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渡辺志保 2018年6月USヒップホップ・歴史的リリースラッシュを語る

渡辺志保 2018年6月USヒップホップ・歴史的リリースラッシュを語る INSIDE OUT
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渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で2018年5月末から6月末にかけて起きたアメリカのヒップホップの歴史的リリースラッシュを総まとめ。カニエ・ウェスト関連の5作品、ジェイ・Z&ビヨンセのカーター夫妻、そしてドレイクのアルバムなどを振り返っていました。

(渡辺志保)2018年の5月の最終週から6月の最終週にかけてがもうね、ヒップホップが商業ベースになって3、40年経ちますけれども。その中でも本当に歴史的な、もう耳がいくつあっても足りない! 脳みそがいくつあっても処理しきれない!っていうぐらいのヒップホップのビッグタイトル、メジャータイトルがリリースされた、すごく非常に歴史的な1ヶ月間であったということをただ述べたくて(笑)。

(DJ YANATAKE)いや、俺も長くヒップホップ聞いてますけど、こんな1ヶ月は本当になかったんじゃないかなっていう。

(渡辺志保)なかった! しかも、いまちょっとヤナタケさんとオフエアーのところで話していましたけど、消化が追いつかないですよね。本当に。聞くことはもちろんできるけどさ、「これはどういう意味なんだ?」とか、そういう消化が全然追いつかなくて。どうなってるんだ!っていう感じなんですけど。

(DJ YANATAKE)でも、いまがいちばん面白い!って言いたいっていうのはありますよね。

(渡辺志保と)本当にそうなのよ。でもって、ちょっと時系列で追って話したいなと。この『INSIDE OUT』ではと思ってまして。いま、後ろでもかかっているプシャ・Tが5月28日、アルバム『Daytona』をリリースした。かつ、この『Daytona』はただのプシャ・Tの新作ではなくてですね、G.O.O.D.ミュージックというカニエ・ウェストが立ち上げたレーベルの5週連続リリース企画の一発目を飾るアルバムという。かつ、この5週連続企画においては共通点が全部あって。まずはカニエ・ウェストが全曲を手掛ける。そして収録曲は全て7曲・・ちょっと最後ね、蓋を開けてみたら1作例外があったんですけど。基本的には全て7曲入りのカニエ・ウェストが全曲プロデュースする。

それを同じレーベルから毎週1枚ずつアルバムを出すっていう壮大な企画だったんですね。で、その5週連続企画の第1弾がこのプシャ・Tだった。『Daytona』というアルバムで、もうジャケット写真もね、カニエ・ウェストが直前になって変えたって言われてますけども。故ホイットニー・ヒューストンのバスルームをで撮影した、すごくおどろおどろしい写真ではあるんですけども。

DAYTONA [Explicit]
Posted at 2018.7.6
プッシャ・T
Getting Out Our Dreams, Inc./Def Jam Recordings

それが発売されたという。で、ですね、このアルバム、プシャ・Tのラッパーとしてのスキルっていうのもすごく遺憾なく発揮されているし、かつカニエ・ウェスト・サウンドとの相性もめちゃめちゃいいなと思ったアルバムなんだけど。まあ、何が話題になったかと言いますとですね、まあドレイクとのビーフなんですね。で、もともとプシャ・Tとドレイクの間にはビーフがあって。というか、もっと言うとG.O.O.D.ミュージックのプシャ・T VS ヤング・マネーですよね。プシャ・Tがちょいちょいリル・ウェインとかタイガとかね、そいつらのことをディスってまして。で、そのビーフっていうのが大体2012年ぐらいですかね。激化したのは。『Exodus』っていう曲をプシャ・Tが放ちまして、そこから激化して行ったんですけども。

まあ、そこからずっと続くビーフではあります。で、この『Daytona』に収録された『Infrared』っていう最後に入ってる曲があるんだけど、そこでドレイクのこと激しく攻撃したんですよ。で、ちなみに序盤から「The bigger question is how the Russians did it It was written like Nas, but it came from Quentin」っていうリリックがありまして。「ロシアが隠してるよりもでかい疑惑がある。ナズみたいに書かれたリリック(『It was written』)」っていうのがあって。『It was written』っていうのはナズの有名なアルバムの名前でもあるんですけど、それにかけていて。

It Was Written
Posted at 2018.7.6
ナズ
Sony Music Japan International Inc.

で、「ナズみたいに書かれたリリック、それってクエンティンが書いたんだろ?」っていう、そういうリリックがあります。で、「クエンティンが書いた」っていうだけで結構ヒップホップファンは「わっ、あのことだ!」って思っちゃうんだけど、それはなにかと言うと、ドレイクの『10 Bands』っていうそこそこヒットした曲がありますが。その『10 Bands』というのはクエンティン・ミラーというアトランタのラッパーがゴーストライトィングしたっていうね。それをファンクマスター・フレックスがワーッとラジオで言ったっていう経緯がありまして。それをばっちり曲で言っちゃってるのがこの『Daytona』に収録された『Infrared』っていう曲なんですね。ちょっとこれ、最初に聞いてもらおうかな。最初のリリック、最初のバースが結構パンチあるんで、ちょっと聞いてみてください。プシャ・Tで『Infrared』。

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Pusha T『Infrared』

いまお聞きいただいておりますのはプシャ・Tの最新アルバム『Daytona』の中から『Infrared』。最初の方にね、ナズとかクエンティンとか言っていたのがもしかしたら聞こえたかもしれないですけども。これでドレイクのことめっちゃディスっている。かつ、すごい業界全体のことをディスっていて。「それでもJ・コールとかケンドリック・ラマーのことはOKだと思ってます」みたいな、そういうスタンスでラップをしてるんですけれども。

で、その後ですね、すぐにドレイクがアンサー楽曲『Duppy Freestyle』っていうのをリリースしまして。そこで結構ね、ドレイクはいつものドレイクっぽい理詰め系っていうかね、ミーク・ミルに当てた『Back To Back』みたいな感じの理詰め系ディス・アンサーソングを出しまして。そこでは「プシャ・Tのビートを作っているカニエの仕事も俺が手伝ってるんだから、そんなふうに攻撃したら後悔するぜ」みたいなこと言っていたりとか。「いまは別にお前ドラッグディールで稼いでるわけじゃないのに、何でそんな風にいまもドラッグディーラーとして振る舞ってるの? おかしくない? お前が稼いでるのってアディダスとか、そういうファッションの仕事で稼いでんだろう?」っていう風に言ってたりとか。

あとはスティーブン・ビクターさんというですね、G.O.O.D.ミュージックにずっと尽力してるユニバーサルのすごい敏腕社員の人がいるんですけども。彼の名前をプシャ・Tももともと自分の曲で出してたんだけど、「なんでそんなスティーブンの言うことばっかり聞いてんの? そいつの言いなりなのか?」みたいなことを言っていたりとか。それですね、結構これがトリガーになったっていうラインがあるんですけれども。「俺の名前で遊んでればいいよ。そしたら……And I’ma let it ring on you like Virginia Williams(そしたらヴァージニア・ウィリアムズみたいにお前にリングをくれてやるよ)」っていうAバースをパッとドレイクがラップしまして。で、その後に「あなたのキャリアを助けた代金として請求します」みたいな感じでご丁寧にさ、請求書のPDF画像みたいなのをドレイクが自分のインスタグラムにあげて。

それでまたワーッてなりましたけれども。まあそのさっき言ったライン。ヴァージニア・ウィリアムズっていう子の名前を出してドレイクがラップしたんですけど、それがですね、プシャ・Tの大きな引き金をひいてしまいまして。このヴァージニア・ウィリアムズって誰なのか?っていうと、プシャ・Tがすでに婚約宣言をしたフィアンセなんですよね。で、誰でもそうだと思うけどさ、自分とのビーフなのに自分の家族とか自分のフィアンセとか自分の恋人、自分の子供とかにその矛先が向かったら怒るのは多分誰でも当たり前だと思うんですよ。それでプシャ・Tはめっちゃ怒っちゃって。で、その後に『The Story Of Adidon』っていう、これがまたね本当にもう殺傷能力120みたいな感じのアンサーソングをさらに出しまして。

で、そこでドレイクに隠し子がいること。かつ、ベイビーママ、ドレイクの隠し子と言われてる男の子のお母さんはポルノ女優なんですけども。その方の本名っていうか名前もバシッと言ってたりとか。あと、ドレイクがずっと一緒に仕事してるプロデューサーのノア・40・シェビブのことも……彼は持病があるんですけれど、それについてラップしてたりとか。あとドレイクのね、お父さん・お母さんについてもちょっと侮辱するようなラインをカマしまして。本当に、「ここまで言うか!」みたいな。しかもジャケットに選んだのは、いわゆるドレイクがブラックフェイスをね、模している写真。で、ブラックフェイスって本当にいまのアメリカ社会ではもうありえない!っていう感じで。

何かって言うと、わざと顔を黒く塗ってちょっとおどけて見せるような写真だったりするんですけども。ドレイクが実際に自分のアイデアでそういう写真を過去に撮っていたっていうのですね――本当にプシャ・Tはどこから探してきたんでしょうか?って感じがするんですけど――それをジャケット写真に持ってきて、めちゃめちゃ殺傷能力の高い『The Story Of Adidon』っていうのをリリースしたというのが事の経緯でございます。

ちなみにこの『The Story Of Adidon』がリリースされた数時間後に私、そのタイミングでたまたまニューヨークにステイしていて。その数時間後にエイサップ・グルーのプロデューサーの子とかドリーム・ビルのプロデューサーの子とかと話してたんですけど。これ、前もね、ここで話した気もするけど、みんなさ、リリースされている3、4時間ぐらいに会ってるんだけど、みんなすごい曲の話をしてるのよ。やっぱり。で、会ってすぐに「おっ、surgical summer来た!」みたいな。で、その「surgical summer」っていうのも曲の冒頭でプシャ・Tがそういう風に言っているんだけども。「今年は危険な夏だ!」みたいなことを言っていて。それでみんな「Aye!」みたいになっちゃって。

で、私もそんな「自分はどういう仕事してます」とかって言ってもいないのに、「あのラインはどう思った?」とかって話しかけられて。で、私もちゃんと聞いてラップ・ジーニアスとか見てたから良かったけどさ、すごい普通にそういう風に聞かれて。で、「まあでもあそこはとにかく……今回の『The Story Of Adidon』はプシャ・Tにとってはプシャ・Tのリリックの素晴らしさっていうよりは、とにかく彼もゴシップをラップすることに徹してるだけだから、あんまり美しさはないよね」みたいな。そういう話をしたりとかしていて。うわっ、すげえっていう感じだったんですけども。

まあそういった流れがあった。かつ、この曲が出てから、あのアイス・キューブもラジオに出て「ドレイクのピークは終わったと思う」みたいな、そういう話をしてたりとか。で、やっぱりそのブラックフェイスの問題もあったり、隠し子の問題もあったりで一気に世論としてはドレイクの株がめちゃめちゃ下がったっていうような状況になったんですよ。で、そこでドレイクが今度どう出るか?っていうところだったんですけど、ヒューストンのラップ・ア・ロットという老舗レーベルのヘッドであるJ・プリンスも「ドレイクにはもうこれ以上アンサーをすぐにしない方がいいですよ」っていうアドバイスをしていたりとか。

なのでここで一旦、あのドレイクとプシャ・Tのビーフってのは、ちょっとわずかの間休戦をするっていう形になるんですよね。なんだけど、もうこのドレイクとプシャ・Tのビーフの話題が吹っ飛んじゃうぐらい、その次の週にいよいよカニエ・ウェストさんのアルバムが控えていたりもして。また本当に追いつくのが大変という感じですけど。ドレイクとのビーフの話題も冷めやらぬ中、今度は舞台がワイオミングへと移りまして。そこでカニエ・ウェストが最新アルバム『ye』のリリースイベントを行うと。かつ、ワイオミングのジャクソンビルというとこだったか? 本当に山しかないみたいな、それでめっちゃ寒い山しかないっていうところで、そこでキャンプファイヤーをしながらみんなでリリースパーティーするという。

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