高橋芳朗と宇多丸 2018年アメリカの年間音楽チャートを語る

高橋芳朗と宇多丸 2018年アメリカの年間音楽チャートを語る アフター6ジャンクション

高橋芳朗さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さんと2018年のビルボードマガジンの年間チャートから、2018年のアメリカ音楽シーンの傾向を振り返っていました。

(高橋芳朗)じゃあ、その対比という意味でも、まず今年売れたもの。チャート的にはどういう動向だったのか?っていうのを簡単に説明しましょうかね。アメリカのビルボードマガジン。これが12月4日に年間チャートを発表したんですけども。シングルの1位はカナダのラッパー、ドレイクの『God’s Plan』。

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(宇多丸)いま、流れていますね。ビデオも非常に話題になりました。お金を渡してまわるっていう。道端にいるいろんな人にドレイクが自ら、お金をこうやって渡して。で、その人たちが喜ぶっていうね。

(高橋芳朗)そう。「レコード会社からミュージックビデオの制作費をもらった」っていうテイで、そのお金をそのへんの街の人たちに配り歩くっていう。

(宇多丸)で、もうみんなに幸せをばらまくみたいな。

(高橋芳朗)みんな泣きまくっていたもんね。

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(宇多丸)うん。

(高橋芳朗)で、アルバムの1位は先日、東京ドーム公演を終えたばかりのテイラー・スウィフトの『REPUTATION』となっております。

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(高橋芳朗)で、前回の放送でも現在のチャートはもうヒップホップが圧倒的に優勢だっていう話をしましたけども。

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(宇多丸)うんうん。

(高橋芳朗)それは年間チャートにおいても同様で。シングルはトップ10のうち、5曲。アルバムはトップ10のうち、7作品がヒップホップでこれは2016年、2017年をも上回る占有率ですね。

(宇内梨沙)ふーん!

(高橋芳朗)で、全てのチャートを総合したトップアーティスト部門。ここでもっとも高いポイントを獲得したのもドレイク。今年のチャートを総括すると、ヒップホップの圧勝っていうよりかはドレイクの圧勝です。

(宇多丸)ああ、一人勝ち?

(高橋芳朗)はい。

ドレイク一人勝ちの1年

(宇多丸)客演曲も含めると、ドレイクの曲って4曲が1位になっております。(『God’s Plan』『Nice for What』『In My Feelings』・Travis Scott『Sicko Mode feat. Drake』)で、彼の曲だけで現在までの52週中、30週が1位。



(宇内梨沙)すごっ!

(宇多丸)だから売れているし、長く売れるし。で、いっぱいやっているし。チャートの占有率が。

(高橋芳朗)そう。過去のスーパースターのチャート成績と比較してみたんですけど、たとえばビートルズがアメリカに上陸した1964年。ビートルズの曲は6曲、1位になっているんですよ。で、1位を占めたのは53週中、18週。マイケル・ジャクソンの『Thriller』が大ヒットした1983年。これは共演曲も含めると、マイケルは3曲、ナンバーワンヒットを放っているんですけど、1位を占めたのは53週中、14週。

(宇内梨沙)ええっ、なんでですか?

(高橋芳朗)単純にね、比較はできないですけども。

(宇多丸)そうね。音楽の聞かれ方とかソフトの売れ方、全然違うから比較はできないけども。

(高橋芳朗)まあでも、その数字のインパクトとしても圧倒的ですよね。

(宇多丸)逆に言うと、そうか。二極化じゃないけど、すごくドカンと売れる人と、そうじゃないところっていう差がつきやすくなったみたいなことかな?

(高橋芳朗)そうですね。でもまあドレイクはちょっと……。

(宇多丸)ドレイクが異常?

(高橋芳朗)異常。

(宇多丸)ドレイク、もちろん優れたアーティストだし、いいとも思うけど……なんでドレイクだけが?っていうところで、ヨシくんの分析はありますか?

(高橋芳朗)ええとね、ここ10年の音楽シーンのムードとかベースはドレイクが作ったんじゃないかなって思います。

(宇多丸)そのドレイクの音楽像っていうのが?

(高橋芳朗)だから、トレンドセッターっていうか、もはや音楽シーンをドレイクの影がおおっているような。

(宇多丸)ドレイク化した? 音楽シーン全体が。

(宇内梨沙)へー!

(高橋芳朗)あの、去年ドレイクが発表した『Passionfruit』っていう曲をジャンルを問わず、いろんなアーティストがカバーしたり。

(宇多丸)日本でもね。

(高橋芳朗)日本でもMINMIさんとかコーネリアスさんがカバーしたり。KIRINJIが……。

(宇多丸)堀込高樹さんがそれにインスパイアされて曲を作ったり。

(高橋芳朗)『silver girl』っていう曲を作ったり。だから本当にもう「ドレイク」っていうムードがポップミュージックシーンをおおっているっていう感じですかね?

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(宇多丸)うんうん。だからある意味、ドレイクを聞けばもう2018年の音楽はなんか、「こんな感じ」ってわかるっちゃあわかるという。

(高橋芳朗)それはかなり、まあ、厳しいですけどね。そう言ってもおかしくはないですけどね。

(宇多丸)「厳しい」って……まあまあ、そう言っちゃうと元も子もないっていうかね。

(高橋芳朗)フフフ、元も子もないっていう感じですよね(笑)。

(宇多丸)まあ、ドレイク強しっていう。

<書き起こしおわり>

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