吉沢やすみと爆笑問題 『ど根性ガエル』を語る

吉沢やすみと爆笑問題 『ど根性ガエル』を語る 爆笑問題の日曜サンデー

『ど根性ガエル』の作者、吉沢やすみさんがTBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』に出演。ど根性ガエルが大好きな爆笑問題と、制作秘話などを話していました。

(田中裕二)でも我々昭和40年生まれでしてね。で、もう子どもの頃、まさに『ど根性ガエル』。夕方になると毎日テレビでもやってましたし。

(太田光)僕はだいたいその、好きなマンガのベスト5っていうと、『天才バカボン』『ど根性ガエル』『あしたのジョー』『ルパン三世』、もう1個、なんだっけ?

(田中裕二)ヤマトじゃないかな?

(太田光)ヤマトか。

(吉沢やすみ)ありがとうございます(笑)。

(田中裕二)その世代だもんね。

(太田光)あ、『ドカベン』だ。その5つなんですよね。で、特に好きなのが、やっぱりバカボンパパとど根性ガエルなんです。これ、最強のやっぱり。

(吉沢やすみ)本当、うれしいですよね。

(太田光)いやー、もうね。

(吉沢やすみ)天下の爆笑問題ですよ(笑)。

(田中裕二)とんでもない!

(太田光)いやいや、我々はピョン吉ですよ。本当にね、僕はね、こういう生活をしてたんで。当時。リアルタイムで小学生の時に、こういう、まさにこういう毎日だったんですよ。

(吉沢やすみ)ああ、当時のね。

(太田光)うん。友達同士でケンカして。ワーワー!って大騒ぎして。まあ、ど根性!みたいなことは、別に平面ガエルもいませんでしたけども。

(田中裕二)そりゃそうだ。

(太田光)だいたいみんな、こんな感じだったんでね。僕の小学生の時は。だから本当に、なんて言うの?自分の世界なんですよ。

(田中裕二)たしかにね。ちょっと、お兄さんなんだけど。僕らの歳からするとね。ひろしたちがね。

(江藤愛)中学二年生がね。

(田中裕二)なんだけど、やっぱり、まだ昭和の子どもなんだよ。我々、本当に。こういう雰囲気がね。夕方の空き地みたいなのとか、近所の、やっぱりこの場合は梅さんのお寿司屋さんとかね。やっぱり、商店街の仲いいおじちゃんがいたりっていう。そのね、昭和の雰囲気ってすごいありますよね。

(太田光)実写版っていま、始まっているじゃないですか。あれは先生は、どのぐらい関わって?

(吉沢やすみ)もうね、一応全部お任せっていう形で。ど根性ガエルの平面ガエルのピョン吉を上手い具合に動かしてくれと。あとはもう、全部向こうにまかせる感じで。

(田中裕二)えっ、でもびっくりしませんでした?ひろしが大人っていう設定を聞いて?(笑)。

(吉沢やすみ)そうですね(笑)。

(太田光)ご覧になってます?

作者・吉沢やすみがドラマ版を見てでうれしかったこと

(吉沢やすみ)いや、やっぱりね、だからね、いちばん最初のリアルタイム、家で見たんだけど。もう結構ね、一ファンとして見ている感じで。だからね、いちばんうれしかったのは、キャストでもってひろしのおふくろさんをね、薬師丸ひろ子さんが。あれ、僕らにとったら、ちょうどね、もうリアルタイムの、本当のアイドルなんですよね。『セーラー服と機関銃』とか。ちょうどね、見ていた頃なんで。あれがいちばんうれしくてね。

(田中裕二)(笑)。そうなんだ!

(太田光)先生、うれしかった?俺はね、あれがショックで。薬師丸ひろ子って俺、同い年なの。

(田中裕二)同世代なの。

(太田光)ひろしのおふくろって、ちょっとぜんぜん上のイメージだから。

(吉沢やすみ)それを言ったらでもね、当時ね、マンガの設定は37才っていう設定なの。ひろしのおふくろが。

(田中裕二)えっ!?お母さん、37だったんだ!

(吉沢やすみ)まあ、マンガだと老けてるけどね。でも、あの頃はやっぱり37ってそういった雰囲気だったんですね。僕が子どもの頃は。いまはほら、40でも若いけど。だから本当にね、ひろしのおふくろは、もうあんな老けてるけど、37なんですよ。本当の、今やっている薬師丸ひろ子さんなんか、ぜったいに下なんですよね。

(江藤愛)そっかー。なるほど。

(太田光)でもね、俺はあれはショックだったなー。ああー!とうとう自分の同い年が、ひろしのおふくろ!?みたいな。

(吉沢やすみ)僕はうれしかった(笑)。

(田中裕二)(笑)。でも、そうか。1970年に、読み切りで最初に、あったんですね。

(吉沢やすみ)ちょうど僕がハタチの時。

(田中裕二)ハタチ?

(吉沢やすみ)18でもって高校を卒業して、貝塚先生のアシスタントになって。で、要は入った当時からね、もう僕ほら、4コマとか描いていたんで。とにかくね、アシスタントが先生のところに7人ぐらいいてね。ほいで、田舎でマンガ描いていたんで、結構天狗になっていた部分、あるんだけど。入ったらアシスタントのね、仕事の早いこと。で、僕なんかもね、斜線引くと、時間がもう3倍、4倍かかっちゃうんですよ。するとね、徐々にそういう仕事はさせてくれなくなってね。辞めるまで、ベタとか消しゴムとか、それをやっていたんですよ。

(田中裕二)へー。

(吉沢やすみ)先生はね、『お前はもうギャグマンガをやるんだから、早く1本描いて、うちを辞めろ』って言われていて(笑)。それでだから、入って1年半目ぐらいに仕事の合間に、3ヶ月ぐらいかけてコツコツ描いたのがど根性ガエルの最初の読み切りだったんです。

(太田光)いやー、すごい。じゃあ初めてのがもう大ヒット。

(吉沢やすみ)そういう面ではラッキーだったんだけど。

(田中裕二)これ、もう何度も聞かれていると思うんですけど。この設定ですよね。なんでこれを思いついたのか?っていうことなんですけど。

(吉沢やすみ)本当にね、よく聞かれるんだけど。そんなに深くは考えてなかったんですよね。もう最初、とにかく1本、作品を描く時に、一応あのカエルがシャツにはりついて、それでも生きている根性のあるカエルっていうことでもって。そん時、だからいちばん最初はひろしと五郎とピョン吉だけなんですよね。メインは。本当、だから1本だけで終わるつもりだったから、15ページ描いて。で、少年ジャンプの編集の人が見てくれるって言ったんですよ。先生の。

(太田光)うんうん。

(吉沢やすみ)それであの、少年ジャンプに読み切りとして載ったんですよ。そしたらなんかすごくね、1本目がぶっちゃけ人気投票で三位ぐらいに入ったらしいですね。それですぐに編集長から電話があって。『10本書きだめしたら連載するから』って。でもってね、先生に話したら、『じゃあお前、うち辞めろ』って。それですぐ近くのアパートに移って。

(田中裕二)ああ、そうですか!

(吉沢やすみ)書きだめして。だから連載始まったのは、最初のど根性が読み切りで載ってから3ヶ月ぐらい後のジャンプ何ですよね。

(太田光)えっ、そん時は、最初は五郎とひろし、ピョン吉?

(吉沢やすみ)それだけです。

(太田光)で、その10本で、ゴリライモとか?

(吉沢やすみ)いや、まだ出てないですね。だから結局ほら、6本くらい書きだめした段階で始まったんだけど。連載はね。連載のね、第一回目にひろしの母ちゃんが出てきて。で、徐々にキャラクターが増えた感じだね。

(太田光)そのカエルがTシャツにひっつくっていうのは、普通考えないですよね。

(吉沢やすみ)だからそんなマジにね、深く考えてなかったですね。

(太田光)そしたら、面白くならない?

(吉沢やすみ)そうなんですね。もう貼り付いちゃってね。それが、しゃべったら面白いなっていうワンアイデアですね。

(田中裕二)その設定だけでも、もうこんだけ。そっから50年近く・・・

(太田光)いやいや、それだけじゃなくて、俺、当時、やっぱり『オバケのQ太郎』とかね、藤子先生の。言ってみれば子どもたちが主人公の、町のマンガってあったじゃないですか。『ドラえもん』なんかもそうだろうけど。そういうのって、やっぱりゴリライモみたいなキャラクターが1人。強い、ジャイアンみたいなのがいて。で、主人公はいっつもかなわなくていじめられて。で、意地悪なスネオみたいなのがいて・・・まあだいたい、他の藤子先生以外でも。

(田中裕二)まあ、ひな形としてもう、ありますよね。

爆笑問題 太田光がど根性ガエルを好きな理由

(太田光)あとは、ちょっと前だと『ハリスの旋風』で1人、ケンカ強いやつがいて。だいたいガキ大将1人、強いやつ。で、他っていう。だけど、俺、これが好きだったのは、やっぱりひろし、ピョン吉、ゴリライモ、それから五郎もそうだし、新八。

(吉沢やすみ)あ、新八知ってますか(笑)。

(田中裕二)後に出てくるね。

(太田光)引っ越してきた新八。

(田中裕二)もう、すげーやつが引っ越してきた。

(太田光)この4人がみんなケンカ。まあ、ゴリライモの方が強いんだけど、それでも、ぜんぜん対等で。みんなガキ大将じゃない。その世界がすごく好きだったんですよ。

(吉沢やすみ)いや、本当あれですね。新八なんてね、どっちかって言うとマンガの方では出てたんだけど。アニメではそんなには出なかったんですね(笑)。

(太田光)途中で引っ越して来ますからね。

(吉沢やすみ)でも新八を知っていてくれるなんて、すごいうれしいですね。

(太田光)いや、新八好きですよ。

(吉沢やすみ)あんまり言われないです。新八を好きって(笑)。

(太田光)新八、タバコ吸ってんだよね。新八、タバコ吸ってんだよ。

(田中裕二)タバコ、吸ってたっけ?すごかったよねー、新八来た時。

(太田光)いろいろ悲しいことがいろいろあるんだよ。

(吉沢やすみ)だからあの頃はね、とにかく梅さんとかそういうのに乗って描いていた時期で。だから梅さんと新八が絡む話があるんだけど。あの話は自分自身でも好きですよね。

(太田光)ねえ。いい話ですよね。人情があって。で、また梅さんと南先生のライバル関係も、このひろしたちがこのまんま大人になったかのような。だからね、こういうのってないんですよ。誰かが強くて誰かがやられてっていうのはあったけど、みんながみんな。

(田中裕二)割と対等な。でも、カエルだったり。

(太田光)そうそう(笑)。で、それがやっぱり自分の世界もそうだったんでね。ぜんぜん違っていたんですよね。

(田中裕二)これ、最初にその読み切りでね、やった時っていうのはいわゆる連載を意識して、こういう感じなストーリーとか?

(吉沢やすみ)いや、ぜんぜん。だから本当、その読み切り1本だけのつもりで。次はまたね、違う読み切りを描こうと思っていて。だから勘違いしたのね。編集長から電話があって、『10本ぐらい書きだめしろ』って言うから、『10本も違う話を描くのはめんどくさいな』と思ったのね。

(田中裕二)そうかそうか。読み切りを10本、単発を描こうと思ったと。

(吉沢やすみ)そしたら向こうが、『いや、このど根性ガエルをやってくれ』って言われて。で、始まったんですよ。

(田中裕二)でもそうなると、今度逆にその難しさっていうか。別にほら、そういうストーリーをずっと長く考えたわけじゃないから。これを続けるってどうしよう?っていう葛藤ってあったんですか?

(吉沢やすみ)いや、でもね、若かったからね、うれしいだけで。突っ走って描いたんですね。またこれは後日談なんですけどね。要はなんだかんだあって、いちばん最初単行本になってね、アニメになって。で、結局6年半続いたんですね。それで、もう6年半続いて、やめるって決まった時ね。編集長がね、『実は・・・』っつって。要は少年ジャンプって、新人に対してはすごい間口が広いから使ってくれるんですよ。でもね、人気投票で落っこちてくると、7週か8週で切っちゃうんですね。

(江藤愛)厳しいですね。

(吉沢やすみ)ど根性ガエルもね、ぶっちゃけいちばん最初三位になったからね、すごい期待して始めたら、結構地味な話だったんですね。最初ね。そしたらね、人気が下から3、4番目でね。それで、8週かそこらへんでもって、『もうそろそろ打ち切ろうか?』って話になったらしいんですね。

(太田光)ああ、そうなんですか!

(吉沢やすみ)その時に、偶然京子ちゃんが転校する話を描いたんです。そしたら、ちょっと上がったらしいのね。それで『様子を見よう』ってなったら徐々に上がってきて。それでアニメになって、ボーン!と行って。6年半続いたのね。それを聞いたの、連載が終わる時だから。

(田中裕二)はいはいはい。後に聞いたわけ。

(吉沢やすみ)だからね、もしかしてその時に京子ちゃんを転校してくる話を描かなかったら、終わっても不思議じゃなかったの。

(太田光)へー!

(吉沢やすみ)それは後から考えてゾッとしたって話なんですけどね。

(太田光)ああ、そうかー。京子ちゃんもかわいいんだよねー!

(田中裕二)かわいい。京子ちゃんはもう、ほぼ理想のマドンナに近いよね。

(太田光)そうだよね。おてんばでね。

(田中裕二)かわいいもん。

(吉沢やすみ)だからそれまでの、京子ちゃんが登場するまでっていうのは、ひろしはもういろんな女の子に惚れるわけですよ。それでね、フラれたりみたいな感じだったんですよ。

<書き起こしおわり>

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