(町山智浩)そういう風にみんな使っているし、そういう風に聴いてるんですけど、実際そんな歌じゃないんですよ。別れた夫婦の旦那の立場から歌っていて、その旦那のところに電話がかかって来るんですよ。前の、自分を捨てた奥さんから。で、『あなた今、何してるの?寂しくない?』っていう電話なんですよ。それに対して旦那が、『バカヤロウ!』って言っている歌なんですよ、これ。
(赤江珠緒)えーー!?
(町山智浩)『お前は俺を捨てて他の男と出て行ったんだから、俺に電話して俺が元気かなんて聞く資格も何もないんだよ!二度と電話してくんな!』って言ってるんですよ、これ(笑)。
(赤江珠緒)そんなこと言ってる歌?これ?
(町山智浩)言ってるんです、これ。『俺たちはもう別れてバラバラだし、二度と修復不可能だし、お前は俺を裏切ったんだ!バカ!』って電話なんです。これ。
(山里亮太)こんなムーディーな感じで?これバックに、結構抱き合ったりっていうシーンとか・・・
(町山智浩)とんでもない!内容、そんな歌詞じゃないです。
(赤江珠緒)何だったら、これでうまく抱き合って、この後コーヒーでも飲もうかい?みたいな、平和な感じの映像ですよ。
(町山智浩)正反対です。これね、フィル・コリンズさん自身が作った曲じゃないんですけど、フィル・コリンズはこの当時、本当に奥さんに逃げられてるんです。
(赤江珠緒)はー!じゃあ、実体験をベースにして。
(町山智浩)実体験です。この人、そのころヒット曲を何曲も出してるんですけど、ほとんど全部が奥さんとの別離を歌ってるんですよ。
(山里亮太)へー!
(赤江珠緒)(笑)でも、この甘い感じのメロディーは何?
(町山智浩)ねえ?
(山里亮太)何でそれの感情に合わせた曲にしないんですかね?
(町山智浩)ねえ?分かんないんですけど。実際、『二度と電話してくんじゃねー!このアマ!』っていう電話なんですよ(笑)。電話っていうか歌なんです。歌詞は。もっとヒドくて、この人の歌で『夜の囁き』っていう歌があるんですね。フィル・コリンズがその当時出した歌は。それは前の奥さんに対して歌ってるんですけど、『君は俺を裏切った。もし君が目の前の川で溺れていたとしても、俺は助けないよ』って言ってるんですよ(笑)。
(赤江珠緒)人として、どうなのよ!?
(山里亮太)それも曲調はムーディーな感じ?
(町山智浩)ムーディーな感じなんですけど。こわーい内容なんですよ。
(赤江珠緒)すごいことを歌にしちゃってますね。
(町山智浩)すごいんですよ。
(山里亮太)海外の方って、自分の感情とかを結構直接的に書きますよね。
(町山智浩)もう本当に恨んでたんだと思うんですよ。
(赤江珠緒)本音ぶつけまくりですね。
(町山智浩)そうなんですよ。奥さんがね、家に出入りしていたインテリアデザイナーの男とデキちゃったんです。で、駆け落ちしちゃってっていう話で(笑)。
(赤江珠緒)まあ、腸煮えくり返ってる状態なのを・・・
(町山智浩)だって、1つのアルバムの中で5曲ぐらいが奥さんに対する恨みの歌なの。すごいですよ。フィル・コリンズ。
(山里亮太)走るんでしょうね!ペンが。気持ちが乗ってるから。
(赤江珠緒)そのアルバムがね、売れた時に奥さんはどういう気持で?私への恨みつらみが・・・
(町山智浩)『アンタ、元とったでしょ?』って思ったんじゃないですか?(笑)
(山里亮太)なるほどね。私と別れたお陰で・・・でもすごいのが、そんだけ恨みつらみとかを、あんまり恨みつらみの歌と感じ取れないのは、僕ら日本人は分かるじゃないですか?でも、海外の人もそんなに・・・
(町山智浩)これは昇華してるんですね。たぶん恨みつらみを。すごく。ただ、本当にものすごく恨みつらみを音楽にぶつけているものもあるんです。それは後で聴きますね。はい。でね、もう1つ、この曲もたぶんご存知だと思うんで。フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド『relax』!
Frankie Goes To Hollywood『Relax』
(赤江珠緒)知ってる知ってる知ってる。
(町山智浩)これ、ビールのコマーシャルで使われてたんですけども。これ、世界中で大ヒットしたんですが、イギリスとかアメリカの一部地域では放送禁止になってるんです。
(山里亮太)これ、番組の主題歌とかになってますよね。
(町山智浩)日本でバラエティ番組の主題歌とかになってます。でも『リラックス』って何でリラックスって言ってると思います?『リラックスしろよ!』って言ってるわけです。
(赤江珠緒)リラックスして、のびのびしてやっていこうと。
(町山智浩)『don’t do it』、力を抜けって言ってるんです。何で力抜かなきゃいけないんですか?リラックスして。
(山里亮太)えっ?舞台たっているとかね?
(町山智浩)今、歌詞の中で『when you wanna come』って。『comeしたいんだったらリラックスしろ』って言ってるんです。『come』って何でしょう?英語で。
(山里亮太)あっ・・・『イク』。
(町山智浩)そう。『イク』とか『射精する』っていう意味です。『when you wanna come』っていうのは『イキたいんだったら』っていう意味です。『イキたいんだったら、力を抜けよ』って言ってるんです。
(赤江珠緒)それってシモの方の・・・
(町山智浩)そう。この人たちはゲイなんですよ。
(山里・赤江)えっ!?
(赤江珠緒)ちょっと待って・・・リラックスって・・・
(町山智浩)『力抜かないとオシリはいんないんですけど』って言ってるんです。
(山里亮太)(笑)
(赤江珠緒)嘘でしょ!?
(町山智浩)本当にそういう歌なんです。
(山里亮太)それ、かなり意訳してってことじゃなく、直接?
(町山智浩)もう直接的に。そのままストレートに言ってます。これ。で、ここのところで『出す時は狙いさだめてね』って言ってるんです。『Hit me! Hit me!』って『叩いて!叩いて!』って言ってるんですよ。
(山里亮太)はー!
(赤江珠緒)あ、そうなんだ!
(町山智浩)ただのそういうハッテン場的な歌なんですよ。
(山里亮太)ゴールデンのバラエティ番組の主題歌でしたよ。
(赤江珠緒)なんかアメフトとかも試合前にまさにみんなで歌って、『これから行くぞ!』みたいなのとか・・・
(町山智浩)まあ、アメフトの人たちもそういう人いると思うんですけど。
(赤江珠緒)いやいやいや、それはどうか分かりませんけど(笑)。
(山里亮太)赤江さんの合いの手からとんでもない飛び火が出たよ。
(町山智浩)でもこれはそういう歌なんですよ。だから放送禁止になってるんです。イギリスとかで。
(山里亮太)知らないよ。日本で当たり前のようにずーっと流れているもんね。
(赤江珠緒)まさかそんなピンポイントな『リラックスしろ』って言われてたとは思わなかったわ。
(山里亮太)今日きっかけでこれが放送禁止なったりして。
(町山・赤江)(笑)
(町山智浩)まあ、リラックスした方がいいと思うんですよね。
(赤江珠緒)そうですね(笑)。リラックスすることは大事なことです(笑)。
(町山智浩)だから本当にね、アメリカ行って英語分かるようになったのと、あとアメリカ人も結構分からないで聴いている場合も多いんですよ。次の曲なんかそうなんですけど。カウンティング・クロウズの『Big Yellow Taxi』という曲をちょっと聴いていただけますか?
Counting Crows『Big Yellow Taxi ft. Vanessa Carlton』
(山里亮太)爽快感が。
(赤江珠緒)いいですね。オープンカーでバーッ!と走りだすみたいなね。
(町山智浩)これ、アメリカでもリゾート地とかビーチとかで流れてて。ビーチとかでみんなビール飲んで、寝っ転がって日焼けしながら。よくそこでスピーカーから流れてくるんですけども。これ、歌詞が全然そういう内容じゃないんです。っていうか、そういうことを歌ってるんですけども。これあの、ハワイとかのビーチでパラダイス(楽園)じゃないですか。それを切り開いて駐車場作って、ピンクのブティックやホテルやレストランを作ってる。何てヒドいことをするの!って言ってるんです。
(赤江珠緒)えっ!?リゾート批判?
(町山智浩)リゾート開発批判なんですよ。歌詞の内容は。
(山里亮太)リゾート地でかかりそうなこの曲が?
(赤江珠緒)実際かかってますもんね。