北野武さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。高校生で追っかけだった玉袋筋太郎さんが弟子入りした頃の話や、毎年恒例の接待、浅草キッド社長会について話していました。
(北野武)お前なんか、だいたい俺がお前を知ってんの、高校3年ぐらいじゃないの?お前。
(玉袋筋太郎)そうですよ。
(北野武)三人組で追っかけてたんだから。
(小林悠)覚えてるんですか?追っかけの時から。
(北野武)知ってるよ。だって、こいつに小遣いやったもんな。
(玉袋筋太郎)いただきました。
(北野武)支度金、やったんだから。
(玉袋筋太郎)そうですよ。弟子入り。
(小林悠)弟子入りに際して。
(玉袋筋太郎)うん。『まだ実家で通ってます』っつったら、『これで部屋借りろ』っつって。
(北野武)お父さんがほら、オカマバーやってる時。
(玉袋筋太郎)まあまあまあ、そうでしたけど(笑)。
浅草キッド単独公演 浅草キッドの会
(北野武)で、こいつのお母さんが、こいつら出世して、紀伊國屋でワンマンショーやったんだよ。『浅草キッドの会』って。そしたらお母さんが和服着て。品のいいお母さんが来て。『どうも、うちの息子がお世話になります。やっとこんな会ができるようになりました』って言ってるのよ。
(小林悠)ええ。
(北野武)『いや、とんでもない』って言ってたら、『ちょっと二人だけで・・・』っていうから、何か相談事あるのかと思ったら。二人きりになったら、あたり見渡してから、急に懐に手を入れて。3千円出して、『これであったかいもんでも食べな』って言って。芸人を何だと思ってんだ、バカ野郎!と思って。
(小林悠)(笑)
(北野武)なんだ、その『あったかいもんでも食いなさい』って。いまだに芸人が貧乏だと思ってんだよ!
(玉袋筋太郎)すいません、本当、その節は!
(北野武)『これで食べなさい』って、手渡しして。手を握ったりなんかして。『がんばるのよ』って、ふざけんな!っつーんだよ。
(玉袋筋太郎)土下座しちゃってんだもん。俺のおふくろ。殿に会った時に。
(北野武)なんだ、あったかいもんって!?
(玉袋筋太郎)あったかいもんって、もう本当・・・
(小林悠)それだけ真面目なご家族っていうことですよね。
(北野武)子どものために師匠に3千円くれて、あったかいもん食べなさいって説教するおばさんもおばさんだよ。失礼だよ。
(小林悠)(笑)
(玉袋筋太郎)すいません、本当に。でもほら、高校生の時に20万円もらって、『これで部屋を借りろ』っつったんだけど、やっぱりそれ、借りなくて。
(北野武)そうだよ、お前。高校の時に20万円やってよ。新田純一っていんだろ?
(玉袋筋太郎)はい。新田純一。
(北野武)マッチのニセモンみたいなの。あいつもよ、俺によ、女連れてよ、20万貸してくれって来やがってよ。
(玉袋筋太郎)(笑)
(北野武)貸したらよ、何年か前に『頭来た!新田純一の野郎、20万円返さねえ』っつったら、すっ飛んで来てよ(笑)。
(玉袋筋太郎)返してくれました?
(北野武)返してきた。
(玉袋筋太郎)よかったー。
(北野武)で、『いらねーよ』っつったら、『すいません。映画、出して下さい』ってまだたのみやがんの。あいつ。
(玉袋・小林)(笑)
(北野武)ふざけやがって。
(玉袋筋太郎)俺もじゃあ、返した方がいいかな?20万円。
(小林悠)あ、そのうち(笑)。
(玉袋筋太郎)まあまあまあ、ほら。社長会で返してますから。社長会で。
(北野武)社長会、やってくれんのよ。
(玉袋筋太郎)社長会ですよ。
(小林悠)社長会をやろうっていうのは、どちらからの提案だったんですか?
(玉袋筋太郎)我々キッドからですよ。
(北野武)お世話になっているからって。料理屋呼んで、全部、好きなもの食べて、帰りにタクシー代1万円くれるのよ。そん時は、『たけちゃん』とか全部言ってよくて。そいで、芸人じゃなくて社長だから。
(玉袋筋太郎)俺、社長なんすよ。
(小林悠)浅草キッドの方が。
(北野武)で、『最近、芸が荒れてるよ』とかさ。『この間、テレビ見たけどつまらなかった』とか。好きなことを言うのよ。
(小林悠)ええーっ!?(笑)。
(玉袋筋太郎)『どうなの?映画の方は』とかね。『おねえちゃんの方はどうなのよ?』とか。
(北野武)で、『どうも・・・』とか言って。『もっと飲みなよ』『ありがとうございます』とか飲んで。帰り、1万円もらうのよ。『じゃあ、これで帰って』って1万円もらった後にロールスロイスが迎えに来て。それに乗って帰ると。
(玉袋筋太郎)6千万だよ。
(北野武)目が点になって終わりなんだけど。
(小林悠)(笑)
(玉袋筋太郎)だって俺と博士、帰りタクシー、割り勘で帰るんだから。で、俺たちと殿は遊びわかっているからいいんだけど。お店の女将さんとかが、俺たちがお金持ってねえと思って、すごい心配を(笑)。
(北野武)『もうやめた方がいいんじゃないですか?』って言われてんの。
(玉袋筋太郎)『そんなワイン、出さない方がいい』って(笑)。
(北野武)『ワインと、すっぽんをもう一鍋』って言ったら、『やめた方がいいと思いますよ』って。
(玉袋筋太郎)『たぶん、この人たちは払えないと思うんで』って。がんばってこっちも福沢諭吉を・・・
(北野武)かわいそうだよ。『もうひとつでやめておいた方がいいですよ』って言われて、すげーかっこ悪いんだよ。
(玉袋筋太郎)気を遣われて。いやいや。
(小林悠)どのぐらいのペースでそれはやっていますか?
(北野武)年一回。
(小林悠)年に一回。
(玉袋筋太郎)ねえ。もう、やらせてもらってますよ。ええ。
(小林悠)殿はその1万円はどうされているんですか?
(北野武)飾ってあるよ。神棚に。
(小林悠)えっ、これまでもらったもの、全部ですか?
(北野武)置いて。俺、長生きしちゃうから。こいつら、先に死んじゃう感じだから。
(小林悠)(笑)
(玉袋筋太郎)たしかに、リーチかかってますけど。
(小林悠)かかってないですよ!(笑)。
(玉袋筋太郎)どうですか?この師弟愛。
(小林悠)本当ですね。
(玉袋筋太郎)もう、ねえ。
<書き起こしおわり>
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