渡辺志保『DJプレミア完全版』とサンプリング問題を語る

渡辺志保『DJプレミア完全版』とサンプリング問題を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんが2024年1月22日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でDJプレミアに特化したディスクガイド『DJプレミア完全版』についてトーク。そこから昨今のサンプリング問題についても言及していました。

(渡辺志保)というわけで今日はちょっと渋めなBGMというか、ビートが裏で流れていると思うんですけれども。今週の金曜日、1月26日に発売になるんですけど。河出書房新社さんより『DJプレミア完全版 1989-2023』という、世界初のプリモ本。DJプレミアの作品だけにフォーカスしたディスクガイド本が出版されます。おめでとうございます!

編集を手がけたのはDAWNというインディペンデントマガジンの方々で。その中心人物の二宮さんという方が編集として携わっていらっしゃるんですけれども。で、本当に嬉しいんですが、私もライターとして参加させていただいておりまして。他には池城美菜子さんとか荏開津広さん、奥田翔さんとかね、小林雅明さんとかが参加されております。宮崎敬太さん、吉田雅史さん、二木信さんなどなど。二宮さんご自身もそうですし、つやちゃんさんであるとか、橋本修さんであるとか、MINORIちゃんとか、ジョンくんとか……MINORIちゃんやジョンくんはまだ20代の若手のライターさんなんですけれども。今回のこの企画にも参加しているっていうことで。

今週金曜日に発売の方で、今週金曜日にオンエアーされる私のbayfmでやっているラジオ番組の方でも、二宮さんを実際にゲストにお招きしましてこのプレミア本について話しておりますので。そっちもぜひ聞いてくださいっていう感じなんですけれども。もちろんというか、『INSIDE OUT』を聞いてくださっているリスナーの方は割とUSのヒップホップにも明るい方が多いので、DJプレミアの名前も当然のごとくご存知でいらっしゃる方も多いんじゃないかなという風に思うんですけれども。このプリモだけの……皆さん、愛情を込めて「プリモ」って呼んでいると思うんですけど。プリモの作品だけのディスクガイドっていうことで。これ、本当に前代未聞、世界初ということでございます。

前代未聞、世界初のプリモ本

(渡辺志保)で、めちゃめちゃもう本当によくぞこれだけディグっていらっしゃるなっていうぐらいの資料を編集の二宮さんが作ってくださり。それから各ライターの方に「こう書いてください」とか「こういうトピックのコラムを書いてください」みたいな感じで振り分けられて。私も今、改めてM.O.P.とかビッグ・Lとか、あと初期のジェイ・Zの作品なんかを聞き流してですね。「いやー……」と唸りながらDJプレミアについて再度、ディグをしてしたためたテキストが掲載されておりますので。ぜひぜひ興味ある方はチェックしてみてください。その中で本当に貴重だなって思うのが……本当に全てが貴重なテキストばかりなんですけれども。illicit tsuboiさんとOMSBくんの「DJプレミアの何がやばいのか?」っていうことをお話している対談の記事であるとか。

あとDJ KAORIさんに……DJ KAORIさん、有名な話だけど一時期、ニューヨークを拠点に活動してらっしゃって。で、そのニューヨーク時期にプレミアと親交が深かったということで。池城美菜子さんが聞き手になってインタビューしたテキストが載ってるんですけど。それも非常に興味深かったし。で、最後に池城さんが書いてらっしゃるんだけど、プリモ語録みたいなのがあって。そこでもですね、やっぱりプレプレミア先生がどのような姿勢でサンプリングをしてるかみたいなことにも重点が置かれたテキストが載ってるんですよね。

で、やっぱりDJプレミアといえばサンプリングって、本当に切っても切り離せないところだと思いますし。昨今、またちょっと……これは個人的に前から思っていたことだし。ヤナさんともちょいちょい話していたんだけど。なんか最近のヒップホップにおけるサンプリングって、私たち世代のサンプリングとはちょっと……これはちょっと含んだ言い方で申し訳ないんですけども。なんか、ちょっと違うのかな? みたいな。そういう個人的なモヤッみたいなのを感じていたんですけれども。私自身も今回、この『DJプレミア完全版』を読んで、「ああ、やっぱりプリモのサンプリングって、そうだよね。うんうん」みたいな発見がありましたので。ヒップホップにおけるサンプリングの美学ってなんぞや? みたいに感じる方。「そもそもなんなんだ?」みたいに思っている方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひこの1月26日に発売になります『DJプレミア完全版』は超おすすめテキストですので、チェックしてみてはいかがでしょうか?っていう感じです。

(DJ YANATAKE)そうですね。僕も90年代、レコード屋で働いてたんで。もうプレミアさんにメシを食わしてもらってたと言っても……プレミアさんとピート・ロックさんに足を向けて寝れないなっていう(笑)。

(渡辺志保)だってみんな、2枚ずつレコードを買っていくんだから(笑)。

(DJ YANATAKE)本当ですよ。本当に日本で一番プレミアのレコードを売ってたんじゃないかな?っていうぐらい、売っていたと思うんですけど。なんで、僕もその本に非常に興味があって。ディスコグラフィーとか、きっとすごいことになってると思うんでね。ちょっとチェックしたいなと思いましたね。

(渡辺志保)超マニアックですよ。だって、プレミアがプロデュースした曲も膨大な数だけど。プレミアがリミックスしただけの曲とか、プレミアがスクラッチで参加しただけの曲のリストとかもあって。すごいんですよ。

昨今のサンプリング問題

(DJ YANATAKE)いいですねー(笑)。でもなんか、そのサンプリングの話で今ね、ちょっと今日とか、Xの方がまあまあ盛り上がっていましたけど。なんつったらいいのかな? 僕もそもそもヒップホップの入りみたいなのがさ、こういうサンプリング文化みたいなところにやられて、みたいなところもあって。なんていうんだろう? そこにはやっぱりクリエイティブがあったからなんだよね。僕はだから、元ネタみたいな方にあんまり走らなかったんだけど。それは「人の音楽なのにいろいろ組み替えたり、ちょっと面白いアイディアを足すことでより、かっこよくなってるじゃん!」みたいなところがすごい好きだったわけで。なんかね、ちょっとそのへんの考え方はたしかに今、ちょっとあれなのかな、なんて……。

(渡辺志保)そうですね。だから別に別に細かく「この曲のここのサンプリングがちょっと……」っていう話ではなくて。たとえば本当に今、ドリル界隈でもさ、ニューヨークとかブルックリンの方のドリルとかもさ、「2000年ぐらいに流行ったこの曲をこういう風に使うんだ」とかさ。ニッキー・ミナージュのヒット曲とかもそうですけど。なんか、もちろん面白いは面白いんだけど、果たしてそれがサンプリングを……「ここでこの曲をサンプリングする必要が絶対にあったから、こういう仕上がりになっているんだろうか? それとも、ただの賑やかしみたいな感じでこのネタを使っているんだろうか? そもそも……」みたいなことを感じることがアメリカのヒップホップのヒット曲でもそうだし、日本のヒップホップの曲聞いていても感じることがあるなと思っていて。ちょっとこのへんの問題といいますか。またね、私もポッドキャストとかでも話したいなという風に思っておりますので。逆にね、「僕は・私はこういう意見です」みたいなものがあれば、ぜひ番組宛にもほしいなという風にも思います。

(DJ YANATAKE)僕的には1回ね、あれはマンハッタンレコードのイベントだったのかな? なんかピート・ロックとプレミアでさ、DJ対決みたいな。あの時、あの楽屋になんで俺はそこにいたのか、わかんないですけど。なんかいて。グールーが亡くなってどれぐらいだったのかな? まあ、亡くなった後だったんですよ。で、恵比寿のリキッドルームの楽屋にいたら、プレミア先生ですね、白いでっかいソファーにいきなりマジックでめちゃくちゃでかく「R.I.P GURU」って書き始めてて。その写真とか俺、まだたぶん俺、携帯に残っていると思うんだよな。

(渡辺志保)そうですよね。私もプレミアさんにもグールーさんにもお会いしたことが過去にはありまして。たぶん一定の年齢よりも上のヒップホップヘッズ、ちょっと関係者気味の方だったらたぶん個人的な思い出みたいなものがあるかと思うんですけど。

(DJ YANATAKE)いろいろとあるよね。

(渡辺志保)だからそういうのもね、自分の中で思い出して、すごい熱い気持ちになっちゃったので。熱い気持ちのまま、今日はお届けしたいと思います。

(DJ YANATAKE)お願いします。

<書き起こしおわり>

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