みうらじゅんと安住紳一郎『SINCE』を語り合う

みうらじゅんと安住紳一郎『SINCE』を語り合う 安住紳一郎の日曜天国

みうらじゅんさんがTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』にゲスト出演。安住紳一郎さんと、様々な『SINCE』について話し合っていました。

(中澤有美子)改めまして今日、日曜天国でゲストにお迎えしていますのはみうらじゅんさんです。みうらじゅんのデビュー35周年を記念して出版されましたこちら、『「ない」仕事の作り方』は文藝春秋から税別1250円で発売中です。どんな仕事にも応用が効くすごいテクニックが満載。ぜひ、お読みください。

「ない仕事」の作り方
Posted at 2018.4.16
みうら じゅん
文藝春秋

(安住紳一郎)それから、デビュー35周年ということで、『みうらじゅん ボク宝総選挙』が行われているようですね。

みうらじゅん ボク宝総選挙

(みうらじゅん)ああ、そうそう。ヴィレッジヴァンガードっていう、あそこで前からいろいろ『なんか仕事を組みたい』とおっしゃってくださって。いろいろやったんですけど、どれも上手く行かず。だったらもう、これから僕が出すものを総選挙するんで。この中でみなさんが投票してもらって、いいと思うものをフィギュア化とか。なんらかの形にするという総選挙するってことで。いま、やってるんですよ。たぶん店内に選挙ポスターが貼ってあって。で、その中に『海女』とか『ウクレレえいじ』とか『ブリ小僧』とか『菊人形』とか、わけわかんないもんが貼ってあるんで。

(安住紳一郎)ええ。

(みうらじゅん)そこに投票してもらえれば、ヴィレッジヴァンガードがどうにかしなきゃなんないっていう。

(安住紳一郎)なるほど。AKBのみなさんのように、なにかひとつムーブメントを決めるという。へー。

(みうらじゅん)そうです。そうです。それも、いやげ物ばっかりやっているってことです。

(安住紳一郎)そうですか(笑)。『SINCE』って何ですか?それは。

(みうらじゅん)これね、僕、いまから何年ぐらい前かな?4、5年ぐらい前ですかね?なんかSINCEっていうものに・・・まあ、響きですよね。出だしから来たのは響きだったんですよ。なんか『シラス』みたいな。『シンスってなに?』みたいな。

(安住紳一郎)ちょっと発音する時、恥ずかしいですよね。

(みうらじゅん)ちょっとおかしいですよね。SINCE。

(安住紳一郎)よく、喫茶店とかでもありますよね。『SINCE1984』とか。

(みうらじゅん)書いてありますよね。で、1984を取られてしまったSINCEって、なにも存在感がないわけじゃないですか。そこのね、取られてしまうともう、なんか本当に所在なさげなSINCEが、今後いけるんじゃないか?って僕、ちょっと思ったんですよ。

(中澤有美子)(笑)

(みうらじゅん)それで、SINCE探しの旅に出ましてね。

(安住紳一郎)あっ、SINCE探しの旅。

SINCE探しの旅

(みうらじゅん)これ、本当に看板の上の方にあがっている場合があるんで。僕のいままで持っていたカメラは望遠がきかないカメラで。修業のためにアウトドア般若心経やっていたんで。近寄って撮るっていうのをやっていたんですけど。SINCE用のために望遠を買って。で、いろいろ回っていたら、もうそれも結構何年か回っていたんですけど。ここのTBSの裏の四方っていうそこの酒屋さん。

(安住紳一郎)あ、酒屋さん。

(みうらじゅん)1600ナンボだった。あれ、元禄時代ですよ。

(安住紳一郎)ああー!

(みうらじゅん)でも、普通だったら『創業』って書くところを、いつの時代の息子さんか知らないけど、『SINCE』と書いた。SINCEで出た段階で、プッとちょっと面白いわけで。こっちからしたら。ええ。『創業』を『SINCE』と言い換えたのは誰だ!?っていう話なんですよね。

(安住紳一郎)『創業 嘉永三年』とかにしておいた方が酒屋としては風情があるのに。

(みうらじゅん)重みがあるのに。たぶん、何代目かの方が『SINCEがいま、来てるんじゃねーか?SINCEがいいんじゃねーか?若者には』って。

(中澤有美子)(笑)

(みうらじゅん)俺、1980年ぐらいのボートハウス(Boat House)っていう、えらい流行った時、あったじゃないですか?

(安住紳一郎)トレーナーとか。

(みうらじゅん)トレーナー。あれにSINCE、入っていたんですよ。

(安住紳一郎)私もなんか、それで見た記憶がありますね。

(みうらじゅん)あれでね、なんか調子こいた感じが出てるんですよ。あの頃のSINCEって。僕、たぶんバブルとかの頃にSINCEって調子こいて出たものじゃないかって踏んでるんですけど。どうでしょう?

(安住紳一郎)そうですかね(笑)。

(みうらじゅん)ええ。それまでは言ってないですよ。平安時代だって、SINCEって言ってないもん。

(安住紳一郎)そうですよね(笑)。

(みうらじゅん)ぜんぜん言ってないでしょ?

(安住紳一郎)イギリスとかアメリカもSINCEを名乗るんですかね?

(みうらじゅん)SINCEの兄弟分として、『Establish』『est.』って書いてある。あれもいるんですよ。で、もう1個ね、なんかよくわからない、イタリア語なのかわからないやつ。なんか姉妹もいるみたいで。結構ね、ファミリーなんですよ。

(安住紳一郎)何年からシリーズ、あるんですね。

(みうらじゅん)うん。SINCEファミリー、いるんですよ。

(安住紳一郎)へー!喫茶店とかなんか、洋食レストランとかになんとなくSINCEがあるような。

(みうらじゅん)あるでしょ?この間、鎌倉にちょっと調査に行ったんですけど。鎌倉ってね、SINCEブームに乗り遅れてるんですよ。ありそうじゃないですか。鎌倉っていいそうだなって思ったけど。たぶん、逆にプライドがあるのか、避けている。ほとんどなかったです。SINCE。

(安住紳一郎)はー。

(中澤有美子)京都もやっぱり?

(みうらじゅん)京都もなかった。だから東京の、やっぱり繁華ですよね。調子こいてるのは。SINCE言ってるのは。

(安住紳一郎)あと、SINCE、どれぐらいから名乗っていいのか?ですよね。

(みうらじゅん)そうなんです。

(安住紳一郎)『SINCE2015』とか言われても、困っちゃいますよね。

(みうらじゅん)それも見つけたんすよ。今年のやつ。

(中澤有美子)見た見た。

(安住紳一郎)見ました!?

(みうらじゅん)あるんですよ。

(安住紳一郎)SINCE2015、あるんですか!?

グラつくSINCEの概念

(みうらじゅん)あのね、SINCEの概念がいま、グラついている。SINCEっていうのは『何年やりましたよ、すごいですね』なのに、概念がもういま、ヤバいところに来てるんですよ。

(安住紳一郎)あ、そうですか?

(中澤有美子)(笑)

(みうらじゅん)もうね、ヤンキーの人たちの成人式の写真をなんか誰かに見せてもらったことがあるんですけど。その下に『SINCE○○』ってその年のやつを入れて、決めてたんですよ。どうやらちょっとヤンキー文化が入ってるのかもしれない。SINCEに。

(安住紳一郎)SINCEに?

(みうらじゅん)『SINCE、カッコええやないけ!』みたいなところがあるんじゃないですかね?

(安住紳一郎)で、『今年ですよ』っていうのにも『SINCE』を入れちゃうっていうことですね?

(みうらじゅん)SINCE、入れちゃってるんですよ。

(中澤有美子)ちょっと間違っている(笑)。

(みうらじゅん)間違っている。間違っているの。だいたい、僕ら良識人で考えるSINCEって、30年以上でしょ?

(安住紳一郎)そうですね。1980年代・・・ですね。で、1960ぐらいになると、『ああ、歴史があるんだな。しっかりしてるな』って思いますね。

(みうらじゅん)思いますね。85年で、『まだ名乗るべきじゃない?』ってちょっと思いますよね。『浅いくせに・・・』って。ねえ。なんかそこなんです。そこの基準が知りたくて、いま。

(安住紳一郎)そうですよね。SINCE2015、あるんですか!?やだー!もう、今年オープンしましたってことですよね?

(みうらじゅん)今年オープンしましたっていうことなんですよね。ええ。

(安住紳一郎)そうですか。SINCE。またちょっとお話を今度ゆっくり聞かせてください。

(みうらじゅん)はい。もうこうやっていま聞いた人は、ものすごく気になっていると思うんですよ。今日でも、ねえ。日曜日だから。外を歩いた時に、『あっ、SINCE発見!』とか。もう俺も大きい声で『SINCE発見!』が出ているから。1人で歩いていても、声出ちゃっているぐらいうれしかったりするんで。

(安住・中澤)(笑)

(安住紳一郎)SINCE!

(みうらじゅん)これ、だいぶ時間潰れますよ。うん。余生としては楽しいです。SINCE探し、してくださいよ。これ。

(安住紳一郎)今日はゲストにみうらじゅんさんをお迎えしました。ありがとうございました。

(みうらじゅん)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>
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