『ど根性ガエル』の作者、吉沢やすみさんがTBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』に出演。『ど根性ガエル』連載終了後に失踪した話や、娘さんが描いたマンガ『ど根性ガエルの娘』について語っていました。
(田中裕二)まあでも、ど根性ガエルって我々が子どもの頃ですから、もう本当に40年近く前ですからね。ずっとやっていて。その後に、吉沢先生は結構苦労されたっていう話が。
(吉沢やすみ)いや、あの僕っていうよりもね、うちの女房と子どもが苦労したと思います。とんでもないことやっちゃった。
(太田光)とんでもないことやっちゃった。どういったことになっちゃったんですか?
(吉沢やすみ)要はね、ど根性ガエル。6年続いて、終わったわけですよね。で、次、編集と打ち合わせして連載やるけどね、人気が出ないんですよ。それで、どうしてもど根性ガエルを超えようと思うとね。それで結局ね、2年ぐらいはやっていたんだけど、本当にマンガが描けなくなっちゃって。本当、原稿用紙を見ると吐き気がするようになっちゃって。でも、そん時はジャンプじゃなくて、他の雑誌とかでね、連載はやっていたんですね。
(田中裕二)はい。
(吉沢やすみ)結構、月刊誌とか合わせて10本ぐらいやっていて。それで、自宅があって、仕事場があって。それで、ある時に朝方ね、仕事場へ行こうと思って向かったんだけど、なんか行けなくてね。それで電車に乗ってちょっと都会へ行っちゃってね。
(田中裕二)都会(笑)。
(吉沢やすみ)失踪しちゃったんですよ。
(田中裕二)太田裕美みたいになっちゃってる(笑)。
(吉沢やすみ)それもね、当時やっぱり麻雀をね、覚えちゃってね。
(田中裕二)まあまあ、麻雀ぐらいやりますよ。マンガ家さん、好きだし。多いから。
3万円持って失踪 麻雀で1ヶ月半生活する
(吉沢やすみ)それもあってほら、仕事場にも行けないし。それで、ポケットの中にね、3万円入っていたんですよ。じゃあこの3万円でもって、新宿とか池袋の雀荘に行って麻雀打って、負けたら帰ろうと。そしたら当時ね、結構強くてね。もう、勝っちゃうんで。結局ね、1ヶ月半ぐらい、家に帰らなかったんですよ。
(一同)(爆笑)
(吉沢やすみ)麻雀ね。もう一切連絡もせずに。
(田中裕二)携帯もないし。
(吉沢やすみ)携帯もないしね。だから本当にマジにね、金がなくなったら帰ろうと思ってね。本当にね、財布に千円ぐらいになっちゃって、ヤバい!と思う時はね、勝っちゃうんですよ。それでもう、サウナ行ってね。
(一同)(爆笑)
(太田光)ダメな人だなー!
(田中裕二)サウナ行っちゃって(笑)。
(吉沢やすみ)ほいで、結局もう1ヶ月半以上ね。それで、最後は結局ボロボロになってね。1ヶ月半後ぐらいに電話したらね、『あんた、帰ってらっしゃい』って。それで、家に帰ったんですよ。そしたら、まあ怒りもせずに迎えてくれて。
(田中裕二)あらー、偉いですね。奥さん。
(吉沢やすみ)そこらへんはね、娘がマンガを描いていて。
(田中裕二)いまね、実は娘さんもマンガ家さんで。大月悠祐子さんっていうね。『ど根性ガエルの娘』というマンガがあって。で、これがそのお父さんが・・・
(吉沢やすみ)そうですね。僕のことを取材して描きたいっていうんで。まあね、『悪行三昧、もう描いていいよ。その方が面白いから』って(笑)。
大月悠祐子『ど根性ガエルの娘』
(江藤愛)イッツリアル。
(田中裕二)リアルに、ちょっと荒れていた頃の?
(吉沢やすみ)そうですね。
(江藤愛)すごい。『確変入ったっつってんだろうが!』って(笑)。
(吉沢やすみ)確変入ってやってたらね、『とにかくもう帰れ!』っていうのね。
(田中裕二)娘さんが呼びにくると。
(太田光)確変中は帰れないっすね。
(吉沢やすみ)で、確変を説明するんだけど、わからないのね。なにか。
(一同)(爆笑)
(太田光)『確変』っていきなり言われてもわかんないね。
(吉沢やすみ)『とにかく、これが終わったら絶対帰るから』って言っても、もうね、『いま帰れ!』っていうの。
(太田光)いやいや、それは終わらせないとね。
(江藤愛)『もうちょっと待って!』って(笑)。
(吉沢やすみ)そう。それなんですよ。
(太田光)ああ、そうなんだ。
(吉沢やすみ)だからね、これ1回目ね、配信されて。もうパチンコやっている連中がみんなね、喜んで見て。
(一同)(爆笑)
(吉沢やすみ)『確変じゃあ、帰れないだろ!』って(笑)。
(田中裕二)帰れるわけない。これはよくない、みたいな。バカですねー(笑)。
(太田光)一歩間違えば、蛭子能収だよ(笑)。
(江藤愛)娘さんもお父さんと同じ道を選ばれて。
(太田光)そうだよね。
(田中裕二)でも、そんな子どもの頃でしょ?娘さんが割とお父さんがそうやって・・・
(吉沢やすみ)そう。僕が最初したのが8才、9才くらいの時ですね。娘がね。
(田中裕二)そうすると、たとえばお父さんを嫌いになったりとか、マンガ自体が嫌いになったりとかっていうことも、あってもおかしくないですよね。
(吉沢やすみ)うん。かもわかんないけど、うちの奥さんの偉いのは、一切ほら、そういったことがあってもね。まあ、隠していたしね。まあ、なんとなく気がついていたかもわかんないけど。それで一切悪口を言わなかったらしいんですね。
(太田光)偉いなー。ど根性ガエルの次に描いたのって、どういう設定で描いたんですか?
(吉沢やすみ)いちばん最初に描いたのはジャンプでもって、『やっちん』っていうカニが出てくる話を描いたんですね。
(太田光)平面ガニですか?
(吉沢やすみ)平面ガニじゃないけどね(笑)。それが半年ぐらいで終わっちゃって、次はあのね、『べらんめぇホームズ』っつって。要はホームズの住んでいるベイカー街のところのね、いろんなところから、いまでも事件解決の手紙が来るって新聞記事を呼んでね。で、日本の少年が手紙書いたら、本当に来ちゃうっていう話を書いたんですよ。
(太田光)面白そう。
(吉沢やすみ)ところが、原作も自分でやっていたんでね。話が進まなくなっちゃって(笑)。
(田中裕二)アイデアが。
(太田光)あー、難しい推理ものだから。
(吉沢やすみ)うん。だから最初の掴みは結構やったなと思ったんだけどね。ところがその後ね、もうね、7、8週からキツくなっちゃってね。それも半年ぐらいで終わっちゃって。
(太田光)そこ、ピョン吉出すわけにはいかなかったですか?
(吉沢やすみ)いま思ったら、出せばよかったけどね(笑)。
(太田光)ねえ。『ど根性!』っつって。
(吉沢やすみ)でも、あえてやっぱりね、一時はほら、ど根性から離れようって感じになったから。
(田中裕二)まあ、ねえ。俺はこれだけって。呪縛みたいな、ある意味ね。
(太田光)たしかに、売れたマンガっていうのは、その後大変だろうね。
(田中裕二)それはもう、そういうマンガ家さんいっぱいね、他にも。
(吉沢やすみ)本当にもう、単なる一発屋だと思うんだけどね。その後、いろいろ描いたけど、うん。やっぱりほら、失踪するとほとんど仕事なくなりますよね。
(江藤愛)失踪(笑)。
(吉沢やすみ)ひどい目にあったのはね、ど根性ガエルをやっている頃って、ちょうどアニメが始まって放送してからね、5、6年はすごい稼ぎが増えるわけですよ。年間5千万とか。それが寝、5、6年続いてね。それはいいんだけど、その後2年間仕事やって、ほいで失踪したら仕事がなくなりますよね。それでね、4年ぐらい後にね、税務署の査察が入ったんですよ。
(太田光)ええ。
連載終了の4年後に税務署の査察で追徴金
(吉沢やすみ)当時ね、追徴が来たんですよ。もう一千万以上来ちゃってね。だからね、もう税務署に言いたいのはね、稼いでいる翌年ぐらいに来てほしいね(笑)。払えるから。
(太田光)(爆笑)
(田中裕二)そうね。さかのぼられちゃうとね。
(吉沢やすみ)4年後だとね、もうないから。でも、これはもうしょうがないですね。
(太田光)しょうがない。失踪しちゃったら、しょうがない。
(吉沢やすみ)しかもね、税理士がよかれと思ってやってくれたんだけど、ちょっとね、いろいろ問題があったらしくてね。
(太田光)見解が。
(田中裕二)まあね、節税とかいろいろあるから。そのへんっていうのは微妙なところもあったりするわけですよ。
(吉沢やすみ)しょうがないから、当時は仕事場のマンションがあったんで、そこを売って。それで、家も持っていたんだけど、それもね、最初買う時に『現金で買う』って言ったら、銀行が『それじゃあ損だから。節税になるから、ローンで借りてくださいよ』と。だから、『じゃあ・・・』って30年ローンぐらいのをやったんです。それでまだ20年ぐらい残ってますよね。ローンがね。それをだから、貯金がちょっとあったんで、追徴金払ってね。それで残りは全部、ローンだけ払っちゃったんですね。家のね。
(太田光)うんうん。
(吉沢やすみ)それでその段階でもってね、うちの女房にね、『ローンは払ったけど、家は残ったんだけど、こんな大きい家、いらないから。もう少し小さいところに引っ越そう』って言ったら、女房がそれだけはダメだと。
(田中裕二)嫌だと。
(吉沢やすみ)ほいで、もうそん時はまだね、最初は男だから『お前は仕事するな』って、仕事をさせなかったんですよ。
(太田光)奥さんにね。
(吉沢やすみ)で、ダメになっても、俺が言うもんだからやんなかったけどね、とうとう女房も働き出すと。それで、『お前、なにができるんだ?』っつったら、准看護婦の免許を持っていると。それで、昔で言う看護婦さん。で、働き出したんです。そしたら、女房もいきいきしちゃってね。働き出したら(笑)。
(田中裕二)あ、そうなんですか!まあ、それはそれでいいことではありますけどね。
(太田光)ああ、そうかそうか。それはよかったんですか?それじゃ。
(吉沢やすみ)まあ、よかったっていうかね、そうすると女房が働き出したら、僕も失踪しそうになるとまた、少しマンガが始まったんだけど。それでまた悪いのがね、起きてきてね。なんかね、麻雀をやったりね(笑)。
(太田光)ダメな人だねー!(笑)。本当に。
(田中・江藤)(笑)
(太田光)そんな話、聞きたくなかったんだよ、俺たちは!
<書き起こしおわり>
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