PUNPEE『デッドプール2』を語る

町山智浩『デッドプール2』を語る SOFA KING FRIDAY

PUNPEEさんがJ-WAVE『SOFA KING FRIDAY』の中で映画『デッドプール2』について話していました。

(PUNPEE)ということで、ここで1曲。LL・クール・Jで『Mama Said Knock You Out』。なんでかけたか? は後で説明しようと思います。

はい。お送りしたのはLL・クール・Jで『Mama Said Knock You Out』でした。いま聞いてもすごいかっこいいループですね。1990年に出されたマーリー・マールプロデュースのLL・クール・Jのこの曲は当時ビーフ中だったクール・モー・ディーっていう人に対してもアンサーソングで。LLはもう結構その当時売れていて。アイドルラッパーみたいな風に言われたりとか。メロウな曲ばっかり歌っていたから、それでディスられたんですけども。このかっこいいループの曲で返したというエピソードがありますね。

でもなんか、「最近、ナヨっちい歌ばっかり歌ってるんじゃねえよ!」ってディスられたと思ったら実はめっちゃ強くて。しかも「ママに言われたからお前をぶっ倒してやんよ!」みたいなのを急にこのかっこいい――まあ、実際はママじゃないんですけど――かっこいいトラックで言われたらどうすんねん?っていう感じだったんじゃないでしょうかね。当時のクール・モー・ディーは。

なんでかけたか?っていうと、先日見た『デッドプール2』のティーザー? トレーラーにこれが使われていたのでかけさせていただきました。この後、その話もしようと思います。

デッドプール2『Mama Said Knock You Out』

CM前にかけたLL・クール・Jの『Mama Said Knock You Out』、なんでデッドプールのティーザーに使われたのかな?っていろいろと見ていたんですけど、デッドプールの映画の中に彼のメンターとして盲目のおばあちゃんが出てくるんですね。で、この『Mama Said Knock You Out』っていうLL・クール・Jの曲なんですけど「Mama」って「お母さん」とかの意味じゃなくてインタビューではLL・クール・Jは「おばあちゃんに言われたんだ」って。「おばあちゃんに『クール・モー・ディーをぶっ倒してこい!』って言われた」みたいなエピソードが書いてあって。それとこのデッドプールのメンターのおばあちゃんをかけているのかな? とか思いながら聞いていました。

『デッドプール2』、見てまいりました。今回もハチャメチャなキャラクター……デッドプールっていうのは赤い頭巾に目の周りが黒くなっていて。マーベルのアメコミのキャラクターなんですけども。このキャラクターの特徴は自分がコミックスの登場人物であることを知っていて。だから結構話が進んでいく時にこっちに向かって話しかけてきたりだとか。あと、カプコンの格闘ゲームでそういうメタファーじゃないけども。自分のライフゲージを使って相手に攻撃したりとか。

それを「第四の壁」って言うらしいんですけども。その壁を通り抜けてこっちに話しかけてきたりするキャラクターです。で、全然おちゃめなところもあるキャラクターで、ずーっとしゃべっているんですね。ペチャクチャペチャクチャ。コミックスの中だとスパイダーマンの大ファンで、ずーっとスパイダーマンにしゃべりながらペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャ……って。

今回のデッドプールは結構、デッドプールもいまの時代というか、よくなっていく時代に合わせて「差別はよくない!」っていうことを言っていて。でも、雇われの傭兵なんで全然人とかも雇われて命令をされた人のことは殺しまくったりはしているんですけども。でも「差別はよくない! お前、それいまのは差別だろ? ダメダメ、そういうの!」っていう。ちゃんと「差別はよくない」っていうキャラクターに今回徹していって。よくなっていっている世界にちゃんとデッドプールも合わせているというか、ちゃんとしっかりやっていて。なんか憎めない存在だな、みたいな感じで。そういう描写が結構ありました。

デッドプール、非常に人間らしいというか。まあ、ミュータントか。で、ひとつのシーンに黒人のスワット部隊みたいな人がいて。コミックスの中だとDMRっていうグループの人なんですけども。その人に向かってデッドプールが来た時に……まあ、デッドプールはX-MENフランチャイズのひとつなんで。Xフォースみたいなグループを中で組むんですけど。「ほら、X-MENのお通りだよ。俺ら、差別のメタファーから出てきたX-MENのお通りだよ!」みたいにその黒人の人に言うんですよ。

これ、なんでか?っていうと、あと付けかもしれないんですけど、1963年にX-MENが登場した時、結構その「ミュータント」っていう人とは違う能力を持っていたり、人と違う見た目をしていて、その人しか持っていないアビリティーみたいなのを持っている……たとえばサイクロプスだとか。そういうキャラクターが主役のX-MENは人類から差別をされていて。その理由がいちばん最初のミュータントのネイモア、サブマリナーっていう人が昔、ニューヨークを水で沈めてしまって何人も殺してしまったから「ミュータントは怖い」みたいな時代なんですね。

で、作者の人は差別をされている黒人さんをミュータントとして、メッセージとして最初に作ったっていう風に言っているんですね。まあ、あと付けなのかもわからないですけども。それは、定かじゃないんですけども。

X-MENは公民権運動の影響を受けている

で、そういう差別をされているんだけども共存を望むX-MENっていうところからスタートをしています。で、これはもうたとえじゃなくて、デッドプールを見た日の夜にちょっと考えごとをしちゃって。X-MENのキャラクターの中にすごい強大な敵がいるんですよ。マグニートーっていう磁石とか鉄分を操っちゃうやつがいて。その人は昔、自分の家族とかを人間に殺されているから「人類が憎い!」っていうことで。「これからはミュータントの時代だ!」って人類を征服しようとするんですね。その対にいるプロフェッサーXっていうX-MENを率いている人は「いや、人類とミュータントは共存できる。共存を目指して戦っていこう」っていう信念のもとでX-MENを作る。

この2つの派閥というか、2つの戦いから始まるストーリーが主にあってX-MENは始まっているんですけど。たとえとかじゃなくて、もしこの世にこの後にミュータントみたいな人たちが出てきた時、自分たちだったらどうなるかな? みたいな。たとえば、自分の親族とか大事な人を悪いミュータントに殺されちゃいました。そしたら、近所にいるそんなに驚異でもないミュータントの隣人の人と仲良く接することが自分はできるかな? とか考えちゃったんですね。そんなことはありえないと思うんですけども。「うーん……」って。

で、その近所の住んでいるミュータントさんはそんなに大した能力がない。「壁を通り抜ける」とか……「壁を通り抜ける」も怖いか。「空を飛べる」とか。それもすごいとは思いますけども。それとちゃんと付き合えるかな? みたいな。たぶん自分は極力どの世界にも悪い人がいて。ミュータントでも悪い人がいるし、ミュータントでもいい人がいるし。人間でも最低なやつがいるし、いい人もいるから。「君は君だから別にそんなに気にしないよ」って言って接することができたらいちばんだとは思うんですけど。

たとえばそういう悪いミュータントとかがテレビなんかで「俺らが人類の進化形だから」とか言い出したら、人類の人はどう思うのかな?って。「あ、俺らは遅れてるのか? この人たちに自分たちは征服されるのか?」って思っちゃう人もいるし。たぶんミュータントの人たちとかが出てきたらどうなるんだろうな? とか夜に考えちゃって。なんかこの、いま人種の問題とかに敏感になっている世の中だからこそ、結構いまX-MENを新しく作ったら興味深いテーマだったり考えさせられるものになるんじゃないかなって思ったりして。いろいろと考えていました。デッドプールはいまの時代、ちゃんとよくなっていくものにシフトしてこうとしていて。

しかも、お決まりのバイオレンス描写だったりもまあ、デッドプールというキャラクターだから許されるみたいな感じの描写になっていて。今回も結構バカをやっていて楽しかったです。では、ここでメッセージ。東京都の26才の方。「はじめまして、こんばんは。この前の『Seasons Greetings’18』、お疲れ様でした。いまだに余韻が残っているぐらいいいライブでした。話は変わりますが、先週『デッドプール2』をIMAXで見ました。PUNPEEさんはもう見られましたか? 自分自身、拾いきれてないネタもあったので『インフィニティ・ウォー』の時みたいにPUNPEEさんなりの解釈、豆知識などあったら解説していただきたいです。チミチャンガを食べたことがないのですが、食べてみたくなりました」。

そうですね。デッドプールというキャラクターはチミチャンガっていう食べ物が好きなんですね。秋葉原にブレイズっていう店があって。そこで食べたりできます。そこはデッドプールでチミチャンガが流行ったから、デッドプールのポスターを貼ってあったりして。美味しいお店なのでよければ行ってみてはいかがでしょうか?

秋葉原ブレイズのチミチャンガ

拾いきれてないイースターエッグ……これは細かすぎてネタバレとかじゃなくて全然言っちゃっていいと思うんですけど。もし完全にネタバレなしで見たい人はここでラジオを切ってもらったり、他局の……J-WAVEさんには申し訳ないんですけども。本当にすいませんなんですけども、他局に切り替えてもらえたらっていう感じなんですが。

アルファフライトタクシー……インドのドーピンダーくんが乗っているタクシーの名前が「アルファフライトタクシー」っていう名前で。これはウルヴァリンがコミックスの中で昔いたデパートメントHっていうカナダ政府に所属しているヒーローチームですね。アルファフライトっていうグループがいたんですけど、それをたぶんオマージュしているのでは? と思われます。

あと、これは聞き間違えかもしれないですけど、デッドプールが1回、「Damn! It feels good to be a gangsta!」みたいなのを言うんですね。「ギャングスタになった気分だぜ!」みたいな。

これ、もしかしたらゲトーボーイズっていうヒップホップグループ……スカーフェイスとかがいたグループなんですけども。そのグループの曲名にあって。そこから来ているのかな?って。

それにもさらに元ネタがあるのかもしれないですけども。そんなような……2パックとかビギーが出てきたりとか。そういうヒップホップ好きの人も反応するようなシーンもありました。あとはスーパーヒーロー着地。Xフォースっていうグループが出る時に、できたのかな? できてないのかな? みたいな。そのへんは映画を見に行ってお楽しみくださいっていう感じです。

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/50508

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