渡辺志保 J・コールのケンドリック・ラマーへの謝罪を語る

渡辺志保 J・コールのケンドリック・ラマーへの謝罪を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんが2024年4月8日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でJ・コールがケンドリック・ラマーからのディスへのアンサー曲を発表するも、一転して謝罪したことについて話していました。

(渡辺志保)片や、アメリカのヒップホップシーンはどうなっているかといいますと……。

(DJ YANATAKE)目まぐるしいね!

(渡辺志保)いやいや、今日の午前中いっぱいも何が何だか、みたいな。「ちょっと情報を整理させてくれ!」と自分で小休止を挟みつつ、いろいろ追っていたんですけど。まず、この番組でもちょっと前にお話しましたけれども。フューチャーとメトロ・ブーミンのコラボアルバム『WE DON’T TRUST YOU』の中に『Like That』というケンドリック・ラマーが参加した曲があって。そこでケンドリックがむちゃくちゃドレイクのことをディスっていて。かつ、J・コールのこともディスっているというわけで。ここの番組でも取り上げたし、世界中のヘッズが「これからどんなるんや?」という風に固唾をのんで見守っていたんですが。

先週の金曜日、4月5日にJ・コールがいきなりミックステープ的な、アルバム的な、EP的な……『Might Delete Later』というタイトルの12曲入りの作品をリリースしました。で、おわかりかと思うんだが、『Might Delete Later』というフレーズは「もしかしたら後で消すかも?」みたいな。インスタとかXでポストする時に結構皆さんも使うこともあるかもしんないけど。「ちょっとポスト、後で消す」みたいな。ちょっとエクスキューズみたいな感じで使うことがあるんじゃないかなと思うフレーズなんですが。その12曲入りのプロジェクトを発表して。その一番最後に『7 Minute Drill』という曲が収録されておりまして。これが自分のことをディスったケンドリック・ラマーへのアンサーになっている。

『7 Minute Drill』

(渡辺志保)で、このタイトルの『7 Minute Drill』って「7分間の練習」っていう意味なんですけど。これはJ・コールが元々、自分に課してるラップが上手くなる方法みたいな。7分間にどんだけ曲が書けるか。7分間の間にどんだけリリックが書けるかっていうのを自分に課しているそうなんですよね。なので、このケンドリックのアンサーもだから7分間の、自分にとっては練習レベルの、腕慣らしみたいな感じでサラッとアンサーを書きましたみたいな感じの内容になっていると。でですね、非常に話題になっているリリックがあるんですけれども。最初、コーラス。フック部分から始まってその後、バースが続くわけなんですけれども。そこで「Your first shit was classic, your last shit was tragic Your second shit put n*ggas to sleep, but they gassed it Your third shit was massive and that was your prime」っていうリリックがありまして。

「ファーストアルバムの『good kid, m.A.A.d city 』はクラシックだったけどラストシット(最新作『Mr. Morale & the Big Steppers』)はマジで悲劇的にダメなアルバムだった。セカンドアルバムのTPAB(『To Pimp A Butterfly』)はめちゃめちゃ退屈だったし、だったし3枚目のアルバム『DAMN.』がお前の一番最高潮の時期だったな」というようなことをおっしゃっておりまして。あと、「12年でアルバム4枚かよ? 俺はその倍ぐらい作品を出してるから、俺のを分けてやりたいぐらいだぜ」みたいなリリックなんかもありまして。あと「お前はザ・シンプソンズみたいにもう落ちぶれちまったな。キャリアばっかり長いけれども、全然内容は面白くないぜ」みたいなことをディスというか、アンサーを返してらっしゃったわけなんですよね。

なんだがこの先週末。私が品川で花見をしている間にですね、アメリカではドリームビル・フェスという、ほぼほぼ毎年恒例なんですけれども。J・コールが主催するレーベル・ドリームビルの音楽フェスが2日間にわたって開催された。で、そのトリがJ・コールだったわけなんですけれども。そこで最初、『Crocodile Tearz』という『Might Delete Later』の2曲目に入ってる曲でJ・コールが登場した。で、ライブパフォーマンスを続けていくうちに最後の方にですね、いきなり謝罪といいますか。「この『Might Delete Later』の内容に関しては非常に誇りに思っているが、ただひとつだけ不本意なことがある。それがこの『7 Minute Drill』なんだ。ケンドリックをああいう感じでディスったことは俺がした今までの出来事の中で一番ダサいことだった。謝りたい」みたいな感じでJ・コールがMCというか、言葉を紡ぎ始めたわけなんですよね。

しかも「この『Might Delete Later』のアルバムの中から最後に収録されてるそのアンサー曲だけをストリーミングサービスから除外したい」という風におっしゃっておりまして。実際、どうなるのやらという感じでございます。なのでアンサーはしたけれども、その後すぐに「いや、ごめん。あんなこと言ってケンドリック、本当にごめん。誰もがわかると思うけど、あなたは本当に最高のMCだ」っていうことを自分の口からマイクを使って言ったということで。本当に前言撤回的な感じなんですよね。で、リスナーの反応はどうかと言いますと、ざっと私のXのタイムラインだけを見ていると、何となくちょっと逆に「J・コール、ダサい。1回、そうやってアンサーしたのに引っ込めるのはダサい」みたいな感じの反応の方が、私が見ている限りは多い気がする。

で、ちなみに今、まさにこの『INSIDE OUT』の裏側でMoment JoonさんがXのスペースでこれについてしゃべってらっしゃって。Momentくんがなんて言っているのか、めっちゃ気になるので誰か、後で教えてくれって感じなんですけれども。本当に結構、前代未聞だとは思いますね。で、別にヒップホップってディスが正義。ディスが正しいっていうことではなくて。あくまでコンペティティブ。非常にね、みんな競争するのが好きていうのがひとつのフォーマットになってるわけですよね。それで数々の歴史的なビーフが行われてきたわけなんですけれども。

なんかその姿勢を真っ向から、真逆の姿勢で対応したJ・コールということで。これからさらにどうなっていくのか?っていう。その結局、ドレイクは今後、どうするんだろうみたいなことをちょっと考えてしまいますし。

(DJ YANATAKE)なんかこの『Might Delete Later』っていうタイトルがさ、だからそもそも下げるつもりだったのかな?

(渡辺志保)ああ、最初からね。

(DJ YANATAKE)だから……この曲を書いた時はワーッとやっちゃったのかもしれないけども。出すまでの、そのタイトルを決めて、みたいなところにもう最初から、迷いがあったってことなのかね?

(渡辺志保)ねえ。で、その舞台上でのパフォーマンス中のMCでも『Might Delete Later』を出してからこの2日間はもう、眠れなかったみたいな感じのことを言っていて。

J・コールがケンドリック・ラマーに謝罪

(DJ YANATAKE)でもこれによって何が起きたり、何が狙いなのかな、みたいなことをずっと考えてるんですけど。でも、これでドレイクはもうアンサーというか。何を出しても意味ないよね? ここで出したら……。

(渡辺志保)でも、なんか行くも地獄。行かぬも地獄って感じで。どっちも地獄ですよね。ドレイク的にはね。

(DJ YANATAKE)いや、ドレイクはなにもする必要がなくなっちゃったって感じじゃない?

(渡辺志保)で、4月12日。今週末にまたフューチャーとメトロ・ブーミンのアルバムの第2作目。続編が出るから。そこでまた何か出てくるのか? 伏線回収的な何かが出てくるのか? よくわからないけど。あとはさらに強力なドレイクディスが隠されてるかもしんないもんね。フューチャーとメトロはドレイク大嫌いだから。知らんけど。だからこれでまた何かね、風向きが変わることがあるのか。それともないのかっていう感じもするし。あとこの『Might Delete Later』に関しては『Pi』っていう曲が1曲、入っているんだけど。アブ・ソウルが参加している曲。で、ここでトランスジェンダーの人に対する非常に無知というか。なんでこんなことを言っちゃうの? みたいなラインがあって。そっちもそっちで炎上しているから。まあ、ディレーとしてもいいかもなっていう気持ちはちょっと、ありますね。

(DJ YANATAKE)ああ、そうね。それもニュースになっていたね。

(渡辺志保)そうそう。心は男性、体は女性のトランスの方に対して「お前がいくら男になりたくても結局プッシーがついてるんだろう?」みたいなそういう、ちょっと侮辱・侮蔑的なリリックがあって。なんのこっちゃっていう感じになっておりますので。J・コールもまたちょっと何か株を下げてしまったのではと思っております。

(DJ YANATAKE)なんかそんな感じっぽいよね。なんかなー。

(渡辺志保)なんでまた来週の『INSIDE OUT』で実際にディレートされたのかどうかっていうのをちょっと報告というか、皆さんとお話したいなと思います。

(DJ YANATAKE)しばらく続きそうですしね。

(渡辺志保)まあまあ、ラップゲームがどうなっていくのかということをちょっとね。そんなこんなでJ・コールの言うてもですね、この『7 Minute Drill』をかけようかと思ったけど。本人が「消したい」とおっしゃっておりますので。ちょっとさっきも言いましたけれどもドリームビルのライブの1曲目にパフォーマンスした『Crocodile Tearz』を聞いていただきたいと思います。それでは、お聞きください。

J. Cole『Crocodile Tearz』

<書き起こしおわり>

渡辺志保 ケンドリック・ラマーのドレイク&J・コールディス曲『Like That』を語る
渡辺志保さんが2024年3月25日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中でフューチャーとメトロ・ブーミンのアルバムに収録された楽曲『Like That』の中でケンドリック・ラマーがドレイクとJ・コールをディスしている件について、DJ YANATAKEさんと話していました。
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