プチ鹿島とモーリー・ロバートソン 米中貿易戦争とレアアース戦略を語る

プチ鹿島とモーリー・ロバートソン 米中貿易戦争とレアアース戦略を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

プチ鹿島さんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で米中貿易戦争についてトーク。中国が多くのシェアを持つレアアースの戦略について、モーリー・ロバートソンさんと話していました。

トコトンやさしいレアアースの本 (今日からモノ知りシリーズ)

(プチ鹿島)まずはこちら。日刊ゲンダイの記事。いつも政権に対して怒っているかなり辛口な新聞なんですが、それとはちょっと味わいが違う記事を見つけたんですね。こちら。「米中貿易摩擦であるか 中国の隠し玉レアアース禁輸措置」ということで。実はこれ、ゴシップでもなんでもなくて、「タブロイド紙の割には」と言ったら怒られますけども。僕がいちばん読みたかった記事なんです。というのも、中国がアメリカと貿易でいろいろとやっているじゃないですか。

で、その中でもアメリカが中国から輸入をし続けているものがレアアースということだったんです。で、レアアースってアメリカにとってはそれぐらい重要なものだということはわかるじゃないですか。で、レアアースとはなにか?ってそういうのを掘り下げる記事がほしいなと思って一般紙を見ても、そんな記事はなかなかなくて。実はこういうタブロイド紙に大きく登場してきたという。

で、ご説明しますと、「中国は急所を突かれたが、その中国には隠し玉がある。レアアースだ。レアアースは世界的に産出量が少ないレアメタルの一種で、たとえば電気自動車やスマホ、パソコンなどの生産に欠かせないもの。ハイテク産業のビタミンとも呼ばれている」という。だから当然、最終的に中国はアメリカに対して「レアアース、もう売らないよ」って言ったらアメリカは困るんじゃないかという、言ってみれば結構ゴシップだらけのタブロイド紙にしては読み応えのある記事だったんですが。どうですか、モーリーさん?

(モーリー)実はレアアースというのは米中貿易戦争の中から特別措置として免除されているんですね。関税をかけない。レアアースだけはタッチしない。

(プチ鹿島)だからこれ、僕は本当に知りたかったんですけどね。

(モーリー)要はレアアース、中国が全世界の80%ぐらいを仕切っている。で、実は中国はレアアースどころか非鉄金属でもコバルトやリチウムなど、全世界的に食指を伸ばしていて。資本主義のツールを使って株主という形でオーストラリアやコンゴに鉱山を持っているんですね。南アフリカのプラチナとかも。

(プチ鹿島)じゃあ中国とアメリカがバチバチやっていたとしても、レアアースだけは外しましょうねっていうことは、ある意味で出来レースというか?

(モーリー)あともうひとつ、中国の側としても出来レースをする理由があって。もし中国がアメリカとの戦いでレアアースの値段を上げたり、禁輸措置をやったりすると、他に中国から買っている日本を含めた国々は「ええっ、中国って政治的な問題が起きると、すぐに値段を上げるの? ヤバいじゃん!」みたいになって、中国不信になって長期的にベトナムとかに移ろうとするんですよ。なので、それを先回りしてなるべく「レアアースに関しては動じない」っていうパフォーマンスを中国もしなければいけないので。

(プチ鹿島)へー!

(モーリー)チラつかせはするけども、切り札を切ってしまうとその後に中国も損をするという微妙なところで。

(プチ鹿島)だからいずれにしても「レアアース」というのは大きなポイントとして知っておかなきゃいけないですね。

切り札は取っておく

(モーリー)ところが10年前、覚えてらっしゃいますかね? 尖閣諸島で中国漁船の船長さんが上陸した時、それを日本側が逮捕したんですよ。そしたら中国はすかさずレアアースを禁輸するって言ったの。

(プチ鹿島)その時、日本がしばらく困ったんですよね。

(モーリー)それでその船長さんは超法規的にピッと釈放したっていう。あれはレアアースが関連しているってよく言われるんですよね。で、その後にしばらく日本のレアアース、ガーン!ってしばらく上がりっぱなしだったんですよ。

(プチ鹿島)だからよくこのニュース、やれおもちゃがダメになったとかそういう話もいいんですけど、なにがOKなのか?っていうのを見ていくと、こういう記事ももっと読みたいなって思いますよね。

(モーリー)そしてもうひとつ、加えたいのはさっきのアメリカの中絶禁止問題で中絶禁止派の人たちが40年越しに作戦を練っていたように、中国もロングゲームで。アメリカのトランプって下手すると4年とか……長くてもあと5年でいなくなるわけじゃないですか。その後に民主党政権になるかもしれないよね。それもにらんで、レアアースは冷静にやって、アメリカに絶えずチラ見せしておく。長期戦略としてはそっちの方が長けているんですよ。

(プチ鹿島)なるほど、ありがとうございます。

<書き起こしおわり>

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