吉田豪と中島愛 アイドル冬の時代とCoCoを語る

吉田豪と中島愛 アイドル冬の時代とCoCoを語る SHOWROOM

(吉田豪)(コメントを読む)「なんでCoCo? 乙女塾が好き?」。

(中島愛)これはですね、中学生ぐらいでいろいろと掘るようになったタイミングでは、まずその頃、私はユーロビートにすごいハマっていて。PWLとかの……。

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(吉田豪)Winkの流れですかね?

(中島愛)そう。その前から結構好きで。カイリー・ミノーグの『Turn It Into Love』を聞いていたら母親が「Winkがカバーしていたよね」って。その一言で私、Winkさんを掘るようになったんですよね。

(吉田豪)へー! ユーロありきなんだ(笑)。

(中島愛)そうなんです。『Disco 80’s』っていうMIX CDが当時出ていて。たぶん私、WonderGOOとかで買ったと思うんですけど(笑)。それを聞いていて、1曲目が『愛が止まらない』で。そこからWinkさんとそれから同じ時代のアイドルっていうことで工藤静香さんを掘り始めて。で、そこから中学いっぱいまでは本当におニャン子とかWinkさんしか聞いてなかったんですよ。

(吉田豪)フフフ(笑)。中学で(好きなのが)おニャン子とWWEだったら友達できないですよ!

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(中島愛)アハハハハハハッ! でもね、結構うちの中学の友達は優しくて、私は毎日のようにカラオケに行っていたんですけど、Winkさんを入れると当時からカラオケでPVが流れたんですよ。で、「これ歌っていい?」って歌ったら、みんな気に入ってくれて。「あれ、歌ってよ」って結構リクエストされたんですよ。『淋しい熱帯魚』とか。だから割と、みんなわかんないけど「いい」って言ってくれる人が多かったから、こっちもノリノリですすめちゃって。

(吉田豪)付き合ってはくれる。へー。

(中島愛)本当、ブックオフとかで1枚1枚、一生懸命CDを集めていたんで。集まった順に聞いていて。時系列というよりは。で、「一通り集まったぞ」っていうところで高校に入って、そこからおニャン子なんですけど渡辺満里奈さんを聞き始めて。で、満里奈さんも一通り集められたってなった時に「ちょっと90年代、行ってみるか?」って思って。

(吉田豪)フフフ、まずは80年代をちゃんと掘ってからなんだ(笑)。

80年代を掘り尽くしてから90年代へ

(中島愛)ちゃんと好きなおニャン子を掘ってからで、工藤静香さんって90年代にもまたがるじゃないですか。

(吉田豪)はいはい。もちろん。ソロでちゃんと売れて。

(中島愛)アイドルっぽくしている時代からまたがっていくわけですけども。そこから「CoCo……CoCoって聞いたことあるかも?」って思って。

(吉田豪)そうか。流れをよくわかっていないから、そのぐらいの感じなんですね。おニャン子はちゃんと掘っていたけども。

(中島愛)そう。全然詳しくなくて。

(吉田豪)「『夕ニャン』の後はCoCoを掘らなきゃな」みたいな流れじゃなかったんですね。

(中島愛)なんとなく時代的に……あ、誰かに聞いたんですよね、たしか。

(吉田豪)「おニャン子が好きならCoCoもいいよ」みたいな?

(中島愛)「90年代ってグループアイドル、いた?」って自分より年上の人に言ったら……お父さんだったかは忘れちゃったけど。「ああ、その時代はあんまりアイドルが流行ってなくてバンドが多かったから。すっごくみんなが知っている、テレビの前で熱狂するみたいな時代じゃなかったかもしれないけど、その中でもCoCoはみんな好きだったんじゃないかな? 特にアイドルファンとかはCoCoが好きだったんじゃない?」って言われて。「CoCoね。誰がいたんだろう? 三浦理恵子さん……ああ、三浦理恵子さんってあの三浦理恵子さんかな? それならわかるかも」って思ってCoCoを。で、ファースト・アルバムはたしかすぐに手に入らなかったから、『STRAIGHT』っていうアルバムから入ったんですよね。で、そこで「CoCo、めっちゃ曲がいい!」ってなって、1枚ずつ集めていって。

(吉田豪)なるほど。

(中島愛)だから高校時代ぐらいから聞くようになって。

(吉田豪)(コメントを読む)「イカ天の時代?」。そうなんですよね。正確にはちょうどそのぐらいで歌謡曲の時代が1回、終わっていくんですよね。ベストテンが終わったりとかでバンドブームがちょうど訪れて。「アイドル、かっこ悪い」的な空気に。その前におニャン子と小泉今日子さんによってアイドルが破壊されるというかリセットされて……っていう流れもあり、アイドル冬の時代が訪れるという流れになって。

(中島愛)私、去年本も出していて。文筆家の甲斐みのりさんとの対談本で。

(吉田豪)狂った本でしたよ。

(中島愛)えっ、本当ですか?(笑)。

(吉田豪)あれで衝撃を受けたんですよ。もちろん買ってますけども、「なんでこんな本を?」っていう。

(中島愛)ありがとうございます。本当ですか? 『音楽が教えてくれたこと』っていうね、まだ読んでない人は読んでください。宣伝です。で、これを、対談本なんで3回ぐらいに分けて対談したんですけど、これに向けて83年ぐらいから96年ぐらいまでの年間オリコンチャートを書き出してみようと思って。

音楽が教えてくれたこと
Posted at 2019.1.9
甲斐 みのり, 中島 愛
mille books

(吉田豪)「書き出してみよう」(笑)。

(中島愛)そう。お酒を飲みながら夜な夜な書き出していたら、本当に90年の前後でパタッと年間トップ30からアイドル出身の方がね、ほとんどいなくなっちゃうんですよ。中でも、中山美穂さんとかは90年代になっても……。

(吉田豪)ああ、はいはい。ビーイング的な方向に上手く入って。

(中島愛)そうそう。あと、キョンキョンさんとかも入っていてすごいなと思いつつ、こんなに如実に数字に現れていたんだっていう。びっくりしました。

(吉田豪)時代がね。あのへんは本当にわかりやすく、本来だったらアイドルでデビューしていたはずの人たちがガールポップっていう流れになって。

(中島愛)はいはい。ガールポップっていう雑誌もありましたよね?

(吉田豪)雑誌もありました。そうなんですよ。

(中島愛)あのへん、よく集めていた。でもたしかにシンガーソングライターの……。

(吉田豪)歌を作っているっていうわけじゃないんだけど、そういうイメージの売られ方をするっていう。「アーティストですよ」っていう。

(中島愛)「アイドルではないんだよ」っていう。

(吉田豪)「バンドと戦えますよ、ここは」っていうやり方になっていくんですよね。

(中島愛)はー、面白いなー。時代って面白いですね。

(吉田豪)面白いですね。

(中島愛)そこからいま、全然アイドルが盛り返して。だから、ハロプロとかアイドルが流行っている時代に幼少期をすごしたんですけども。だから「冬の時代っていうのは本当にあったんだな」っていうのがすごい不思議です。

アイドル冬の時代

(吉田豪)ただ「冬の時代」って言いながらも、雑誌もあったし。コンサートもホールでやっていたし。

(中島愛)そう。普通に武道館とかでやるから。「えっ、それが冬の時代? 流行っていないわけではないのでは?」みたいな。

(吉田豪)Qlairのワンマンとかよく行っていたけど、普通に日本青年館とかでしたからね。全然規模は……地上波もついているし。ただ、アイドル番組が地上波でやるっていう時代があのぐらいの時代でいったん終わるんですよね。

(中島愛)そうかー。なるほどな。当時、ネットもないから。そうですよね。

(吉田豪)その後が『天使のU・B・U・G』とか、要は深夜番組でアイドルがひどいことをやらされるという時代が到来するんですよ。体を張らなければテレビに出れないっていう。雑に扱われるアイドルの時代っていうのがその後に来るっていう。

(中島愛)「体、張れるよね?」みたいなことになっていくんですね。

(吉田豪)そこから遠峯ありさとかが出てくるっていう流れですね。

(中島愛)そうか。華原朋美さん、遠峯ありささんでしたもんね。

(吉田豪)そうです。事務所の社長を足蹴にする凶悪なアイドルとして当時、出てきて。「給料安いんだよ!」って言いながら蹴るっていう(笑)。

(中島愛)人生、わかんないですねー! あれだけかわいくて歌えても、スタートがそうっていう、時代のなせる……。すごい。いっぱいいろんな人が見てちゃんとコメントをくれるんですね。

(吉田豪)(コメントを読む)「TPDとか」。そうですね。TPD(東京パフォーマンスドール)はそのバンド的な空気をアイドルに持ち込んだ最初ですよね。ライブハウスを拠点にしておしゃれな感じでっていう。

(中島愛)おしゃれだし、かっこいいめなイメージがありますね。みんな歌がすごく上手で。

(吉田豪)(コメントを読む)「洋楽は聞かないんですか?」。

(中島愛)洋楽、めっちゃ聞きます。うち、父親がすごい洋楽……AORとかフュージョンがすごい好きで。

(吉田豪)そっちなんですね。

(中島愛)アマチュアバンドでドラムを叩くんですけども。私の父は。本当に子供の頃は日本語の曲が家で流れている機会がなかったですね。

(吉田豪)へー!

(中島愛)BOSEのすごいでっかいこのぐらいのスピーカーがボンボン!ってあって。うちにドラムセットとかもあって。田舎なんでね。

(吉田豪)音が出せちゃうんですね。

(中島愛)そうそう。全然。隣が田んぼとかなんで、音が出せちゃうんですね。そこで本当にアース(・ウィンド・アンド・ファイアー)とか。

(吉田豪)アース(笑)。

(中島愛)トトとかチャカ・カーンとか……。

(吉田豪)フフフ、結構技術がいりそうなやつを(笑)。

(中島愛)そうそうそう! もう本当にそういう……だから私、5歳の頃は「大人になったらチャカ・カーンの声になれるんだ」って思っていて。

(吉田豪)フハハハハハハハッ!

(中島愛)これ、よく言っているんですけど、本気で思っていたんですよ。もうめっちゃフェイクとか入れられるんだろうなって思っていたら、全然ならないっていうね。

(吉田豪)いざプロになってみたけども(笑)。

(中島愛)「あれ? おかしいな。まやかしだった」みたいな。ずっと子供の頃は本当に洋楽漬けで。その中でも父が好きなのが今井美樹さんと杏里さんで。お二人のCDだけはいっぱいあったんですよ。

(吉田豪)ちゃんと上手い人たち。

(中島愛)そう。「女性ボーカルはこの2人しか認めない」っていうぐらいの勢いで。そういう感じだった。だからアイドルのたとえばレコードとかCDとかは一切うちにはなかったです。

(吉田豪)なるほど。自力で掘るしかなかった。

(中島愛)自力で。そうですね。あとはテレビで一生懸命番組を探して録画するとか。『歌の大辞テン』とかを録画するとかしかなかったですね。

<書き起こしおわり>

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