安住紳一郎が語る 和歌山パンダの愛の昼メロドラマ

安住紳一郎 パンダへのあふれる愛とトークの際の心構えを語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2008年11月にTBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』で話したトークの書き起こし。パンダを愛する安住さんが、和歌山アドベンチャーワールドのパンダたちについて熱く語っていました。

(安住紳一郎)さて、先週ですね、私、和歌山県に行ってきたんですけども。やっぱり、和歌山は暖かいところですね。なんか春みたいな陽気でしたけども。やっぱりずいぶん関東とは違うなと思いましたけども。いま、和歌山県でとびきり人々の注目を集めているものがあるんですけども。ラジオをお聞きのみなさんはご存知でしょうか?

(中澤有美子)んんっ?

(安住紳一郎)和歌山県ですね。

(中澤有美子)いま?

(安住紳一郎)いま。一昨日ぐらいもなんかちょっとニュースが出てきましたけれど。中澤さんは、なにか思い当たることはありますか?

(中澤有美子)いえ、なんでしょうか?

(安住紳一郎)和歌山県・・・

(中澤有美子)んんっ?

(安住紳一郎)ラジオをお聞きのみなさんは、なにか思い当たりましたでしょうか?

(中澤有美子)あれっ?

(安住紳一郎)いやー、そんなもんですよね。私も和歌山に行くまでは、『ああ、たしかに』って思いましたね。ええ。

(中澤有美子)なんだろう?

(安住紳一郎)和歌山、いまパンダなんですね。

(中澤有美子)そうだ!白浜・・・

(安住紳一郎)南紀白浜の、アドベンチャーワールドというところがあるんですけども。南紀白浜空港から車で20分・30分くらいのところの、白浜町というところにアドベンチャーワールドという大変大きな動物園というか、総合レジャー施設がありまして。

(中澤有美子)ねえ。遊園地も一緒になったような。

(安住紳一郎)そこにね、パンダが飼われてるんですけども。そこのパンダに、9月ですか?2ヶ月前に、双子の赤ちゃんがまた生まれたということで。いま、そのお披露目やら、体重測定やら、命名式やらで大変なにぎわいを見せているということなんですけれども。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)ちょっと撮影で、アドベンチャーワールドにもお邪魔いたしまして。その一部始終を見てきたんですけども。みなさんは、パンダをご覧になったこと、ありますか?

(中澤有美子)あるんですよね。きっと、1度はみんな。

(安住紳一郎)中澤さんは?

(中澤有美子)はい。小さい頃とか、ありますよ。

(安住紳一郎)ラジオをお聞きのみなさんも関東にお住まいですから、上野で見たという方がね、多いんじゃないかな?と思いますけども。では、ではですよ、1度に何頭のパンダを見たことがありますか?

(中澤有美子)1頭だったと思うなあ・・・

(安住紳一郎)中澤さんの時は1頭?

(中澤有美子)はい。2頭かな?

(安住紳一郎)それはフェイフェイ・ホァンホァン?リンリン・トントン?

(中澤有美子)覚えてないですよー。

(安住紳一郎)ユウユウ?

(中澤有美子)わからないなー。はい。

(安住紳一郎)ああ、そうですか。

(中澤有美子)カンカン?

(安住紳一郎)カンカンを見た?ほう、なるほど。

(中澤有美子)最初はね。

(安住紳一郎)上野でかつて、4頭同時に飼育されていたことがあるんですけども。たぶんその4頭時代に上野に行ったっていう方はたぶん稀じゃないかな?と思うんですよ。たぶん、ラジオをお聞きの方の多くの方も、たぶん1頭か2頭を見たという方が多いと思うんですよ。

(中澤有美子)ええ、ええ。なんか、いたとしてもこう、のっそり隠れちゃったりとかしてね。

(安住紳一郎)そうですね。ええ。まあ上野動物園もランラン、カンカン、フェイフェイ、ホァンホァン。それから、トントン、ユウユウ、チュチュっていう、すぐ死んじゃったんですけどね。いたりなんかした時代もあるんですけれども。

(中澤有美子)ああ、そうなんですか。

パンダ世代の安住紳一郎

(安住紳一郎)私、生まれが1973年。昭和48年生まれでございまして。ちょうど上野の動物園に初めて日本にパンダがやってきた、ランラン・カンカンがやってきたのがちょうど昭和47年なんですよね。ということで、中澤さんもそうかな?第ニ次ベビーブームのみなさんはそうじゃないかな?という風に思うんですけれども。要するに、なんとなく日本中がパンダに沸いていた時期に生まれ育ったものですから、小さい時に身の回りにあったお弁当箱とか、ナイフとかフォークに無意味にランランとかカンカンが入っていた時代なんですよ。

(中澤有美子)そうね(笑)。はい。

(安住紳一郎)私、ずーっと使っていたスプーンの取っ手のところがカンカンだったんですよ。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)まあ著作権とかどうなっているのか、当時わかりませんけれども。そういう時代に育ったものですから、なんとなくこう、自分の体内の中にパンダに対する、自分が憧れたわけじゃないけれども、パンダに憧れなさいと世の中が言っていたような時代に生まれ育ったと。

(中澤有美子)なんかわかる(笑)。

(安住紳一郎)しかも、北国でずいぶん東京から離れたところに住んでいたので、上野動物園っていうところはたぶんすごいところなんだと。近所の人の中で1人ぐらい、『上野に行ってパンダを見てきた!』って自慢話をする人がいたりして。で、大変そのパンダに対する憧れっていうのかな?こう、あるわけですよね。

(中澤有美子)うんうんうん。

(安住紳一郎)そういう時代に生まれ育ったっていうこともあって、若干パンダ愛が深いっていうところはあるんですけども。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)話、長くなりましたけれども。天気の悪い日にね、こんなちょっと講釈をたれて申し訳ないですけれども。いま、その和歌山の白浜町にあるアドベンチャーワールドに行きますとですよ、パンダがなんとですよ、7頭いるんですよ。

(中澤有美子)あっ、そうですか!

(安住紳一郎)7頭ですよ?あの世界三大珍獣と言われたジャイアントパンダが7頭いるんですよ!

(中澤有美子)ええ。絶滅危惧種ですよね。

(安住紳一郎)なんとなく、上野で経験されている方なんかはパンダって言うと、列に長い時間並んで、待って、子どもに文句言われて、ようやくガラス越しに耳だけ見えた!みたいな。あれがパンダなんだ!みたいな。あんなに寝そべって耳しか見えないあれがパンダか!っていう、そういう経験の方が多いと思うんですよ。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)そういうイメージを払拭する和歌山白浜町でございますよ。

(中澤有美子)ああ、そうなんですか。ええ。

(安住紳一郎)もう、飽きるまでパンダが見られますよ。

(中澤有美子)(笑)。そうなんですか。

(安住紳一郎)しかも、露天ですよ。露天。屋根がない。要するにオープンスペースにパンダがいるわけですよ。アドベンチャーワールド、大変に広いんですけれども。入り口を入ってしばらく行きますと左側の方にパンダ舎と呼ばれるですね、パンダコーナーがあるわけなんですけれども。その角を曲がると、突如ですよ、突如視界にパンダの群れが飛び込んできます!どうですか、この感覚?

(中澤有美子)群れですか!?

(安住紳一郎)群れですよ。いわゆる動物園でいうところの、フラミンゴみたいな感じでいるわけですよ!

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)いっぱいいるね!っていう。

(中澤有美子)よく見えるんだ。

(安住紳一郎)ええ。フラミンゴみたいな感じで視界に飛び込んでくるわけですよ。佇んでいるわけですよ、そこに。

(中澤有美子)ちょっとわからない。感覚として。

(安住紳一郎)『ええっ!?嘘!?全部パンダ!?』っていう感じですよ。

(中澤有美子)白黒の群れが(笑)。

(安住紳一郎)うん。感覚的に言うとですね、鎌倉の大仏が7つあるみたいな。それぐらいの衝撃。『ええっ!?普通ひとつだろ?』みたいな。『ありがたみ、ないよ!』みたいな。普通、だってひとつでしょ?

(中澤有美子)そうですよ。

(安住紳一郎)そういう大仏みたいなものって。こう・・・

(中澤有美子)しかもガラス越しの、よく見えない感じの。

(安住紳一郎)大仏が7つぐらいある。『ええっ!?ありすぎだろ!』っていう。そんな感じですね。しかもそんなに人がいないんですね。

(中澤有美子)そうなんだ。

(安住紳一郎)まあちょっと和歌山、遠いですからね。まあ、私が行ったのが平日だったということなのかもしれませんけれども。もう、ですから何ですか?もう『客寄せパンダ』にすらなり得てないという。

(中澤有美子)(爆笑)

(安住紳一郎)和歌山県ではもう、『客寄せパンダ』という言葉は死語になったそうですけれども。

(中澤有美子)そうですか(笑)。客寄せにならないパンダ。

(安住紳一郎)本当に客寄せになってないぐらいな存在。あまりにも身近に感じることができるという。普通なパンダが見られます。まあ、でもね、関東にお住まいの方が多いでしょうから、旅行で和歌山に行くっていう方はちょっとね、まあ和歌山の方には失礼かもしれませんが。ちょっとね、あんまり聞かないですもんね。

(中澤有美子)ぜひ、ええ。行ってみたい。

(安住紳一郎)いいところですけどね。ええ。和歌山県に旅行に行きますっていう方はあんまりいないので、なかなか行く機会もないと思いますが。なにかチャンスがありましたら、ぜひいらしてみてはいかがでしょうか?7頭の同時飼育っていうのは、やっぱりちょっと迫力がありますよ。

(中澤有美子)そうなんですね。

(安住紳一郎)中国国内を除いては、当然最多頭数ということで、大変レアケースのようですけれどもね。一見の価値、ありますね。ただ、ちょっと入場料、高いですけどね。

(中澤有美子)ああ、そうなんですか。

(安住紳一郎)大人で3200円くらいしますね。ちょっと高いですね。

(中澤有美子)そうですねー。ええ。

(安住紳一郎)いまから、番組が始まったのは?2005年ですか?ですから、3年前ですか?3年半前ぐらいですね。ちょうどこの番組が始まってすぐぐらいの時に、私、仕事で実は南紀白浜にあるアドベンチャーワールドっていうところに1回行っていて。今回が2回目ということになるんですけれども。3年前のその時も、相当興奮してしまって。この番組でベラベラお話したんですけども。たぶん中澤さん、まだご一緒してない時だったと思うんですけども。

(中澤有美子)ええ、そうでしたね。

(安住紳一郎)本当、あのパンダって面白くてですね。やっぱりこうなんか、人をひきつける動物なんだなっていうことを本当に痛感しますね。かわいいっていうか、なんだろう?なんかやっぱりこう、ずーっと見続けちゃう魅力があって。で、いまちょうど2才半ぐらいのアイヒン・メイヒンっていう双子の、ちょっと大きくなったパンダがいるんですけども。それがまた仲が悪くてね。

(中澤有美子)あ、そうなんだ!

(安住紳一郎)ずーっとケンカしてるの。

(中澤有美子)あっ、そうなの(笑)。じゃれてる?

(安住紳一郎)じゃれてるっていうかね、ケンカだね、あれはね。

(中澤有美子)ケンカなんだ。

(安住紳一郎)プロレスみたいな感じでね、もうすごいのよ。で、なんかこうかわいらしい赤ちゃんパンダみたいなのを期待して行くんだけども、要するにこの間生まれた双子のパンダのさらにお兄ちゃん・お姉ちゃん格にあたるアイヒン・メイヒンっていうのがいてですね、それがケンカしてて。笹の取り合いとかしてて。で、コウヒンっていうお兄ちゃんが出てきて、その笹を両方持って行っちゃったりして。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)なにしてんじゃ!みたいな感じなんだけれども、愛らしい。

(中澤有美子)ああ、そうなんだー。へー。

(安住紳一郎)で、前回お邪魔したのが3年前で。この3年間、ちょっと私、パンダ愛がどんどんどんどん高まってきまして。結構あの、パンダの本も2冊ぐらい買ってしまいまして。

(中澤有美子)研究したんですね(笑)。

(安住紳一郎)さらにあの、パソコンでアメリカにあるアトランタ動物園っていうところにもパンダがいるんですけども。そのアトランタ動物園のパンダのライブ映像がパソコンで見れたりするんですよ。それ、夜中に見たりしてですね。

(中澤有美子)(笑)。『おお、寝てる寝てる』とか言ってね。

(安住紳一郎)で、相当パンダ愛が強くなっていたところでまた今回見たので余計興奮したっていうことはあるんですけれども。今回ですね、ちょっとその和歌山のパンダの昼メロチックな一面をお伝えしようかなと思いまして、東京に戻ってまいりました。

(中澤有美子)そうなんですか。ドロッとした?

(安住紳一郎)ちょっとね、ドロドロしてるんですよ。本当にこれは私の勝手な解釈なんですけれども。

(中澤有美子)まあまあ、そうでしょうね(笑)。

(安住紳一郎)ちょっと話、長くなりますけれども。まあ、雨降ってますしね。

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)まず、話始めるのはこっからね。あの、パンダって繁殖が難しいっていうイメージがみなさん、ありません?

(中澤有美子)ありますよね。

(安住紳一郎)ねえ。どうしてだと思います?

(中澤有美子)どうして?あの、男女の好みが・・・

(安住紳一郎)そうなんですよ。おっしゃる通り。

(中澤有美子)誰でもいいってわけじゃない。

(安住紳一郎)そうなんですよ。パンダは実は交配相手の選り好みがとても激しい。なんと、驚くことに、人間と同じくらい好き嫌いがはっきりしている動物なんです。

(中澤有美子)ああ、そうなんですか。へー!

(安住紳一郎)人間並よ。人間並に相手を選ぶんだよ。人間も相当選ぶでしょ?

(中澤有美子)そうよね(笑)。まあ、そうよね。

(安住紳一郎)外見、中身、性格、食べっぷり、排尿の仕方・・・

(中澤有美子)そんな・・・(笑)。

(安住紳一郎)癖、家族構成、収入。いや、本当にパンダも相当好き嫌いが激しいらしくて。で、現在1500頭しかいないでしょ?しかも、人工飼育されてるのが100頭前後でしょ?っていうことは要するに、その100頭前後でカップリングしてる。これ、大変なことじゃないですか。人間で考えてごらんなさいよ。ちょっとオカマっぽいしゃべり方で申し訳ありませんけども(笑)。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)『クラス、2クラス分で全員カップリングしなさい』って、中学校の時に言われたらどうします?『全員、この2クラスで。1組と2組で結婚相手を見つけてください』って言われるんだよ。ちょっと楽しいような感じもするけれども。そりゃ1組、2組はできるけど、最後の1人までカップリングはできないでしょう。

(中澤有美子)(笑)。そう、無理ですよ。

(安住紳一郎)でしょ?そんな習性の憂き目にあったのが、今年の4月に死んだ上野のパンダ、リンリンですよ。最後の上野の1頭になっちゃったから、結局メキシコのメスパンダと3回もお見合いさせられたんだけれど。で、メキシコにリンリン、3回も行ったのよ。飛行機で。

(中澤有美子)そうだったんですね。

(安住紳一郎)ええ。世界でいちばん移動したパンダっていう記録を持ってるんだけど。リンリン。しかもさらに、パンダのメスは受胎可能、妊娠が可能な期間が1年のうちにたったの3日しかない。それだけカップリングが難しくて、しかも妊娠する機会が3日しかない。リンリンですよ。見たこともないメキシコ娘とさ、『今晩か明日の晩にお願いします』って言われるんだよ。考えてあげなさいよ、その・・・

(中澤有美子)(笑)。そうなんだー。

(安住紳一郎)同じ哺乳類のオスとして、同情するでしょ?メキシコ行って知らない動物園でさ、知らないメキシコ娘紹介されてさ、『今晩か明日の晩、お願いします』って言われるんだよ?

(中澤有美子)やっぱり無理なものですか?(笑)。

(安住紳一郎)無理だよ、絶対!そんなの。希少動物だって関係ないもん。リンリン。で、結局メキシコ娘と3回お見合いして、3回ともダメで。

(中澤有美子)違う子だったんでしょうか?3回とも。

(安住紳一郎)メキシコにメスが3頭いるんですよ。で、メキシコもオスがいないもんだからさ、東京から、上野からオスが来たって喜んだんだけども。リンリンがちょっと発情しなくてさ。

(中澤有美子)ああ、そうだったんだー。

(安住紳一郎)それで、結局リンリンが23才?22才で死んじゃって、上野の動物園からパンダが1頭もいなくなる。でね、なんか福田首相がなんか中国の人にたのんだとかさ、石原都知事が『いや、もうレンタル料は払えないから、いらないんだ』とか、そういうちょっと外野からのニュースがいろいろ飛び込んできましたけれども。私はまずはリンリンに同情するべきだ!と。オスのプライド、ボロボロにされてったんですよ?

(中澤有美子)そうでしょう、かね?うんうん。

(安住紳一郎)そうでしょう。ええ。だってさ、メキシコでさ、交配失敗してさ、帰ってくる飛行機20時間ぐらいあるでしょ?その時の気持ちとかさ。しかも失敗したのに2回目、送り込まれてるんだよ。で、2回目、そのメキシコの動物園の檻に入る時のリンリンの気持ち、考えてごらん?『また来たよ』って向こう、考えているわけでしょ?『どうせお前、ダメなんだろ?』なんてさ、言われながらさ。で、リンリンも『すいません』なんつって。『世界情勢なものですから、こういうことになりました』なんつって。『笹だけ食わせてもらいます』みたいな感じで・・・

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)同じ哺乳類のオスとして、本当に同情を禁じ得ないよね。

(中澤有美子)そうですかー。そうだよねー。

(安住紳一郎)かわいそうでしょ?だって好みが人間並なんだよ?見ず知らずのメキシコ行ってさ、知らないメキシコ娘とさ、『どうですか?』なんて言われてさ。

(中澤有美子)でも中にはほら、すごいそれではしゃいじゃって、がんばっちゃう男子もいるじゃないですか。

(安住紳一郎)知らない土地で?知らない飼育員の前で?はしゃぐ?はしゃがないよー!

(中澤有美子)そうなんだ(笑)。

(安住紳一郎)俺、たぶんすごいストレスだったんじゃないかな?って思うんですよね。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)翻って、南紀白浜ですけれども。オスパンダ、エイメイ(永明)っていうオスのパンダがいるんですが。北京生まれの18才。永久の『永』に明るいと書いて『永明』って言うんですけども。私は勝手に訓読みして、この人を『ナガアキさん』って呼んでますが。

(中澤有美子)(爆笑)。馴染みますねー。

(安住紳一郎)このね、ナガアキがもうやり手中のやり手。いま、世界のパンダ界でナンバーワンのプレイボーイって言われてるの。

(中澤有美子)おおっ!?(笑)。

(安住紳一郎)名前からして、やり手でしょ?エイメイ。ナガアキだよ?リンリンなんてかわいらしくて、ぜんぜんフェロモン出てないじゃん。ナガアキさんだからね!

(中澤有美子)強そうね。たしかに。

(安住紳一郎)名前から出てるフェロモンが違うなって俺は思うんだけども。和歌山に来てからさ、もう10頭も子供作ってるんで。ナガアキは。

(中澤有美子)おおー!

(安住紳一郎)で、そんなナガアキの心をとらえたのが、4才年下のメイメイ(梅梅)ね。桜梅の『梅』を2つ書いて、メイメイって言うんだけれども。これ、私は勝手に訓読みして『おウメさん』って呼んでるんだけども。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)このナガアキ・おウメが、もうパンダ界のナイスカップル大賞って言われていて。びっくりするぐらいの繁殖能力を持っている2頭なんですよ。で、残念ながらおウメさんは先月、10月ですよ。本当、まだ1ヶ月しかたってないんですが、10月に死んでしまったんですけど。追悼イベントで和歌山の県知事が、そのおウメさんに対して、追悼でだよ。コメントで、『あなたは和歌山の偉大なる母』って言ったんだよ。それぐらいなおウメさんなんだけれども。

(中澤有美子)はい。そうでしたかー。

(安住紳一郎)生涯の出産頭数の世界第二位っていう記録を持っているおウメさんなんですけれども。ただ、このおウメさんにちょっと事情がありましてね。ちょっと本当にこんな話、不謹慎なんで。あんまり本当はしちゃいけないんですけれども。おウメさん、和歌山に来る前、中国の成都というところにいたんですが。成都に、前の旦那がいたんですよ。

(中澤有美子)ほうほう。

(安住紳一郎)ハーランっていうオスなんですけどね。で、おウメさんは中国ですでに2頭、子どもを産んでいって。しかも、ハーランとの第三子をおなかに宿したまま、誰にも気付かれず、和歌山に来ちゃったの。

(中澤有美子)ああ、そうでしたか!

(安住紳一郎)パンダってちょっと妊娠がわかりづらいんで。で、和歌山に来て、2ヶ月して、子どもを産んじゃったの。で、『あっ、おウメさんなんだ。中国で妊娠してたんだ。悪かったな、離しちゃって。旦那と』っていう感じになったらしいんだけれども。そこで生まれたのが、和歌山ではじめて生まれたラウヒン(良浜)っていうお嬢さんなんだけれども。良し悪しの『良し』に、白浜の『浜』って書いて『良浜』って言われて。南紀白浜で生まれた子どもたちは全部『浜』っていうのをつけられるんだけれども。ラウヒンっていう。私はこれ、訓読みして『ヨシコちゃん』って呼んでるんだけれども。

(中澤有美子)なるほどね。

(安住紳一郎)おウメさんが前の旦那との子を和歌山で産んだの。それで、おウメさんと、ナガアキと、父親違いの義理の娘のヨシコの3人暮らしが始まったわけ。それで、その後ナガアキとおウメさんはものすごく相性が合ったらしくて。次々と子どもを産んだのよ。で、これがその『和歌山の母』と言わしめる所以なんだけれども。おウメさんはその後、ユウヒン(優浜)。それから、リュウヒン(隆浜)、シュウヒン(秋浜)、コウヒン(幸浜)。コウヒンの弟は死んじゃったんだけれども。その後に、アイヒン(愛浜)、メイヒン(明浜)。もう、梨の種類?みたいな感じで。次々産んでったんだけれども。

(中澤有美子)すごいですね。よく暗記してますね。

(安住紳一郎)あ、もう何回でも言いますよ。

(中澤有美子)すごいですね。なんか見てないんですよ、これ。すごいなって。

(安住紳一郎)ユウヒン、リュウヒン、シュウヒン、コウヒン。アイヒン、メイヒン。

(中澤有美子)おおー!

(安住紳一郎)美味しいのは南水、幸水、秋水。

(中澤有美子)いやいやいや(笑)。

(安住紳一郎)それで、先ほど話した通り、パンダは人間並のメス選びの習性を持つと私、先ほどお伝えしましたね?で、ナガアキさんはパンダ界の超プレイボーイですよ。で、今年、おウメさんの連れ子、ヨシコちゃんが7才。人間で言うとね、ハタチすぎなんですよ。

(中澤有美子)血のつながらない娘。はい。

(安住紳一郎)どうなる?

(中澤有美子)どうなる?(笑)。

(安住紳一郎)年頃の娘と、同じ屋根の下。血のつながらない義理の娘。プレイボーイのナガアキ。

(中澤有美子)まさか・・・(笑)。

(安住紳一郎)まさかでしょ?やるんですよ!ナガアキはですね、義理の娘ヨシコに手を出すんですよ。

(中澤有美子)あ、本当(笑)。

(安住紳一郎)ごめんなさいね。こんなちょっと意地悪チックな解説になっちゃって。で、先ほど言ったように、パンダは人間並にメスを選ぶでしょ?っていうことはやっぱり、大好きなおウメさんのDNAを半分持っているヨシコちゃん。しかも若いでしょ?これ、手出すでしょ!

(中澤有美子)そっか。忘れ形見だもん。

(安住紳一郎)理性がないからね。

(中澤有美子)理性はないの?(笑)。

(安住紳一郎)で、ヨシコちゃんと交配するの。しかも一晩に6回も自然交配したの!

(中澤有美子)そうなんですか(笑)。

(安住紳一郎)4月下旬。

(中澤有美子)それはあの、アドベンチャーワールドの方が教えてくれたんですか?(笑)。

(安住紳一郎)聞いたの。

(中澤有美子)聞いたんだ(笑)。

(安住紳一郎)で、しかも、おウメさんはまだ当時健在だったの。で、ヨシコちゃんと自然交配した後、1ヶ月も経たないのに、今度、おウメさんがね、子どもをたくさん産んでいい年齢なんだけれども、おウメさんも発情期がきたの。例の3日の期間。そしたら、ナガアキ。おウメさんとも自然交配するのよ!

(中澤有美子)おおーっ!

(安住紳一郎)すごいでしょ?ここまで来たら見上げたもんだ!っていう感じなんだけれども。それで、アドベンチャーワールドでは1度にメス2頭が出産するっていう、これはビッグイベントだ!っていうことで、もう大変に盛り上がりを見せてて。で、ナガアキにしてみれば、子どもと孫が一緒に出産するという、そういうような状況になっているわけなんだけれども、結局おウメさんは10月に、子どもを産むことなく、亡くなってしまった。死んでしまったということなんだけれども。

(中澤有美子)ああー・・・

(安住紳一郎)で、今回9月に生まれたのは、その和歌山生まれのヨシコちゃんことラウヒンとの間に2頭の双子がこの間生まれたということなんですね。

(中澤有美子)そういうことなんですねー。へー。

(安住紳一郎)すごいでしょ?ナガアキさん。

(中澤有美子)すごいですね。

(安住紳一郎)東京に戻ってきてから、ナガアキさんのことを少し詳しく調べてみたんだけれど。さらに衝撃的な事実があって。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)ナガアキさんは北京から来たんだけれども、北京の動物園の時に、なんとおウメさんと双子の姉がいたんですよ。これ、知らなかったんですけど。おウメさんが双子で生まれてたってことを。おウメさんの双子の姉とも子どもを作ってるの。

(中澤有美子)おおー!

(安住紳一郎)ちょっと人間界に置き換えると信じがたいっていうか。すごいな!っていう。この、おウメDNAとどれだけ相性が合うんだ、ナガアキさん!っていうことなんだけれど。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)もう、本当に合うみたいね。

(中澤有美子)そうなんだ。好きなんだねー。

(安住紳一郎)だからたぶん、そのおウメさんのDNAをもったヨシコちゃん。ラウヒンとはこの後もたぶんナガアキは毎年毎年、たぶん子どもを作っていくんじゃないかな?と、パンダファンの間では見られているということなんですけどね。うん。

(中澤有美子)そうなんですねー。

(安住紳一郎)で、私、先週その和歌山のアドベンチャーワールドにお邪魔したんですけども。よせばいいのに、ちょっとほら、中途半端な知識を身につけたものだから、披露したくて。見せびらかしたくて仕方がないわけよ。で、飼育員の人つかまえてさ、『今度エイメイ、ナガアキとヨシコちゃんの間に子どもが生まれましたけれど、ナガアキは人間界で言うと、おウメさんの前の旦那との子ども、義理の娘と交配しちゃったっていうことですよね?』っていうことをね、よせばいいのに言ってみたの。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)意地悪だから(笑)。そしたらね、飼育員の人もね、ちょっとね、『あー、たしかにちょっとびっくりしたんですよね』って(笑)。ちょっと渋い顔をしてましたね(笑)。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)やっぱりちょっとびっくりしたみたいですね。

(中澤有美子)あー、そうなんですね。うんうんうん。

(安住紳一郎)でもやっぱりあの、『和歌山生まれのヨシコちゃんことラウヒンがお母さんになったということが、やっぱりそれ以上の喜びです』っていうことをね、言ってましたけれどね。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)うん。びっくりしましたね。

(中澤有美子)ねえ。双子を育てるのは難しいんだそうですよね?

(安住紳一郎)そうなんですよね。双子ね。そうなんですよ。だいたいパンダっていうのは1頭か2頭産むらしいんですけれど。赤ちゃんのグラム数がお母さんの体重の1/1000ですか?だいたい100キロから150キロあるんですけど。生まれてくる子どもが100グラムしかないんですって。人間で言うと、だから50キロの女性だと50グラムの赤ちゃんが生まれてくるっていうことで。

(中澤有美子)ねえ。お産は相当楽じゃないかと思っちゃいますけど。

(安住紳一郎)だから、臨月になっても妊娠してるってわからないんですって。傍目。それで、2頭生まれてくるんだけれども、ちょっとパンダの習性なんでしょうけども。その2頭のうちの丈夫な方1頭しか育てないっていう習性があって。で、2頭を同時に育てるっていうのは大変に珍しいケースなんですけれども。飼育員の方がその2頭をとっかえひっかえしてあげるんですね。すると、お母さんの方は1頭しか育てていない感覚で、気づくと『あれ?2頭育てたかな?』っていう感じになっているらしいんですよ(笑)。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)要するに、お母さんとのコミュニケーションは1頭ずつにして、その1頭のコミュニケーションをとっている時は、ちょっと片方で飼育員の方が温めてあげて。で、ほどよきタイミングで取り替えてあげると、大きくなると、『あれ?2頭になってる!』っていう(笑)。ことになるらしいんですけどね。

(中澤有美子)ええ、ええ。そうなんですね。

(安住紳一郎)そしてそのヨシコちゃんとの間に生まれた子どもの名前が一昨日決まったのかな?オスの赤ちゃんには、ナガアキさんの永久の『永』の字を取って、エイヒン(永浜)。で、メスの赤ちゃんには、おばあちゃんにあたるおウメさんの『梅』の字をもらって、これでメイヒン(梅浜)。ということで、和歌山パンダの礎を築いた2頭の名前が、新しい命に引き継がれたということで、パンダファンは大喝采を送ったそうですけどね。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)本当にでもその、今回双子パンダが生まれたラウヒン、ヨシコちゃんに・・・エイメイにとっては孫。おウメさんにとっても孫にあたるんですけども。その双子パンダが生まれた喜び以上に、やっぱりおウメさんの亡くなったことっていうことは大変にショックだったみたいで。亡くなってからもう1ヶ月近く経ちますけども、まだパンダ舎の前に献花台があってね。弔問に訪れてるお客さんとか、あと花束を抱えている方もたくさんいらっしゃって。

(中澤有美子)へー。

(安住紳一郎)で、私もちょっとね、せっかく詳しくなったし、おウメさんとの再会を楽しみにしてたんで。ちょっと和歌山の南紀白浜空港の近くで花を買って持って行こうと思って。で、お花屋さんで花を買っただけなのに、『あっ、安住さん、あれですか?メイメイのところに行くんですか?』とかね。あと、町でちょっと車に花束を積んでいるのを見ると、バスの運転手とか、『あっ、メイメイのところに行くんですか?』って。みんなもう、和歌山県下の人はみんな、『あっ、メイメイのところに行くんだ』って。もう、みんながわかるぐらい。

(中澤有美子)そうですか。

(安住紳一郎)それぐらい愛されていたパンダっていうことで。本当にその、大変なショックっていうか、大変なパンダだったっていうことをね、改めてわかりましたけれどね。

(中澤有美子)そんな存在だったんですねー。

(安住紳一郎)おウメさん、すごいパンダだったらしいですよ。東京ではね、やっぱりちょっとリンリンのショックの方が大きかったですけどね。うん。現在、そんなおウメさんとナガアキさんの子どもが、アイヒン、メイヒンっていうちょうど2才でかわいい盛りのパンダがいますし。お兄ちゃんのコウヒンっていうのがいますし。それから、お母さんになったラウヒンですね。当然、ナガアキさんもいますし。7頭いますんで。ぜひ、和歌山の近くに訪れた際には、見に行ってみてはいかがでしょうか?

(中澤有美子)そうですねー。行ってみたいですねー!

(安住紳一郎)かわいいですよ。うん。

(中澤有美子)1度に7頭が見れるなんて、ないですよ。本当に。

(安住紳一郎)ナガアキ、やっぱりすごいですよー!

(中澤有美子)そのね(笑)。その、あのストーリーもまたね、ええ、ええ。

(安住紳一郎)で、またラウヒンがかわいいんですね。ええ。はい。アイヒンとメイヒンの区別ができるようになったら、もうパンダファンらしいですけどね。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)メイヒンの方が若干色が白いらしい。で、アイヒンが女の子なんですけど。アイヒンの方が顔が白くて。で、メイヒンの方が若干耳との間隔が狭まっている。で、メイヒンの方が気が弱いっていう。で、アイヒンの方が右利きで、メイヒンが左利きっていう噂もありますね。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)いろいろゆっくり観察すると見えてくるらしいですが。たっぷり時間を取って観察してみてはいかがでしょうか?

(中澤有美子)そうですね。

(安住紳一郎)いい夫婦の日(11月22日)が近づいてますから、ちょっと和歌山のいい夫婦の話をお届けしました。

<書き起こしおわり>

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