宇多丸と原田知世 アルバム『L’Heure Bleue』を語る

宇多丸と原田知世 アルバム『L’Heure Bleue』を語る アフター6ジャンクション

原田知世さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さんと歌手としてのキャリアや新作アルバム『L’Heure Bleue』について話していました。

(宇多丸)で、それ以降、ずっともちろん様々な作品とかもありますけども。90年代以降は特に音楽活動の領域でさらに活動の幅を広げられるというか。もともとの角川映画のイメージからさらに違う領域で支持も広げられたというものありますけども。歌手活動と女優活動を並行というか、ほとんど同じ比重ぐらいでやられていると言ってもいいと思いますが。それの良さってありますか? 同時にやっている良さ。

(原田知世)うーん、どちらも全然違うものなので。本当に飽きないです。いつも新鮮な気持ちで向き合えますね。

(宇多丸)片側が……たとえば音楽活動が女優活動にフィードバックされるとか、そういう効果もありますか?

(原田知世)あると思います。はい。

(宇多丸)具体的にどういうところがフィードバックされていきますか?

(原田知世)やっぱり、女優さんってひとつの役をやっているとその後、たとえばアルバムを作ろうと思うと、その時の気持ちみたいなものが詞に現れていたりもしますし。なんでしょうね? いろんな面でやっぱり刺激しあっているんではないかと思いますね。

(宇多丸)まさにでも、原田さんの変わらぬフレッシュさというか。それはその音楽活動でそこの女優的な磁場から開放される瞬間が結構多いからこそなのかな?っていうのはすごく前からファンとしては思うあたりでした。

(原田知世)そうですね。それもあると思います。音楽はとても、自分でいろいろと企画っていうか、「こういうのがやりたい」って思ってアイデアを出したりしながら表現できる場所なので。自由ですよね。うん。

(宇多丸)いやー、これ1個1個の作品について本当はうかがっていきたいんですよ。あと『時をかける少女』からの……たとえば細田守監督の『おジャ魔女どれみ』のね、第40話という。これ、名作回として知られていますけども。この話も聞きたいし……とかもあるけど。これは無理なので。

(原田知世)フフフ(笑)。

(日比麻音子)時間が、ちょっと(笑)。

(宇多丸)あと、85年の『PAVANE』というアルバムがめちゃめちゃ好きで。

(原田知世)ありがとうございます。

(宇多丸)ついこの間、夏の終わりのサマーソングという企画であのアルバムの中から『ハンカチとサングラス』をかけたりなんかして。まあ、この話も置いておいて……。

パヴァーヌ
Posted at 2018.11.21
原田知世
ソニー・ミュージックレコーズ

(原田知世)フフフ(笑)。

(日比麻音子)時間がね、ちょっと(笑)。

(宇多丸)そこは時をかけて置いておいて。まあ、やはりここはニューアルバム『L’Heure Bleue』のお話をうかがいたいと思います。

L'Heure Bleue (ルール・ブルー)(初回限定盤)(DVD付)
Posted at 2018.11.21
原田知世
Universal Music =music=

(原田知世)ありがとうございます(笑)。

(宇多丸)2017年に『音楽と私』というデビュー35周年でセルフカバーアルバムを出されて。これはすごいキャリアとして一区切りっていう感覚があったわけですよね?

(原田知世)ありましたね。すごく……去年は本当にファンの方、長く応援してくださっている方にお返しをする1年という風に思ってツアーをやったりしてきましたので。で、はじめてセルフカバーアルバムっていうのを出して、ひとつ区切りが本当に自分の中でついて。肩の力がフッと抜けたんですね。

(宇多丸)いままでのキャリアの蓄積みたいなものをいったんリセットというか?

(原田知世)リセットして。ゼロに戻るぐらいな気持ちになれたので。今年は本当にのびのびと、ある意味また新鮮な気持ちがわいてきて。女優の仕事もアルバムも作れたかなっていう気がしますね。

(宇多丸)まさに『音楽と私』のリリースパーティー、角川シネマ新宿の時も『ときめきのアクシデント』っていうね。

(原田知世)うん、そうですね。もう何十年かぶりに歌ったんですよね。

(宇多丸)なんですよね!

(原田知世)あの曲、すっごくいい曲ですよね?

(宇多丸)最高です!

(原田知世)私も大好きです(笑)。

(宇多丸)もうあの来生たかお・えつこさんの名曲。いま、後ろで流れていますけどもね。

『ときめきのアクシデント』


(宇多丸)でもこれ、改めて『ときめきのアクシデント』まで入れたっていうことは、これは相当原田さんの中で1個、太い線を引いているなっていうね。

(原田知世)うん。あれは本当にファンの方に「あれをやってください」ってすごく、ずっと言われてきていたんです。で、私もすっごく好きだったので。ただ、タイミングをどこでやればいいのか?っていうのをずーっと考えていて。「35周年、いまだ!」って思って歌いました。

(宇多丸)で、完全にそこ、過去から一線を引いてリセットしてのニューアルバム『L’Heure Bleue』から1曲、聞きたいと思います。では、曲紹介をお願いしてもいいでしょうか?

(原田知世)では、聞いてください。原田知世で『銀河絵日記』。

原田知世『銀河絵日記』

(宇多丸)はい。お聞きいただいているのは原田知世さんニューアルバム『L’Heure Bleue』から『銀河絵日記』でした。もちろん『銀河鉄道の夜』にインスパイアされたというか。

(原田知世)そうですね。高橋久美子さんが作詞をしてくださいました。

(宇多丸)元チャットモンチー。今回、まさにいまおっしゃったように作詞陣……伊藤ゴローさんとのコンビネーション、プロデュースワークというは引き続きですけど、作詞陣に多彩なメンツが。たとえば、僕も一緒に曲を作ったことがあるKIRINJIの堀込高樹さんとか。あとは土岐麻子さんとか。あとはこの間、ものんくる。この番組にも来ていただいたものんくるの角田隆太さんとか。この人選っていうのはどういう?

(原田知世)はい。ユニバーサルのディレクターさんがKIRINJIの……。

(宇多丸)ああ、まさに斉藤さんが。どうもー。まいど! 斉藤さんがじゃあ、「このあたりと組むと面白いんじゃないですか?」って、化学反応を狙ってみたいな?

(原田知世)はい。

(宇多丸)これ、たとえば堀込高樹さんの曲『風邪の薬』とか、めちゃめちゃ内容が面白いんですけども。

(原田知世)面白いですね。これまでの曲は割と全部自分で歌詞を書くことが多かったんですけども。でも、きっと他の方に書いていただくことでより自分が知らない面とかを引き出してもらえるんじゃないか?っていう思いがまずあって。で、今回は短編映画をひとつひとついろんな方に作ってもらうような気持ちで。それで多少イメージして物語というか、歌詞を書いてくださいっていうことをみなさんにはお願いをして。で、リクエストを出して書いてもらったので。まさに本当に「ああ、こういう歌詞になるんだ」とか。自分だったら絶対にこの世界観は書けないっていうものばかりで。すごく新鮮で。「どういう風に歌ったらいいかな?」とかいろいろと演じる気持ちが、女優の部分みたいなのが出てきて。

(宇多丸)ああ、なるほど。

(原田知世)それもとても楽しかったんですよね。

(宇多丸)たしかに1曲1曲、結構はっきりとした世界観が……。

(原田知世)ありますよね。映像が浮かぶものがすごく多いので。ちょっと演じるみたいな。

(宇多丸)それぞれ、たとえば堀込さんだったら、まあある意味「原田知世さんに歌ってもらうなら……」ってお題をもらって出てきたのがこの『風邪の薬』とかね。これ、風邪の時のフワフワした、ちょっと現実じゃないような感じみたいなものを歌うって、これは堀込高樹さんらしい目の付け所。

(原田知世)素晴らしいですよね。

(宇多丸)さすが引っ越しの歌とかを作る男だっていうね。

(原田知世)「お母さん」っていう言葉を歌ったのははじめてかもしれない。

(宇多丸)なるほど。ああ、そうですか。これは、そうですよね。割と子供役っていうか。

(原田知世)なんか思春期なのか、揺れ動く感じがしますね。

(宇多丸)思うにやっぱり原田さんという素材を受けて、もし僕も歌詞を書くとしたら、たぶん「原田さんが演じるなら……」みたいなのがあるから。さっきおっしゃられたように1曲1曲を演じる感じっていうのは、たぶんいったん外に投げたから出てくるものっていう感じがしますね。

(原田知世)そうですね。刺激をもらって出てくるということ、かな?

(宇多丸)はい。まただからいままでにない、これまた最近のアルバムと全然違う感じだったんで。めちゃめちゃ素晴らしかったです。

(原田知世)ありがとうございます。

(宇多丸)改めて発売日など。原田知世さん4年半ぶりのオリジナルアルバム『L’Heure Bleue』は来週の水曜日。お誕生日でございます。11月28日に発売されます。そして来年1月28日(月)の夜7時からNHKホールにてコンサートが開催されるという。そちらのチケットの一般販売も28日(水)から開始ということでございます。ということで1月28日(月)は私はこの番組を休むということで。

(原田知世)フフフ(笑)。

(日比麻音子)いや、本当に休む予感しかしないので。ちょっとそこはなんとか……。

(宇多丸)当然のように来ないとか。無断で来ないとか、そういうことで(笑)。これ、なかなか難しいお願いかもしれないですけど、ライブコーナーがこの番組、あるんですよ。この間の角川シネマの時の伊藤さんのギターとのあれも素晴らしかったんですけど、そんなようなことをお願いなんていうのは、これは……?

(原田知世)はい。またいつでも呼んでください。

(宇多丸)私がもし、それまで生きていれば……なんですけども。

(日比麻音子)この後すぐに息が絶えるかもしれない(笑)。

(宇多丸)原田さんが出ていった瞬間にバタリっていう(笑)。

(原田知世)長生きしましょう(笑)。

(宇多丸)フフフ(笑)。ぜひちょっとまた、お越しいただければ幸いです。

(原田知世)こちらこそです!

(宇多丸)ということで、女優・歌手の原田知世さんでした。

(原田知世)ありがとうございました。

(宇多丸)ありがとうございました!

<書き起こしおわり>

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