吉田豪 真木よう子を語る

吉田豪 真木よう子を語る TBSラジオ

吉田豪さんが2008年6月にTBSラジオ『ストリーム』の中で真木よう子さんをインタビューした際の模様について話していました。

(吉田豪)先週ですかね。真木よう子さんの特集をやると言っておきながら逃しちゃいましたけども。今週末に『hon-nin』が出るということで。

(小西克哉)『hon-nin』という季刊誌。

(吉田豪)松尾スズキ責任編集っていうか、プロデュースの本ですけども。

(小西克哉)そこにインタビューが載るということで。

(吉田豪)今回は巻頭が真木よう子さんの大特集ということで。で、インタビューもしたんですけども。

(小西克哉)いま、来ている女優。

(吉田豪)小西さんは知らなかったみたいですけど。

(小西克哉)俺は知らなかった。なんかすごい巷では来ているんですか?

(吉田豪)いや、もうだってどの雑誌を見ても出てますよ。

(小西克哉)サブカル界では?

(吉田豪)も、そうだし、普通の一般誌。雑誌の露出が尋常じゃないんですよ。

(小西克哉)でも僕、写真集は見ていますよ。

(吉田豪)そこだけ見てるんですか(笑)。まあ、すごいですからね。

(小西克哉)本屋行ったらあったの。でもテレ東の深夜の水曜日の番組。『週刊真木よう子』。これは知らなかったな。

(吉田豪)まあ『月刊真木よう子』が売れて、それも絡めたような『週刊真木よう子』っていういろんな人が……脚本&監督を毎回変えてやっているような番組がいま始まっていて。

『週刊真木よう子』

週刊真木よう子:テレビ東京
「週刊真木よう子」の紹介ページです。

(小西克哉)1回完結の番組。

(吉田豪)で、毎回真木よう子さんが主役でやっているんですけど。とにかく本当にいまものすごいサブカル界&一般世界の両方から好かれている……ただ、その『週刊真木よう子』とかもそうなんですけど、人脈的には完全にサブカル界なんですよ。『月刊真木よう子』も1冊目が売れて2冊目が出たんですけど、そのカメラマンがリリー(・フランキー)さんで。

(小西克哉)うん。

(吉田豪)で、テレフォンショッキングもリリーさんの紹介で出ていて。4月から始まったその『週刊真木よう子』も原作リリーさんとかすぎむらしんいち、いましろたかし、福満しげゆきとか。要はマニアックな方面の方々。で、脚本も長塚圭史、宮崎吐夢、せきしろ、タナダユキとか。本当にもうそっち側の方々……出演なんかは掟ポルシェとかですからね。

(小西克哉)ああ、そうみたいね(笑)。掟さんも出ていたっていう。

(松本ともこ)中村達也さん、すごいじゃないですか。

(吉田豪)もう、いきなりですよ。シャブ中の中村達也が……みたいな(笑)。演技は下手だけども凄みだけは伝わってくるっていう(笑)。

(松本ともこ)怖いもん(笑)。

(吉田豪)とかで、さらに主題歌はスチャダラパーなんですけど。このPVでは杉作J太郎先生ともベッドシーンで共演っていう。

(小西克哉)ベッドシーンで共演なんですか?(笑)。

(吉田豪)まあ、それぐらいの人なんですよ。そっち側。

(小西克哉)じゃあ豪ちゃんの周りのサブカル系の人の中ではディーバ?

(吉田豪)そうです。だから、いままで小泉今日子だの渡辺満里奈だの緒川たまきだの、そっち側の人って代々いたわけじゃないですか。

(小西克哉)ああ、このへんの人ってやっぱりサブカル系ディーバと言っていいわけだ。

(吉田豪)まあ、そのサブカルの世界に愛される人たち。その人たちがプロデュースしたりなんだってする人たち。その系譜にいるんですけど、決定的に違うんですよね。

(小西克哉)真木よう子さんは?

(吉田豪)何かっていうと、本人にそういうものに全く興味がないんですよ。

(小西克哉)サブカル的世界に?

(吉田豪)うん。こんだけ愛されているんだけど、その人も知らないっていうか。僕がだからインタビューでそういう話を振っても、「サブカルってなにかわからない。サブカルで代表される人って誰なんですか?」て真顔でどんどん質問をされるんですよ。

(小西克哉)そうですよね。この番組は「サブカル、サブカル」って言っているからあれだけど、でも普通のラジオのリスナーも「サブカル」って言われても……「サブカルチャー」って言わないと。「サブカルチャー」ってまた言い直さなくちゃいけないから。

(吉田豪)でもいま「サブカル」っていう看板を背負っているのって本当、みうらじゅんさんとか松尾スズキさんぐらいですからね。僕らもまだ背負わせてもらえてないぐらいの世界で(笑)。

(小西克哉)ああ、そうなんですか?(笑)。まだその暖簾分けは?

(吉田豪)されていないですね。あの代で終わっているぐらいの感じになっていますね(笑)。

(小西克哉)まあ、あの代で終わっちゃうんじゃないの?(笑)。

(吉田豪)本当にまあ、現在は「サブカルはない」って言われているぐらいの時代なんですけど。本当に僕がいちいち説明しなくちゃいけないんですよ。「たとえばあなたの周りで言うとリリーさんであったりとか……」って。言わなきゃいけないぐらいの状態で。

(小西克哉)そうだよね。「マイカル」と間違っちゃうかもしれないもんね。

(吉田豪)それはいないでしょう(笑)。ホモ雑誌の『さぶ』と間違えたりとかね、ありそうですけどね。

(小西克哉)それはないと思うよ(笑)。

(吉田豪)で、その福満しげゆき先生とか、そういうので原作をやっているから、「そういう(原作の)漫画、読みました?」って聞いても、本当にキョトンとするんですよ。キョトンとして無言で、「この人、なに言ってんだ?」っていう顔で見つめられたりとかして(笑)。

(小西克哉)ああー。またあの眼力に見つめられたらでも弱いでしょう?

(吉田豪)っていうかまあね、「この人はそれでいいんだ」っていう世界なんですよ。「あなたは何も知らないでいい」っていう。

(小西克哉)ああ、そうなんだ。

(吉田豪)だから要は、そういうような漫画の原作とかでドラマをやっているんだけど、この人が好きな漫画っていうのは男兄弟に囲まれて育ったせいで、好きな漫画は『SLAM DUNK』と『ろくでなしBLUES』、そして『すごいよマサルさん』っていう。だから少年ジャンプ。しかもバカ系っていう(笑)。

(小西克哉)(笑)。サブカルって言えない……そうだよね。体育会系だよね。

サブカルではなく、体育会系

(吉田豪)体育会系。男漫画なんですよ。だから女子だったらまだこれが『ジョジョ』であったりとか『DEATH NOTE』とかそういうキャラ萌え系の方に行きそうですけど、そっちじゃないんですよ。完全なオス&バカな世界。

(小西克哉)オス&バカ(笑)。

(吉田豪)で、「本当に子供の頃からみんなでよく『ろくでなしBLUES』の真似をして、ヤンキー口調に憧れて、お兄ちゃんとよく言い合っていた」って言っていたんで。

(小西克哉)なんかわかんないけど、ヤンキーだったような匂いはするんだけど。

(吉田豪)まあ、中卒ですからね。

(小西克哉)それは、そういう感じなの?

(吉田豪)中卒で、仲代達矢の無名塾に行っているぐらいなんで。

(小西克哉)無名塾に行っていたんだね。

(吉田豪)無名塾に行って仲代達矢と大喧嘩して辞めてますからね。

(小西克哉)大喧嘩?

(吉田豪)ハートも強いんですよ。そしてその後、和解もしていないっていう(笑)。

(小西克哉)それはすごいね! どうして喧嘩するの?

(吉田豪)これはまあ有名な話なんですけど、合宿で日課になっている持久走を早めに終わらして集合場所で待っていたら、サボっているもんだと思って間違えた仲代さんに説教されて。で、ブチ切れて、「私は走ったのになんで怒ってんだよ!」みたいな感じで、それっきりっていう(笑)。

(小西克哉)やっぱり男だね。性格は。

(吉田豪)男です。本当にオスですよ。家庭環境のせいもありますけど、完全にオスです。

(小西克哉)無名塾の周り、俺も走ってるんだけど、会わなかったな。

(吉田豪)そうですか。怒られない?(笑)。

(小西克哉)怒られない(笑)。まあ、俺は自分で走ったから。ああ、そう。

(吉田豪)本当に男なんです。だから、なまじビジュアルもこうでスタイルもいいせいですっごい女子に見られているけども、完全なオスですね。で、もともとだから勉強が大嫌いで。小学校の時にみた安達祐実主演の『REX 恐竜物語』の影響でこの世界に入ったっていう。触発されたのがそこっていう時点で信用できるんですよね。

(小西克哉)(笑)

安達祐実主演『REX 恐竜物語』の影響でこの世界に入る

(吉田豪)これ、かつて麻生久美子さんが「映画鑑賞が趣味だ」って言っていたけども、実際に見るのはハリウッド超大作ぐらいで全然見ていなくて。最初に見ていたのは丹波哲郎の『大霊界』みたいな。

(小西克哉)よりにもよって丹波哲郎先生ですか(笑)。

(吉田豪)そういうの、言ってもらえると信用できるじゃないですか。「なんだ、早く言ってよ!」みたいな(笑)。

(小西克哉)なるほど。だからあの方、麻生久美子さんもサブカル・ディーバと言っていいんでしょう?

(吉田豪)そうですね。比較的。

(小西克哉)そういった人から好まれるよね。

(吉田豪)すっごいハードルが下がってくれるわけじゃないですか。で、彼女もそうなんですよ。プロフィールもやっぱり趣味は映画鑑賞になっていて。雑誌とかだと聞いたこともないイランとかの映画とか、頭よさそうなのをいっぱい紹介していて。「ああ、ちゃんとした人なんだろうな」って思っていたんですけど……でもなんか周囲の人に聞き込んだら、「好きな映画は『トゥルー・ロマンス』と『ベティ・ブルー』。これだけだ」って言っていて。まあ本当に、命知らずというか。そして恋愛に命をかけるというか。すごい人柄が出るようなチョイスで。

(小西克哉)うんうん。

(吉田豪)その話をいろいろと振っていたら、「私、その2作品、そんな好きじゃないんですよ」って言っていて。「じゃあ、いまはなんなんですか?」って聞いたら「『エイリアン』です!」っていう(笑)。

(小西克哉)オリジナルの『エイリアン』?

(吉田豪)オリジナル『エイリアン』。

(小西克哉)シガニー・ウィーバーの。

好きな映画は『エイリアン』

(吉田豪)その時点でもう「素晴らしい! 信用できます!」って。「趣味 映画鑑賞」って言っているいま日本を代表する女優が「好きな映画は『エイリアン』」。

(小西克哉)(笑)

(吉田豪)「いい!」っていう。

(小西克哉)あのさ、「趣味 映画鑑賞」って書いたら次に書く「たとえば……」っていうのはやっぱさ。

(吉田豪)フランス映画とかになるじゃないですか。ミニシアター系ですよね。

(小西克哉)それも変だけどさ、なんかそういう文法がいつの間にかできているところがあるよね。

(吉田豪)『エイリアン』ってドーンと出たらその時点でもう合格じゃないですか。

(小西克哉)その次に角川映画とかを挙げた日には、どうなんだと思うよね。

(吉田豪)それでいいはずなんですけど。で、そう言ったら「プロフィールに『趣味 映画鑑賞』って書いたのは、事務所ですよ。私はそんなこと、全然言ってないもん。映画なんか全然見ないですから」って(笑)。

(小西克哉)あんま基本は見ないんだ。

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