翻訳家・エッセイストのマライ・メントラインさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』に出演。モーリー・ロバートソンさんとしばしば「似ている」と言われる日本人とドイツ人の国民性について話していました。
(マライ・メントライン)ただ、個人的に言っておかなければいけないのは日本とアメリカの関係とドイツとアメリカはちょっとまた違うんですよね。
(モーリー)そうですよね。ドイツに関しては軍事同盟であるNATOに対してトランプさんがずーっと攻撃をして。ヨーロッパを訪問した時にもメルケルさんに目の前で「あんたがもっとお金を出さなきゃダメだよ」っていう感じになっていて。で、安倍さんはとりあえず「お金を出せ」って言われると、直接は答えないけども「戦闘機は買います」みたいに。とりあえず寄り添う人と、毅然と反論する人の違いっていうのはあるよね。
(プチ鹿島)トランプさんもメルケルさんには「ノーベル平和賞の推薦、してくれ」とは言わないですよね?
(モーリー)フハハハハハハッ!
(マライ・メントライン)言ってないと思います。言ってたら面白いですけども。でも、そこはちょっとニュースになりましたね。ひさしぶりの安倍首相ニュース。
(モーリー)それでね、逆に言うと興味深いのはそういう安倍総理が、日本という漠然としたブランドだったらあるんだけど、安倍さんの発言や動向が特にニュースにならないっていうのは逆に言うと日本の政治が、さっきの二階さんみたいにブラックボックスで、なにをやっているのかがわからないっていう。あんまりはっきりと安倍総理が論点を明確にして世界に向かって発信をするということをやっていない。まあ歴代の総理がそれをやっていないわけですよ。
(マライ・メントライン)うんうん。
(モーリー)そのかわり日本にはある種お家芸というか伝統があって、「忖度」っていう。言われないのに、それを末端の人が「Guess」っていうの?
(マライ・メントライン)「そうしてほしいだろうな」って。
(モーリー)推理して。
(プチ鹿島)「忖度」っていう言葉とかニュアンスっていうのはドイツでも当然あるんですか?
(マライ・メントライン)そういう言い方はできます。一応、翻訳家なのでそこはがんばって翻訳はするんですけども。ですけども、その概念としてはそんなにはないかなと。
(プチ鹿島)ただ空気を読むんじゃなくて、さらに先に行くっていう悪い意味での空気の読み方ですよね?
(マライ・メントライン)ないと思いますね。ドイツは国民的には言われないとまずしない。言われないと動かないっていうのはあるけど。
(モーリー)言われたら、議論をして納得したらピューッと行くけど、それまでは一応ちゃんとやらないといけないっていう国民性?
ドイツ人の国民性
(マライ・メントライン)そうですね。それはドイツの軍とかもそうなんですけども。ドイツの軍人も命令される際にその命令が非人道的な命令だった場合、それを拒否することはできるんですね。だから「抗命権」っていうんですけども、ちゃんと考えなければいけないんですよ。「これはやりませんよ」っていう。
(プチ鹿島)よく日本人は「ドイツ」って聞くと、「ああ、ちょっと国民性が似てますよね」とか言いがちじゃないですか。それって納得できます? たとえば「勤勉さ」とかもあると思いますけども。
(モーリー)きれい好きっていうのはわかる。そこは似てる。だけど、それ以外の部分では……日本人の人たちはディスカッションを嫌う傾向があるんですよ。あんまり話し合うと気分が悪くなるから、むしろ何もいわないで決めようっていう。ドイツは逆じゃないですか?
(プチ鹿島)「えっ、なんで私らとあなたたちが似ている?」って、そういう風にイラッとすることはないですか? 思い当たることの方が多い?
(マライ・メントライン)ええとですね……似てると言えば似てますし、似てないと言えば全く似てないですっていう(笑)。
(プチ鹿島)まあ、こればっかりはね。
(マライ・メントライン)すごくね、両方あるんですよ。
(プチ鹿島)大きな主語ですからね。
(マライ・メントライン)ルールに関してはドイツ人はたとえばルールを作るのが好きなんですよ。日本人はどちらかと言うとルールを守るのが好き。ちゃんとしてほしいっていうか。
(モーリー)はー! 「守るのが好き」。
(マライ・メントライン)言い方はちょっとあれですけども。
ルールを守るのが好きな日本人
(モーリー)いやいや、今度これ、ちょっとどこかで言っていいですか? ちゃんとクレジット言いますから。俺、ちょっといま本のチャプターにできるって思ったんですよ。「ルールを守るのが好きな日本人」みたいな。
(マライ・メントライン)貼り紙とか、「こういう風にエスカレーターに乗ってください」みたいな。
(モーリー)はいはい。
<書き起こしおわり>