安住紳一郎 切手収集を熱く語る

安住紳一郎 切手収集を熱く語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2011年6月にTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』で話したトークの書き起こし。小学生の頃、切手収集をしていた安住さんが切手について熱く語っていました。

(安住紳一郎)さて、話はまったく変わりますけども。みなさんは切手を集めたことはありますか?私は小学生の頃に集めたことがあるんですけども。中澤さんはありますか?

(中澤有美子)ないです。

(安住紳一郎)ないですか。昭和30年から50年代くらいにかけて、切手大ブームになりましたので、ラジオを聞いてらっしゃる方で、60才代、50才代くらいのみなさんは経験があるという方が多いかもしれませんが。また私は、その世代よりも下。ベビーブームの世代なんですけれども。ちょうど、切手集めをしている大人たちが周りにいて、その影響を受けた、ちょっとおこぼれ世代ということがありまして。

(中澤有美子)うんうん。

(安住紳一郎)私たちの世代ですと、クラスに4・5人くらいいたかな?という。あまり声高には叫べないけども、切手を集めている人っていうのがクラスに何人かいて。見つけてはちょっと話をするという。そういうような世代なんですけれども。そして、私はその切手収集をしたことのある小学生だったんですけども。ちょうど私の母の妹。スミコおばさまですね。今回登場するのは。

(中澤有美子)ええ、ええ(笑)。

(安住紳一郎)お正月の流行語の挨拶でお馴染みなのは、あれはノブコおばさまなんですけども。母が4人姉妹なものですから、上から、タカコ、ノブコ、スミコ、カズコっているんですけども。今日はその3女ですね。スミコおばさまなんですけども。スミコおばさまが、税理士事務所のOLをしていた時期が非常に長くて。かならず月金で近くにあります郵便局にお使いに行くので、記念切手はかならず手に入れてくるという。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)私の身近にいた凄腕コレクターなんですけども。それで小学生の頃、スミコおばさんの切手コレクションを見せてもらうのがすごく楽しみで。また、遊びに行くとかならずアルバムを見せてもらって。赤い表紙とか、紺色の表紙なんですけども。中が黒くて。フィルムが8段くらい貼ってあって、そこに1枚ずつ入れていくというような、切手専用アルバムなんですが。そのうち、重複しているのをスミコおばさんが私に1枚、2枚とくれるようになり、結果図々しくも、相当の量をもらうという。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)甥っ子の立場なんですけども。最後はお年玉の代わりに、前の年に発行された記念切手をスミコおばさんが郵便局で買っておいてくれて。それをお正月にまとめて受け取るという、大変便利なシステムを構築するに至り、私のコレクションの黄金期を迎えるということになるんですけども。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)本当はね、発行日に郵便局に行って並んで、買った、または買い漏らしたというのがコレクションの醍醐味だったりするんですけども。それでも、1年に1度、まとめて渡されてそれを整理するだけでも相当の興奮があって。これはね、切手収集をしたことがある人とない人では全くたぶん思い入れ違うと思うんですけど。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)本当にあの、娯楽のなかったど田舎で育った小学生なので、記念切手の世界というのはとても眩しく映って。うん。いまでも、昭和50年代、60年代くらいの記念切手は、ひと目見ただけでなんの記念切手か、確実にわかります。

(中澤有美子)ええっ!?

(安住紳一郎)これは本当にやっぱり、三つ子の魂百までとは恐ろしいもので。本当にいまでもわかりますね。また、タイトルを言われただけでも、なんとなくデザインが思い浮かぶ。ええ。これね、なかなかすごいですね。国際児童年っていうと、『ああ、シートでも出てたね』みたいな。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)『ああ、あのオレンジ色と橙色。男の子がヘルメットをかぶって、右左ね』みたいな。ええ。結構すごいですね。『北新幹線開通、上越新幹線開通とかもすぐパパパッとわかる。都市対抗50年記念とか。ああ、あれね!みたいな。

(中澤有美子)ええーっ!?もうその頃、もらったものをじっくりじっくり見たから・・・

(安住紳一郎)もう日がな一日切手を眺めまくって。いろいろ並べ替えたり。シリーズごとに並べたり、発行年ごとに並べたり。ピンセットでつまんだり。しかも、救急箱のピンセットでつまんだので切手がヘコんだり、みたいな(笑)。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)あれ、あの切手専用のピンセットじゃないとダメなの。

(中澤有美子)あ、そうなんですね!

(安住紳一郎)でも雰囲気出したくて、救急箱からピンセットを持ってくると、紙がヘコんじゃうの。

(中澤有美子)(笑)。えっ、それにショックを受けたり?

(安住紳一郎)ショックを受けたりね。あとこう、ラップで巻いたり。また、ほどいたり。そしてまた、巻いたり、みたいな。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)もう自然保護動物シリーズとか近代洋風建築シリーズとか。日本の歌、昔話3枚ものシリーズとかね。もう、次から次へと切手の思い出、出てくるんですよ。みなさんも集めたことある方は、『ああ、あれね!あれね!』って。

(中澤有美子)そうなんですね!

(安住紳一郎)ラジオ体操50年とかね。もうね、代表的ですよ。

(中澤有美子)へー!ひとつも、よくわからない(笑)。

(安住紳一郎)わからない?上野動物園開園100年4枚シリーズとか、わからないですか?

(中澤有美子)わからないですねー。

(安住紳一郎)ああ、そうですか。

(中澤有美子)そうなんだ。なんか、すごく残念な気がします。

記念切手大暴落

(安住紳一郎)ところがですね、ところが。いまから8年くらい前ですか?私は3年くらい前に知ったんですけども。ラジオをお聞きのみなさん、知ってますか?これ、知ってらっしゃる方、多いと思うんですけども。このいま、記念切手が大暴落してるんですよ。記念切手大暴落!

(中澤有美子)切手って、値段が下がるんですか?

(安住紳一郎)下がらないと思うでしょ?普通、下がらないと思うよね。

(中澤有美子)そうですよ。お金と交換できる。等しく交換できるものというイメージがありますね。

(安住紳一郎)そうですよね。たとえば、昭和50年に発行された50円の記念切手。だいたい昔は発売された翌年にこの切手を手に入れようとしたら、だいたい売値は2倍の値段になっているっていうのが相場だったんですよ。

(中澤有美子)おお、2倍ですか!

(安住紳一郎)あの、切手ショップとかに行くとね。100円になってるんですよ。で、まあだいたいそういうものなんですよ。買いそびれると。2倍のお金が必要っていうのが収集家にとっては。

(中澤有美子)プレミアがつくイメージ、あります。

(安住紳一郎)そして10年たち、20年たち、30年たち、プレミアがつき、さらに価値が上がるという。それが記念切手のイメージですよね?普通。

(中澤有美子)はい。そうです。

(安住紳一郎)それで、そういうことを見越して、投資目的でシート買い。10枚シートとか5枚シートになっているシートで買っている大人たちもいて。それはもう本当に切手収集家からすると、とても羨望の眼差しで見られていた人たちなんですけども。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)ところがいまですね、昭和30年以降の記念切手。まあ、ほとんどの記念切手が昭和30年以降なんですけども。昭和30年以降の記念切手、いくらで売られているか?みなさん、ご存知ですか?衝撃を受けますよ。額面、割ってるんですよ!

(中澤有美子)うーん・・・あっ、郵便局ではもちろん、もう売ってないですよね?

(安住紳一郎)郵便局では売ってないですね。いわゆる切手ショップ。スタンプショップに行って買うと額面を割ってるんですよ。いわゆるその50円切手は45円とかで売ってるんですよ。で、まあ郵便局に持って行くとそれは50円で使えますから、まあ割安だということにはなりますけども。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)でも、普通切手じゃなくて記念切手が額面割ってるんですよ。私たちはすごく羨望の眼差しで。私はこれ、コレクションできなかったんですけども。東京オリンピック寄附金付き記念切手16種かな?っていう、正方形の白地にアースカラーで彩られた、様々な競技種目が真ん中に書かれた5+5というね。5円の寄附金がついている5円切手があるんですけども。

(中澤有美子)ええ、ええ。

(安住紳一郎)これが、3円とか4円で売られてるんですよ。もう!これ、切手収集家ならもう!いま、身悶えしてますよ。

(中澤有美子)(笑)。なんと!

(安住紳一郎)なんと!ああーっ!という感じですよ。

(中澤有美子)へー。10円で売ってたわけでしょ?

(安住紳一郎)いやいや、もうあれは200円とか300円クラスですよ。もう大変。で、売るのでさえ、額面割れてるんだから、コレクターが切手商に買い取ってもらう時などは、たぶん額面の割れ方、酷いことになってると思いますよ。たぶん1枚とか2枚だったら買ってもらえないと思いますね。

(中澤有美子)あ、なるほど。

(安住紳一郎)よほど大口でない限り、買い取ってももらえないくらい。記念切手は、いま。

(中澤有美子)おおー!

(安住紳一郎)もうね、目を覆わんばかりの惨状。

(中澤有美子)本当に覆ってますね(笑)。頭抱えて(笑)。

(安住紳一郎)これね、本当。私たちが小さい頃、宝物のようにみんなで見せびらかしあったものだから。もう『額面割ってる!ええーっ!?』っていう。これ、だいたい8年ぐらい前に起き始めた現象らしいんですが。私、ちょっと遅れまして3年くらい前に気づいたもので。もうその時や、もうその衝撃たるや・・・でも、なかなかその気分を共有してくれる人がいないから、その気分を共有してくれる人を探すまで半年かかりましたもん。

(中澤有美子)そう・・・でしょうね。説明もね、長くかかりますもんね。

(安住紳一郎)長くかかるしね。ええ。更にですよ、額面割れはしてないものの、切手を集めたことがある人ならかならず知っているであろう記念切手。これはもう、踏み絵的な記念切手ですけども。日本の記念切手というえばこれ!なにかご存知ですか?もっとも価値が高いと言われていた記念切手ですね。

(中澤有美子)えー?

(安住紳一郎)切手趣味週間。昭和23年。1948年発売。5円切手ですけども。

(中澤有美子)あ、すいません。ギブアップです。

(安住紳一郎)知らない?ああー・・・

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)日本の代表的な記念切手といえば、かならずこれですよ。ドラマにもなりますし、殺人事件のテーマにもなりますし。

(中澤有美子)えっ?殺・・・そうなんですか?

(安住紳一郎)知らない。○○美人。

(中澤有美子)あっ、見返り美人?

(安住紳一郎)見返り美人ですよ!菱川師宣作。

(中澤有美子)あ、そんな・・・えっ、なに?

(安住紳一郎)菱川師宣じゃなかった?違ったかしら?

(中澤有美子)そうだ。菱川・・・いますね。はい。そういう浮世絵画家。はい。

(安住紳一郎)見返り美人、知らない?

(中澤有美子)あっ、わかると思います。絵はわかると思います。

(安住紳一郎)見返り美人の切手趣味週間を知らない?

(中澤有美子)そういうウィークは知りません(笑)。すいません。

(安住紳一郎)この見返り美人っていうのは、持っているか持ってないかで、もうウルトラマンのキン消しのドドンゴを持っているか持っていないかぐらいなステータス。

(中澤有美子)ふーん・・・

(安住紳一郎)まあ、わからないと思うけれども。これを持っているか持っていないかで、ぜんぜん違うの!切手収集家のステータスが!

(中澤有美子)すいません(笑)。そうなのかー。なんかこう、皇太子さまご成婚とか。そういうのも・・・

(安住紳一郎)あ、皇室シリーズもね、すごく人気がありますけれども。見返り美人。

(中澤有美子)見返り美人、そんなキーワードなんですね。もう忘れません。

(安住紳一郎)で、私が小学生の頃はたしかこれ、1枚12万円とか。

(中澤有美子)ええーっ!?(大声)

(安住紳一郎)いちばん高い時は20万円くらいまでいったんですよ。

(中澤有美子)すごーい!(笑)。

切手収集家のステータス・見返り美人

(安住紳一郎)いや、それぐらい高嶺の花だったんですよ。本当に。っていうかね、それで驚いている中澤さんを私は信じられない。

(中澤有美子)すいません(笑)。

(安住紳一郎)いや、見返り美人っていうと本当に、小さな美術品だったんですよ。すごかったんですよ。で、未使用の5連のシートがあるんだけれども。この未使用の5連シートが持っているコレクターがいて、展示会があるっていったら私、公民館まで自転車飛ばして見に行ったんですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)それぐらい、切手収集家にとってはすごい、高嶺の花中の高嶺の花。もう海外のコレクターでも日本の記念切手っつったら見返り美人が出てくるから。

(中澤有美子)おお、そうですかー。

(安住紳一郎)あと、月に雁とかね。ありますけども。この、見返り美人。いいですか?ラジオを聞いてらっしゃる元切手収集家少年少女たちよ!見返り美人、あの見返り美人よ?いま、いくらで売られてると思う?びっくりするよ!俺が知っている見返り美人っていうのは12万円とか15万円の印象なのよ。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)昨日、夜中インターネットで叩いてみたら、びっくりした!あの見返り美人が4500円だよ!バカか!?っていうんだよ。

(中澤有美子)高いですね、まだ。

(安住紳一郎)いやいやいやいやいや・・・!いやいやいやいやいや・・・!超格安だよ!

(中澤有美子)あ、そうですか(笑)。いや、原価割れ、原価割れっていうから(笑)。

(安住紳一郎)いや、さすがに見返り美人は原価割れしちゃいかん。

(中澤有美子)あ、そうですか(笑)。へー!

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