モーリー・ロバートソン トランプ大統領のユダヤ教礼拝堂銃乱射事件への反応を語る

モーリー・ロバートソン トランプ大統領のユダヤ教礼拝堂銃乱射事件への反応を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で中間選挙を目前に控えたドナルド・トランプ大統領によるアメリカ・ピッツバーグで発生したユダヤ教礼拝堂銃乱射事件への反応について話していました。

(モーリー)中間選挙直前なのでトランプ大統領の10月27日のツイートをご覧ください。「All of America is in mourning over the mass murder of Jewish Americans at the Tree of Life Synagogue in Pittsburgh. We pray for those who perished and their loved ones, and our hearts go out to the brave police officers who sustained serious injuries..」。

(モーリー)このツイートの中で「mass murder」っていう言葉が使われているということを後で解説します。日本語訳をすると「ピッツバーグのユダヤ教礼拝堂、ツリー・オブ・ライフのユダヤ系アメリカ人に対する大量殺人(mass murder)へ全米が哀悼の意を捧げている。犠牲者と彼らの愛する人、そして重症を負った勇敢なる警官に心からの祈りを」っていうので次のツイートに続くんですけども。

(プチ鹿島)はい。

(モーリー)この「mass murder(大量殺人)」。これね、「terror(テロ)」とは呼んでいないの。それはなぜか? NRA(全米ライフル協会)のため。「これは不心得なものが銃で乱射をした。でも、そこにみんなが銃で武装して待ち構えていれば乱射は食い止められていたはずだ」っていうことをNRAの人は毎回、お約束で言うんですよ。そのスピーチをそっくり英語で「parroting」。「parrot(オウム)」に「ing」がついた動詞です。オウムのように繰り返すトランプ大統領なんですね。ですからこれ、「mass murder」っていうフレーズを使ったこと自体が「銃規制はやらないぞ」と自分の支持者に中間選挙前に言っているんですよ。つまり、こんな嘆かわしい、哀悼の意を表しているツイートの中でも、「哀悼の意を表します(銃は絶対に規制しないぞ)」みたいに、支持層へのメッセージがエンベッド(埋め込み)されている。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)この暗号を解読するっていうのがとても大事なんですね。そしてトランプ大統領の様々なツイート。特に炎上ツイートが有名になりがちなんですけど、日本語に翻訳がされた時には抜け落ちがちなものが一つあるんです。それはトランプさんの陰謀論者に対する「目配せ(ウィンク)」なんですよ。日本語のウィンクって、「今夜、どう?(ウィンク)」みたいな感じなんですけど、英語のウィンクっていうのは「直接的には人種差別は言わない。だけど差別をしている君の気持ちはよくわかる」みたいな、こういうのがウィンクって言うんですよ。

つまり、直接言ってしまうと自分がアメリカの大統領として不公平な人たちに加担したことになるからいけないんだけど、たとえば白人至上主義者とそれに抗議する人たちが1年前にシャーロッツビルで衝突した事件。そこで白人至上主義者が抗議する人たちの中へ車で突っ込んで、轢き殺してしまった事件がありましたよね? それで容疑者は白人至上主義者だったんだけども、「双方で暴力沙汰があった」という風にトランプは言ったんですよ。

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それが、白人至上主義者へのウィンクとされているんですね。さて、この乱射をした容疑者なんですけども、かねてよりソーシャルメディアで反ユダヤ的な主張をしていた。そしてこの「反ユダヤ」がどうしてトランプ支持と、どこかで間接的に結びつくのか? 簡単に短絡的に考えちゃうと、「あれ? トランプの娘婿のクシュナーさんはユダヤ教だし、娘のイヴァンカさんもユダヤ教に改宗しているんだから、トランプさんは反ユダヤなわけがない。イスラエルを支持しているじゃないか!」みたいになるわけですよ。それがウィンクなんです。トランプさんの支持層の中にはキリスト教福音派、銃規制反対派、中絶反対派、そして陰謀論者という大きな票田があるわけです。これをトランプさんは絶えず、大事にかわいがり続けている。Qアノンの時も結局、Qアノン信者が喜びそうな発言をしています。

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それで、こういうユダヤ教礼拝堂銃乱射事件以外にも、中間選挙直前に立て続けに事件が起きているのでちょっと見てみましょう。で、狂信的トランプ信者による連続パイプ爆弾事件でヒラリー・クリントン、バラク・オバマ、CNN支局に相次いでパイプ爆弾が送られました。そして、それと前後してケンタッキー州のスーパーマーケットで白人が黒人を射殺しました。そして、このピッツバーグで銃乱射事件があった。これ、人種差別的なところで結びつくんですけど、ここの中で出てこないのがパイプ爆弾の送りつけ先っていうのが(大物投資家の)ジョージ・ソロス。「ソロス」っていうのが陰謀論者の中では共通のバスステーションになっているんですよ。新宿駅みたいな感じなの。

陰謀論者の共通の敵「ジョージ・ソロス」

どうしてか?っていうと、グローバリズム=ジョージ・ソロスとされているんですね。ソロスさんは富豪。そして彼はリベラルな政治団体に多大な献金をし、民主党にも献金をして支持をしていて反トランプなんですよ。ところがソロスさんはユダヤ人でもあるんですね。そこで、ネオナチの人たちは「ユダヤ人め!」って言うとマスメディアは取り上げてくれない。ところが、「ユダヤ人ではなくてグローバリズムを我々は批判しているんだ!」っていう風にちょっと変えたんですよ。ウィンクしたんです。そうすると、それ以降すべての白人至上主義者はネットの陰謀論者と合流して「ソロスが悪い! ソロスのグローバリズムがアメリカを弱くしている!」と。そして、そのいちばん最近出てきたネタ、ユダヤ教礼拝堂乱射をした人が信じていたのが「白人虐殺計画」っていうのがあるんです。陰謀論です。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)ソロスが手引きをして、ホンジュラスから徒歩で何千人もの経済難民がアメリカの国境に向かっている。彼らはいずれそれを突破してしまうだろう。そうすると、アメリカは不法移民だらけになる。その人たちは出生率が高い。だから(アメリカ国籍付与の)出生地主義は排除すべきだ。この人たちは子供を産む爆弾なんだ。少しずつ少しずつ白人は少子化していって、最後には堰を切ったように白人がいなくなってしまう。これはスローな白人の安楽死に他ならない。それを後ろで手引きしているのがジョージ・ソロス、グローバリズム、ユダヤ人なんだ!っていう風につながっていくんですよ。

(プチ鹿島)はー!

(モーリー)それをこの方は信じていたんです。つまり、全てのアメリカのネットの陰謀論っていうのはそこへと流れ込んで。どこかでかならず「反ユダヤ」が出てきてしまう。ここにトランプさんは「私はユダヤ人を守っている」と言いつつも、ウィンクしている。それが中間選挙のポイントとして見ておいてください。以上です。

<書き起こしおわり>

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