宇多丸・DJ YANATAKE・渡辺志保 2010年代の日本ヒップホップを語る

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宇多丸さん、高橋芳朗さん、DJ YANATAKEさん、渡辺志保さんがNHK FM『今日は一日”RAP”三昧』の中でラップ・ヒップホップの歴史を振り返り。2010年代の日本のラップ・ヒップホップのさらなる進化について話していました。

(宇多丸)さあ、といったあたりで最後はいま、現在進行系の日本のヒップホップは? というあたりでございます。現在進行系、2010年代という感じですかね。日本のヒップホップはその頃、どうなっているか? という話をしましょう。

(DJ YANATAKE)若干最初に補足しておきたいんですけども。さっき、漢くんの話がすごい面白かったんで。もっといっぱい触れたいアーティスト、いっぱいいたんです。裏でかけたりしていたんですけども。SEEDAの『花と雨』の話はしましたけども。SCARSとかね。

(宇多丸)SCARS!

(DJ YANATAKE)ANARCHYが出てきたりとか。NORIKIYOくんとか。

(宇多丸)NORIKIYOね。SD JUNKSTA周りがありますよ。

(DJ YANATAKE)BESとか般若ももちろんそうですけども。あと、妄想族とかね。DS455とかね。

(宇多丸)ああ、DS455。とか、OZROSAURUSもありますからね。日本のそういう日本のウエストコーストスタイルな人たちというのもあります。MACCHOっていうね、日本でもトップクラスのスーパーかっこいいMCがいるわけですから。

(DJ YANATAKE)いまだ現役バリバリで。で、2010年代に入ってきて、日本もだいぶインターネットの時代に完全に突入するかなという感じになります。さっきの、もうストリートがインターネットになったというような感じで。この番組中、何回も出てきていますけども、特に「ビートジャック」っていうのがすごく流行ったというか。1個、ヒット曲が出たらその曲の替え歌合戦を全国みんなでやりましょうよというところで。いま、バックで流れていますね。ANARCHYとRino Latina IIと漢くんとMACCHOがやった『24 Bars To Kill』っていう。この曲が流行って。これを本当に全国でみんながビートジャックして。この曲自体も盛り上がっていくということにもなりましたし。

(宇多丸)はい。

(DJ YANATAKE)ライムスターもね、『Once Again』が。

(宇多丸)そうね。一応私どももね、全然現役バリバリでやらせていただいて。復活シングルの『Once Again』でみんなが各地で『Once Again』をビートジャックしてくれたのがありました。ありがとうございます。

(DJ YANATAKE)そういうのが動画配信サイトを中心に盛り上がって。曲が流行れば全国各地のみんなが応援してくれるような形にもなるし。地方の人たちもそこに上手く乗っかって……みたいな構図で曲が盛り上がっていくようになります。だから、それ自体も発売しているものじゃないですよね。ビートジャックしている側はね。でも、そこでなんとかいい波に乗っかって、俺も一発当ててやろうという。

(宇多丸)やっぱり名前を売って、「こいつはヤバい、かっこいいラッパーだ」ということをまず知られることから。

(渡辺志保)アテンションをね。

(宇多丸)だからそういう意味では、もう最近のUSの動きと……まあわかるけど、音源とかもかなりUSの動きにシンクロしているし。結構雰囲気としては変わらないよね。

(DJ YANATAKE)もう完全に同じだと思います。それでさらに日本でもミックステープ。さっきも出ましたけど、無料で配信するアルバムっていうんですかね。まあ、無料で配信するので、中身は割と自由に作るっていう。さらには、お手軽・お気軽に作るっていうのもあると思うんですけど。その無料のアルバムを配信して名前を上げてくるような人もだいぶ登場してくるという。

(渡辺志保)ニュータイプですね。

(DJ YANATAKE)やっぱりここで上げられるのはAKLO、KLOOZ、そのへんがかなり頑張っていて。とにかく売れた曲のビートジャックを全部やっているっていう感じですよね。で、やっぱりそのへんを追いかけている、いわゆる「ヘッズ」っていうのがね。

(宇多丸)ヒップホップの熱心なファンということで。ヘッズ。

(DJ YANATAKE)熱心なファンたちはそういうのを追いかけていると、「ああ、この曲もビートジャックをやっているし、この曲もやっている。でも、全部クオリティーが高いやつがいるな」と思ったら、それがAKLOだったりっていうことで注目をされるようになって。で、フリーのアルバムを出したら、AKLOのアルバムがボーン! とインターネット上で話題になって有名人になるという。

(宇多丸)これもでも、やっぱり昔のキングギドラのデモテープとかペイジャーのデモテープが先に……音源化されるよりも先にシーンに出回って。ものすごいプロップスが上がった状態でアルバムが出るとか。やっぱりね、あるんですよね。そういうヒップホップのストリートプロモーションの流儀っていうのがあるんですよね。

(DJ YANATAKE)で、そうやって地固めの終わったところで、いよいよこのAKLOがデビューということになるわけなんですけども。そのデビューシングルが出た時はもうバーン!って。かなり大きいバズが起きましたし、宇多丸さん、その曲の評価として、「ラップの歌い方としては日本語ラップの最高の……」って。

(宇多丸)日本語ラップっていうか、「日本語を西洋的なポップミュージックのビートに合わせる実験の現状の最高峰だ」って言いました。

(DJ YANATAKE)そうですね。といった曲をまず聞いていただいてもよろしいでしょうか? それでは2012年に発表されたAKLOの正式なデビュー曲となります。AKLOの『RED PILL』を聞いてください。

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AKLO『RED PILL』

(宇多丸)はい。AKLOで『RED PILL』。2012年のデビュー曲ということで。

(DJ YANATAKE)そうですね。

(渡辺志保)進化っぷりが半端ないですね。

(宇多丸)あのね、すごいラップが聞こえとして日本語離れした感じなのに100%聞き取れるし。非常にスキルフルで素晴らしいと思います。

(DJ YANATAKE)そうですね。で、このAKLOの前に同じ年なんですけどSALUっていうラッパーもデビューして。

(宇多丸)SALUもね、これまた素晴らしい。天才的な。

(DJ YANATAKE)この2人はONE YEAR WAR MUSICっていうレーベルからデビューしたんですけども。BACHLOGICの。

(宇多丸)BACHLOGIC。我々の『Once Again』とか、何度も組んでいるプロデューサーですね。

(渡辺志保)スーパープロデューサー。

(DJ YANATAKE)当時は「BL詐欺」っていうのがあったぐらい流行っていて。

(宇多丸)えっ? BL詐欺?

(DJ YANATAKE)顔を出していないから、BACHLOGICの名を語ってビートを売るっていうことがあったらしいんですよ。

(宇多丸)ええーっ? そんな……でもビートのクオリティーでバレるだろ、そんなの?

(DJ YANATAKE)そうそう。バレるんですけど。でもやっぱりそれぐらい……。

(渡辺志保)謎に包まれていながらも、クオリティーが半端ないっていうね。

(DJ YANATAKE)なんですけども、SALUくんの登場もなかなかセンセーショナルでしたが。さらにまた新しい世代。いよいよ、そのトラップの日本の本格派と呼べるアーティストが出てきたという。それがKOHHくんですね。

(宇多丸)これはね、宇多田ヒカルさんのアルバムに参加でみなさん、もはや知っている方もいるんじゃないですかね。

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(DJ YANATAKE)彼は東京都北区王子の団地に生まれ育ったということなんですけども、実は僕、同じ団地生まれ。

(宇多丸)ああ、マジで?

(DJ YANATAKE)そうなんです。あと、Y’sっていうラッパーとMonyHorseも同じ団地で。MonyHorseのおじいちゃんは僕の少年野球の監督さんという。

(宇多丸)へー!

(DJ YANATAKE)まあまあ、僕からしてみると「あんなところからこんな子たちが出てくるんだ!」っていうように非常にうれしくて、陰ながら応援しているんですけども。まあでも、そんなことは置いておいて……。

(宇多丸)『結局地元』の地元だったわけですね。

(DJ YANATAKE)そうなんですね。で、KOHHくん、いまからかける曲は『JUNJI TAKADA』っていう。高田純次さん、みなさんご存知かと思うんですけど。彼をモチーフにした曲を作るんです。実はアメリカではね、そういう手法もその時に結構流行っていたりして。有名人に自分をたとえて自分の凄さを表すのが流行っていて。

(宇多丸)なるほど。じゃあ、そのスタイルを置き換えたわけだ。

(DJ YANATAKE)うまく日本に置き換えて。「えっ、高田純次?」っていうんですけど、これまた歌詞を聞いていると面白いという。

(宇多丸)これ、高田純次さんご本人の耳にも届いた?

(DJ YANATAKE)で、高田純次さんのラジオでもオンエアーされたということで(笑)。

(宇多丸)フフフ(笑)。いや、でもKOHHはさらに日本語ラップのやり方に新しい地平、次元というか。

(渡辺志保)更新したっていうことですね。

(DJ YANATAKE)どうでした? 最初。KOHHくんを聞いて。

(宇多丸)いやいや、衝撃でした。「ああ、こんなやり方があるのか! これ、ありなのか!」っていう。この非常に平易な言葉で……ただ、この乗せ方をするのは実は考え抜かれていると思う。なにも考えていない乗せ方をしているように見えて、すごく考え抜かれているんだけど、とにかく、こんなに日本語を……逆にだからUSのやり方をものすごく研究してトレースした結果、ものすごくドメスティックな表現としても自然なものになっているというか。

(渡辺志保)それこそシンプルな言葉遣いで聞き取れるんですよね。KOHHくんのラップは。

(宇多丸)だから日本語ラップとしてすごく自然になっているし、USのモードとも合っているし。だから俺にはすごく勇気がいるタイプのラップなのね。だから、ゴイスーです。1000円ください。

(DJ YANATAKE)フフフ(笑)。で、いまはね、もうヨーロッパツアーやアメリカでライブしたりして満員になるぐらい。本当に世界的に人気があるアーティストに成長していて。

(宇多丸)うんうん。

(DJ YANATAKE)今年ね、なんか新しい動きがあるみたいなんでね。非常に楽しみに待っております。というわけで、KOHHの2013年に発表された曲になります。『JUNJI TAKADA』。

KOHH『JUNJI TAKADA』

(宇多丸)はい。KOHHくんの『JUNJI TAKADA』をお送りしております。でもちょっと前の曲だからね。KOHHくんはまたその後もモードをどんどん。

(渡辺志保)進化を遂げて。

(DJ YANATAKE)また最近もどんどんかっこよくなっていますから。

(宇多丸)これね、まさにUSのヒップホップの歴史と日本のヒップホップの歴史を並行してお聞かせしてきましたけど。KOHHくんのこれとかは、もしそんなにヒップホップをそんなに聞いていない、明るくない人だったらなんで急にこういうスタイルになるのか、わからないじゃないですか。だからUSと並行して聞いていくことで、なぜこういう表現になるのか? わかっていただけたんじゃないでしょうか。

(渡辺志保)そうですね。

(DJ YANATAKE)絶対に一緒に聞いた方が面白く聞けます。で、ですね、最後。去年の話になってきますけど、『フリースタイルダンジョン』がバーッと盛り上がって、MCバトルブームがあって。

(宇多丸)『フリースタイルダンジョン』は2015年放送スタート。結構前なんだね。ずいぶん経つんだね。

(DJ YANATAKE)でも、さっきも話に出ましたけども、バトルMCでなかなかヒットが生まれないなんて言っていたんですが、Dungeon Monstersっていう『フリースタイルダンジョン』出演のモンスター。MCバトルの強い人のゴレンジャーみたいな。

(宇多丸)さっきの漢くんも含めて。サイプレス上野とかいろいろといて。

(DJ YANATAKE)それが『MONSTER VISION』という曲を出して、某配信ダウンロードサイトの総合1位。軒並みJ-POPの強いやつらよりも上にバーン!って行って。某テレビ局の……。

(宇多丸)もういいだろ、別に?(笑)。『ミュージックステーション』だよ!

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(DJ YANATAKE)に、出演するという。すごいリマーカブルな出来事が起きましたので。こちらも近年の日本語ラップの代表曲としてかけさせてください。Dungeon Monsters『MONSTER VISION』。

Dungeon Monsters『MONSTER VISION』

(宇多丸)はい。Dungeon Monsters『MONSTER VISION』でした。

(DJ YANATAKE)とにかくこれも盛り上がったんですが、日本語ラップで大きな出来事といえば、JP THE WAVYくん。もう彗星のように現れて。

(渡辺志保)彗星のように。去年の出来事ですね。

(DJ YANATAKE)去年、2017年。インターネットを使ったバズ。

(宇多丸)バイラルヒット。

(DJ YANATAKE)バイラルヒット。真似をして動画をアップするとか、一緒にダンスを踊った動画をアップするとかね。そういう手法がありますけども。本当に、これが自然発生的に上手く行って、それが結果的に全国を巻き込んで大ヒットになった、本当にいちばん最初の形になった例といえるんじゃないですかね。『Cho Wavy De Gomenne』という曲がありまして。

(宇多丸)まさに2017年を代表する。

(DJ YANATAKE)はい。ナンバーワンソングのひとつと言っていいんじゃないでしょうかね。こちらを近年の日本語ラップ……おっ、最後の曲だ!

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(宇多丸)ああ、そうだ。これを日本語ラップシーンの……この後にBAD HOPはライブをやりますけども。日本語ラップコーナーの最後とさせていただきたいと思います。

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(DJ YANATAKE)いとうせいこうさんからここまで来ました!

(宇多丸)スネークマンショーからここまで来ましたということですからね。

(DJ YANATAKE)Awichとかいろいろとかけたかったんですけども。

(渡辺志保)本当ね。

(DJ YANATAKE)今日、ここではJP THE WAVYをかけさせていただきたいと思います。JP THE WAVYで『Cho Wavy De Gomenne』。これ、いま知らないとヤバいぜ!

JP THE WAVY『Cho Wavy De Gomenne』

(宇多丸)はい。『Cho Wavy De Gomenne』。これ、「超○○でごめんね」みたいなのをね。

(DJ YANATAKE)そういう使い方ですね。


(宇多丸)あれですよね。直接会ったことはないんですけども。JP THE WAVYさん、もともとはダンサーで。ダンスとかも振り付けとかがあって、それを真似しやすいっていうのもあったりとか。

(DJ YANATAKE)踊れるラッパーっていうのも珍しい。

(渡辺志保)彼はすごいおしゃれで、自分のアパレルの仕事をやった経験もお持ちだから。本当に全てを兼ね備えたスターラッパーという感じがしますね。

(宇多丸)はい。ということでございます。さあ……。

(DJ YANATAKE)おおっ、ここまで来た~!(笑)。

(宇多丸)ということで、日本のヒップホップの歴史。意外と早くから始まっていた。『 Rapper’s Delight』に即座に、直で影響を受けた『咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3』からJP THE WAVYの『Cho Wavy De Gomenne』まで一気に駆け抜けてまいりました~!

<書き起こしおわり>

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