高橋芳朗さんがblock.fm『INSIDE OUT』にゲスト出演。高橋さんが選盤・監修して2015年に再発された90年代ヒップホップ・R&Bの名盤たちついて、渡辺志保さん、DJ YANATAKEさんと1枚ずつチョイスし、話していました。
(渡辺志保)というわけで今回もですね、高橋芳朗先生が企画・選盤にもかかわっている再発企画がドドン!とまとめてタイトルが発表になったというわけで。まず、前半はですね、ヒップホップクラシック特集という感じで。ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)の来日に合わせてというところも・・・
(高橋芳朗)そうですね。そういうところもあったりします。
(渡辺志保)ユニバーサルとワーナーさんからドドン!と再発のタイトルがリリースされまして。それを肴に我々の思い出深い1曲をそれぞれ紹介していくと。で、後半はですね、先日発売になったばかりでございます。こちらもN.W.A.の、『ストレイト・アウタ・コンプトン』。映画の公開も絡めて・・・というところでございますけども。ギャングスタラップ再発企画っていう。
(高橋芳朗)そうですね。もう銃声が鳴りまくると思います。今日は。
(渡辺志保)カチャバン!カチャバン!っていうね。
(高橋芳朗)カチャバン!カチャバン!
(DJ YANATAKE)インターネット放送ですからね。もうダーティーバージョンで。ガンガン。
(渡辺志保)はい(笑)。それはまた、各々が思い入れのあるギャングスタシットをお届け、紹介するという。
(高橋芳朗)『シットをお届け』(笑)。いいなー、最高ですね。『INSIDE OUT』。
(渡辺志保)はい。後半はね、銃声がカチャバンする感じでお届けしたいと思いますが。さっそくじゃあ・・・
(高橋芳朗)あ、もう行っちゃうんですか?
(DJ YANATAKE)なんかありますか?
(高橋芳朗)ないです!
(DJ YANATAKE)フリースタイルとか、大丈夫ですか?
(高橋芳朗)ないです(笑)。
(渡辺志保)でも、ヨシ先生も選盤に参加されたということで。あの、こういう時ってどういう風にセレクションの内容を決めるのかな?って。ちょっと1リスナーとして興味があります。
(高橋芳朗)じゃあそれは、それぞれのセクションでしゃべりましょうか。
(渡辺志保)あ、わかりました。
(DJ YANATAKE)大丈夫ですか?1枚選盤したらいくら貰えるとか、そういう話は大丈夫ですか?
(高橋芳朗)あ、そういう生々しい話も。
(DJ YANATAKE)後ほど(笑)。じゃあですね・・・すいません(笑)。もう正月なんでね、いまビールを飲みながらね。普段は『INSIDE OUT』、真面目なんでね。飲まないんですけども。
(高橋芳朗)正月じゃないですけどね(笑)。
(渡辺志保)もう11日が経過してますけども(笑)。
(DJ YANATAKE)じゃあですね、ヤナタケが。僕も高橋芳朗先生から連絡をいただきまして、この企画をやるんで解説なんか書いてみないか?って言っていただいたこのアーティスト!アキネリ(Akinyele)!
(渡辺志保)アキネリ(笑)。
(DJ YANATAKE)アキネリ、キターーーッ!
(高橋芳朗)キターーーッ!
(DJ YANATAKE)来てないね(笑)。
(渡辺志保)いま、『アキネリ、キターーーッ!』でテンション上がったリスナーの方、どれぐらいいるんでしょう?(笑)。
90’sヒップホップ・R&Bキャンペーン
(高橋芳朗)まあでもこれ、キャンペーンの詳細を話した方がいいかもしれないですね。いいですか?じゃあ、僕の方から。これ、さっき志保ちゃんからもね、説明があった通り、ジャネット・ジャクソンの来日もあわせて。昨年の秋ですか。ニューリリースのアルバムと来日にあわせて組んだようなところもあるんですけど。90’sヒップホップ・R&Bキャンペーン。で、ユニバーサルさんとワーナーミュージックさんの合同企画で。全44タイトル。
(渡辺志保)44タイトル。
(高橋芳朗)これ、なんで44か?っていうところが深い・・・
(DJ YANATAKE)深いんですか?
(高橋芳朗)はい。あの、6タイトルは土壇場で発売NGが出ちゃいました。
(DJ YANATAKE)(笑)。そんなこともあるんだ!
(渡辺志保)あ、そうか。じゃあ本来50タイトルでリリースっていう予定だったんですね。
(高橋芳朗)そこにはReal Liveとかが入っていたんですけども。
(渡辺志保)あ、そうだったんですね。あらー。なるほど。
(高橋芳朗)ちょっとね、Real Liveは出したかったなっていう。
(渡辺志保)ふーん。なるほどー。
(高橋芳朗)で、これが去年の11月11日にリリースされました。ユニバーサル音源、ワーナー音源で。で、ヤナタケさん、志保ちゃんにもライナーノーツをお願いしたりしたんですけども。そこで、ヤナタケさんに振ったのがアキネリ。
(DJ YANATAKE)そうなんですよね。なんで僕、アキネリを振られたのかよくわからないんですけど。
(渡辺志保)(笑)
(高橋芳朗)エロいからです!
(DJ YANATAKE)エロいからなんですかね?でもね、そこなんですよ。当時、アキネリの代表曲と言えば、志保さん?
(高橋芳朗)志保さん、得意なところですね。
(渡辺志保)いやいや、ぜんぜん得意じゃないですよ(笑)。
(DJ YANATAKE)あの、『Put It In Your Mouth』っていうね。『プリインヤマーウス♪』っていう曲があるじゃないですか。
(高橋芳朗)何の曲ですか?
(DJ YANATAKE)どういう曲なんですかね?内容的には。
(渡辺志保)あらららら・・・まあ、お口にね・・・ここで、止めておいていいですか?
(DJ YANATAKE)止めておいて。そういう、かなりナスティーな曲で。なんかとにかくアキネリ、その曲があまりに大ヒットしたのと、その大ヒット以降はとにかく下ネタ王みたいな。
(高橋芳朗)そういうイメージ、ありますよね。
(DJ YANATAKE)ありますよね。で、しかもこの僕が解説を今回書かせていただいたアキネリの93年に発売した『Vagina Diner』というですね・・・
(渡辺志保)(笑)
(高橋芳朗)どう訳せばいいんでしょうか?
(DJ YANATAKE)ええとですね、『膣食堂』。
(一同)(爆笑)
(高橋芳朗)本当ですか!?(笑)。まあ、直訳したらそういうことですよね。
(DJ YANATAKE)まあ、ストリップクラブみたいなことなんですかね?
(渡辺志保)まあまあ、並んでいるんですかね。きっとね。おピンクなね。
(DJ YANATAKE)だから、本当に日本のね、結構中古レコード屋さんのサイトとかを見ても、『あのエロラッパーの』『下ネタ代表の』みたいな風に書いてあるんだけど。これ、でも実はね、タイトルはそうなんだけど、今回の解説にあたって、すっごい調べたんですよ。もちろん、リアルタイムで聞いていたけど。ぜんぜん違うの。内容が。
(渡辺志保)あ、なるほど。なるほど。
(高橋芳朗)そんな感じなんですか?
下ネタ以外のアキネリ
(DJ YANATAKE)そう。びっくりしちゃって。まあ、なんて言うのかな?いろいろ話すことがあるんですけど。たぶんね、当時のマーケティングなんだよね。それはね。おそらくね。
(渡辺志保)ピンク売りっていうことですね。
(高橋芳朗)ピンク売り(笑)。
(DJ YANATAKE)あ、違う違う。じゃなくて、いまかかっているね、『Da Bomb』っていう曲はセカンドシングルなんだけど。いわゆる90年代前半のニューヨークハードコアの、その感じのビデオなわけよ。いわゆるプロジェクトのちょっと暗いところでモブモブしながら後ろで焚き火がたかれているみたいな。ハードコアビデオなの。
(渡辺志保)(笑)
(高橋芳朗)ああー!あのドラム缶でなぜか焚き火をたいてしまう。
(DJ YANATAKE)あれ、誰がスタートなんですかね?
(高橋芳朗)あれはノーティー・バイ・ネイチャー(Naughty By Nature)な感じ。
(渡辺志保)バット持って焚き火みたいなね。
(DJ YANATAKE)EPMDとかも。
(高橋芳朗)あ、EPMDもやってますか。
(DJ YANATAKE)そうなんですよね。だから、結構ぜんぜん内容もハードコアなんですよ。あと、結構女の子ネタの曲とかもあるんだけど。なんなら、ビッチ的なのとかはぜんぜんヘイトするような。『そんなのダメだよ』ぐらいのことを歌っていたりするんですよね。
(高橋芳朗)ああー。でも、そもそもさ、アキネリはやっぱりメインソース(Main Source)の『Live At The Barbeque』っていうね、名作ポッセカットでデビューしたわけですから。
(渡辺志保)デビューシングルじゃないけど、世に出た・・・
(DJ YANATAKE)ナズ(Nas)のいわゆる出世作ですからね。で、要するにメインソースというのはラージ・プロフェッサー(Large Professor)がいたグループで。フィーチャリングがアキネリとナズと。で、ちょっとナズのあまりの鮮烈デビューの影に隠れちゃった感はあるんですけど。アキネリはその名曲に参加しているよと。で、これ、どういう感じか、ラージ・プロフェッサーがだからフックアップしてる感がすごいあるじゃないですか。
(渡辺志保)うんうんうん。
(DJ YANATAKE)でもね、これね、よくよく調べたら違うんですよ。ラージ・プロフェッサーとアキネリとナズは同じ学校なんですよ。
(渡辺志保)あ、そうなんですね!
(DJ YANATAKE)いちばん上がアキネリなんですよ。パイセンなんですよ。
(高橋芳朗)すごい学校ですね(笑)。
(DJ YANATAKE)で、ラージ・プロフェッサー、ナズの順番みたいで。で、そのさらに上にはクール・G・ラップ(Kool G Rap)がいるみたいな。
(高橋芳朗)うわっ、すっげー学校だな!
(DJ YANATAKE)すごい学校で。でも、アキネリとナズが同じ学校の食堂でフリースタイルしている音源とかが発掘されたりとか。
(渡辺志保)ああー、そうなんだ。
(DJ YANATAKE)で、まあそういうこともあったりするんだけど。つまり、年功序列でいくと、このアキネリのこのアルバムは全曲ラージ・プロフェッサーがプロデュースした唯一のアルバムなんだけど。たぶん、これは想像ですよ。想像だけど、パイセンに作らされた(笑)。
(高橋・渡辺)(笑)
(DJ YANATAKE)『お前、ちょっと俺のアルバムを・・・』って。
(高橋芳朗)ビートを作れと。お前、調子いいみたいだからと。
(DJ YANATAKE)そうそう。ただですね、このアルバムはもうちょっと言っておきたいことがあるんですけど。これ、日本で高橋芳朗セレクトによりうっかり再発なんかしてしみましたけど。再発する直前まで、eBayで200ドル以上。
(高橋芳朗)マジで!?
(渡辺志保)そんな高値がついてたんだ。
(DJ YANATAKE)プレミアドアルバムなんですよ。