モーリー・ロバートソン トランプ政権暴露本『Fear:Trump in the White House』を語る

モーリー・ロバートソン トランプ政権暴露本『Fear:Trump in the White House』を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

モーリー・ロバートソンさんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中で、ニクソン大統領のウォーターゲート事件を暴いた大物ジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏が書いたドナルド・トランプ大統領の暴露本『Fear: Trump in the White House』について話していました。

Fear: Trump in the White House

(プチ鹿島)モーリーさんは気になったニュースは?

(モーリー)あの、トランプが、北朝鮮が……って思いきや、このトランプ大統領を暴露する新著で(シリア・アサド大統領)の暗殺を要求したっていうのがあって。

(プチ鹿島)これ、気になりますね。この本ね。

(モーリー)ちょっと背景だけ軽く説明しておくと著者はボブ・ウッドワードさんという、かつてニクソン大統領のウォーターゲート事件を暴いたコンビの1人なんですね。ワシントン・ポストの。

(プチ鹿島)っていうことは、めちゃくちゃ大御所っていうことですか?

(モーリー)大御所です。高齢のジャーナリストでずっと現役を続けてきた人なんですが。まさかまたウッドワードが本を書くなんてっていう感じだったんですよ。最初にこういう本を書くかもしれないっていうほのめかしを事前にしていた時期もあったんです。で、その頃は『炎と怒り トランプ政権の内幕』っていう、タブロイド紙的にあることないことを書いたちょっとセンセーショナルな本がありましたよね。それが大ヒットしていたので、ウッドワードさんも「もしかしたら本を書くかも」っていうような含みある発言をしているんですよ。

(プチ鹿島)ほう。

(モーリー)それがこの中間選挙直前のタイミングで出てきている。そしてウッドワードさんはなにしろニクソンの不正を着実に暴いた人ですよね。そして今回も絶対匿名を条件にいろんなインサイダーに足繁くインタビューをしています。ですから正規のジャーナリズムの手順を踏んでかなり裏取りをした本だと思われるわけですよ。

(プチ鹿島)うん。

(モーリー)ところが、トランプ大統領に真正面から取材を申し込んで、断られてはいるんです。ということは、トランプ陣営はこの本が出ることを知っている。ということは、ちょっと先回りして考えて、あえて匿名の人がわざわざウッドワードさんにガセネタを2、3本掴ませて、とんでもない事実と異なることを本の中に含ませることで本そのものの信憑性を……出すことを止めることはできないから、信憑性を沈没させるという作戦に出ているということも考えられる。

(プチ鹿島)あの正規の手順を踏んだ取材による事実もあるんだけど……。

(モーリー)だから匿名を条件に発言しているから、あとでガセネタを掴まれたと言っても誰がガセネタを言ったということは契約上、ウッドワードさんは言えないんですよ。そこを逆手に取って、もし僕がロシアだったらやるなっていう考え方。

(プチ鹿島)ほー!

(モーリー)だから今回は非常に冷静沈着なメソッドを持った取材がなされていることは期待できる。ところがそういう風にとんでもない嘘が2、3個仕込まれている可能性もあるので、手放しで「トランプさんの真実をとうとう内部者が暴露! マチスさんがこう言った!」っていうことにはならない。ただ、中間選挙前に非常に敏感にそれに反応する人もいるので。これを読んで民主党支持で思いっきり投票をする人たちが増えるかもしれない。

(プチ鹿島)うん。

中間選挙前の状況

(モーリー)もうひとつ、同じ時期に反対陣営のかつてのビル・クリントン大統領の秘書モニカ・ルインスキーとの不倫問題を追求した検察官だったケネス・スターという人、彼もいま、本を出しています。ビル・クリントンを追求した時にいかにクリントン陣営がそれを隠蔽しにかかったかということを詳しく書いた当時のメモを復元した本を出しているんですよ。で、これは当然反クリントンなので間接的に敵の敵は友ということでトランプ応援団になる。ということで、トランプの応援団はその本を買うし、反トランプの人たちはこの本を買うわけですよ。

(プチ鹿島)なるほどね!

(モーリー)そして中間選挙、いざ関ヶ原!っていうことになるわけね。そういう背景があるということを知った上でこの本が出てきた時、日本語訳を読まれると面白いのではないかと思います。

(プチ鹿島)ウッドワードさんというのはじゃあ、わかりやすくいうと『田中角栄研究―その金脈と人脈』を書いた立花隆さんが、じゃああれから30年、40年たっていまの安倍さんとかの本をまた書いたような、そういうイメージ?

(モーリー)いや、ちょっと違うんじゃないかな? 立花隆さんが選考委員をやった、井田真木子さんが大宅壮一ノンフィクション賞を取った時、立花さんが最後まで反発をしていたっていう。

(プチ鹿島)『プロレス少女伝説』で。

(モーリー)っていうような井田真木子さん側の意見をドライバーとして聞いていた時、「あの人はすごい男尊女卑なんですよ」とか「選考委員の途中で『俺は帰る!』とかって言っていなくなっちゃった」とか、そういうネガキャンを聞いているので。

(プチ鹿島)まあ「プロレスというものを題材にするノンフィクションなんて俺は認めない」っていう。

(モーリー)ということで、なんとなく純潔で器が小さいような印象を私は持っているので。ウッドワードって偉大な大物っていう……。

(プチ鹿島)ああ、ビッグネーム的な部分っていうことで。

(モーリー)ああ、ビッグネーム的な部分ね。絶対比較ではなく相対比較であれば同じです。

(プチ鹿島)だから「あの大御所がまた書き出した」っていう、そういうことですね。

(モーリー)「あの人がまた書いた!」っていうような本なんですけども。切れ味は全く衰えていない。ちょっと読みましたけども、文体はすごいです。

<書き起こしおわり>

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