渡辺志保とDJ YANATAKE 2018年ヒップホップ年間ベスト大賞

渡辺志保とDJ YANATAKE 2018年ヒップホップ年間ベスト大賞 INSIDE OUT

(渡辺志保)続いては、ベスト・ミュージックビデオ・オブ・ジ・イヤー。これも悩んだけど……まず、国内部門から行きますか。まあ、ヒップホップも本当に本当にミュージックビデオの数がおびただしいし、金がかかっているのは本当にかかっているなって感じもするので。じゃあ、ベスト・ミュージックビデオ・オブ・ジ・イヤー、まず国内部門は……Shurkn Pap『Road Trip』! これ、何度も見た! 本当に何度も見た。

Shurkn Pap『Road Trip』

(DJ YANATAKE)なんだろうね? まあShurkn PapくんはMaisonDeっていうユニットの一員として『INSIDE OUT』にも来てくれましたけども。最初はね、このShurkn Papのソロのこの曲が注目されて……っていうことだと思うんですけど。なんでこの曲のビデオがいいかって言うと、出来ももちろんいいんですけど。あのSpikey Johnくんがね。『Cho Wavy De Gomenne』とかも撮ったSpikeyが撮っているのもすごくいいんだけど。地方、姫路のラップを始めて1年の子が、まあ曲がいいのはもちろん大前提なんだけど、ちゃんとSpikeyに頼んでいいビデオを作ろうっていう姿勢がまずそこにあった。

(渡辺志保)たしかに、たしかに。

(DJ YANATAKE)で、Spikeyがかなり無理な注文もしたらしいんだよね。どこで本当か知らないけど、「(エキストラを)100人集めたら撮ってあげるよ」みたいな。で、本当にエキストラもすごいたくさんいて、車とかもめちゃくちゃ用意してやって。それで作ったのはいいんだけどさ、1曲当たったらこんなに全国でブワッと注目される存在になるっていうのが日本でもどんどん証明されてきてるっていう。その象徴の1曲かなという風に思ったんで、この曲の「ビデオが持つ力」っていうかね。そういうのすごく感じましたね。

(渡辺志保)本当にね。そうそう。だからShurkn Papくんを始め、MaisonDeのみなさんそうですけど。Merry Deloくんもそうですけど。姫路から世界へっていう感じがね、すごいよかったし。まあ、本当に『Road Trip』のヤンキー臭さが私はすごいよかったですね。みんなドリフトしながらっていう感じで。というわけで、ベスト・ミュージックビデオ・オブ・ジ・イヤー、国内部門はShurkn Papさんの『Road Trip』でした。

(DJ YANATAKE)だからいまさ、何でも簡単に撮れたりするし、昔ほどビデオ、予算がかかんなくなってきているとはいえ、でもやっぱり簡単に撮れるがゆえに簡単なものも多いし。やっぱりそこで多少金を使ってもいいものをやっぱりちゃんと撮ろうという姿勢が結果、成功して。これ絶対、作った時は当然大赤字じゃん? でも、それをこの1曲でどんどん取り戻していっているというか。やっぱり投資も必要かなっていうね。勝負時にはお金もかけましょうね。

(渡辺志保)はい。では海外部門。これはもう満場一致という感じでしたけども、ベスト・ミュージックビデオ・オブ・ジ・イヤーは、チャイルディッシュ・ガンビーノの『This Is America』! これは本当、これしかねえべっていう。

(DJ YANATAKE)もう1日でこんなにみんなが話題にしたビデオもなかなかないっていうね。

Childish Gambino『This Is America』

(渡辺志保)なかなかない。で、タイムラインでもガンビーノのことをつぶやいてくださっておりますけれども。これはもう、ビデオが発表された時に私も結構この『INSIDE OUT』でもしゃべったし、他の記事でも書いたからいまさら特に言うことはないんですけれども。

渡辺志保 Childish Gambino『This Is America』を語る
渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でチャイルディッシュ・ガンビーノの新曲『This Is America』を紹介。ショッキングなミュージックビデオに込められた意味などについて解説していました。 (渡辺志保)そんな中、...

やっぱりね、いまのチャイルディッシュ・ガンビーノだからこそ出来るビデオだなと思いましたし、センスといい、本当に隠された小ネタみたいなのを英語では「イースター・エッグ」っていう風に言うんですけども。本当にそういったものがいくつもいくつも散りばめられてましたしね。で、いろんな方がディレクターとして参加してましたが、その中の1人としてヒロ・ムライさん。チャイルディッシュ・ガンビーノと一緒に一緒にドラマ『アトランタ』を作っている。そして何より、日本人であるヒロ・ムライさんが手がけたビデオ。

で、最後には女神の象徴みたいな感じでSZAも参加してましたし。あっと驚くような展開であるとか、最初のね、本当にもう心臓止まりそうな感じの衝撃的なシーンから始まるとか。そういったところも全部含めて、メタファーなんかも全部含めて、歌詞のリリックも含めてですけれどもね、このチャイルディッシュ・ガンビーノ『This Is America』には非常にやられたっていう感じ。

あとは、なんだろうね。ラップミュージックの持つ強さみたいなのも、やっぱり去年もね、ケンドリック・ラマーの『DAMN.』とかありましたけれども。そういった強さをですね、私はこの曲から今年、非常に感じた1年でした。

(DJ YANATAKE)はい。そう思います。

(渡辺志保)という感じでお届けしております。

(DJ YANATAKE)記録的な再生回数になっていたし、『This Is ○○』みたいなのもありましたけども。それも元がすごかったからで。

(渡辺志保)そうですよね。だから、『INSIDE OUT』を聞いてくださっている方はもうみなさん、見たことある人がほとんどだと思うんですけども、もしもまだ見たことがないという方がいればですね、ぜひぜひチェックしてほしいなと思います。

(中略)

(渡辺志保)次は『INSIDE OUT』的ベストソング・オブ・ジ・イヤー!

(DJ YANATAKE)もう残すところ2部門です。ベストソングとベストアルバムということで。これ、ベストソングとアルバム、大変でしたね。

(渡辺志保)大変でしたね。私とヤナタケさんが夜も寝ずに激論を交わして。「ちょっと違うんじゃないですか?」とか言いながら決めたんですが、まずはベストソング・オブ・ジ・イヤー。日本部門はこの曲です! BAD HOP『Kawasaki Drift』!

(DJ YANATAKE)やったー! これはもうしょうがないでしょ。

(渡辺志保)沸かせたね。沸かせた。で、私はね、あの武道館の彼らのライブを見に行きましたけれども。「なんで俺らがこんな史上最速で武道館まで来たか、分かってんのか? それは世界のKawasakiにまたがってるからだ!」って言って。これがドンツクドンツク……♪って始まって。

もう本当に最高!っていう、最後のT-PABLOWくんのちょっと物騒なラインがありますけど。そこもまあちゃんと、DJの方が……タツキくんかな? DJの方がちゃんと音を抜いて、もう1万人の観客にあそこを合唱させるっていう。

(DJ YANATAKE)間違いないですね。で、これは僕、個人的には本人たちも公認のマッシュアップを作らせてもらったりとかして。結構そのバージョンも全国のDJがすごいかけてくれて。

よくインスタとかでタグ付けしてくれたりとかするんですけど。個人的にもですね、これマジで全国、俺は今年結構いわゆるチャラ箱……いわゆるEDMとかがかかる場所でヒップホップをかけなきゃいけないっていうそういう時があった。そういう場所で。そういう時でも、これは通用するんだよ! それはもうすごくないか?っていうね。ヒップホップのクラブはもうもちろん、「ブンッ! ブンッ! ブンッ!」と「川崎区で有名になりたきゃ 人殺すかラッパーになるかだ」。そことかは全部抜いても全員歌うね。すごい。すごいよ! ここに来て、やっぱりこれを出せたのは強かったね!

(渡辺志保)ねえ。そうね。うんうん。これはもう間違いない。このマイクリレー感もね、よかったですよね。

(DJ YANATAKE)あとは8人で1曲をやったのは初めての曲なんだよね。これがね。なんかそういうのも含めてよかったですね。じゃあ、聞いてみましょうか。

(渡辺志保)聞いていただきましょう。BAD HOPで『Kawasaki Drift』。

BAD HOP『Kawasaki Drift』

(渡辺志保)お届けしましたのは『INSIDE OUT』が選ぶベストソング・オブ・ジ・イヤー、国内部門でBAD HOP『Kawasaki Drift』。しびれますね。いま聞いても全然しびれるよね。はい。

(DJ YANATAKE)これ、ちょっと裏話を思い出したんですけど。これ、ビデオがあるじゃないですか。曲ができるよりも先にビデオが撮られてたんだよね。で、あのパブロがまだバースができてなくて。ビデオを撮った後にリリックができてレコーディングして。だからビデオをよく見るとパブロ、全然口を隠しているっていう裏話がありましたけどね。すごいよね。だから「あの『川崎区で……』っていうところとかどうしているの?」って言ったら、「いや、下を向いて目だけ映っているんですよ」って。

(渡辺志保)上手いことやったな! そうなんですね。また改めてビデオを見てみたいと思います。

(DJ YANATAKE)面白いですね。じゃあ、いよいよ行きますか。みんな、なんだと思っているんでしょうか?

(渡辺志保)2018年、『INSIDE OUT』の我々2名が選ぶベストソング・オブ・ジ・イヤー、海外部門はドレイク『In My Feelings』!

(DJ YANATAKE)Kiki♪

(渡辺志保)Do you love me♪

(渡辺志保)いや、悩んだ。本当に悩んだので。私はケンドリック・ラマーとSZAの『All The Stars』とかももちろんベストソングの候補にありましたし、リストをあげるときりがないという感じなんですけども。さっきもちょっと話題に出たけれども、今年はやっぱりドレイク無双だったじゃないですか。

(DJ YANATAKE)無双だね!

(渡辺志保)本当、無双だったじゃないですか。で、『God’s Plan』『In My Feelings』『Nice For What』。その3連チャンシングルがストリーミングでもビルボードでもチャート上位を独占して。この間もアトロクで高橋芳朗さんもおっしゃっていたけど、1年間54週あるうちの半分以上がドレイクが1位だったっていう、ビルボードの恐るべしな結果が出ていますけども。

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(DJ YANATAKE)うん。

(渡辺志保)その中でいちばん、そのドレイクがポップスターとして通用する……まあ、もう昔から通用してましたけれども、改めて「こいつ、ポップスターだな」って思わされたのが私はこの『In My Feelings』でした。っていうのはその「Kiki♪」のところの「#InMyFeelings Challenge」のところだったり。で、あとは2018年になって、このちょっとニューオリンズバウンスっぽいね、こういうフレーバーを持ってきたっていうのもそうですし。やっぱりこのドレイクの『In My Feelings』以降、『Scorpion』以降、ちょっとそういうかつてえのサウスのバウンシーな感じのトラックも増えたと思いますしね。

で、なんと言っても私はね、まあこれはいいの。『INSIDE OUT』で選ぶから、いいの。なんとここにシティ・ガールズの2人をフィーチャーしたという、そこのミラクルよ。そして、この『In My Feelings』が収録されたアルバム『Scorpion』が出たその次の日にJTがパクられるっていうね。まあ、そういったドラマも含めてこの『In My Feelings』。ニューオリンズで撮ったPVも凄かったしね。まあ『God’s Plan』のビデオも凄かったじゃん。マイアミであんなお金バラまいてさ。

あとは『Nice For What』もさ、イッサ・レイから『ブラックパンサー』の妹・シュリちゃん役のレティシア・ライトちゃんとか、もういろんな旬の女性の方をワッサーと集めた『Nice For What』のPVもすごかったし。もう月並みですけどドレイクは本当にすごいね。っていうのを感じた。

(DJ YANATAKE)あとは志保もいま言ったけど、やっぱりみんな「○○チャレンジ」を作ってヒットを狙っていて。それが日本のヒップホップのクラブとかまで届くっていう現象の中では、今年もそういうムーブメントが大きなキーワードだったし。

(渡辺志保)だってAwichちゃんもさ、「#LoveMeUpChallenge」っていうのがちゃんとワークして。みんなやっていましたもんね。

(DJ YANATAKE)ねえ。でもやっぱり『In My Feelings』をかけると本当にみんながハートマークを作って、ドライビングして……みたいなのをDJに向かってやってくれたりするんで。やっぱりそういうムーブメントも含めての1位っていう感じですかね。もちろん『Nice For What』も『God’s Plan』も悩んだし、他のアーティストもね。いまだったらさっきも出てたけどさ。いまだったらシェック・ウェスって言っちゃってもいいと思うし。それぐらいクラブでも盛り上がっていたりするが、こういうムーブメントも含めてドレイクが一枚上手だったかなという気がします。

(渡辺志保)じゃあ一体どんな曲だったのか? 忘れている人はいないと思いますけども。ここでちょっと聞いてみましょう。ドレイクで『In My Feelings』。

Drake『In My Feelings』

(渡辺志保)というわけでいまお聞きいただいておりますのは我々『INSIDE OUT』クルーが選んだ2018年ベストソング、海外部門ということでドレイク『In My Feelings』を年間ベスト楽曲に選出いたしました。

(DJ YANATAKE)まだまだ全然かかっているしね。

(中略)

(DJ YANATAKE)さて、残すところはベストアルバムですけども。アルバムもたくさんありましたね。

(渡辺志保)まず、『INSIDE OUT』クルーが選ぶベストアルバム・オブ・ジ・イヤー、国内部門なんですが、国内部門は該当者なし!

(DJ YANATAKE)ええーっ!?

(渡辺志保)でもこれはね、私とヤナタケさんが一晩中議論を重ねても、2人は一歩も引かなかった。

(DJ YANATAKE)もうさっき、俺はもう殴られる寸前までいって。胸ぐらを掴まれて。

(渡辺志保)私が履いていたプラットフォームヒールをパッと脱いでヤナタケさんにバッと投げつけるところまで行ったんですけども(笑)。個人じゃなくて、『INSIDE OUT』として1枚選ぶなら……っていうところで、お互い両者一歩も引かず。「だったら該当者なしにするか」というところに落ち着きました。ちなみに私が今年いちばんよく聞いた国内のヒップホップアーティストのアルバム作品はGottz『SOUTHPARK』!

サウスパーク
Posted at 2018.12.27
GOTTZ
Pヴァイン・レコード

(DJ YANATAKE)おおっ、いいと思います。まあ僕はね、正直ないです。っていうのは、厳しい目に……もちろん聞いたのはいっぱいあるんですけど。チャリとタツキのもDJとしていっぱいかけさせてもらって。というのはもちろんあったんですけど。まあやっぱりどうしてもコンピっぽい感じもあるしね。

THE FIRST [Explicit]
Posted at 2018.12.27
DJ CHARI & DJ TATSUKI
Air Waves Music

(渡辺志保)DJキャレドっぽい感じ、あるよね。

(DJ YANATAKE)それがダメじゃないんだけど。やっぱりのアルバムとして「ベスト」と呼ぶ高みに行くには、もうちょっとそのアーティストのコンセプトだったり、そういうものがもっと入ってきて。そういうものが入って重なったものがアルバムのベストと言えるものになっていくのかな?っていう感じもするし。正直、曲単位ではもちろんいい曲がいっぱいあったんですけど、アルバムっていう意味ではやっぱり去年のBAD HOP『Mobb Life』とかを越えてくるようなものを当然期待して。もっともっと行け!っていう。まあ、当然BAD HOPの壁ってすごいんだけど、でもそこに来年、2019年はみんなももっとたどり着きたいねっていう意味も込めまして。今年の日本語ラップのベストアルバムはね、志保殴り合いの寸前まで行って。お互い譲らなかったんで、あえて該当者なし。

(渡辺志保)あえてね。

(DJ YANATAKE)でもこれは来年への強い期待を込めての意味です。

(渡辺志保)そうね。本当にいいアルバムは多かったし。やっぱり、こうやってEPとか……次に海外のアルバム作品を発表しますけれども。その、いまEPとかシングルの方が多いじゃないですか。でもそういった時代にその「アルバム」っていうアートフォームに愛を持って作られた作品っていうのが国内にもたくさんたくさんあったけれども、あえての結果っていう感じで。

(DJ YANATAKE)またでもね、本当にこのアルバムっていう概念がまた……たとえばみんな、どんどん配信で出していったりとか。EPサイズのものが増えてきたりとか。時代の移り変わりもありますし。このアルバムという概念をどこまで引きずって同じ価値観でね、こういうのを判断していけばいいのか?っていうのもさらに変わっていくと思うんで。なかなかやっぱり本当に、タイムラインで言っている方もいますけども。去年に比べて本当に今年は選びにくかったし、やっぱりね、もちろんみんながいい作品を出してくれることはいいと思うんだけど、なんかいい意味で平均点だったというかね。でもなんか突き抜ける1枚があってもいいなっていう気がします。なんで来年は、その突き抜け作品を誰が作ってくるのか?っていうのも楽しみにしながら待ちたいと思いますね。

(渡辺志保)はいはい。そんな感じです。では、最後の発表になりました。『INSIDE OUT』クルーが選ぶ年間ベスト。今年のベストアルバム・オブ・ジ・イヤーは、トラヴィス・スコット『ASTROWORLD』! 『ASTROWORLD』を選びました!

(DJ YANATAKE)これはそうでしょう!

ASTROWORLD [CD]
Posted at 2018.12.27
TRAVIS SCOTT
EPIC

(渡辺志保)いやー、悩んだけどね。

(DJ YANATAKE)リストを見ちゃうと本当にね、ああ、あれも! これも! 『Scorpion』も! とかね。

(渡辺志保)『ブラックパンサー』も!

(DJ YANATAKE)カーディ・Bも!

(渡辺志保)(The Cartaers)『EVERYTHING IS LOVE』も! とかってなっちゃうんだけど。でも私はね、ずーっとアルバムっていうアートフォームが大好きなんですよね。で、やっぱりね、アーティストがいい意味でオタク魂というかさ、こだわりにこだわって作るものこそがアルバムだと思いますから。そのコンセプトからね、ジャケットのアートワークからプロデューサー、そして曲順まで私はこだわって聞きたいタイプだから。いくらSpotifyとかApple Musicで聞いても、曲順通りに聞きたいと思うタイプですし。なのでアルバムに対してすごく並々ならぬ憧憬の念を抱いているんだけれども。そういう点で言いますと、やっぱりこのトラヴィス・スコット『ASTROWORLD』はコンセプト、そしてアルバムリリース後のいろんな……フェスをやったりとか、あれだけのツアーをやったりとか。かつ、アルバムを出してからも止まらないじゃん。トラヴィスは。

メトロ・ブーミンのアルバムにあんだけ多くの曲に参加してたりとか。で、たまげたのはこの間の金曜日にリリースされた21サヴェージのアルバムにもトラヴィスのバースが後から、今日になって追加されて。そういうサプライズもありましたし。あとは本当に中間選挙の時にベト・オルーク支持の一連の動きであるとか。そういったところを含めてですね、今年トラヴィス・スコットってアーティスト的にも成長したし。その成長がいちばんいい形で見ること、感じることができたのが『ASTROWORLD』というアルバムだったかなと思います。

(DJ YANATAKE)そうですね。で、もうすごい強い。話題作りも本当に上手かったし。アルバムもこんなすごいメンバーが参加してるのに、全然クレジットがないこともまず本当にびっくりしたし。マーチャンダイズの売り方が本当に上手くて。グッズのね、新しいスタイルを作っちゃったんだよね。とにかくトラヴィスのは限定、限定、限定で。前からやっていたんだけど、買えなくて。でも買うと、アルバムのダウンロードとかついてきたりとか。ライブの前売り券がゲットできるようになっていたりとか。

すごいいろんなシステムを凝らしていて。この間のブラック・フライデーかな? アルバムが出てからまたしばらくしてからもツアーのマーチャンダイズとかをバーッとネットで売ったら、それにはデジタルアルバムがついてくるから、またそれのおかげでビルボードのチャートが1位になるっていうですね。新しい方法を実は見つけちゃったんですよね。

で、まあそういう裏方さんの……もちろんトラヴィスのアイデアではないだろうけど、裏方さんのアイデアも含めて、トータルでアルバムとして素晴らしかったんですよ。戦略も含めて面白かった。見ていて。

Travis Scott『SICKO MODE ft. Drake』

(渡辺志保)だから何回聞いてもさ、彼のそのサウス愛……この『INSIDE OUT』でもすげーしつこく話しましたけども。

渡辺志保 トラヴィス・スコットのキャリアを語る
渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でラッパー トラヴィス・スコットを特集。トレンドセッター・トラヴィスのキャリア初期から最新作『ASTROWORLD』に至るキャリアについて話していました。

いかにヒューストンとかアトランタのラップが好きか?っていう、そういったエッセンスも何重にも折り重なって収録されてますし。そしてジョン・メイヤーからスティービー・ワンダーまで参加してるという、本当にね、すごいアルバムだった。あと私、めっちゃめちゃ悩んだのは『ブラックパンサー』も悩んだけど、やっぱりJ・コールの『KOD』、めっちゃ悩みましたね。

(DJ YANATAKE)うんうん。

(渡辺志保)今年ね、本当にJ・コール、すげーいいバースばっかりだったっすね。客演も含めて。21サヴェージの『A Lot』っていう曲にもJ・コール、バースを提供していましたけども。あそこでもしっかりテカシ69のことをラップして。「彼がチャートの首位を勝ち取ったということには一体なんの価値があったんだろうか?」みたいなことを問題提起を投げかけるバースをキックしていてすごかったから。まあ『KOD』、マジですげー!ってまた聞き直していたりもしてたんですけどね。うん。決められなかったな。

(中略)

(DJ YANATAKE)(ツイートを見て)リル・ウェインの『Carter V』もあったし、あとはミーク・ミルとかもね。

(渡辺志保)ミーク・ミルも悩んだな!

(DJ YANATAKE)リル・ウェインとミーク・ミルはね、もうベストカムバックですよ! そういうのがあればね。でも結構、『INSIDE OUT』としてはすごく大事だなと思っているのはちゃんと当たり前の、すごくベタな、ちゃんといまのアメリカのヒップホップのメインストリームをちゃんと紹介したいなっていうのもやっぱりありまして。そのへんも審査基準というか、感じにさせていただいて今回、選ばせていただきました。まあ「勝手ながら」ですけどね(笑)。

(渡辺志保)そうね。勝手にね、私とヤナタケさんが議論を交わしながら選んでました。

(中略)

(DJ YANATAKE)来年はまた、更に新企画なんかも考えていきたいと思ってますので。みなさん、今後ともよろしくお願いします。

(渡辺志保)お願いします。というわけで本当に2018年も素晴らしい1年でございました。2019年にも期待を馳せながら、今年最後の放送とさせていただきたく思います。みなさん、良いお年を。See You!

<書き起こしおわり>

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