(渡辺志保)次は、プロデューサー・オブ・ジ・イヤーを発表したいと思います。今年のトレンド、どんな方が作ってきたんでしょうか?っていうことで、まずこちらも国内部門から。今年、日本のプロデューサー・オブ・ジ・イヤーに選んだんはZOT on the WAVE!
(DJ YANATAKE)やったー! これももう、そうでしょう。
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(渡辺志保)結構いろんな……もうBAD HOPからKOWICHIまでっていう。BAD HOPもKOWICHIも近いけど(笑)。
(DJ YANATAKE)あとはMerry Deloの『SCOOTER』のリミックスとかね。やっぱりあれのバーン!っていうクラブの勢いもありましたし。BAD HOP作品は、そうですね。去年は『Mobb Life』で4曲ぐらいZOTがやっていたけども。今年も『BAD HOP HOUSE』でさ、『2018』とか『Diamond』。『Diamond』なんかはすごいライブでも人気ある曲だし。
(渡辺志保)いや、すごかった。はい。
(DJ YANATAKE)『2018』もすごいハネましたし。あとはKOWICHIくんのこの前のワンマンの時も担ぎ出されて歌ったりしていましたけども。
(渡辺志保)『円山町行き』を歌ってました。
(DJ YANATAKE)でも年間通してやっぱり目立って活躍していたのはZOTかなって。あと、ちょっと話をしていて、近々に……本当は9月ぐらいに『INSIDE OUT』に来るはずだったんだよね。なんですけど、日本のプロデューサーの地位をもっと高めていこうっていう動きを
Cherry Brownとやっていたりしますし。なかなか日本のプロデューサー陣をこれからまた引っ張っていく存在になるんじゃないかな?っていうことでZOTさんに決めさせていただきました。
(渡辺志保)はい。来年も素晴らしいビートを待っていますという感じです。そしてプロデューサー・オブ・ジ・イヤーの海外部門は、テイ・キース(Tay Keith)!
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(渡辺志保)やっぱり私が思う素晴らしいプロデューサーっていうのはやっぱり、ヒップホップはビートが主体の音楽でもありますから。いかにそのビートのトレンドを作り出すことができるか?っていうのもひとつ、いいプロデューサーのポイントかなって思っていて。で、今年テイ・キースはやっぱりなんと言っても……まあ日本のいいねダンスの話はもうあんまりしたくないんですけども。たとえばそのブロックボーイ・JBの『Look Alive』とか。
(DJ YANATAKE)はい。
(渡辺志保)あと、私は個人的に大好きだったんだけどドレイクの『Nonstop』もそうだったし、なんといってもトラヴィス・スコット『SICKO MODE』もね、コ・プロデュースを手がけているといったところで絶対にこのテイ・キース節みたいなものは今年2018年のヒップホップにおけるひとつのトレンドだったと思うし。この『Look Alive』をさ、揶揄した感じの『Not Alike』っていうエミネムの曲もありましたけど。それすらもテイ・キースが手がけたということで、すごいなかなかない活躍の仕方。かつ、『SICKO MODE』で来年のグラミーにもノミネートされたっていうのがありますからね。ノンストップな感じがします。
(DJ YANATAKE)やっぱりこの配信時代になって、レコード・CDの頃ってプロデューサーのクレジットもちゃんとあったりして。ストリーミング・配信の時代っていうのはなかなかプロデューサーのクレジットが目立たないみたいなこともあったりして。まあ最近、TIDALとかSpotifyもちょっと始まってきてますけども。クレジットが出てくるようになったんですが……以前よりもどんどんプロデューサーの移り変わりも激しい中、ちょっと「この曲もこの人がやっていたんだ」っていう意味で説明したいんですけども。
(渡辺志保)ええ、ええ。
(DJ YANATAKE)まあトラヴィス・スコットの『SICKO MODE』、エミネム『Not Alike』、ドレイクの『Nonstop』、ブロックボーイ・JB『Look Alive』。そして6ix9ineの『STOOPID』、あとはリル・ベイビー&ガンナの『Never Recover』。これ、ドレイクが参加しているやつですね。
(渡辺志保)そう。これめっちゃ名曲。
(DJ YANATAKE)他にはブロックボーイ・JBは『Shoot』もそうなんですね。あとは『Rover 2.0』ね。このへんはもうブロックボーイ・JBのをやっていたりするんで。リル・ベイビーもそうですけども。こんだけやってりゃそりゃあベストだろうと。
(渡辺志保)いやいや、まあすごい。今年は結構さ、マイク・ウィル・メイド・イットが『クリード2』のサントラを丸ごと手がけたりとか、あとはメトロ・ブーミンのアルバムもすごいよかったですね。なのでやっぱりアメリカのヒップホップのビートメイカーたちがまたネクストなフェイズに進んでいるのかな?っていう風にも思いました。で、(ツイートを読む)「ベストプロデューサー、D.A.Domanはどうだろう?」ってありますけども。また来年も新たなビートのトレンド、どんな風になっていくのか非常に楽しみなところです。
(DJ YANATAKE)はい。
(渡辺志保)では、続いて。毎年この『INSIDE OUT』アワードでは勝手に年間ベストをやらせていただいてますけども。毎年、DJ・オブ・ジ・イヤーっていう部門を作っていまして。まあblock.fmってダンスミュージックのラジオステーションですし。今年いちばん活躍したDJを毎年発表しているんですけども。結構さ、アメリカのDJってもうなかなかヒップホップにおけるDJは定義が変わってきているのかな?っていう風にも思いますし。まあぶっちゃけこちら、海外部門は該当者なしということで。
(DJ YANATAKE)そうですね。「該当者なし」っていうのも意見が合わなかったりとかしたら、今年からは「該当者なし」というのも作っていきます。なんで、あんまり……結構アーティストの来日は増えたけど、DJの来日ってそんなには……。
(渡辺志保)まあヒップホップシーンはね。EDM系はたくさんDJの来日ありましたけどね。
(DJ YANATAKE)ヒップホップ系は特にそんなに目立つ人は……あとは昔から知っている人みたいなのはありましたけども。ジャジー・ジェフみたいな。そういうのはありますけども。なんで、国内のDJで。いままではDJ LEADくん、DJ TY-KOH、そしてFUJI TRILL。この3人が我々が思う年間ベストDJじゃないかなって思ってきたんですけども。今年は誰何でしょうかね?
(渡辺志保)はい。今年の『INSIDE OUT』的DJ・オブ・ジ・イヤーはDJ Chari!
(DJ YANATAKE)イエーッ! C’s UP!
(渡辺志保)C’s UP!
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(DJ YANATAKE)まあC’s UPは禁止してますけどね。
(渡辺志保)まあちょいちょい漏れてますけどね。はい。そんな感じでDJチャリくん。先ほども触れましたけど『THE FIRST』のアルバムのリリースがあったりとか。あとは本当におびただしいほどのEPとかシングルの楽曲に関わっていたり。あとは(BAD HOPの)武道館の舞台も踏んだっていうのがまたね、チャリさんまた高みに上ったなって感じがしますけども。
(DJ YANATAKE)まあ実際に現場のクラブDJとしての数もそうだし、クオリティーも……やっぱり選曲も本当にいいし、DJも上手いし。かつ、こんだけ精力的に制作のこともやって。実際にDJとしてクラブヒットをいっぱい生み出せたっていうのは本当に評価に値するんじゃないかなと。逆にこんだけ動けたやつ、いるかな?っていうね。
(渡辺志保)本当にそうですね。
(DJ YANATAKE)本当にそう思いますので。DJチャリくん、『INSIDE OUT』が選ぶ2018年ベストDJです!
(渡辺志保)いやー、おめでとうございます! 来年もがんばってください!
(中略)
(渡辺志保)次はじゃあMVP・オブ・ジ・イヤーに……。
(DJ YANATAKE)そうですね。MVP・オブ・ジ・イヤーというのはどういった賞でしょうか?
(渡辺志保)今年、もっともハスリンしたというか、話題をかっさらった……。
(DJ YANATAKE)年間を通して活躍したとか、そういう意味でしょうかね。作品がどうのというよりも。
(渡辺志保)まあ、作品がどうのもそうですけども。あとは全体的にいかに話題を振りまいたか。そして人々にインパクトを与えたかというところで発表したいと思います。まず国内部門のMVP・オブ・ジ・イヤーはBAD HOP!
(DJ YANATAKE)まあ、これはな! 文句ないべ。これに文句があるなら、T-PABLOWの言葉を借りるなら「文句があるやつはここまで来てから言え!」っていうのを彼は武道館のステージで言うっていうね。
(渡辺志保)フフフ、そうですね。
(DJ YANATAKE)なんで、そこには行けてないんで言えません!
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(渡辺志保)まあでも本当に若干23歳であれだけ自分たちの力で武道館のライブを成功させて。で、この間もちょっとアトロクでも言ったんですけど、彼らは今年4月にZeppのワンマンをソールドアウトさせていて。で、その半年後ぐらいに武道館を即完させたっていうね。こんな日本のヒップホップアーティスト、本当にいままでなかったと思いますし。で、我々もね、彼らの音楽を聞いたりライブを見るといったことで、非常に元気をもらえた1年だったかなという風に思ってます。
(DJ YANATAKE)そうですね。あとさ、いつどこに行っても彼らの話になったよね。
(渡辺志保)ああ、たしかに、そうですね。
(DJ YANATAKE)あと、ジャンルとかもなんなら越えたところにも……たとえばですよ、さっきWREPのラジオの方で高木完さんの番組に竹中直人さんがゲストでいらっしゃっていて。で、竹中直人さん、BAD HOPファンだしね。
(渡辺志保)ええっ、すごい!(笑)。
(DJ YANATAKE)Vingoのお母さんと仲がいいんだって。まあ、そういうのもあったりするけど、でもなんかそういう、本当にいろんなところを飛び越えて、とにかくBAD HOPの話はみんながずっとしていたよね。1年間。
(渡辺志保)してました、してました。だしね、本当にこれから、たとえばBAD HOPに憧れてラップを始めましたとかね、彼らに憧れてヒップホップを好きになりましたとかね、そういった若者がどんどん増えてくればいいなと思うし。まあ実際にね、そういったアーティスト、若いラッパーの方とかはね、増えてきてると思いますので。本当にBAD HOP以降のシーンっていうのもこれからどうなっていくのか、非常に期待が高まるところです。
(DJ YANATAKE)はい。BAD HOPがどんどんラップとかかっこよくなっていけばいくほど、本当にいい見本になるんでね。やっぱりそれを見本にしてる子たちはさ、スタートがもうすごいところから始まるわけなんで。
(渡辺志保)そう。物心ついた時からBAD HOPがっていうね、感じで。まあ、そんな感じです。では、MVP・オブ・ジ・イヤー、海外部門はこの方。カーディ・B! フゥーッ! まあ、私としてはもうカーディしかいない。終わり!っていう感じですけども。
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(渡辺志保)本当にね、BAD HOPには元気をもらい、カーディ・Bにも元気をもらったというところです。でもやっぱりさ、私は各アーティストのバックグラウンドとか、彼ら彼女たちがいま、どんなことをどんな風に生活しながら曲を作ってるのかとかね、そういうところも気になっちゃうタイプ。そういったところもまるっと含めて、元気をもらったりとかですね、やる気をもらったりするわけですね。
だからBAD HOPに関しても、彼らの曲だけを聞くことももちろんいいんですけれども、どんな経緯があって武道館まで成功させたかとか、そういった背景を知るとより好きになるし。やっぱりそれの最たる例が私はカーディ・Bでございました。あれだけね、Instagramで何でも発信してくれるっていうのもありますけれども。まあ、この前にアトロクでもしゃべったけど、やっぱり今年の海外のヒップホップシーンは特に女性ラッパーの活躍が目覚しかったなと思うんですけども。まあ、それも間違いなくカーディ・Bの活躍があったからこそだと思いますし、彼女がいろんなスタンダードを塗り替えたラッパーだなという風にも思ってます。
これは本当にいろんな音記録的にもそうですし、彼女のアティチュードとかね、そういったところも含めてっていうこところなんですけれども。この『INSIDE OUT』でもデビュー・アルバム『Invasion of Privacy』について特集したりしましたけれども。
やっぱり知れば知るほど好きになるっていう感じですかね。そんなこんなでカーディ・Bには今年1年、元気をもらった年でした。
(DJ YANATAKE)まあ、ゴシップ面も含めてね、面白かったよね。カーディには楽しませてもらいました。
(渡辺志保)そうそう。ニッキー・ミナージュとかだとちょっとなんかさ、悪意を感じる言動とかが多かったりすけどさ。なんかカーディは本当にもみんなのカーディみたいな。もう憎めないみたいな感じがしますので、そういったところもね、ポイントでした。
(DJ YANATAKE)ここは正直ね、僕は売上的なことも考えたり。やっぱり相変わらずのアゲチンぶりを見ると、ドレイクがMVPかな?っていうのもあったんですけど。やっぱりここは志保さんの熱量が勝ったということで。
(渡辺志保)すいません(笑)。
(DJ YANATAKE)でも、僕も異論はないです。全然カーディでいいと思います。
(渡辺志保)そうですか、ありがとうございます。というわけでカーディ・BがMVP・オブ・ジ・イヤーということにさせていただきました。
(中略)
(渡辺志保)では、続いて。ベスト・ニューアーティスト! これも悩んだなー!
(DJ YANATAKE)これも悩んだね。でも、一緒だったね。
(渡辺志保)まず、国内部門。ベスト・ニューアーティストは……Normcore Boyz!
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(DJ YANATAKE)やったー! まあね。『INSIDE OUT』の今年注目のアーティストみたいなのを紹介したフレッシュメン。あれが最初のEPで、あいつらまだ1年たってねえんだっていうね。
(渡辺志保)だってEPを出して2、3ヶ月後にはもうサマソニに出てましたからね。本当にびっくりする。
(DJ YANATAKE)この1年、特に渋谷のクラブにいる人はかならずあいつらを見かけたと思うし。日本語ラップ好きの人で彼らの名前を聞かない人はいないんじゃないかな?って。あと、新世代感は本当にあるし。どんどんどんどん、遠慮なく出していくしね。
(渡辺志保)そうね。遠慮ないね(笑)。いま、後ろでかかっているこの『Still Alive』とかもね、すごいいい曲だしさ。やっぱり彼らはさっきのEPを出してっていうところもそうですが、スピード感が本当にね、すごいですね。ちょっと前もエイジアでライブを見ましたけども。ライブもどんどん上手くなってるし。それも短期間ですごい上手くなってるなという風に感じましたので、彼らもまたね、そのBAD HOP以降のクルー感というかグルーヴとして2019年もね、どうな成長っぷりを見せてくれるのか、非常に楽しみなところでございます。
(DJ YANATAKE)BAD HOPとは違うクルー感で個性があっていいですよね。ライブ、本当に最高なんで、Normcore Boyzのライブ、見に来てあげてください!
(渡辺志保)ってな感じで、『INSIDE OUT』的ベスト・ニューアーティスト。国内部門はNormcore Boyz。ひとつ、どうぞよろしくお願いします。同じくベスト・ニューアーティスト、海外部門は……リル・ベイビー!
(DJ YANATAKE)これもまあ、そうでしょうね。
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(渡辺志保)ねえ。まあ「リル・ベイビー&ガンナ」名義でも悩んだんですけどね。ベスト・ニューアーティスト。で、他にも本当にいっぱい新しいアーティスト、どんどんいたしさ。シェック・ウェスとかもそうだし、悩みに悩みましたけれども。でも、やっぱり彼はいまのストリーミング時代において、アルバムを3枚出してるんだよね。これ、たぶん先週も話したけど『Harder Than Ever』っていういちばんスタンダードなアルバムがあって、その後にガンナとダブルで『Drip Harder』を出して。その後についこの間、『Street Gossip』っていうのを出しましたので。まあ2016年、17年ぐらいはさ、本当にミーゴスがいて、フューチャーがあんだけヒットして……というのがあって、確実にその系譜に倣って2018年のアトランタシーンを盛り上げたのはこのリル・ベイビーじゃなかったかなと思うし。
彼はクオリティ・コントロールに所属しておりますから、これからもね、間違いなくさらなるブレイクが待っているだろうし。で、私は今年、フィラデルフィアで行われたザ・ルーツのフェスに行ったんですけど、そこでリル・ベイビーがちょっとライブをしたんだよね。『Yes Indeed』とかね。
でね、ライブがすごい上手かったの。背も高くてすごいルックスもよくて、カリスマティックなオーラがバンバン出ておりましたので。なんて言うんだろう? やっぱりちゃんとしたアーティストとしてのパワーというかスキルっていうのがちゃんと備わってるラッパーなんだなっていうのをその時、ライブを見て確信しました。ただのね、スタントだけじゃない、トロールだけじゃないラッパーだという感じがしましたので、2019年もいま以上にリル・ベイビーが活躍するんじゃないかなと思っております。
(DJ YANATAKE)はい。本当に前にWREPっていう方でBAD HOPのリバトークっていう番組をやっていましたけど、やっぱりあのBAD HOPとかがもう「リル・ベイビー、ヤベえ!」って本当に早い段階からずーっと言っていたし。やっぱりそのへんの世代感がいま、フレッシュでホットなんじゃないかなと思っております。
(渡辺志保)というわけで、ニューアーティスト・オブ・ジ・イヤーは日本国内はNormcore Boyz。そして海外部門はリル・ベイビーを選ばせていただきました。