磯部涼と宇多丸 トラヴィス・スコットのフォートナイトライブを語る

磯部涼と宇多丸 トラヴィス・スコットのフォートナイトライブを語る アフター6ジャンクション

磯部涼さんが2020年4月30日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で宇多丸さんとトラヴィス・スコットが人気ゲーム・フォートナイト内で行ったライブ『Astronomical』について話していました。

(宇多丸)じゃあ、まず最初はこちら!

(宇内梨沙)「コロナ禍のラップはどうなっているのか?」。

(宇多丸)こういう状況の中でどんなものが発表されているのかという話、ぜひお願いします。

(磯部涼)まあヒップホップ、ラップミュージックって元々今で言うところの「密」な文化だと思うんだよね。

(宇多丸)フフフ、人が狭いところに集まってさ、ツバを飛ばしてさ。

(磯部涼)そもそもパーティーっていうものからこの文化は始まっているし。クルーというか、人が集まって。仲間が集まって。まあ最近で言うと、それはスクワッドとかコレクティブとかそういう風に言い方はだんだんと変わってきてるんですけども。まあ人が集まって文化を形づくっできたっていうのが基本だと思うんだよね。だからもうその文化の根本みたいなものが変わらざるを得ないみたいなところがあったりして。ちょっとネタ的なものではあるんですけど、ハンドシェイク。

会った時にみんなで挨拶をするようにちょっと派手なアクションの握手をして……みたいなのが文化としてあったりとかするんだけど。これがネタ的な映像で出会い頭に足をぶつけて挨拶をするみたいな感じになったりとか。あと肘をぶつけたりとか、そういう風に……それが象徴をしているんですけども。文化の形がちょっと変わらざるを得ないみたいなところもあったりとかして。でも実態にアメリカだとラッパーでもたくさんの人が新型コロナにかかっちゃっていて。

(宇多丸)知られているラッパーでもコロナにかかっているという。

(磯部涼)まあベテランで言ったらスカーフェイスとか。

(宇多丸)スカーフェイスね! 結構いいお歳だろうからね。

(磯部涼)しかも、たしか持病があったのかな? それでなんか結構悪化しちゃって。今もまだ治療中なのかな? それでスリム・サグっていうラッパーとかもかかったりとか。若手だとYNW・メリーっていう去年とかすごい人気になったメロウな感じのラップをする人がいるんですけども。その人は収監中なんですけども、刑務所の中でかかっちゃったみたいな話があったりとか。あとはニューヨークでフレッド・ザ・ゴッドサンっていうラッパーがいるんですけども。彼、日本だと昔、SEEDAと共演をしたこともあったりとかするんですが、彼は35歳で亡くなってしまったんですよね。

(宇多丸)ああ、本当? そうか……。

(磯部涼)そういう風に……まあ、ラッパーの人口が多いからかかってしまうというか、そのニュースが耳に入ってくる確率も高くなるっていうこともあるのかもしれないんですけど。アメリカでは実際にそういうことも結構多くてっていうのもあって。

(宇多丸)でも一方でね、実際にそのフィジカルというかさ、実際に生身で集まる文化はなかなかあれだけども。まあ幸か不幸かというか、インターネットがものすごく浸透しきっているという状態もあって。当然、それを利用してガンガンいろんなことをやったりっていうのもあるわけでしょう?

(磯部涼)そうなんですよね。だからその一方ででヒップホップとかラップミュージックって現実を反映して時代ごとに形を変えてきたっていうのもあるんで。何だろう? 力強さもあるっていうか、格好のネタというか。今、旬のアメリカだと売れに売れまくっているダベイビーっていうラッパーとかだったら新しいアルバムでもさっそくアートワークがマスク姿だったりだとか。ビデオも部屋を消毒しまくるみたいなのをネタにしたりとかっていうのもあったりするんですけども。

新型コロナ禍をさっそくアートワークに取り入れるDaBaby


(宇多丸)うんうん。

(磯部涼)たとえば、トラヴィス・スコットっていうすごいアメリカで人気の、もうセレブリティにもなっているようなラッパーがいるんですけど。フォートナイトっていうゲームがあるんですよね。士郎さんとかよくご存知だと思いますけど。もうなんか今、日本でも小学生の高学年で休学中の子供とかはもうフォートナイトをやりまくっているみたいな。

(宇多丸)マルチプラットホームでタダでできるから。ねえ。そりゃやるよね。

(磯部涼)オンラインのアクションゲームなんだけど、そこで友達と集まって。部屋の中に閉じこもっていなきゃいけないんだけども仮想のフォートナイトの世界で集まって……みたいなことをしていて。

(宇多丸)オープンワールドだからね。それでキャラクターも色とりどりでポップだし。うん。

(磯部涼)そうそう。キャラクターを自分色にいろんなファッションにできたりとかもして。で、そのフォートナイトって世界っていうのは前から結構音楽のイベントとかもやっていて。EDMのマシュメロっていうアーティストがライブをやったりとかもしていたんですけども。

(宇多丸)うんうん。

(磯部涼)それで、そういうのがあるから、今の日本の小学生もEDMを聞くようになったりとかね、そういう現象もあったりするんですけども。その中でトラヴィス・スコットというラッパーが数日前にライブをやったんですよ。

(宇多丸)うんうん。フォートナイトの世界でバーチャルライブをやったという。

フォートナイトの世界でバーチャルライブ

(磯部涼)そうそう。「この時間からライブをやりますから、このイベント会場にフォートナイトのゲームをしているみんなは集合!」みたいな感じでやって。それがもう本当にポストコロナ的なパフォーマンスというか。

(宇多丸)要するに、お客というかオーディエンスもフォートナイトのそのプレイヤー、キャラクターとなってその会場に行って……という。

(磯部涼)そうですね。集まって。「さあ、始まるぞ!」ってみんなキャラクターたちが「わー、わー」ってやっていたら、トラヴィス・スコットの曲がかかって。そしたらドカーンと、ゲームの中なんだけども、身長何百メートルもあるみたいなサイズのデザインの巨大なトラヴィス・スコットが現れて。

(宇多丸)これはそのフォートナイトの元の会社と当然、プログラムをして、それを演出しているわけね?

(磯部涼)そうなんですね。それでゴジラみたいなトラヴィス・スコットが暴れ回って。ジャンプして、爆発みたいなのをしたらプレイヤーたちはみんな空に飛ばされて。空の上からライブを見たりとか。

(宇多丸)それ、見ているプレイヤーは死なないの?(笑)。

(磯部涼)その流れでは死なないので。「なんだ、こりゃ!?」みたいな。リアクション動画みたいなのもYouTubeにめちゃめちゃ上がっていたりしますけども。で、その後も海の中に潜ってライブをやったりとか。もう本当、当然現実ではできないんだけど、それをフォートナイトの世界で……。

(宇内梨沙)楽しい!

Travis Scott and Fortnite Present: Astronomical

(宇多丸)うんうん。でも逆に現実ではできない演出をフォートナイトの世界でならできるし。それをこっちも体感できるし。なんか面白いよね。

(磯部涼)そう。だからその現実……もともとね、フォートナイトでライブをやるという計画自体は前から決まっていたのかもしれないですけど、この時期だからこそ、ゲームの中だからこそできるライブをやってるっていう感じはありますね。

(宇多丸)しかも視聴者数が世界でのべ1200万人というんだからさ。現実のライブで1200万人を集めるのは無理だよね。いやー、面白いし、ここからこういうゲームなり、バーチャル空間を使ったものって増えていくかもね。本当、『レディ・プレイヤー1』っていうかさ。

(磯部涼)こういう状況がいつまで続くかもわからないっていう話になってるんでね。ひょっとしたらこれからのライブは、RHYMESTERも……。

(宇多丸)フフフ、『あつまれ どうぶつの森』の会場を使ってさ、やるかもしれないよ。

(磯部涼)子供はフォートナイトに集まって、疲れた大人は『どうぶつの森』に集まっているみたいな話もあるんでね。

(宇多丸)そうそう。そういう話もあるかもしれない。でも本当に『レディ・プレイヤー1』じゃないけども。そういうさ、フィジカルでは集まれない分、バーチャルで。人を集めるならばそういうやり方っていうのもマジで全然なしじゃないなって思っていますよ。

(磯部涼)そう。この状況をあえて使っていくんだったら……っていうところもありますよね。

(宇多丸)これはもう、こうなってしまったのはいいも悪いもないからさ。なるほどね。でもたくましいと言えばたくましいね。これもね。

(磯部涼)そうですね。さすが、ラッパーがそれを最初にやるんだなっていうのはありましたね。

(宇多丸)うんうん。面白いね。

<書き起こしおわり>

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