町山智浩・宇多丸・高橋ヨシキ ブレードランナー歌謡祭

町山智浩・宇多丸・高橋ヨシキ ブレードランナー歌謡祭 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

(宇多丸)これ、歌謡祭おもしろいからガンガン行きましょうよ。どんどん。

(町山智浩)でね、とんでもないものをやりましょう。とんでもないものはね、相楽晴子『ブレードランナー』(笑)。

(宇多丸)おおっ、全然SF感がない。相楽晴子。

(町山智浩)全然SF感ないんですよ。相楽晴子。相楽晴子といえば、『スケバン刑事』ですからね。ビー玉のお京ですけど。あと、まあ『どついたるねん』の名演技がありますけども。彼女がそのものずばり、『ブレードランナー』という曲を……。

(高橋ヨシキ)みんな題名に『ブレードランナー』って使いすぎじゃないですか?

(宇多丸)タイトルに『ブレードランナー』って……他にもう「○○の」も付かないですからね。

(町山智浩)もう曲をかけてくださいよ。

(宇多丸)相楽晴子で『ブレードランナー』。

相楽晴子『ブレードランナー』


(町山智浩)いいでしょう、これ?

(高橋ヨシキ)ヤバい。

(宇多丸)だ、ダセえ……(笑)。

(町山智浩)これ、いまおっしゃったんですけど、「サンライズのアニメみたい」っていう。『メガゾーン』とかね、あの頃のOVAの主題歌だよね、これ。

(宇多丸)「ブレードランナー♪」って。

(町山智浩)「ブレードランナー♪」っつってね(笑)。みんなでハモってますが。

(宇多丸)これ、ユーロかなんかのカバーですか?

(町山智浩)そう。もともとあるんですよ。ヨーロッパの方の歌で。

(宇多丸)でも、それは別に『ブレードランナー』じゃないんでしょう?

(町山智浩)元も『ブレードランナー』なんです。

(宇多丸)あ、そうなんですか。

(町山智浩)ほとんど同じ。

(宇多丸)へー!

(町山智浩)だからこれ、『ブレードランナー』っていうのは女を騙す男らしいんですよ、この世界では(笑)。

(高橋ヨシキ)だいたい合っているじゃないですか。

(宇多丸)まあまあ、間違ってはいない(笑)。

(町山智浩)そうそう。「俺を愛してるって言え!」っていうやつなんでね。これ、本当にさ、MADビデオがあるじゃない? この曲に合わせて『ブレードランナー』のMADビデオを作りたくなるでしょう、これ?

(宇多丸)ああ、いいですね!(笑)。

(町山智浩)「ブレードランナー♪」っていうね。

(宇多丸)いやー、衝撃だったわー。

(町山智浩)この80年代のOVA的な音楽、素晴らしいですけども(笑)。

(宇多丸)なんと、もう……ヨシキさんが死んだ目になっていますけども。

(高橋ヨシキ)いやいや、死んでないですけど。そのMADビデオで思い出したんですけど、たぶんね、昔……あれはどこの大学だったのか、東大の人だったかわからないですけど。『ブレードランナー』の頃かもうちょっと後に『ブレードランナー』の予告編だと思うんですけど。その音に合わせて新宿歌舞伎町で8ミリを回して適当に撮ったのを繋いで、それに音をかぶせると超『ブレードランナー』に見えるっていう8ミリの自主映画があって。それのことをいま、ボーッと思い出したりしていましたね。

(町山・宇多丸)へー!

(高橋ヨシキ)どなたが作ったのか、誰が情報がある人いたら教えてほしいんですけど。

(町山智浩)だからそれがすごく魅力的だったのは、とにかく未来世界にいつでも、新宿に行けば行けるっていうのはすごいことだと思うよ。

(高橋ヨシキ)すぐそこですからね(笑)。

(町山智浩)それで、道端に立っているし。そういう人も。ねえ。

(宇多丸)いや、でもこれは知らなかったです。

(町山智浩)知らないでしょう? でも、こういうのって結構マイナーな話をしているような気がするじゃないですか? そうじゃなくて、超大物の松任谷由実さん。ユーミンも作っているんですよ。『ブレードランナー』歌謡を。

(宇多丸)ユーミンさん、この間ユーミンさんのラジオに出た時に、なぜか『ブレードランナー』の話になって。「すごい楽しみにしている!」って。

(町山智浩)なぜか『ブレードランナー』に(笑)。

(宇多丸)なぜか『ブレードランナー』の話になって、すげえ楽しみにしている新作みたいな話をしていましたけども。はい。ユーミンはどんな曲なんですか?

(町山智浩)これは結構最近の曲なんですけど、『今すぐレイチェル』。

(宇多丸)2011年じゃないですか!

(町山智浩)だってこれ、シングルヒットしてるんだもん。コマーシャルソングだったですよ。

(宇多丸)はい。じゃあちょっと行ってみましょう。松任谷由実さんで『今すぐレイチェル』。

松任谷由実『今すぐレイチェル』

(宇多丸)はい。ユーミンの『今すぐレイチェル』。レイチェルは明らかに劇中で出て来るレイチェル。「今すぐレイチェル 君を救いたい 洗脳の檻を破ってエンジェル」っていうね。

(町山智浩)ねえ。そのまんまですね!

(宇多丸)「お前はレプリカントだ!」(笑)。

(町山智浩)そう。もうストレートに「お前はレプリカントだ!」って。もうちょっとデッカードはソフトに言えないのか?って思いますけども。

(高橋ヨシキ)「お医者さんごっこの途中で逃げたことを人に話したことがあるか?」って言うんですよね。

(宇多丸)その話をしているっていう。それをでもさ、2011年に改めてやるんだから、ユーミンは本当に『ブレードランナー』をすごいね……いまだに『ブレードランナー』曲を作っているっていうことですね。

(町山智浩)昨日ね、ハリソン・フォードに松任谷由実さん、会ったらしいんですよ。

(宇多丸)あ、マジっすか?

(町山智浩)いま、来ているから。それで、『今すぐレイチェル』を聞かせたらしいんですよ。「あなたのために作りました」っつって。

(宇多丸)あ、そうなんだ! じゃあもうストレートに。あらあらあら。

(町山智浩)すごいですよ、これ。

(高橋ヨシキ)じゃあデッカードがこれを聞いていたってことですよね。ヤバい!

(宇多丸)歌謡祭、もうあちこちで広がってるじゃん!

(町山智浩)すごいですよ。

(宇多丸)世界に広がる『ブレードランナー』歌謡祭ね。

(町山智浩)すごいよ、これ。

(高橋ヨシキ)この『ブレードランナー』の網の目から抜けられないっていう。ヤバいっすね。

(宇多丸)アハハハッ!

(町山智浩)でもこれ、テレビでコマーシャルソングとして流していたらしいんですよ。でもみんな、この『今すぐレイチェル』っていうのの歌詞が『ブレードランナー』のデッカードの気持ちで歌っているとは誰も思っていないよね。たぶんね、みんな。

(宇多丸)いやー、面白いわ。

(町山智浩)これ、すごいね。みんな知らない『ブレードランナー』歌謡の世界ですよ。

(高橋ヨシキ)最後、「ゆっくり記憶のドアがひらくひらく」って書いてありますよ。すごいですよ、これね。

(町山智浩)そうそう。だから彼女を洗脳から解くというか、レプリカントであることを確認するシーンのことを歌っているんですよね。

(高橋ヨシキ)素晴らしいですよね。

(宇多丸)そして、早瀬優香子さんの『硝子のレプリカント』は頭のところでかけてしまったので、これ。ヨシキさんのリクエスト。

(高橋ヨシキ)はい。ヤプーズの『バーバラ・セクサロイド』という歌がありまして。これは絶対にプリスの歌だと思うんですけど。

(町山智浩)戸川純さんですね。

(宇多丸)それではヤプーズで『バーバラ・セクサロイド』。

ヤプーズ『バーバラ・セクサロイド』

(宇多丸)はい。ということでヤプーズで『バーバラ・セクサロイド』。劇中のプリスが……プリスはセクサロイドで、要するに性の慰み用に作られたレプリカントで……という話をしているということですよね?

(町山智浩)はい。ダリル・ハンナが演じていた。で、画面の中にプリスのデータが出る時に「セクサロイド」って出てくるんですよね。セックス用のアンドロイドって出てくるんですけど、その気持ちで歌っているという(笑)。戸川純さんが。

(宇多丸)すごいねー。

(町山智浩)セクサロイドの気持ちで(笑)。

(宇多丸)いやー、しかし結構あるもんですね。これね。

(町山智浩)あるんですよ。

(宇多丸)『ブレードランナー』歌謡。そして今日ね、町山さんとヨシキさんと『ブレードランナー』の特集をやるから……って聞いていた人はね、まさかこんな放送に転ぶとはね、想像してなかったと思うんですよ。

(町山智浩)でもリアルタイムだから。本当にみんなが『ブレードランナー』のことを歌いだして漫画に描いて、『ブレードランナー』のことばっかり語っていた時代っていうのがあって。もうひとつ、現代思想の世界でも『ブレードランナー』のことばかり論じていたのね。みんな。その当時は。まあ、ポストモダンとか言って。『ブレードランナー』のことしかなかった時代があったんですよ。86年ぐらい。

(宇多丸)これ、本当にいま挙げてもらったのは結構直接的に『ブレードランナー』を引用してたり、説明していたりするんだけど。もっと『ブレードランナー』のデッドテックな未来像とか。そういうところまで含めたら……。

(町山智浩)もうすごいですよ。

(宇多丸)裾野の把握は不可能っていう世界。

(町山智浩)それこそ、ヨーロッパの方にもいっぱいあるから。そういう音楽は。

(宇多丸)まあ、その一端を日本は……。

(町山智浩)だからSigue Sigue Sputnikがそうですよ。あれが完全に『ブレードランナー』の世界をやろうとしたもんね。『Love Missile』ですね。

(宇多丸)まあ全然ブレイクしなかったけど……っていうね。

(町山智浩)でも布袋さんがそれを真似してブレイクしてますから。それ、いいのか?っていう問題もありますけども(笑)。

(宇多丸)まあSigue Sigue Sputnikが日本に来た時、ロマンポルシェ。が前座だった時に行きましたよ。

(町山智浩)ああ、本当に? 元気でした?

(宇多丸)元気でした。

(町山智浩)まあ、友達じゃねえけどな。別に(笑)。

(宇多丸)元気でやっておりました!

(町山智浩)元気でやってました? はい(笑)。

(宇多丸)といったあたりで、いったんCMに行ってから、昨日公開されたばかりの続編『ブレードランナー2049』のお話をうかがいます。ネタバレチキンレース、開幕です!

<書き起こしおわり>

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