モーリー・ロバートソン インド・ヒンドゥー教寺院への女性参拝禁止問題を語る

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モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で、インド南部のサブリマラ寺院へ参拝しようとした女性活動家が逮捕された事件についてトーク。その背景にあるヒンドゥー原理主義とムスリム・ヘイト、「#MeToo」ムーブメントなどについて解説していました。

(モーリー)今日は普段あまり取り上げない地域の話題をモーリー流にお届けしましょう。BBCニュースワールドの11月29日のツイートです。こちら、どうぞ。「Sabarimala: India activist held for ‘explicit’ thigh photo」ですね。

英語を読んでみましょう。「An Indian woman who made an unsuccessful attempt last month to enter one of Hinduism’s holiest temples……」っていう。これね、英語があんまりわからない人でもキーワードで結構当てられるんですよ。まず「Hinduism」。ヒンドゥーと言えばインドかな?ってわかるでしょう。で、「thigh」っていうのは「太もも」なんだけど。これ、なんかおかしくない?っていうことで、ちょっとセクシーすぎる。で、やっぱり名前。「Fathima(ファティマ)」。これはムスリム系の名前なんだよね。

ということで、日本語の訳を見てみましょう。「サバリマラ:インドの活動家が生々しい太ももの写真により拘束された」という。これが記事の見出し。それで、「活動家のレファナ・ファティマさんは太ももの写真によって逮捕された。彼女は先月、ヒンドゥー教のもっとも神聖な寺院のひとつに入ることができなかった」っていう。「えっ、なに? 太ももをあらわにして寺院に入ろうとしたの? 不謹慎じゃん!」ってこの日本語だけだと思うわけですよ。そこで、背景を説明いたしましょう。

これ、このサバリマラ寺院で押し問答がずっと続いていたの。その中でちょっとフェミニストの活動家が多少挑発的にフェイスブックにこの太ももを出した写真を載せたんですね。で、この太ももを出したポーズっていうのはヒンドゥー寺院の中にある神様の体のポーズとちょっと似ていて、オマージュしているっていうことなんですよ。そして着ている黒い服は女性の巡礼者が着る服なんだけども。最初にも言いましたが、実は彼女はムスリムなんですね。

だから要は、宗教を超えてどっちかっていうとジェンダー、男女の格差とか男尊女卑があってヒンドゥーの寺院に入れてもらえない。そこに対する抗議活動だったわけ。で、護衛付きで寺院に入ろうとしたら妨害されたんだけど。このサバリマラっていうのは南インドにあるヒンドゥー教の中でももっとも神聖とされている寺院のひとつなんですね。1年のうちで決まった期間だけしか中に入ることができない。それでその祭典が行われる期間、ヒンドゥー教徒は熱狂的なんで3、400万人がやってくる。で、2001年には巡礼者が将棋倒しになるほど入っちゃって、100人以上が死んだという。

インドを語る時、人口は10億人クラスなんですよね。そしてとにかく群衆が起こりやすい。熱くなりやすい。ということで、将棋倒しで人が圧死したりとか、結構痛ましいことなんだけどもある種日常の中に組み込まれているのかな?っていう。こういう死亡事故が。で、とにかくそれぐらい神聖な寺院です。そもそもヒンドゥー教は女性の生理、月経を不浄(汚れたもの)としていて、サバリマラ寺院をはじめヒンドゥー教の寺院には月経年齢……つまり、初潮から閉経まで。だいたい10歳から51歳ぐらいまでの女性は基本的に入れない。女人禁制なんですよ。

で、しかし、これがやっぱり月経でそれが宗教だからっていうことで入る場所がダメになるっていうのはおかしいだろう?っていう。これは日本の相撲の土俵にもちょっとつながってくるお話なんだけども。結局ね、いろんな人たちが訴えを起こしました。それでインドの最高裁判所が「女性が寺院に立ち入ることを禁止するのは違法」という判決を出したわけですね。で、法律上は、いわゆる月経年齢の女性も寺院に入ることができるようになったわけなんですけども。

しかし、いまインドではいつになく強硬派の原理主義的なヒンドゥー教がうずまいています。で、寺院の入口に立ちはだかるなどして、だんだん暴力的になっていったので、ファティマさんが警察の護衛付きで入ろうとしても、もうとてもじゃないけど入れない。そんな押し問答をやっている最中に彼女はちょっと挑発的に……ヒンドゥーってすごく性的なタブーも強いわけですよね。なんで、こういうことをやって。「私、女だけど何か?」みたいにやっちゃったら、宗教を傷つけたこと、ヒンドゥー教徒の宗教信仰心を侮辱したっていう罪とあとは過剰な露出っていう2つの罪で、警察が逮捕をしたんです。職場にやってきて、逮捕されたの。

それで、22時間前に出たニュースを見たら、拘束されている彼女が保釈要求を出したんだけど、却下。そのまま。だから、すごく厳しくされている。で、いま彼女は自分を雇っている会社……IT系だったかと思うんですけど、その会社も休職状態。で、有罪になるとたぶんクビにされる。っていうぐらい、もう理不尽にどんどんどんどん叩かれまくっているわけですよ。

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WeChatで広がるヒンドゥー原理主義

それで、この背景には何があるのか? なんですよね。別にジェンダーとか女性の「#MeToo」とかももちろんある。そしてネットが広がっているのもある。ところが、ネットはWeChatみたいなもの(LINEのようなメッセンジャーアプリ)がインドでは一般的なんですけども。WeChatでなにが広がっているのか?っていうと、ヒンドゥー原理主義。そして1億7600万人いるムスリム。インドの人口10億人の中では14.4%ぐらい。この人たちへのヘイト、憎しみがロヒンギャと似たような感じで、ヒンドゥーからムスリムへのヘイトがWeChatでどんどん広がる。

「あそこで(ヒンドゥー教では神聖な動物の)牛を殺したやつがいる!」って群衆が集まっていって。「誰だ、牛を殺したやつは!」ってなる。それで、政教分離ってあるじゃないですか。宗教と政治は別にしなきゃいけない。法律を宗教で縛ってはならないっていう民主主義の原則がインドにはあるんだけども、年々だんだんといろんな諸事情で……まあ貧困もそれを裏打ちしているんですが。だんだんと熱烈な信仰心を持つ人たちが増えてきて。そしてヒンドゥー原理主義の結果、「牛を殺してはいけない」という法律をいままでは裁判所が「その法律はあるけども、不活発でミュートをかけましょう」としていた。

ところが、最近その名前を変えたの。「動物愛護法」って。「動物虐待禁止だよ。牛は殴ってもダメだよ」っていう。で、牛を手がけるのは、ヒンドゥー教徒じゃなくてムスリムなんですよ。彼らは豚を食べえちゃいけない。だから「牛を食べるのはムスリム」って決まっているわけ。ムスリムとほんの一部のシーク教徒。あ、ごめん。シークも食べ物のタブーはあったかもしれないけど。キリスト教徒は牛、食べますよね。だから要は、ヒンドゥー教以外の異教徒が牛を食べるっていうわけ。

で、それを半ば州のレベルで非合法化し始めたわけですよ。ということは、肉を食べたいけども合法で手に入らない。すると、闇になりますよね。いままでの合法業者が闇業者になって、こっそりその屠畜した牛の肉とかを体ごとトラックにつめて夜、運ぼうとする。それを見つけた人がWeChatで「あいつら、牛を殺しているぞ!」って群衆が襲いかかる。こういうヒンドゥー原理主義をいまの与党のBJP(インド人民党)という政党が煽っているんです。

それで、ヒンドゥー・ナショナリズム。これが背景にある中で、そこの「#MeToo」もオーバーレイしちゃったんで、まあこじれにこじれている状態で。彼女はしかもムスリムだということもあり、さまざまな感情……もうフェイスブックではレイプ予告も来ているという、そういうひどい言葉の性暴力をヒンドゥー原理主義と思われる人から受けているというぐらい。だから本当にこじれにこじれまくっているんだよ。

そこにいま、ネットがつながると、そういう感情も渦巻くけど、「#MeToo」も浸透して、いまぶつかり中。これがいま現在の姿でした。以上です。

<書き起こしおわり>

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