モーリー・ロバートソンさんとプチ鹿島さんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でピエール瀧さんの逮捕について話していました。
(モーリー)もう昨日の0時すぎ、私は沖縄の那覇のホテルにいたんですけども。寝ようと思ってTwitterを開いたら、ファンの人から「あんたは大丈夫か?」って来て。
(プチ鹿島)「あんたは大丈夫か?」。
(モーリー)それでなんのことを言っているんだろう?って見ていくと、ピエール瀧さんの速報が出るところだったんですね。
(プチ鹿島)まあ、大きなニュースだったですけども。テレビとかでもニュースとかワイドショーとか、ずっと今日1日やっていたじゃないですか。たとえば、ああいう報道を見て足りない視点とか、こういった視点があってもいいんじゃないか?っていうのはなにか思いましたか?
(モーリー)そうですね。Twitterもなるべくずっと、素人の人が書いている何百というのをずーっと読み続けていたんですけども、一般的に日本社会、ドラッグに関する基礎知識ないっすね。
(プチ鹿島)基礎知識がない?
(モーリー)覚せい剤だと思っている。コカインと覚せい剤は全然違うんだけど、それがどうも取材をしているメディアの側もあまり違いをわからずに書いているっていう部分もあったりとか。あとは合計で何十億……100億近くになる違約金が発生するんじゃないのかとか。
(プチ鹿島)ああ、たくさんね、映画とかドラマに出ていた方ですから。なんかお金の話とかそっちをセンセーショナルにすごく大きくやっていますよね。
(モーリー)だからもちろん、本人が大変に有名で。もともとはテクノという比較的アンダーグラウンドなクラブカルチャーから出てきてのし上がった人でもある。そしていまは好感度が大人にも子供にもある国民的な人なので、それがある種転落をしていく。この転落劇、それ自体が娯楽の対象、おもちゃになっているという側面もあるわけよ。ところが、もうちょっとたとえば使用している本人の意識の中に寄り添ったような視点とか……これは語れないわけですよね。なので、いかにそれが悪いことか、「こんな立派な人なのになんで?」とか、「悲しむ人がこんなに……」とか。共演者が泣いて謝罪を代わりにしたりとか。そっちに持っていくというお約束がいつもあるわけだ。
(プチ鹿島)本当にそうですね。だから逮捕っていうのはもちろん大きな衝撃ですけども、一方でその薬物をじゃあこれから回復、治療に専念しているような人は、いまこのニュースを聞いてどう思うのかとか、そっちの視点がなかなかないですよね。
(モーリー)そうですね。それとその薬物の本質である、人間の脳の構造にパズルのように上手にハマる人工物っていうのがいくつもこの世にはあって。要は、人間の脳が気持ちよくなりたいっていう根源的な欲求があるわけ。で、それがたとえば人によってはステーキやマグロを食べることだったり、運動して気持ちよくなったりすることとか、愛し合うこととかもあるけど。そこにドラッグというものも確実なピースとしてあるわけですよ。
(プチ鹿島)うんうん。
(モーリー)それが存在するということを知ってしまうと、知らぬが仏なのかもしれないけど、知った時には万人……何人であってもやるかもしれないという可能性がある。だから、やった人のことを崖から落ちた人としてそれを崖の上から見ていて……。
(プチ鹿島)「一発アウト!」って言うよりも……。
(モーリー)自分がその人だったらどうなんだろうとかね。
(プチ鹿島)そうそう。だから僕、今日たまたま夕方のラジオ番組で、いま民間で薬物依存症の治療・リハビリをしている人にお話を直接聞いたんですけども。もう去年の9月ぐらいまで薬物の卸もやりつつ、自分でもやっていたっていう方で。2回目の逮捕だったらしいんですけども、2回目。「もう自分はこういうのを止めたい!」ってなった時に何をどうしていいのかわからなかったというんですね。で、その時にそういう施設があるよっていうことで、いまその施設に入って励んでいる。だからメディアもそういう風に、いま苦しんでいる、悩みを抱えているような人にもっと情報をあげた方がいいのでは?っていう風に聞きまして。
(プチ鹿島)それこそね、音楽業界の人にことごとく踏み絵のようにアンケートを強制したとして、「1回でも大麻なり麻薬に触れたことがあるか?」っていうことを聞いたら、大多数が何らかの経験があると思うんですよ。それは私の直感ですけども。だからそこを、それが「あってはいけない」という議論をすると、これは最初から精神論になって。「でもあるでしょう?」っていうリアリズムに行かない。で、それが警察当局の発表にメディアが寄り添うとか、今回は麻薬取締官(マトリ)の手柄で。たしかに私はあそこまで裏を取って周到に調べた痕跡があるので。そこはマトリの手柄だとは思います。ところが、マトリがやる仕事。それ以外にメディアの仕事。そして一般の人たちがやるある種必要な仕事、宿題っていうのがあると思うんですよね。そこに今日は番組の中で切り込んでいきたいな。
(モーリー)いい番組です。さあ、というわけでまだまだ、今日のニュースを深掘りしたいと思いますので。『水曜日のニュース・ロバートソン』、スタートでございます。
(中略)
(プチ鹿島)さて、(ニッセイ基礎研究所)伊藤さゆりさんが気になったニュース。なにかありますか?
(伊藤さゆり)この(ニュースリストの)中から……私、先ほどのつながりになりますけど、結構マラソンが好きなので。『いだてん』が……。
(モーリー)マラソンだもんね。
(プチ鹿島)ねえ。いま、ドラマ以外で話題になっちゃってますよね。
(伊藤さゆり)そうですね。あまり視聴率がよくないという話に続いて、今回のピエールさんのお話という風にこれが取り上げられて。
(プチ鹿島)これはどうお感じになりました?
(伊藤さゆり)先ほどのモーリーさんのお話、すごく示唆に富んでいるなと思いつつ、一方でもうひとつ、こういうことが起きるといろいろと過去の番組などをどう扱うんだ?っていうのがずいぶんと言われてしまうんですけども。なんか、作品自体がなきものとして扱われてしまうっていうのはすごく損失だなっていつも感じていて。
(プチ鹿島)ですよね。
(モーリー)イギリスでも、名物司会者が長年に渡って性的虐待を子役やオーディションに来た人たちにやっていたというのがわかり、その人たちのそれを行っていたであろう時期の番組のアーカイブを再放送するかどうかで悩むっていうのはあったりしますよね。実はマイケル・ジャクソンも……。
(プチ鹿島)だから『いだてん』も実は3ヶ月先の放送分まで収録をしていて。瀧さんは重要な役で出ているので、さあどうするんだ?っていう。また撮り直すのか、カットなのか。それともそのまま行くのか。これ、どうすればいいですか?
ロバート・ダウニー・ジュニアのケース
(モーリー)そうですね。ちょっと自分の直感で申してしまうと、ロバート・ダウニー・ジュニアがやはり薬物で繰り返し何度も捕まっているんですよね。それで「もうダメだ」って思われていたんですけども。まあ、すごい意思の力でリハビリテーションをして。それで『アイアンマン』で大ヒットを飛ばし、いまでは『アベンジャーズ』シリーズでどんどん出ていますよね。で、逆にうがった見方をすると、そういう修羅場をくぐったからこその演技の妙味もあったりして。なんか自分的にはロバート・ダウニー・ジュニアを引き合いに出すと、彼はそれによって尊敬できる表現というものを逆に勝ち取ったんですね。
(プチ鹿島)うんうん。
(モーリー)ところがハリウッドのカルチャーっていうかアメリカ、欧米社会では、特に薬物に関しては……性的虐待になってくるとこれはまた別問題なんですけど、薬物に関しては、なんて言うか、セカンドチャンスを与えようとする傾向というものが最近ではありますね。つまり、麻薬というものは事実として社会に定着した問題なので、それをやった人を魔女狩りするということよりも、むしろその人ががんばれるような社会を作るということに少しフォーカスが移ってきている。
(プチ鹿島)まあ性的な事件と違って、被害者もいませんもんね。なんだったら自分がいちばんの被害者かもしれないし。
(モーリー)そうですね。依存してしまうという。なのでちょっと、ロバート・ダウニー・ジュニアを引き合いに出すと、僕はピエール瀧さんの過去の作品はいまの感じだと手付かずでいいと思う。うん。
(プチ鹿島)あと、今後の作品で。たとえばそれが映画だったら、お客さんがお金を払ってでも見たいっていうものでもダメ!ってなってしまうというのは、なんか「えっ?」っていう……。
(モーリー)そうですね。もしたとえばレコード会社が電気グルーヴの過去の作品を……まあ、だからもしかしたらデビュー当時からずっと少しずついろんなクスリをやっていたかもしれない。ところが、それがあるので厳粛に対応するっていうことでカタログから下ろしてしまって見えなくしたり。あるいはレコード屋さんにあるCDを回収したり。それはちょっとやりすぎな気がしますね。
(プチ鹿島)そうですね。じゃあ、モーリーさんが気になったニュースを。いまの続きでもいいですけど。