モーリー・ロバートソン 日本の水道民営化を語る

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モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で、法案が国会を通過した日本の水道民営化について話していました。

世界の“水道民営化”の実態―新たな公共水道をめざして

(プチ鹿島)さあ、モーリーさん。気になったニュースは?

(モーリー)やっぱりね、水道です。ここ数日、僕は水道の民営化の案件、これの興味が尽きないんですね。

(プチ鹿島)これ、モーリーさんの話を聞きたいです。

(モーリー)っていうのは、なんでそもそもこういう民営化の話が持ち上がっているのか? 高度経済成長期に日本の人口がどんどん増えていって、若々しかった時代に日本中に水道のインフラを敷いたわけですよね。で、その頃からあまり配管を変えていない。それで近年、あちこちが老朽化してきて急にプシューッと吹き出したり。大阪で地震があった時、やっぱり古くて老朽化した水道管が破裂して、周り一面が水浸しになったことがあったりしたんですね。

(プチ鹿島)うんうん。

(モーリー)なんでこれを今後のインフラ強化でリニューアルしなきゃいけないんだけど、もう到底予算が追いつかない。

(プチ鹿島)お金がかかる。

(モーリー)で、そのお金がかかる背景なんですけど、これが極めて興味深くて。ひとつは少子高齢化ね。そして地方の人たちが特に激減しているんで、そこにどうやってお金をかけてわざわざ配管を、大して人が住んでいないところに作るんだ? みたいな。昔の想定と全然違う、環境設定が変わってしまった。だけどね、もうひとつ大きいのは日本人が70年代以来、もうなんでも節電・節水しまくってきたわけじゃん? もう親から子へ、下手したら孫へ受け継がれたこのきちんとやる習慣で節水しすぎていて。日本人があまりにも効率的に水を使うので、立方メートル(使用量)が少なすぎて従量制では売上にならない。

(プチ鹿島)ああー。

(モーリー)だから赤字。「もっと水を使ってくれなきゃ困るよ」みたいな。だけど、少子高齢化している。使う人口も少ないし、しかもその少ない人口がみんなきちんと使っちゃうんですよ。で、それが仇になってしまっているという、「なんじゃ、そりゃ?」ですよね。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)そこで、公的な予算だと水道料金を上げる、もしくな国なり地方自治体の税金をあてがうってことになって、そういうのってみんなが嫌がるし。それを言って出馬して議員が……「私の公約は水道料金を上げることです!」で圧勝はないよね?

(プチ鹿島)うん、まあそうですよね。

(モーリー)ということで、誰もがみんな口をつぐんでしまった状態で、そこで「どうでしょう? 国際企業の水道メジャーなんかも話に参加させたらいいんじゃないか?」みたいな。ところが、これは90年代ぐらいからもう世界で大騒ぎになっている問題で。先進国……イギリスもフランスも再度水道を公営化しているんですね。

(プチ鹿島)だから、民営化の波はあったんだけど、またそれが公営化になっている。

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民営化した国で何が起きたのか?

(モーリー)で、なにが起きるのか?っていうと、先進国と途上国で2パターンあるんですけども。まず、途上国の方がわかりやすい。たとえばボリビアでアメリカのベクテルという多国籍企業が水道民営化で水の権利を買っちゃったんですよ。そうすると、ボリビアの村人たちの月収に対してべらぼうな金額の水道料金を取られるようになり。それで最後は暴動寸前の抗議デモ。で、たしかこれはナオミ・クラインっていう人が書いた本にあった一説なんですけども。村人は水が高いから、雨水を取るじゃないですか。そうすると、「その雨水にも我々は権利がある」って言われた。

(プチ鹿島)それにもお金がかかるっていう。

(モーリー)そう。「もうライツ(権利)は買っちゃった。いまから降る雨は全部俺たちのもの」みたいな。で、「ふざけるな!」ってなって、その結果、国民的な暴動も含めたデモが起こり、そして左派政権が誕生するんですよ。だからベネズエラのチャベス政権とか、あったじゃないですか? 最近は弱くなってきているけども。右派に転じてきているけど。あの左派の時代のひとつの引き金はベクテルだったっていうね。水って命にかかわるから、電気よりも大切じゃん?

(プチ鹿島)まあ、いちばんね。

(モーリー)それが途上国の形。南アフリカでも似たような問題が起きた。だから途上国では外資がやってきてやる。それで先進国。イギリスとかフランスのパターンや、アメリカのミシガン州フリントではこの前、「鉛毒」が出るっていうのがありましたよね? マイケル・ムーアのホームタウンで。

(プチ鹿島)はい。映画でやっていましたね。

(モーリー)あれなんて、民営化をすると結局、「水を普通プラン(レギュラープラン)からプラチナプランまで水のプランを選べますよ。最初のうち、お試しはタダですよ」とかってやるわけですよ。だからちょっとスマホの契約に似ているっていうか。で、そういう風に水を民営化した結果、貧しい地域や平均所得が低いエリアの人たちはそんなプラチナプランには入ってくれないじゃないですか。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)ということは、その人たちに対して企業は「うちは私企業なんで、損はできませんので。なのでそこは工事、後回ししました。ああ、濁り水? もうちょっと待った。あ、鉛毒ですか? うーん、でももしかしたら、ご自分で鉛を舐められたりしたことはないですか? 訴訟ではうち、負けませんよ」みたいになっちゃったわけよ。で、これが貧富の格差をどんどん生んでいって。そしてイギリスで最近、報道された事例だとイギリスでは格差が激しい国なので、貧困ラインの下にいく病気を抱えたシングルマザーなんかはもうお風呂に入ることを躊躇するんだって。で、トイレで……まあちょっと変な話だけどもあんまり流さないとか。

(プチ鹿島)ためておく。

(モーリー)なんでか?っていうと、1回あたりの使用量が多いから。で、本当に水による格差が激しくなり、いわゆる食べ物が家計しめる割合っていうのはエンゲル係数じゃないですか。その水のエンゲル係数みたいなものが問題になってきて、貧困の人たちがますます圧迫されていくという。で、地域独占なんですよ。大抵が。だからもし、日本のちょっと貧しいエリアで「ああ、濁り水が出ましたね。でもお年寄りしか住んでないから、我慢強くがんばってもらいましょう」みたいな。そういうのでいいの?っていう話があるんですよ。

(プチ鹿島)水ですら格差がついちゃう。値札がついちゃうっていうこと?

(モーリー)そうです。たとえば吉野家の牛丼みたいなものっていうのはある種、80年代以降ね、世代的にもみんなを水平化するものでした。

(プチ鹿島)平等でした。

(モーリー)ところが、同じ吉野家に並んでプラチナ牛丼食べている人がいて。そこはイスもちょっとかっこよくて、みたいな。最終的にはマクドナルドがグランクラスのマクドナルドで、イケメンや美女の人たちが膝をついてオーダーを取りに来てくれる、みたいな。

(プチ鹿島)だから本来は平等だったものが、そういう風になるっていうことですか?

(モーリー)それで前に100円マックが話題になったけど、じゃあ66円マックもあるけど……みたいな。

(プチ鹿島)ちょっと肉の種類も変わってくる、みたいな。

(モーリー)「ちょっと、ええっ!?」みたいな。そういう風にファーストクラスとエコノミークラスにしちゃうの?っていう。

(プチ鹿島)いや、マクドナルドで「ええっ?」って思うようなたとえが水で行われようとしているっていう。

(モーリー)だからそのマクドナルドや吉野家でプラチナプランがあるっておかしいと思えたんだったら、それを水に投影してみてください。それが水道の民営化がもたらすリスクのひとつなんですね。

(プチ鹿島)ねえ。

(モーリー)で、当然、大金持ちはいままでにないぐらいきれいで美味しい水を飲めるんだけども。どこの蛇口をひねっても美味しすぎる水を飲める熊本の方としては、どうですか?

(神田朝香)いや、熊本の人間としては、熊本はもう蛇口をひねればミネラルウォーターなので。いまでさえ、みなさんが買っている水がもったいないって思うぐらいなので。この話はちょっと信じられないです。私には。

(モーリー)ああ、要するにその水道管が老朽化して……かなりの距離があるわけですよ。昔、いっぱい人が住んでいて、人口密度が高かった頃に作られたので。それが人が過疎化して、古くなったりしたのを誰が直すの?っていう話で。

(プチ鹿島)特にね、豪雨とかが夏にあって、「水道、水は重要じゃないか」っていう、そういう話だからね。

(モーリー)だからたとえば、ある地域が被災したりすると、それは復興予算が出るから、ついでに全部水道管を変えたりもするけど。そういう理由じゃなくて、普通に老朽化した場合。災害ではない老朽化の場合はコストがのしかかるっていうことで水道局も悲鳴をあげているわけ。だからこれをどうするか?っていうことなんですよね。本当は社会全体がちょっとずつ……まあ、私の私見を言わせてもらうと、お金持ちが払え!っていう話ですよ。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)という感じでございます。そこで1回、止めておきましょう。

(プチ鹿島)はい。

<書き起こしおわり>

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