笑)。そうだよ。大変だぜ!さあさあ。
(小林悠)でも、そんな2人だけれども、その本宮さんから救ってもらったっていう。
本宮ひろ志先生の電話で救われる
(吉田豪)そう。信頼関係がすごいんですよ。『ドーベルマン刑事』の連載中にも1回、壊れたことがあったわけですけど。その『サンクチュアリ』の時も、『このまま書いていたら絶対に潰れちゃうな』と思ったことがあって。ちょっと精神病んで、連載を中断して逃げたらしいんですよ。
(玉袋筋太郎)おおー。
(吉田豪)『半年休ませてくれ』って言って北海道の牧場へ行って。で、もうずーっと牧場で地道に働いているうちに徐々に復活してきたんですけど。そんな時に、全然普段連絡してこない本宮先生から電話がかかってきて。『サンクチュアリ』を褒めてくれたと。
(玉袋筋太郎)へー!
(吉田豪)『初めて、この仕事始めて褒められて。本当にやってきてよかったと思うぐらいの瞬間で』っていうね。
(玉袋筋太郎)かぁー!ここだなあ。
(吉田豪)これで復活できたっていう。本宮先生の電話のおかげで。
(玉袋筋太郎)これ。『あなたに褒められたくて』っていうね。高倉健さんが書いたけど。そういったことですよ。しかも、北海道の牧場だから、もう高倉健さんと一緒だよ。もう。うん。
(吉田豪)ちなみに『北斗の拳』のケンシロウも、やっぱり高倉健イメージなんですよ。やっぱり、しゃべらないで、リアクションで演技していくっていう。
(玉袋筋太郎)おいおい。そうなると、やっぱいろんな疑惑が・・・
(吉田豪)(爆笑)。なんですか?
(玉袋筋太郎)なんの疑惑かわかりませんけどね。うん。いや、うれしいね。そうやってね、言ってもらえるんだから。そこで救ってもらえた。
(小林悠)本当ですよ。それで元気になったってこともあるんですよね。
(玉袋筋太郎)でもさ、やっぱり漫画家の先生って大変だよね。ずーっと。まあ、豪ちゃんも締め切りたくさんあると思うけどさ。やっぱ逃げ出す先生、いるよね。
(小林悠)だってもう、ずっと机にかじりついている状態が続いてるわけですよね?
(吉田豪)そうです。まあ、酒飲みには行くけど、みたいな感じで。
(小林悠)ちょっと想像を絶しますよね。
(吉田豪)武論尊さんが言っていたのが、『やっぱり1回頂点に立ったりとか、ある程度名前が出ると、落とせない。「あいつ、もう終わった」とか言われるのがいちばん嫌で。そうなる前に、自分で幕を引きたい』っていう。で、これ2年前の取材だったんですけど。『自分の中で、あと1、2本。もう1回、池上遼一先生といいものを書いて、それを最後にしたい』って言っているぐらいの状態で。
(玉袋筋太郎)池上遼一先生とね。いいですな、それ。
(吉田豪)ところがこれだけ、ねえ。本当に思い入れのある本宮先生と組むのは絶対に嫌だって言っていて。
(玉袋筋太郎)なんでなんだろうね?これ。
(小林悠)これだけ絆が深いんだったら、いい作品ができそうですけどね。
(玉袋筋太郎)距離感かな?
(吉田豪)そうなんですけど、原作を書くっていうのはお互いがお互いの才能を全部見せ合うことで。本宮先生に『お前、こんなもんしか書けねえの?』って言った瞬間に武論尊さんとの関係はそこで終わると。逆にね、本宮先生から『俺の原作、お前はこれしか絵にできねえの?』とかね、本宮先生に武論尊さんが言った瞬間にやっぱり終わると。それは、やっちゃいけないと。この関係を保つためにはって。
(玉袋筋太郎)かっこいいなー!
(吉田豪)好きすぎるから、無理っていう。
『北斗の拳』誕生秘話
(玉袋筋太郎)あらー!ブロンソンとアラン・ドロンの『さらば友よ』みてーな。いやいや、かっこいいね、これ。ねえ。でもまあ、名作『北斗の拳』なんて俺、高校生の時かな?始まったのな。うん。もう、すごかったからね。やっぱ。
(小林悠)熱心に読んでましたか?やっぱり。
(玉袋筋太郎)読んでましたよ。そりゃ。すごい漫画が始まるって。ああ、マッドマックスだな、なんて。
(吉田豪)(笑)
(小林悠)やっぱりそれは感じましたか?
(玉袋筋太郎)うん。感じてたけど。でもやっぱすごい一大ブームになったし。だって、アニメ化だって不可能だとかね、言われてたこともあったし。
(小林悠)アニメ化が不可能?
(吉田豪)はいはい。まあ、ゴールデンタイムであんなに人を殺していいのか?っていう話ですよ。人が破裂するとか。それを透過効果とかで上手く処理したんですよ。
(玉袋筋太郎)うん。
(吉田豪)映画版はもうちょっとグロなんですけどね。
(玉袋筋太郎)ねえ。そうだ。でも、そこまで当たると思わなかったんだ。武論尊先生が。
(吉田豪)もともと原哲夫先生が読み切りで書いたのがあって。それを、このままじゃ続かないからっていうんで、膨らませる役が武論尊先生だったんですね。
(小林悠)だいぶ設定は変えたんですか?
(吉田豪)大幅に変えて。現代の話だったのを未来にして、とか。マッドマックス感を付け加えて、みたいな感じですけども(笑)。
(玉袋筋太郎)うんうんうん。
(吉田豪)でも基本、武論尊先生適当なんで。あの適当さが活きたんですよ。
(玉袋筋太郎)適当さが?
(吉田豪)あの、思いつきなんですよ。経絡秘孔っていうのもね。
(小林悠)経絡秘孔って、穴を突くっていうことですか?
(吉田豪)そうです。秘孔を突いて相手破裂したりするんですけど。『あの資料だってね、針のツボの本が1冊あるだけだからね』って(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。よくあるよ、漢方薬屋に飾ってあるやつみてーな。
(小林悠)ありますよね。
(吉田豪)それで、適当なことを書いているだけっていう(笑)。『で、難しい漢字をつなぎ合わせて、○分後に爆発するとか。後ろ向きにしか歩けなくなるとか。笑いながらやってたんだよね』っていう(笑)。
(小林悠)笑いながら書いていた(笑)。
(玉袋筋太郎)ああー、そうかー。
(吉田豪)『こんなんなっちゃったりしてー』っていう感じで(笑)。
(玉袋筋太郎)でもたしかにギャグ漫画だね。そうなると。言ってみりゃあ。
(吉田豪)ギャグ漫画ですよ。絵が死ぬほど真面目だから。それの説得力が出たっていう。ちゃんと。明らかにふざけた内容でも。まあ、当時たしかに漫画好きの間ではギャグだって言われてたんですけど。書いている本人たちもギャグのつもりでやっていたっていう。
(玉袋筋太郎)かぁー!これだよな。
(吉田豪)原先生も結構ふざけて書いていたりする部分もあって。武論尊さんがそれ見て笑っちゃうこともあってっていう。お互いが悪ふざけやっていたんですよ。
(玉袋筋太郎)それでもね、みんな熱中しちゃったわけだからね。
(小林悠)そうですよ。だって、次の展開が全然読めないっていう話だったわけですよね。
(吉田豪)もう本当に見切り発車だったんで。最初にもう、なんかなんとなく舞台を設定して。なんでこいつ、旅してんだ?と思って。じゃあ、ロード・ムービーとしてこういう風にやっていこう。旅する理屈を考えだしたりとか。全てが後付けなんですよ。
(玉袋筋太郎)これ、だって毎週のペースでやるんだから。すごいよな。やっぱ、それぐらいの方がいいのかな?きっちり作るより。
(吉田豪)そうですね。たぶんでも、本宮イズムだと思うんですよ。本宮ひろ志先生も基本、ひたすらもう、伏線を回収しない人なんですよ。どんな伏線を張って、どうなるんだろう?と思ったら、そのまま放り投げて終わることがすごい多いんですよ。
(小林悠)あ、わかんないまま終わっちゃうこともあるんですか?
(吉田豪)とか、これ、どうやってまとめるのかな?と思ったら、大地震が起きたりとか(笑)。ひどいまとめ方をするんですよ。
(玉袋筋太郎)これは『進撃の巨人』の9月の公開の方にもなんか、引っかかるような。
(吉田豪)(笑)
(玉袋筋太郎)どうなっちゃうんだろう?みたいなね。伏線があったけど。
(小林悠)どう回収するんだ?って。
(吉田豪)ひっくり返した!っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)『結局地震で終わる』だって(笑)。
(小林悠)(笑)。ちゃんと見届けましょう。
(吉田豪)そんな感じなんですよ、いつも。だから胸の7つの傷、あるじゃないですか。あれもなんとなく、ファッションとしてつけたらしいんですよ。最初。
(玉袋筋太郎)ああ、北斗七星のね。
(吉田豪)『「北斗の拳」だから北斗七星があるとかっこいいな』と思ってつけて。『なんでこれ、つけたのかな?』って後から考えだして。『これ、シンっていう相手がつけたことにすればいいじゃん!』ってなった瞬間に、『俺、天才的だと思った』と。惚れ惚れして。
(玉袋筋太郎)これだよ!
(吉田豪)で、だんだんストーリーがね。『「俺を愛してるって言ってみろ!」ってユリアに言いながら指を刺していく。一本ずつ』っていうね。
(玉袋筋太郎)これ!上手い!
(吉田豪)ゾクゾクして書いたらしいんですよ。『俺、上手いわ!』っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。そういうAVもあったけどね。何本ずつ入れるとか。
(吉田豪)(爆笑)。何本入るか?
(玉袋筋太郎)『何本入ってるんだ?』っていう。
(小林悠)こら!
(吉田豪)『俺、上手いわ!』(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。『北斗の拳』がなければですよ、ねえ、マグナム北斗は生まれなかったわけですから。
(吉田豪)あ、そこも?
(玉袋筋太郎)
(小林悠)マグナム北斗?
(吉田豪)男優さんですね。
(玉袋筋太郎)そう。男優さん。ここに北斗のあの形のホクロがあったから、マグナム北斗なの。
(吉田豪)7個の。
(玉袋筋太郎)7個の。そっからマグナム北斗だからね。うん。そうなんだよ。
(小林悠)あの、その方も含めて多くの方に影響を・・・
(玉袋筋太郎)影響を与えたって。そういうことなんですよ。
(吉田豪)すごいんです。
(玉袋筋太郎)うん。いいね。この編集者の堀江さんっていうのもよく出てくるもんね。ジャンプのね。うん。でも、そっか。大変だよ。『先生、先生』ってずっと付きっぱなしでやってさ。
(吉田豪)編集の堀江さんのこともね、『顔見りゃただの鈍感男で態度のデカい男。でも、漫画の面白いツボだけはわかっている人で・・・』って。
(小林悠)認めてるんですね。
(吉田豪)そう。その人が面白がらなかったら、常に、何度も書き直しして。その人が面白がってくれたら、かならず評判は良くなるっていう。
(玉袋筋太郎)すごいなー。二人三脚だね、そこもひとつは。ねえ。さあ、武論尊ワールドの魅力的なキャラクター。やっぱりジャギが好き!
(小林悠)ジャギ?
(吉田豪)やっぱね、武井壮さんとかは武論尊先生にケンシロウとかラオウみたいなものを投影してたと思うんですよ。本人もはっきりしてますね。ジャギっていう最悪なキャラがいるんですよ。
(玉袋筋太郎)うんうんうん(笑)。
(小林悠)どう最悪なんですか?
(吉田豪)あの、人間性が本当にひどい(笑)。
(玉袋筋太郎)うーん、なんつーのかね?
(吉田豪)あの、ジェラシーの塊みたいな。
(玉袋筋太郎)それが、やっぱりいいんだと。ヒーローじゃないんだと。世紀末覇者じゃないんだと。
(吉田豪)そう。『好きなキャラはジャギ。いちばん書いていて楽しいし、人間らしい。だからいちばん好き』っていうね。
(玉袋筋太郎)これ!なあ。うん。ラオウは究極の男だって。ケンシロウはいちばん書けない。
(吉田豪)そっち側の人なんですよ。で、やっぱり原哲夫先生も結構やっぱりね、『北斗の拳』のイメージで見られるんですけど。僕、取材したんですけど、まあぜんぜん違うんですよ。やっぱりこの人も。で、僕、原哲夫先生の奥さんとも仲良くて。
(玉袋筋太郎)うん。
(吉田豪)あそこの夫婦関係も最高に面白いんですよ。
(玉袋筋太郎)なんなんだ、そりゃ?
(吉田豪)インタビューでそのへんの話、全部カットされちゃったんですけど。
(玉袋筋太郎)うんうん。言っちゃっていいよ。
(吉田豪)あの、奥さんが結構バイオレントな人で。奥さんに飛び蹴りされた話とか、いろいろ聞いて(笑)。変わった人なんですよ。奥さんも漫画をもともと描いていた人で。で、パーティーとかですごい目立つ人がいたんですよ。小学館とか講談社のパーティーに行くと、すごい美人の人がいて。で、かわいい女の子を連れていて。なんなんだろう?と思ったら、『原哲夫先生の奥さんと娘さんです』と。
(玉袋筋太郎)うん。
(吉田豪)で、もういろんな漫画家さんにサインをたのんでっていうゲリラ活動。本来だったらもらっちゃいけないような人にもサインをどんどんたのんで。まあ、ね。それをまた同人誌にして販売するという、非常に・・・非常にゲリラな活動をしている人で。
(玉袋筋太郎)すごい!ゲリラだよ、それ!ダメですよ!
(吉田豪)『えっ、鳥山明先生のサインとか、そんな風に使っていいの!?』みたいな(笑)。
(玉袋筋太郎)ダメだよ、それ!すっげー(笑)。
(吉田豪)すごいゲリラな人で。で、僕は面白いから知り合いになってから、漫画家紹介したりとかして。『はい、じゃあサイン書いてあげてください!』みたいな(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)
(小林悠)貢献してるじゃないですか(笑)。
(吉田豪)僕がブッキングするようになって。
(玉袋筋太郎)上手いねー!
(吉田豪)で、そんだけその人と話したら、『私、実は北斗の拳って読んだことないの』って言ってて。
(玉袋筋太郎)(笑)。すごいね。
(吉田豪)あの、1巻しか読んでないらしいんですよ。
(玉袋筋太郎)へー!
(吉田豪)『私には、はまらなかった』って言っていて(笑)。で、息子さんもいて、息子さんと話していたら、息子さんは石ノ森章太郎先生の大ファンで。特撮の。『だから、僕は原哲夫じゃなくて石ノ森先生の息子に生まれたかった』って言っていて(笑)。
(玉袋・小林)(笑)
(吉田豪)まあ、贅沢な子になるねっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)いまごろ、記念館任されているよ。どっかで。
(吉田豪)(笑)
(小林悠)本当、漫画家さんってもうね、まあ原作者の武論尊さんも含めてですが。すごいキャラだからこそ続けられるみたいなこともあるんですかね?
(吉田豪)まあ、イメージとは違った方向で面白いですね。みなさんね。
(玉袋筋太郎)うーん。
(吉田豪)その原先生のインタビューも終わった時ですよ。僕、ねえ。原先生の・・・そうだ。終わった時に奥さんが待ってたんだ。で、原先生に『色紙、持ってきて』って言って。原先生が走って色紙持ってきて。僕、掟ポルシェっていうのと2人で行ってたんですけど。その2人に色紙を渡して、『サインとイラストを書いて』って言われて。
(玉袋筋太郎)(笑)
(吉田豪)あの、日本のトップクラスの絵の上手い原哲夫先生の前で、僕らがイラストを書くっていう。
(小林悠)(笑)
(吉田豪)こんなプレッシャー、ないですよ!
(玉袋筋太郎)それ、ないよー!書いたの?で、豪ちゃん。
(吉田豪)原先生が持ってきた色紙に。書きましたよ。
(玉袋筋太郎)書いたんだ!(笑)。恥ずかしい!
(小林悠)イラスト、なに書いたんですか?
(吉田豪)一応、デザイン学校出身なんで書けはするんですけど。
(玉袋・小林)おおっ!
(吉田豪)ところが、書けるってわかってから、それから原哲夫先生の奥さんの同人誌で僕、3回ぐらい4コマ漫画書かされて。
(玉袋・小林)(爆笑)
(吉田豪)僕の4コマ漫画が読めるのは、原哲夫先生の奥さんの同人誌だけですよ(笑)。僕と掟ポルシェの4コマが読めるのは。
(玉袋筋太郎)読めるのは。豪先生と掟ポルシェ先生の。
(小林悠)不思議すぎる!
(吉田豪)北斗の拳豆知識でした。
(玉袋筋太郎)いい話だねー!ありがとう、豪ちゃん。
(小林悠)そんな吉田豪さんですけども、実は9月8日火曜日、午後7時からです。新宿ロフト・プラスワンで『復活 雑談天国』を開催いたします。ゲストはニッポン放送のアナウンサー吉田尚記さん。さらに10月6日火曜日、午後7時半から新宿ロフト・プラスワンで『Jさん&豪さんの世相を斬る 秋の特大号 「チョコレート・デリンジャー」いよいよ完成間近か!?』開催。詳しくはロフト・プラスワンのホームページをご覧ください。その他、いかがでしょうか?
(吉田豪)大丈夫です。
(玉袋筋太郎)うん。大丈夫。あの、回る前に言っていた、例の話。それはじゃあ、また今度な。教えてくれ。
(吉田豪)この直後にサラッと話します。
(玉袋筋太郎)サラッとお願いします。
(吉田豪)はい。
(小林悠)(笑)。いつもなんか、最後の最後に不思議な話が展開されて(笑)。
(玉袋筋太郎)じっくり話したいんだけど、なかなか・・・
(吉田豪)佐々木健介、大好き!
(玉袋筋太郎)佐々木健介、大好き!
(小林悠)いつか、機会があれば。
(玉袋筋太郎)ケンスキー!
(吉田豪)(笑)
(小林悠)吉田豪さん、次回の登場は10月2日です。ありがとうございました。
(玉袋筋太郎)ありがとうございました。
(吉田豪)はい、どもー。
<書き起こしおわり>