安住紳一郎 切手収集を熱く語る

安住紳一郎 切手収集を熱く語る 安住紳一郎の日曜天国

(安住紳一郎)4500円だよ。これはね、切手収集を知らない人はどれくらいか?っていうと、たぶん港区のマンション。新築マンション2LDKが1500万円くらいで売られている印象だね。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)安い!びっくりすると思う。ええ。魚肉ソーセージが3円で売られてるイメージ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)安い!これは安い!それぐらいの印象ですよ。

(中澤有美子)安い(笑)。

(安住紳一郎)なんでこんなに価値が暴落したか?いろいろ言われてるんですけども。いちばんは記念切手を発行しすぎたというね。旧郵政省の間違った・・・

(中澤有美子)発行しすぎちゃったんだー。でも、手に入らなかったから。ねえ。

(安住紳一郎)あの、昭和30年以前くらいは記念切手っていうと1年に1枚とか3枚とか4枚の時期がずーっと続いてたんですけども。昭和30年以降ですね、コレクターが増えたのと同時に、切手の発行枚数がどんどんと増えまして。最近では、ふるさと記念切手とか、いろいろなコラボレーション企画みたいな。もうコレクターがついて行けなくなったので、ちょっと切手収集の熱が冷めてしまったということがあるんですけど。

(中澤有美子)あ、そうなんだ。

(安住紳一郎)でも、額面通りの値段はしばらく維持していたんですね。当然、いまでも使えますから。額面を割れるっていうことはちょっとね、ずいぶんと虐げられている存在になってきてますよね。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)これ、実は追い打ちをかけましたのは2007年の郵政民営化の時に、大口別納郵便という業者の人がダイレクトメールで大量に郵便料金を支払う時に、これまでは切手で。2007年までは切手で支払うことができたので、そのダイレクトメール業者などが切手をそこで使ってたっていう経緯があって、額面割れをそこで阻止していたというか。まあ、額面通りに使う人たちがいるので、その人たち向けにというか。その需要があるので額面をキープしてたんですけども。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)実はその郵政の民営化の時に郵政サービスが一新されて、大口の別納郵便の場合には切手での支払いがダメ担ったんですよね。それで結局、業者も使わなくなったので、切手商の店先からピクリとも切手が動かない状態になって。それで、毎年毎年、値がどんどんどんどん下がっていくという状況にね、陥って。そしていま、この時間にも切手の値段は下がっているんですよ!

(中澤有美子)なんか、すごい(笑)。焦る・・・そうですか(笑)。

(安住紳一郎)で、この気分を共有してくれる方、いらっしゃると思うんですけども。かつてね、自分が宝物のようにピンセットで扱い、そして傷をつけね。指紋がつかないようにラップで巻いて、そして、ほどき、また巻き、そして指紋がつき。友達に見せびらかしていたものがいまや古雑誌のように店先に積まれ、二束三文で売られている。本っ当に切手収集を経験したことのある人なら、この光景は耐えられない!

(中澤有美子)そうなんですねー(笑)。

(安住紳一郎)そして、ちょっと難しい話になりますが。この事態は切手収集家の悲しみだけでは終わらないんですよ。過去に郵便局が発行した記念切手。ものすごい量があるんですよ。特に昭和40年以降。この切手、どのくらいが使われずに世の中に残っているのか、みなさんご存知ですか?まあ、コレクターの方が必死になって集めて、大事に大事にコレクション。まあ実際にハガキ、封書に貼って使うことはなかったケースが多いんですけども。郵便局が発行した記念切手、どのくらいが未使用の状態のまま世の中に残っているのか、ご存知ですか?

(中澤有美子)ええー?

(安住紳一郎)実はこれ、誰もわからない。

(中澤有美子)そうか。そうですねー。

(安住紳一郎)でも、相当残っていることは想像がつくんですよ。一説には、私の調べではないので、聞いた話だけですけども。一兆円超えてるんじゃないか?って言われるぐらいの額が未使用のまま出回ってるんですよ。

(中澤有美子)国家予算規模ですね。

(安住紳一郎)うん。それはどういうことか?というと、これは日本郵政の負債なんだよね。で、バランスシートには載ってない、簿外負債なんだよね。まあスミコおばさまがね、税理士事務所に勤めていたので今日はこういう話になりますが。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)これは、日本郵政が収集家に借りている借金だよね。だって、先に現金払って切手買って、収集家は切手を家に置いて使ってないんだから。でも、帳簿には載せてないわけだ。負債として載せなきゃいけないんだよね。まあ後日、そのサービスを提供しなくちゃいけないから。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)私、ちゃんとその日本郵政になんの恨みもないし、むしろ郵便局の人は大好きですけども。意地悪なことを言いますと、みんな明日から示し合わせて、郵便局から切手を買わずに、利用者が全員家にある昔の記念切手、あるいはスタンプショップに行って額面割れしている切手を買って、ハガキ、封書、小包出せば、郵便局の現金収入は明日からゼロになっちゃうわけだ。

(中澤有美子)そうですね!

(安住紳一郎)で、郵便局は現金収入がゼロになるし。しかも、出回ってる未使用の切手を使うと、たぶん数年続けられるぐらい切手は出番を待っているわけだよね。これは民営化とかでいろいろ黒字、累積黒字どうのこうのとか言ってたけど、そんなのは簡単に吹っ飛ぶ話なんだよね。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)話半分としても、これはたぶん近々結構大きな問題になってくると思うけれども。マニアの怒りを甘く見るなよ!ということだね。さて、話は元に戻りますけども。

(中澤有美子)そうそうそう。額面割れしてても、切手を貼って使うという意味では同じ50円なら50円で使えるわけですからね。

(安住紳一郎)むしろ、ですから利用者としては郵便料金を安く済ませる方法が1つできたと考えてもいいんだよね。

(中澤有美子)本当、そうですよね。

(安住紳一郎)私はこれを3年前、千葉のスタンプショップで、切手が好きなのでちょっと久しぶりにのぞいてみようかなと思っていたら、額面割れしていて。もう足元から崩れ去ったんだけども。私が少年時代だった時に高嶺の花だったスター切手ね。これが額面割れしている。で、ショックだったんだけど。

(中澤有美子)うん。

(安住紳一郎)すぐ私は立ち直って、買い漁ってしまいました。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)あはははは!なんつって。すげーじゃん!なんつって。

(中澤有美子)(爆笑)

額面割れした切手を買い漁る

(安住紳一郎)『オリンピックの記念切手、えっ?これ、4円でいいんですか?』なんて言って。買い漁ったよ。慌てて。

(中澤有美子)大人買い、しましたか(笑)。

(安住紳一郎)うん。もう、あれもこれも、これもそれも。これも、あれも、それもだ!

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)だってさ、かつては買えなかったものがさ、信じられない値段で売ってるんだもん!

(中澤有美子)そうですね(笑)。

(安住紳一郎)そして、実際にハガキに貼ってみた。15円切手を2枚、20円切手を1枚。国際児童年とか札幌オリンピックのボブスレーとかね。フィギュアスケートとか。かつては貼れなかったものを貼ってみた。

(中澤有美子)使ってみた。

(安住紳一郎)そしたら、かつてはコレクションをしていた時は許されなかった行為でしょ?

(中澤有美子)そうよね。

(安住紳一郎)だって、ものすごく贅沢だったから。貼れなかったんだもん。手に入らなかったんだから。それをもう、ビタビタビタビタ貼れるわけだ!

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)いくらでも貼れるんだよ!もう蛇口からオレンジジュース出してるみたいな感覚だよね。ものすごい興奮。もう、脳内からドーパミンがドバドバ出てるんですよ。でもやっぱりね、こうね、改めてその年代物の切手の持つ品?美しさ。ちょっとそのインクの乗り方とかね。ちょっとデザインの古さとか。それがなんか雑貨のようなかわいさがあるんだね。

(中澤有美子)うーん、そうか。そうですね。

(安住紳一郎)そうしてこう、切手を扱う時の興奮。あのね、目打ちしたところがピリピリっとね。そしてこう、水につけるもよし、唾液をつけるもよし。なんかこうちょっとね、カミソリを扱っているような感じのちょっとその、人間的な、道具を使う喜びっていうのかな?そういうのがあるんですね。

(中澤有美子)そうですね。アナログな感じね。はい。

(安住紳一郎)記念切手、たしかに受難の時代ではあるけれども、収集家の末席を汚した過去を持つ私にいまできること。そう、いまこそ記念切手をドバドバ使うことだ!と、私は結論づけました。

(中澤有美子)そうかもしれませんね。

(安住紳一郎)そして、ここまで聞いてお気づきの方、いらっしゃるかもしれませんけども。ちょうど、私たち、手前どもの番組は3年前から番組でメッセージを紹介した人に、特製の絵葉書で返礼をするという取り組みを始めましたね。いまをときめく、人気の作家先生に季節替わりで描いてもらったイラスト作品が、大変好評を、手前味噌ながらいただいているわけでありますが。当然、絵葉書なので、それをみなさまに送るためには50円切手を貼る必要があるわけですね。

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)最初は、コンビニエンスストア、あるいは赤坂郵便局で買いました50円普通切手を貼っていたんですけども。あのね、ちょっと白の色で鳥の絵が描いてあって。最近はちょっと切手熱が冷めてるんで、それが何の鳥かはわからないんですけども(笑)。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)カイツブリかなんか、よくわかんないですけども。まあ、あるんですけどね。それを貼っていたんですけども。待て待て待て待て!と。ここで、原価割れしているスター切手の登場じゃないか!ということで、私が千葉のスタンプショップ。またちょっとね、千葉のはずれの方にありまして。

(中澤有美子)らしいですね(笑)。

(安住紳一郎)そこに2回ほど通いまして、買い付けて来た額面割れした受難のスター切手をドバドバ貼ることにいたしました。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)そしてあの、切手好きの習わしとして、ハガキの内容、伝えたい思いを文章ではなく、切手のデザインなどに思いを込めるというのが郵趣家、フィラテリーマニアのいちばんの上級なたしなみと言われてますよね。

(中澤有美子)なにマニアですか?

(安住紳一郎)フィラテリーって、郵趣っていう。フィラテリーっていうんですよ。世界でいちばん高貴だと言われてるんですよ。キングオブホビーとも、ホビーオブキングとも言いますけども。はい。趣味の中の王様。王家の趣味って言われる。イギリス王室が実は切手の収集では飛び抜けたコレクターなんですよ。ちなみにロシアのテニス選手シャラポワもね、切手の収集家として有名ですけども。

(中澤有美子)そうなんだ、はい。

(安住紳一郎)このフィラテリーマニアの嗜みといたしましては、ハガキの内容や伝えたい思いを文章ではなく、切手のデザインなどに思いを込めるというのがですね、これはもう、最上級の嗜みなんですよ。みなさんも経験あると思うんですよ。結婚式の案内状などにハート型の切手がついてたりするとね、ちょっと雰囲気盛り上がるでしょ?

(中澤有美子)そうですね。ええ。

(安住紳一郎)で、『熊本に行ってきたんですよ』なんて絵葉書を熊本から出す時、熊本城の切手が貼ってあるとね、『あら?ずいぶん時間かけたのね』っていうことになるわけでしょ?

(中澤有美子)そうですね。やるな!っていう。はい。

(安住紳一郎)それで私たちも、みなさんからのメッセージに沿う形で、スター切手を選んで貼るという作業を実はしているんです。ところがです!もう始めて3年たつんですよ?1日15通くらい出しているんで、1ヶ月で60、1年で720ですよ。もう3年近くになりますから、2000通近く出してるんですけども。気づく人がほとんどいない!

(中澤有美子)(笑)

メッセージに合わせた切手をハガキに貼る

(安住紳一郎)最初の頃はね、古い切手で10円切手を5枚とか、41円切手と5円切手と3円切手と1円切手。なんか、『経費削減なんですか?』なんて言われたりしてね。『エアロトのせいで借金がたまってるんですか?』なんて。

(中澤有美子)そうそうそう(笑)。

(安住紳一郎)あるいは、『変な切手ばっかりで気持ち悪いですね』とか。『古いですね』みたいな。でも、ようやく2年目くらいになりますと、『先日お返事のハガキいただいたんですけども、私の生まれた年の切手が偶然3枚貼ってあり、偶然にびっくりしました』みたいなね、お便りがあったりして。偶然じゃないっての!こっちが全部、ねえ。生年月日、年齢から類推して貼ってあるんだから!みたいな。全く気づかない。こっちがびっくりだよ!みたいな。

(中澤有美子)でも逆に、そこまでされたと思うと、気持ち悪いと思われるかも(笑)。

(安住紳一郎)これはフィラテリーとしては上級の嗜みよ?

(中澤有美子)そうですか。そっか。

(安住紳一郎)あまりね、おしゃれな取り組みなんで、そのうちBRUTUSとかね、サライとかが取材に来るんじゃないか?と思って。

(中澤有美子)そうですね。ええ。

(安住紳一郎)『第四次切手ブームの火付け役 日曜天国』なんて特集されるんじゃないかな?なんて思って。ちょっとそれは恥ずかしいかな?なんて言ってたのに、全く気づいてもらえなくて本当に恥ずかしい!

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)たとえばね、リスナーの方からメッセージいただいて。ケガの話でね、ちょっとメッセージをいただいた方には、国際赤十字献血年とかね。その切手を貼って。

(中澤有美子)日本整形外科学会とかね。

(安住紳一郎)・・・全く気づかない。キャンプの話を送ってくださった。ああ、これはボーイスカウト50年・ガールスカウト50年・世界ジャンボリー、これだろう。3枚貼り。パンパンパン!・・・気づかない。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)気づくよね?普通ね。

(中澤有美子)スルー。ねえ。

(安住紳一郎)奥さん怖いっていう人にはね、婦人参政権25年。それから、八郎潟干拓記念。なんか溝を埋めてほしいみたいな。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)なかなか気づかない。

(中澤有美子)気づかない(笑)。

(安住紳一郎)こういう取り組みをやってるんですけども。3年たちましたけども、みなさんが気づかないので今日はあえて発表しました。

(中澤有美子)(爆笑)。ついに言っちゃいました。

(安住紳一郎)そして私たちのいちばんのいまの懸案事項はですね、千葉のスタンプショップでまとめて買ってくるんですけども。どうしてもこう、使い勝手のいい記念切手と、なかなか出番が回ってこない記念切手があるんですよね。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)はっきり言いますと、国宝シリーズの出番がなかなかない!なかなかメッセージで国宝のことを書いてくる人がいないもんですからね。

(中澤有美子)そうですね(笑)。

(安住紳一郎)なので、そのうちメッセージテーマで『国宝の思い出』とか。

(中澤有美子)(爆笑)。『私と国宝』。

(安住紳一郎)『私と国立公園』とか出てくると、『あ、切手が余りはじめたんだな』と察してください。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)第四次切手ブーム、来るんじゃないかな?と期待しています。是非みなさん、気づいて、そして褒めて伸ばしてほしい。どうぞよろしくお願いいたします。

<書き起こしおわり>

[追記]その後、2014年1月の放送の中で、日曜天国スタッフが現在行っている記念切手入手方法について話していました。

(安住紳一郎)最近、ハマっていることです。(リスナーのメールを読む)『いただいたハガキと切手、とても嬉しく何度も見返しています』。ありがとうございます。

(中澤有美子)ありがとうございます。

(安住紳一郎)そうなんですよ。切手もちゃんと選んで貼ってますからね。大変なんですから。その切手の整理に私、忙殺されますからね。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)放送終了後、5時間ぐらい黙々とその切手を整理をしていたことがあります。最近はその切手の入手方法もなかなか凝ってまいりまして。私たちは結構、みなさまにお出しするハガキに貼る切手も凝っておりまして。みなさま方から寄せられましたメッセージに沿ったものや、みなさまの近況に則した切手を貼るという、郵趣家としての上質な嗜みを、みなさまにも喜んでいただくべく、そういう作業をしているんですけども。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)なかなか、過去に発売された記念切手。いまは廉価で発売されておりますので、そういうことになりまして、潤沢に使うことができるんですけども。なかなかやっぱり、流通が一定していませんので、都内の金券ショップやホビーショップなどの記念切手では、もうすでに購入済みのものが多いんですね。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)で、私たちはいま、衝撃の事実ですけども。オークション。しかも、本格的なオークションで記念切手を落札しておりますからね。

(中澤有美子)(笑)。そこまで来ちゃいましたね。

(安住紳一郎)そこまで。もう完全にプロがオークションというか、出品したり、落札したりするという。いわゆる中古車の売買会場みたいなところがあるんですけども。本当の、プロが集まる切手の。そこにもう参加して、25万円とかで落札しておりますからね。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)ものすごい量、落札してきますから。また、いずれゆっくりお話する時期が来るんじゃないかな?と思うんですけども。びっくりしますから。ええ。そしてだいたい、本格的な業者は額面の0.81くらいの額面で入札をしてきて。やっぱりプロなんで、利益が出ないとわかった時点で札を下げるんですけども。その利益が出なくなった1毛差とか2毛差ぐらいの時に、日曜天国がバーン!って札を上げるという。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)たまに間違えて落としちゃうみたいな。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)大変!みたいなことになってますけども(笑)。

(中澤有美子)ねー。

(安住紳一郎)はい。楽しくやってますよ!話が長くなりましたけども・・・

<書き起こしおわり>

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