渡辺志保 ミリオン・マン・マーチ20周年記念イベントを語る

渡辺志保 ミリオン・マン・マーチ20周年記念イベントを語る INSIDE OUT

渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で、10月10日にワシントンDCで行われたミリオン・マン・マーチ(百万人大行進)20周年記念イベントについて紹介していました。

(渡辺志保)というわけで、さっそくですね、オープニングチューンをここで紹介したいと思うんですけども。先日、10月10日にですね、ミリオン・マン・マーチ(Million Man March)。『百万人大行進』ってよく日本語では訳されるんですけども。まあ、黒人男性がね、百万人集まって更新したっていう大イベントが遡ること20年ですね。1995年の10月16日に行われた、まあひとつのデモ活動。デモ行進ですかね。で、リーダーになったのはみなさんも聞いたことがあるかもしれないです。ネイション・オブ・イスラム(Nation Of Islam)という団体の代表者でありますルイス・ファラカーン(Louis Farrakhan)が牽引したイベントでもありまして。

当時、社会における黒人男性の地位向上であるとか、あと、社会的正義を正すとか。そういったことをテーマに、黒人男性が百万人集まって行進したっていう出来事が20年前の10月に行われたと。ただ、まあちょっと一部ですね、批判的な意見もあって。『百万人集まっただけで何も変わってないじゃん?』っていうことをね、後日言われたりとか。あとは、ミリオン・マン・マーチということで、男性しか参加できなかったがために、結構当時、95年だから女性もバリバリ活動していて。

発言権なんかもめちゃめちゃ大きかったにもかかわらず、女性の参加はNGということで。そういうところでルイス・ファラカーンが当時、槍玉に上げられたりもしたんですが。あとは、あれですね。スパイク・リー(Spike Lee)の映画『ゲット・オン・ザ・バス』の下敷きにもなったイベントなので。その印象が強い方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。

スパイク・リー『ゲット・オン・ザ・バス』

まあこのミリオン・マン・マーチね、知りたければそのスパイク・リーの『ゲット・オン・ザ・バス』。いま、日本語字幕付きのDVDもありますので、見てみることをおすすめするんですが。まあ、そんなミリオン・マン・マーチから20周年がたちましたということで、先日、10月10日に20周年記念イベントが行われまして。まあ、20年前と同じくルイス・ファラカーンがですね、リーダーとなりまして。百万人が20年前と同じ場所、ワシントンDCに集った。

で、20年前と違いますのは、今回は子供も女性も参加OK。ミリオン・マンの『マン』にはこだわりませんよというところと。あとは、さすが2015年っていう感じなんですけど、ネット中継なんかも行われておりまして。あとは、ハッシュタグですね。『#JusticeOrElse(何が何でも正義が第一だ)』ということで、いろいろ、ファーガソンの事件なんかもありましたから。とにかく、人種の上に成り立つ正義っていうのをみなさん、スローガンに掲げてデモを行ったと。

で、そこにですね、やはりここがアメリカのヒップホップっていう感じがするんですけども。たくさんヒップホップアーティストも参加しておりまして。まず、J・コール(J. Cole)とかね。あと、スヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)とか。御意見番でございますラッセル・シモンズ(Russell Simmons)。あとはパフ・ダディ(Puff Daddy)。そしてもちろんコモン(Common)。あとはタイ・ダラー・サイン(Ty Dolla $ign)とかね、ジェイ・エレクトロニカ(Jay Electronica)とか。そういったメンツも参加したと。

で、ちなみにあのウィル・スミス(Will Smith)とジェイダ・ピンケット(Jada Pinkett)夫妻は1800万円(約15万ドル)を寄付したってことも話題になりまして。かつ、リーダーであるルイス・ファラカーンはこのイベントを成功させるために、今年の6月にアトランタに赴いて2チェインズ(2 Chainz)とかリック・ロス(Rick Ross)とか。あとはヤング・サグ(Young Thug)とか。そういった人気ラッパーたちに、『こういう正義と人種との、こういうイベントを成功させようよ』っていうようなディスカッションなんかも行ったりもしていて。なかなか大きなヒップホップカルチャーをも巻き込んだ大きなイベントになっていると。

ちなみに、デモ行進の間にみんなが『チャント』って言いますね。日本でもね、シュプレヒコールみたいな、ありますけど。それで使われていたのがケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)の『Alright』ということで。

もう本当ね、日本だとね、ベテランヒップホップアーティストがデモに参加したことが大きく、『どうなの?』っていう風に議論の対象になっていますけども。アメリカだとね、ぜんぜんそういうの、ぜんぜん普通。しかも、先導していくのがヒップホップアーティストだったりもしますし。そういったところはまあね、日本とは大きく違うのかしら?という風に私も特に感じたこの週末でございました。

で、そのミリオン・マン・マーチの20周年記念イベントにも参加しましたジーズィー(Jeezy)。まあ、Young Jeezyですね。ジーズィーが同じ日にEP『Politically Correct』を発表ということで。ジーズィー、イベントにも参加して。同じ日に『Politically Correct』というEPを発表したわけなんですけども。『Politically Correct』という意味自体もですね、『政治的に中立な立場で物事を発言しましょう』という。日本でもたとえばスチュワーデスさんっていうのをね、いつの間にやらフライトアテンダントさんっていう風に言い換えたりもしますけども。

まあ、そういうちょっと、どんどん中立な言葉を作っていこうっていうのが『Politically Correct(PC)』と言いますけども。逆に、行きすぎたPCがね、差別を助長してるんじゃないか?とか、ひずみとかゆがみを生み出しているんじゃないか?っていう風に皮肉られることも多くてですね。なので、『Politically Correct』を推奨してるけど、実際にフッドはどうなんだ?ぜんぜん変わってないじゃないか!?っていうのがこのジーズィーの主張でもございます。

ということで、ちょっと社会派なね。ジーズィー、もともと御意見番みたいな。お目付け役みたいな感じではございましたけども。今回、こういう社会派のEPをドロップしたと。で、フックの中にもね、いくつかかつての公民権運動をリマインドさせるようなラインがありまして。たとえば『By any means』っていうのが、マルコムX(Malcolm X)の有名なフレーズ『By Any Means Necessary(いかなる手段を用いても俺たちは平等に権利を手にするぜ)』っていうフレーズがありますけども。そこから取って『By any means』。

あと、ギル・スコット・ヘロン(Gil Scott-Heron)の有名な曲でですね、『The Revolution Will Not Be Televised』っていうのがありますけども。そういうフレーズも引用してたりとか。まあ、ちょいちょいそういった社会派なラインも散見されるということで。前置きが非常に長くなってしまいましたけども。ジーズィーもね、デモに参加したということで、本日は1曲目、こちらを紹介したいと思います。ジーズィーで『Politically Correct』。

Jeezy『Politically Correct』

はい。というわけで、いまお送りしましたのはオープニングチューン。ジーズィーで『Politically Correct』でした。セカンドヴァースの最初、『まるで俺はホワイトハウスを自分の家のようにくつろぐんだぜ。なんてったって税金を払っているから。許させるだろ!?(Walk up in the white house like it’s my house Taxpayer mothafucka, yeah this is my couch)』みたいに言ってるけどね。まあ、本当に、前も話しましたけど、カニエ・ウェスト(Kanye West)が大統領になったらね、ホワイトハウスが自分の家になるわけですから。

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まあ本当、アメリカって面白いな!みたいに。当選したわけじゃないけど、面白いなと思いました。

<書き起こしおわり>

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