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荻上チキ 映画『ブラックパンサー』を語る

荻上チキ 映画『ブラックパンサー』を語る 荻上チキSession22
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荻上チキさんがTBSラジオ『荻上チキ Session-22』の中で映画『ブラックパンサー』についてトーク。アメコミ大好きなチキさんが映画を見たばかりで興奮冷めやらぬ中、感想などを話していました。

(荻上チキ)それとはまた別に、それはそれとしてまたいろいろあるとして、今日ね、いいことっていうのはね、南部さんと一緒に映画見に行きましたね。

(南部広美)行きましたね。私と映画に行ったことでなくて、その映画の内容でしょう? なにせ、チキさん。

(荻上チキ)いやー、待ち望んでいた映画ですよ。早く見たかった! ずーっと楽しみにしていたの、これは。

(南部広美)知っています(笑)。

(荻上チキ)『ブラックパンサー』が今日から日本で公開が始まりまして。私たち、新宿に見に行きましたね。本当にもう、満席だったんですよ。平日のお昼ですよ。だけど満席で。映画館の前では、様々なコスプレをした……スパイダーマンいたでしょう。それから、当然ながらブラックパンサーもいたでしょう。で、ブラックパンサーのヴィラン役というか……ヴィランじゃないんだよな。より厳密に言うと、対立している部族なんだけど、最後は仲間になるっていう、『ドラゴンボール』だとベジータの位置ぐらいのキャラクターいるわけですよ。「ライバルが味方になる」みたいな、そういうキャラクターとか。いろんなもののコスプレをしているような人たちもいて。で、中に入っていくと、いろんなアメコミTシャツを着てる客がいるわけですよ。バットマンとかね。

(南部広美)そう。各々の受け取り方、盛り上がり方でね。

(荻上チキ)そうだね。「バットマンはDCコミックスの方で、マーベルじゃないよ!」って思っているんだけど、でもそれは絶対にアメコミファンってわかって着ているから。それも含めて、ちょっとお祭り状態でした。

(南部広美)そう。封切り日です。

(荻上チキ)あと今回、見に行った時に新宿で見たんですけどね、見に来ている人の層が幅広かったですね。

(南部広美)うん、そう!(笑)。

(荻上チキ)うん。層がそうなのよ。私の隣にはおそらく70、80才ぐらいのおばあさんが座っていらしたんですけれども。でも、一番前の席で僕らは見ることが多いじゃないですか。ドーンと構えて。そしたら、入り口から入ってくる客がね、僕らの目の前をどんどん通っていくわけですよ。そうすると、客層が見えるんですけど、海外の方が多かったですね。特に黒人・白人の比率なんかも、あるいはアジア系なんかも、すごいバランスがいろいろとあって。たくさんの方が来ていて。みんな、もうワクワクしてるわけですよ。

(南部広美)「ここ、東京だよね?」っていう(笑)。

(荻上チキ)そうそう。だから新宿じゃなくて、六本木で見たらもっとユニバーサルな格好だったと思うんですけれども。今回公開されたこの『ブラックパンサー』、いま全米をはじめとして世界で興行収入とか動員数が記録的な動きになっていまして。ちょっとこれはね、個人的にも最初は意外だったわけですよ。というのは、『ブラックパンサー』という映画はマーベルコミックっていうアメコミの二大コミックスタジオがあるわけですよ。DCとマーベル。スーパーマンとかバットマンがDCで、マーベルはX-MENとかスパイダーマンとかアイアンマンとかキャプテン・アメリカとか、そういった様々なキャラクターが出る方なわけですけれども。4月に『アベンジャーズ』の3がやるんですね。『インフィニティ・ウォー』っていうのがやるわけですよ。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)それにはもう、全ヒーローが参加するわけですね。ヒーローがチームを組んで戦う。「全ヒーロー」って言ったけど、まあアントマンは今回出ないのかな? みたいな感じはあるけど、でもガーディアンズ・オブ・ギャラクシーっていう宇宙を舞台にした冒険者たち今度は参加するのか? みたいなワクワク感が4月に控えているわけ。そんな時に……まあ、「そんな時に」って言ったらあれですけど、3月に『ブラックパンサー』やって4月に『アベンジャーズ』っていうことは、間に合わせるための映画なのかな?っていう感じで。

(南部広美)ああ、当初?

(荻上チキ)そう。置きにきたのかな? と。ブラックパンサーは架空のアフリカの都市。で、ものすごい資源を昔から持ってる国なんだけど、そのことを世界に知られてしまうと侵略になったり、世界秩序が崩れてしまうということで、高い文明を隠してきた。そうしたような歴史を持っている新しい国王が主人公なんですね。その戦闘力はヒーローなので高いんですけれども、他のヒーローと比べてめっちゃ特徴のあるファイティングスタイルを取るかというと、そうではなくて基本的に肉弾戦だから。「ここに来て、割とベーシックなヒーローだな。これで盛り上がるんかいな?」と思って見に行ったら、完全に裏切られてというか。

(南部広美)はい。

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事前の予想を完全に裏切る

(荻上チキ)もう(事前の世界の)盛り上がりから、わかっていたんですけど、ものすごくワクワクしましたね。

(南部広美)ああ、私は前知識なく行ったわけですけど。「あっこれは『シビルウォー』から続いてるんだ」っていうことに、見に行ってから気づいて。「これ、あのお父さん亡くなったのは、このシーンがこう続いたのね!」っていうところで。

(荻上チキ)前の国王がなくなったんですよね。

(南部広美)そう。で、(シリーズを全て)追っていない身としては……少しだけ、部分部分、映画によって見ている身としては、「ああ、こことここがつながる快感が追い続けている人の醍醐味なんだ!」っていう気持ちでした。

(荻上チキ)そうですね。でも、他のマーベル映画を見てなくても、あれは単体として素晴らしいじゃないです。なんか今年はですね、王を称える映画が続いてますよね。『バーフバリ』っていうインド映画もよかったんですけども。

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(南部広美)ああ、はいはい。

(荻上チキ)あれも王を称えてましたが。今回もですね、「王とは何か? 世界を統治するとはなんなのか?」ってことが問われるわけですよ。で、今回、そうやって一国で、他の国と干渉せず、独特の文明を育ててきた国が、もう世界各国で難民問題とか紛争とか、もういい加減にしろ! という状況の中で、「そろそろ難民受け入れたり、支援をしたりすることが必要じゃないか?」っていう主張と、「今まで通り平和に自分たちの国を守るべきではないか?」っていう国王の葛藤が描かれるわけですよ。で、ヴィラン(敵役)として戦う人も、「国を開くべきだ」っていうスタンスなんだけど、「国を開いてみんなを助けるべきだ」というよりは、「国を開いて悪いやつらを倒そう」をみたいな格好で。

(南部広美)資源をもってね。

(荻上チキ)そう。資源をもって、武器をもって、より戦闘を加速させようっていう結構過激な人が敵役でいて。いままで穏健で一国を守ろうというスタンスの主人公が、その敵と戦いながら、「この国をどうしていこうか?」ということに考えを巡らせるっていうストーリーなんですよ。だから、アクションシーンもとても面白いんですけど。っていうか、アクションシーンは一対一のヒーロー同士の激突のシーンよりは、様々な装備を持った国民たち、あるいは部族同士の戦いの団体戦の派手さですね。壮大なアクションですよ。言うならば、大河ドラマと言うと騎馬戦みたい格好のあのシーンですね。「うわーっ!」ていう。あの雑踏感の楽しみっていうものもすごかったのと同時に、やっぱり現代的な問い。いま、国というのは一国だけでできることは何があるのか? もし何か、助けることができるのであれば、私たちはどういったスタンスにあるべきか?っていうことを延々と葛藤する主人公。

(南部広美)そう。で、それぞれの立場立場で理由があるっていうことが描かれていてね。音楽もまたよかったですよね。

(荻上チキ)音楽もかっこよかったですね。演出もとてもよかったです。CGも、他のマーベル映画とくらべてもとてもかっこいいだけじゃなくて、衣装とか装備のセンスとかが……。

(南部広美)本当にそんな世界が来たらいいのにって思うね。

(荻上チキ)そうそう。それから、マーベルだったら宇宙船とかね、たとえばかっこいい飛行機とかいっぱい出てくるんですけれども。ただ、今回はアフリカが舞台だということがあって、空飛ぶ飛行船みたいなものがたとえば昆虫をモチーフにしていたりとか。あるいは、アフリカの民族衣装のようなものをモチーフにしていたり、本当に新しい映像を見たいなと。

(南部広美)うん。色使いもね。

(荻上チキ)素晴らしかったですね。で、キャラクターの配置っていうのも、ブラックパンサーであり新しい国王となった男の元カノが、世界中を見て回って来たスパイなんだけど、でもそうやって見るうちに、「いろんな難民支援とかがもっと必要なんじゃないか?」っていう価値観を持って帰ってきて。「いや、この国はこの国で鎖国することが大事だ」っていう主人公とどう語り合えるのか? みたいな、そういうロマンスもあるわけですよ。でも、そこに過激な、「もう、開いてやっちまえよ!」みたいな、そういったスタンスのヴィランが入ってきた時に、でもその敵というものは、かつての秘密を守らなくていけないというブラックパンサーの歴史の中から落としたひとつの鬼っ子と言うか。なんて言うんでしょね。副産物としての恨みだったので、その「徹底的に秘密を守るんだ。自分たちだけでセーフティーゾーンを作るんだ」っていう考えも、それはそれで排他性を持つといか。誰かを傷つけてしまうっていうこともあるわけですよ。

(南部広美)はい。

(荻上チキ)だからある意味……うーん、ネタバレならない範囲でどう言おうか? ですけれども、やっぱり世界を断絶して分断するか、それとも頑張っていろんな所につながっていこうとするかっていう葛藤が見所なので。いままでのマーベル映画もいろんなテーマが深いものがあるんですけれども。すごく時代性とリンクしていて。映像としても画期的で。なおかつ、人種多様性とかも含めたもので、しっかりとダイナミックなものに仕上がっていたんで。あ、そう。すごく興奮してます。

(南部広美)フフフ(笑)。指摘、ありました? Twitterをいま見ながら「興奮しています」って言っていたから。

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時代性と非常にリンクした作品

(荻上チキ)あ、いやいや。ちょっとTwitterを見忘れていましたけど、とてもエンジョイしまして。いやー、本当に楽しみだなって。なにが楽しみかって、『ブラックパンサー』の後にはそのブラックパンサーも参加する、その次の『アベンジャーズ』があるわけですよ。

(南部広美)それに向けて、やっぱりこの映画を味わい尽くすっていうか。噛み締め直すというか。したいなって。

(荻上チキ)そうですね。ちなみに、いま僕はネタバレはしていないです。ネタバレしたら、もう演説になってしまうので。セーフの範囲内で収めつつ。でも、そのビジュアルの作り方。それから構成の作り方。あるいは、いままでの作品を見ていなかったとしても、1人の主人公が王たる人間としてどういう風になっていくのか? 最初に目標としていた王の姿とはまた別のとこに方向転換する。そうした意味では、ある意味ピクサー映画とモチーフが似ていますよね。あるべき姿みたいなものを目指していたんだけど、別の価値観のものに触れることによって、違う理想の姿があるんじゃないか? というゴールに辿りつくっていうね。そうしたものが、ある意味今回ヒーロー映画で描かれたっていうこともあってですね。

(南部広美)はー! そう指摘されれば、たしかに。

(荻上チキ)まあ、とても楽しかったので。楽しかったし、素晴らしいし、どうせヒットするんですよ。日本でも!

(南部広美)すでに今日、すごい盛り上がりでしたからね。

(荻上チキ)というわけで、明日のメインセッションは『ブラックパンサー』特集にします。フフフ(笑)。いま、アメコミがなにを描いているのか?っていうことと、こういったマーベル映画などで、いろんな政治性がどんどん取り込まれるような。

(南部広美)常にアメコミってそうなんですよね。

(荻上チキ)常にアメコミってそうなんですけど、いま、特に向き合うべきものがたくさんあるので。

(南部広美)ここで公開の映画だからこそ。

(荻上チキ)そうですね。映画を見に行く時にウンチクを知るもよし。あるいは、映画は見に行かないかもしれないけど、そこに何が映ってるのか? ということを通じて、現代を語るもよしということで。明日は、『ブラックパンサー』特集ということになります。中島かずきさんもいらっしゃいます。

(南部広美)劇団☆新感線の座付き作家の中島かずきさんがいらっしゃいます。大変アメコミ好きということで。

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/47498

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