北野武 生まれ育った足立区のワイルドな世界を語る

北野武 生まれ育った足立区のワイルドな世界を語る たまむすび

北野武さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。団塊の世代として生まれ育った足立区のワイルドな世界について話していました。

(玉袋筋太郎)でもやっぱ、原発の東京の候補地って言ったら、やっぱり足立区が?

(北野武)うん。足立区は停電がいちばん早いから。

(玉袋・小林)(笑)

(北野武)足立区からまず、消えていくからね。

(玉袋筋太郎)そうっすねー。ライフラインがね。

(北野武)うん。東京空襲の時、足立区が助かったのは、まず停電したから(笑)。

(玉袋筋太郎)暗くなったからっすか!

(北野武)見えなかったんだよ。台東区には落っこっちゃったんだな。

(玉袋筋太郎)これ。小林さん、どうですか?

(小林悠)もうあの、オリンピックのロゲ会長の真似をたけしさんがなさって。『TOKYO』の真似をする。紙を出して。それをたけしさんが『Adachi-ku』ってやるってネタがあって。それが私、大好きで。あと、『Kita-Senju』っていうバージョンのもあったんですけど。その北千住とか足立区っていう文字を見るたびに、それを思い出して、1人で笑っちゃうんですよね。

足立区はワイルドな場所

(北野武)足立区はだって、車を駐車してるんじゃないの。あれ、落ちてるってことだから。だから、車が駐車しちゃうと、新車なんか、抱きしめている奴がいるんだよ。で、『拾った』っつってんだよ。

(玉袋筋太郎)すごい!

(北野武)ほんで、『一割よこせ!』って言うんだから。

(玉袋筋太郎)もうタイムズとかいらないですね。もう。コインパーキングとか。

(北野武)あんなもん、いらないよ。コインパーキング自体、盗まれるぞ。

(玉袋筋太郎)(笑)

(北野武)立っている看板みたいなの。

(玉袋筋太郎)そうですね。貯金箱だ!って持って帰っちゃうんだから。

(北野武)『こんなところにお金が』って揺すっちゃうから。

(小林悠)(笑)

(玉袋筋太郎)その足立区から、もう団塊の世代で。もうすごい数がいたわけだから。殿の年代っていうのは

(北野武)いたねえ。1クラス60人だから。で、16クラスだよ。一学年。

(小林悠)えっ!?

(北野武)1年1組から1年16組まで。

(小林悠)それ、先生も大変でしたね。

(北野武)全部の顔なんか知らないもん。『お前』としか言わない。『おい、そこ!』とか。『お前、出ろ!』とか。だから『バカは出ろ!』って平気で言えたんだ。昔はね。

(玉袋筋太郎)それで、ひとつだけじゃないですからね。中学。足立、だって何中もあるわけだ。

(北野武)めっちゃくちゃあるのよ。で、3年まで、だから千人で、3千人でしょ?で、夜間中学が2千人でしょ?だから、5千人いたわけだ。

(玉袋筋太郎)すっげー(笑)。

(北野武)足立四中で5千人。その番長っていうのがすごいんだよ。

(玉袋筋太郎)わー!

(北野武)番長、学校にドテラ着て、愛人連れてくんだよ。女房いないのに、なんで愛人がいるんだ?ってよ。いまだに気がつかないんだよ。

(玉袋筋太郎)(笑)

(小林悠)中学生ですよね!?

(北野武)『俺の愛人だ』って言ったんだけど、こいつ中学生で女房いないはずなんだけど。女房がいないけど、愛人がいるっていう。

(小林悠)矛盾してる(笑)。

(北野武)で、門の前で10円ずつ取るんだよ。で、おいら10円払わないと、学校に入れない。

(小林悠)みかじめ料ですか(笑)。

(玉袋筋太郎)結構な額になりますよね。

(北野武)そう。それ持って、飲みに行っちゃうんだから。

(玉袋筋太郎)強いよ!強い。だから当時なんか、決闘もすごかったらしいんだよ。決闘。果たし状とか出して。決闘。

(北野武)『○時に待っているぜ』とかいって。で、ギター背負ってくるんだよ。小林旭の真似して。兄貴のトレンチコートをカカトまで引きずって。ギター背負って、口笛吹きながら現れるんだよ。校舎の角から、ピーッて。で、飛び出すとこパチンってやったら、飛び出しじゃなくて自分の切っちゃって。泣いちゃって。そいつ連れて、そいつの家まで送ってった(笑)。

(小林悠)そこで決闘終わり。

(北野武)決闘終わり。『バカだな、このガキ』っつって終わりなんだよ。

(玉袋筋太郎)それ、もう龍三と七人の子分なんか、まだまだいるはずですよ。何十人もいますよね。そんなの。言ったら。放送出来ない人だっていっぱいいる。

足立区の銭湯

(北野武)銭湯なんか行ったら、刺青自慢とガキばっかりだから、ウンコは浮いてるしさ。風呂場に。『おじさん、ウンコ浮いてる!』っつーと、ひしゃくでパッて取って、パッと捨てて、かき混ぜて、『これでいいんだ!』って。

(小林悠)汚い(笑)。

(北野武)その後、入ってきた人が入れ歯をゆすいで。『ガラガラガラ、ウン・・・』って飲んで、入れ歯入れて。『うーん』なんて言ってんだよ。で、誰も病院に行かないんだから。

(玉袋筋太郎)タフネスさが違いますよ!うん。だって殿と飲んだ時に、『俺はね、長生きしちゃう。それが悩みだ』っつってんだもん。

(北野武)おい。早いところくたばりたいじゃない。なんか死んじゃわないんだよな。

(玉袋筋太郎)死なない宣言しましたからね。

(北野武)困っちゃうんだよ。

(小林悠)ぜんぜん、ご病気もなさらないんですか?風邪とかもひかないですか?

(北野武)ひくんだよ。風邪ひいたらチャンスだよ。これで肺炎で死なねえかな?と思うんだけど、生き返っちゃうんだよ。どういうわけか。

(玉袋筋太郎)死なないでくださいよ。会社が傾きますから。

(北野武)だってお前、俺が死んだって、『コマネチでお馴染みのたけしさん、死亡』なんて、つまんないこと言われんだろ?

(玉袋筋太郎)そうですね。

(北野武)『ガチョーンでお馴染みの谷啓さん』って、死んだ人がかわいそうだろ?いくらなんでも。

(玉袋筋太郎)葬式のお花にも、玉袋筋太郎だとか、柳ユーレイだとか、出ちゃう。

(北野武)TBSで『笑えば天国』っていう番組があったんだよ。おいらな。で、そのディレクターのお母さんが死んだんだよ。したら、『笑えば天国』って出しちゃって。花輪。『笑えば天国』ってないだろ?考えろよ、少しっていう。

(玉袋筋太郎)それはね、僕だってほら、関係者の方が亡くなったりとか。その親族の方が亡くなると、お花を出すんですけど。でも逆にね、喜ばれるんですよ。やっぱりしんみりしちゃって。悲しいんだけど、そこにこう、玉袋筋太郎ってあると、なんかみんな、『あっ・・・』ってホッとする見たいな。

(小林悠)ちょっと、一陣の爽やかな風が吹くと。

(玉袋筋太郎)そう。悲しいんだけど、ちょっと見て、プッと笑うことによって、なんかお葬式でもちょっと・・・

<書き起こしおわり>

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