渡辺志保 Migos Takeoffを追悼する

渡辺志保 Migos Takeoffを追悼する MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんが2022年11月4日放送のbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中で亡くなったMigosのTakeoffを追悼していました。

(渡辺志保)ここでもう1曲、ニュースを紹介するとともに皆様にも楽曲を聞いていただきたいと思うんですけれども。今日はもう、収録をするにあたってこの話をしようと思っていたんですけれども。なんとミーゴスのメンバーの1人、テイクオフが銃弾に倒れるといういたましい事件が起こってしまいました。享年28歳ということで、本当にもう、若いよ! 28歳なんて……撃たれて亡くなってしまったということです。

実は皆様が聞いてくださっているこの番組を収録する前日に私はこの訃報を聞いて「マジか……」と。もう本当に体が固まってしまうぐらいの衝撃を受けたんですけれども。まず、ミーゴスというアトランタ出身の3人組のラップトリオ。その中でも一番の年下メンバーがこのテイクオフだったんですよね。で、事件についてちょっと、あらましをお話します。

現地時間の11月1日の深夜2時30分頃に起きた事件です。地元の警察署には2時34分に「至急、現場に来てください」という電話がかかってきたという風に記者会見では発表されておりました。で、場所なんですけれども、テキサス州ヒューストンのボウリング場で起きた事件ですね。で、すでにいくつか証言があるんですけれども。ダイスゲーム、サイコロゲームをしている途中に口論となり、その結果、少なくとも2名が銃を発砲したのではないかと言われていて。そのうちのひとつの弾がテイクオフの首もしくは頭部に当たったという風に現時点でのニュースでは報道されております。

(渡辺志保)で、このボウリング場なんですけれども、パーティーが行われてたということで。パーティー自体は深夜1時にはもうお開きになっていたんですって。ただ、そこに数名が残ってまだパーティーが続いていた。その場には事件当時は18歳から30歳ぐらいの若者40名ほどが現場にいて、割と賑わっていたというような感じだったそうなんですね。で、テイクオフがその場にいて。かつ、おなじミーゴスのメンバーでもあるクエイヴォもその場所にいたということです。で、クエイヴォどテイクオフなんですけれども、2人はおじさんと甥というリアルな親戚の関係なんですよね。それもあって、2人の絆ってめちゃくちゃ強くて。

最近もその2人、クエイヴォとテイクオフの2人で『Only Built for Infinity Links』という「永遠の絆」というタイトルをつけたコラボアルバムをまさにリリースしたばかり。で、事件が起こった数時間前も、まさにこのアルバムから『Messy』という曲のミュージックビデオが発表されたばかりということで。

(渡辺志保)で、11月1日の未明ということなんですけれども。なんか10月31日ハロウィンの続きみたいな感じですよね。たぶん皆さん、いろんなところでハロウィンのパーティーとかを催していて、そういった現場だったのかなという風にも思うんですけれども。今年、ハロウィンは韓国でも本当に本当にいたましい事件がありましたし。私としては毎年、ハロウィンが来るたびにそうした悲しい事件のことを思い出してしまいそうだなという風にも感じてしまいました。

でですね、この事件を受けて現在、ヒューストンの警察署長トロイ・フィナーさんという方の記者会見がありまして。そこにヒューストン市長も同席してらっしゃったんですけれども。このトロイ・フィナー警察署長、昨年ヒューストンで行われたトラヴィス・スコット主催の『Astroworld』というフェスがありましたよね。そこでも本当に人々が圧死して。10名の犠牲者が出たということがありましたけれども。その時、ヒューストンの警察署長を務めていらっしゃったのもこの同じトロイ・フィナーさんでして。

今回、このテイクオフのニュースの記事を読んでいて、「どこかで見覚えのある名前だな」と思ったら、このトロイ・フィナーさん自身も昨年、『Astroworld』の時にも事件が起こる数時間前にちゃんとトラヴィスに会って。「今日はしっかり頼むよ」という風に言葉を交わしたという、まさにその署長さんだったわけなんですよね。で、今回またいたましい事件があり、彼が記者会見を開いていたわけなんですけれども。もちろん、その事件の概要をお話して、「お母様とお話した。本当にご家族のことを第一に考えてほしい」ということもおっしゃってましたし。

私が印象的だったのはヒップホップコミュニティーに対して、この署長さんが呼びかけていたことです。「ヒューストンには大きなヒップホップシーンがあって、歴史があって。個人的な友人もいる。素晴らしいアーティストもたくさんいる。でも、こういう形で事件が起きてしまい、涙を流すことになってしまう。これはもう本当に終わりにしなければならない」ということをおっしゃっておりました。

で、「ヒューストンはもちろん、全米のヒップホップアーティストに言いたい」ということで。「We have to police ourselves.」っていう風に言っていて。「私たちは自分たちで自分たちの治安を守っていかねばならないんだ。だから頼むよ」というようなことをおっしゃっておりました。そして「ヒューストンのヒップホップコミュニティーにおいても、地元のアーティストと話して、今後こうしたいたましい事件が起こらないように何ができるのか? 何をすべきなのか? ということを話し合いたい」という風にも記者会見でおっしゃっていました。

相次ぐラッパーの銃殺事件

(渡辺志保)でも本当に本当にもう、つらいですよね。ちょうど私もこの間の『ROOM 101』でロサンゼルスの例を出して。で、PnBロックがその時はジュエリーを奪われて、その場で撃たれて殺されてしまったっていうことを話して。そんなことを話したばっかりなのに、またこんな事件かよ……って思ってしまったんですよね。で、その時もJ.I.D.などアトランタのアーティストを抱えている業界の方のお話なんかも引用しましたけれども。もう本当にね、「ダイヤモンド級に売れているアーティストなら、ダイヤモンド級にちゃんと警備をつけてほしい」ということにおっしゃっていて。なんか本当に本当に、なんともいたたまれないなという風に思いますよね。

ことアトランタのヒップホップシーンということで言いますと、今回事件が起きたのはヒューストンですけれども。もちろんミーゴスはアトランタ出身。このテイクオフもアトランタ出身ですけれども。アトランタでは今年の6月にもですね、トラブルというアーティストがこれまた、殺害されるという事件がありまして。トラブルもまた、アトランタをずっと仕切ってきて。ストリートから愛されていたアーティストだったわけですよね。

で、今年はそのトラブルが6月に亡くなり、この11月にはテイクオフが亡くなり……ということで。どうなっちゃうのかな?って思います。その記者会見の内容であるとか、この事件を伝えるニュースの記事なんかにも書かれていましたけれども。もうこんなことで人の命が奪われてしまっていいのか?っていう。市長の方もおっしゃってましたけれども。「ダイスゲーム、サイコロゲームが発端となった口論。そんなことで若い黒人男性の命が奪われていいものか? いや、よくない」ということをおっしゃっていて。本当にその通りだと思います。

以前に紹介したLAの事件における記事に関しましても、やっぱり今、不況が重なって人々が銃を持つ数も増えていて。銃絡みの事件が非常に非常に増えている。そんな中でこうした事件が相次ぐというのは非常に悲しいですし、かつ、才能のあるラッパーの方の訃報をまたこうして知ることになるというのはそろそろやめにしてほしいという風にも感じるところです。

そうそう。ヒューストンの市長の方も記者会見でおっしゃってたのが「自分たちの時代は何か口論が起こったとしても、拳で戦っていた」という。もちろん、それもどうなの?っていうところではありますけれども。「自分たちの時代は拳と拳で戦っていた。黒人同士でも拳で戦ってたんだ。それが今では簡単に銃を取り出して、それで人の命が奪われてしまう。ささいな口喧嘩が人の命を奪ってしまうことになるとは……」という風にもおっしゃってて。それも本当にそうだよなという風に感じてしまいます。

というわけですごく長々としゃべってしまったんですけれども。まだちょっと私も非常に動揺しているところもあって。お伝えする内容が何かグラグラしているのでは? という風に思うんですけれども。改めて、テイクオフ、安らかに眠ってほしいなと思います。というわけで、ここでお届けしたいのは、テイクオフのソロシングルとしても発表された『

Takeoff『Last Memory』

(中略)

(渡辺志保)というわけで、今日は最後に2013年に発表されて。本当にアトランタのトラップカルチャーを世界に広めて、そして世界全体を揺るがしたミーゴスのこの曲で締めたいなと思います。テイクオフ、本当に今までお疲れ様でした。ありがとうという風に、申し伝えたいなと思いますね。ミーゴスの『Versace』です。

Migos『Versace』

<書き起こしおわり>

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