モーリー・ロバートソンさんとプチ鹿島さんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』で日本のコンビニが続々と成人向け雑誌の販売中止を決定している件について話していました。
(プチ鹿島)大坂なおみさん、すごいじゃないですか。(全豪オープン)ベスト4。
(モーリー)すごい、すごい。どんどんこれから快進撃。そしてその裏で、いきなりセブンイレブンがエロ雑誌禁止?
(プチ鹿島)ああーっ! いろんな話題がありますから。あれ、どう思います?
(モーリー)あのね、タイミングがどうしてもSPA!の騒動にリンクしているようにしか思えないんですよ。出版社側としてはやっぱり雑誌をやる/やらないっていうのはスタッフへの人情っていうのもあるから、そう簡単に廃刊とか雑誌の中身を全部変えるとかできない。扶桑社としても。だけど、流通している側はもっと早く先を読んで、「この問題が次にどう連鎖するのか?」っていうのを見た時、真っ先に攻撃されるのは……2020年もあるし。
(プチ鹿島)でも、外国人観光客、もしくはアスリートがたくさん来るので、じゃあやめましょうっていうのも、それはそれでどうなんだ?っていう。
BBCニュース – 日本のコンビニ、成人向け雑誌の販売中止へ https://t.co/9QMo79VuKM
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) 2019年1月23日
(モーリー)でね、外国人観光客や外国のアスリートが日本のコンビニにオリンピック期間中に入った時、どれぐらいの確率でエロ雑誌が目に留まるのかな?っていうので私、先ほどリサーチをして。コンビニに行ってきました。
(プチ鹿島)ええっ? コンビニに行ってきた?
(モーリー)コンビニに取材をしたんです。お客さんとして。
(プチ鹿島)ちょっと待ってください。本当は100円のコーヒーをカフェオレかなんかに?(笑)。
(モーリー)150円ぐらいのにしようとしていたっていう(笑)。それもリサーチしないといけない。
(プチ鹿島)あのニュースもなんであんなに大きく扱われたのか謎ですけどもね。
(モーリー)いやー、わかんないけどね。で、コンビニのエロ本の棚。私、ちょっと前にコンビニのエロ本が並んでいるのを見た時は結構、棚1個分だった時代もあるのよ。ところがね、いまは寂しく雑誌2冊。それがスーッと、しかも「成人向け」っていうなんかレール、ついたてがついている。ラーメン屋さんのついたてがついているような感じ?
(プチ鹿島)ありますね。個人で食べる。
中野駅北口にとんこつラーメン店「一蘭」 中野区初出店、名物「味集中カウンター」も https://t.co/lsT2w9E1yJ#一蘭 #ラーメン #とんこつラーメン #nakanokeizai pic.twitter.com/2ylrxPum0X
— 中野経済新聞 (@nakanokeizai) 2016年11月14日
(モーリー)そうなんですよ。だからプライバシーの中で……もちろんそれはそのついたてをこうやって見れば見えるけど。あれを外国人が「なんなんだろう?」って見る可能性は薄いと思った。そして、それがBBCのニュースにまでなっちゃったわけよ。英語のニュースに。そうすると、セブンイレブンさんが答えているのは「エロ雑誌は全体の売上の1%以下なので、別にうちは損じゃないんだ」と。
BBC News – 2020 Olympics: Japanese chains scrap porn magazines https://t.co/mASbY5xbAo
— みやーんZZ (@miyearnzz) 2019年1月24日
(プチ鹿島)売れていない。
(モーリー)そこまではわかるし、2020年という漠然とした節目でここでやめちゃう。ところが、他のコンビニもどんどん追随したわけだ。
(プチ鹿島)そうですよね。だから僕、いろんな声があるじゃないですか。たとえば、じゃあ端っこに置いたとしても、トイレを借りに来た女性とか子供とかがその前を通りたくないという、その意見もわかる。でも一方で、そのエロ本の編集部の方にその読者アンケートを僕、見せてもらったことがあるんですよ。そうするとだいたい、アンケートを書いて寄越すのが50代以上で地方在住の方。つまり、ネットとかはまだ信用してなくて、紙の本を買うんだっていう、そういう人たちの需要はどうなるんだ?っていう。
(モーリー)出会いやロマンスにおいてもちょっと弱者かな? みたいな。
(プチ鹿島)そういう声を聞くと、「それもそうだな」って思うし。どう考えればいいですか?
(モーリー)だからそのある種のセーフティーネットとまではいかないけど、ちょっとロマンスに対して立場が弱い人たちのファンタジーや妄想。そこにはセクシズムとか男尊女卑とかもあるでしょう。でも、その人の、読んでいる人の低い自尊心にチューニングを合わせているとも言えるわけだよ。それを、じゃあ流通はとっても敏感だから。今回の一連のニュースで、とにかく過剰なコンプライアンスも含めてパッと抜いちゃう。そうすると今度はね、「じゃあ、なにがエロ雑誌か?」っていう定義を拡大する余地があるわけ。
定義を拡大解釈する余地がある
(プチ鹿島)そうなんですよ。だから「成人雑誌」っていう風にいま言われていますけども。
(モーリー)「グラビアは? グラビアはそれ、女性に対するステレオタイプだろ?」みたいな。
(プチ鹿島)一般の、僕はオヤジジャーナルって読んでいる雑誌もグラビア、すごいですよ。もう。
(モーリー)そう。だって扶桑社のSPA!のね、グラビアン魂ですら、いまや批判の対象になってきた時、「グラビアン魂は誇りを持ってやっています!」って扶桑社の編集部の人がインタビューでキレ返しているっていう記事も出ているわけ。だからそこはせめぎあいにいま、なっちゃっていて。最初は女子の「やれる女子大ランキング」とかいう明らかにクロなところから、いまやグラビアも、もしかしたら「これは男尊女卑でセクハラでよくないんじゃないか。この構造そのものが……」みたいになって。拡大解釈の余地があった時、流通はそういうことをいちいち議論しない。流通は「リスキーかどうか?」しか考えない。
「グラビアがある雑誌はもう、週刊大衆もアサヒ芸能もやめたわ!」ってなりうるわけよ。その時、その余波がどこまで行くのか? そしてエロ漫画を描いている作家はいつ、どの時点で急激に収入が減るのか? とか。いろいろとね、想像にあまりあるんですよ。これは。
(プチ鹿島)すごいリサーチをしてきましたね。じゃあ。
(モーリー)すごいですよ。わずかこれぐらいの面積をじっと見て、「うん、うん、うん……」って。そこで俺は時流を読んできたんだ(笑)。
(プチ鹿島)というわけで、『水曜日のニュース・ロバートソン』、スタートです。
<書き起こしおわり>