町山智浩 アメリカ大使館エルサレム移転を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でドナルド・トランプ大統領によるイスラエルのアメリカ大使館のエルサレム移転について話していました。

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(町山智浩)それで、今日はアメリカというかイスラエルの話なんですけども。5月14日が「エルサレムの日」っていう日だったんですよね。実はこの時、トランプ大統領が決めたことでいま大変なことになっていて。まず、トランプ大統領が今日、5月14日のエルサレムの日にアメリカ大使館をエルサレムに移すということを以前から発表していたんですが、とうとう実行したんですね。今日。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)そしたら、それに対して反対するパレスチナの人たちが抗議行動を起こして。それに対してイスラエル軍が銃を発砲して、現在までに55人以上が死んでいるという。

(赤江珠緒)デモに対して実弾を使って……っていうね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、もうこれはトランプがこんなことをしなければ、この55人の人はしなないで済んだのにね。で、ちょっと今日の映画と関係があるんで説明しますと、エルサレムっていうのはみなさんがご存知のようにユダヤ系の人にとっての聖地であって。困ったことに、キリスト教の人にとっても聖地なんですね。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)で、イスラム系の人にとっても聖地なんですよ。で、もう何千年も前から3つの宗教の聖地なんで取り合いみたいなことになっているんですけども。で、じゃあいつまでたっても戦争になっちゃうわけなんで、国連がこれを統治して取り合いにならないようにしましょうっていう風に大昔、1940年台に決めたんですね。「国連が管理します」って。ところが、その後にそこにイスラエルの人たちが攻め込みまして。で、今日のエルサレムの日というのは1967年にそれまで東西に分かれていたエルサレム……つまり、西側はユダヤ系のイスラエルが占領していて。で、東側はアラブ系の人たちが占領をしていたんですけど、東側のエルサレムも1967年にイスラエルが攻め込んで取っちゃったんですね。エルサレム全土を。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、それをお祝いする日がエルサレムの日だったんですよ。今日、5月14日が。だからすごく、その時にトランプ大統領が「エルサレムは全部イスラエルの人ですよ」っていうことを認定するような、アメリカ大使館のエルサレム移転っていうのをやるっていうのはものすごく一方に偏ることなわけですよね。

(赤江珠緒)ああ、そうですね。

(町山智浩)ねえ。「この地域はイスラエルのものなんだ」って。で、それは「やるとモメることになるから、やるな」っていうことで、国連もやらないようにしていたものをあえてやっちゃったんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)だからもう本当にわざわざ火種があるところにガソリンをかけているようなことですよね。もうこれね、それと同時にトランプ大統領はイランの核開発を制限するという形でオバマ大統領がヨーロッパとかの他の国と共同して計画したイランに対する合意を全部無視するという。

(赤江珠緒)そうですね。だからトランプさんは前の政権の決めたことを全部反対しようとしていますね。

(町山智浩)そうなんですよ。ただ、これによって実はイランが核を持てるようになっちゃうんですよ。つまり、核兵器を持たないかわりにいろいろと援助をしますっていう。経済的にいままで封鎖するとか制裁するという形だったのをやめるから、そのかわり核兵器を作ったりすることをストップするっていう取引をオバマ大統領とイランがしたんですね。それなのに、勝手にトランプがその合意から抜けちゃうと、「じゃあ、核兵器を開発するよ」っていうことになっちゃうわけですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)だから全然、逆にコントロールできない状態になるわけですよね。なんでこんな無茶苦茶をやっているんだろう?っていう感じなんですけど。で、すごくおかしいのは、「イランは核兵器を開発している」って言っているのに、すでに核兵器を持っていてミサイルを発射している北朝鮮とはうまくやるって言っているんですよね。

(赤江珠緒)そうなんですよね。

(山里亮太)経済的支援をして、向こうが成長するのを手助けするって言ってましたもんね。

(町山智浩)そう。だからなんかどういうバランスでやっているんだろう?っていうね。トランプ政権ってよくわかんないんですけども。

(赤江珠緒)「ノーベル平和賞だ」とかって話も浮上しているみたいな。なんだかもうわけがわからないんですよ。

(町山智浩)「ノーヘル平和賞」だと思いますけども(笑)。まあ、ブッシュ大統領がイラクに2000年代に攻め込んだ時も「イラクが核兵器を開発している」って言っていて。で、攻め込んだんですけど。その時に北朝鮮はのうのうと核兵器を開発していたわけですけども(笑)。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)なんか、アメリカがやっていることはめちゃくちゃなんですけども。本当にもうとんでもないなって思いますが。

(山里亮太)だって大使館を置くなんて、そんなの一存で行けちゃうんですね。

(町山智浩)なんかイヴァンカさんの旦那さん(ジャレッド・クシュナー)がユダヤ系の人なんですけどね。で、2人で行って「大使館移転おめでとう!」とかやっていましたけども。そこからわずか数キロ離れたところで大虐殺をやっているんですからね。すごく問題で。だからアメリカって政権自体が……特に共和党がなんですけど、ユダヤ系の人のご機嫌を取らないと選挙に勝てないという状態がちょっとあるんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

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共和党の有力支持者がユダヤ系

(町山智浩)それは、具体的にはいちばん金を出す人がラスベガスのホテル王でして。その人はすごくて、マカオにも持っているし、シンガポールにあるビルが3つあって、その上に船があるホテル(マリーナ・ベイ・サンズ)、あるじゃないですか。あれも同じ人が持っているんですけど。その人(シェルドン・アデルソン)がいわゆるシオニストっていうやつで、イスラエルを全部ユダヤ系のものにしようっていうイスラエル民族運動のアメリカにおけるリーダーなんですよ。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、この人がものすごいお金を支援するんで、ユダヤの人たちと関係がなくてもイスラエルを支援しないと共和党の候補はお金をもらえないというね、事態がありまして。大変なんですけども。あと、キリスト教の原理主義者の人たちもイスラエルがパレスチナとかを全部支配することを求めているんですよ。

(山里亮太)それは、なぜ?

(町山智浩)これはすごく変な話なんですけども、聖書に黙示録っていう世界の終わりについてのシナリオが書いてある部分があるんですけど、そこのところにそういう風に書かれているから、それを実行することが正しいんだっていう考えを持っている人たちがいるんですね。聖書原理主義者の人たちですけども。その人たちはアメリカの人口の25%ぐらいいるんですけども。その人たちはずっと共和党支持なんですね。で、レーガン政権のころからずっと共和党を支持しているんですが、その際に彼らとは直接利害が対立しないんだけども、イスラエルを支援してきたんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)それは中東戦争によって世界で全面核戦争が起こることで世界が滅びて、キリスト教原理主義の人だけが天国に吸い寄せられて平和になった地球に帰ってくるって信じているからなんですよ。

(赤江珠緒)うーわ、また突拍子もないっていうか……帰ってこれるの? キリスト教の人たちだけ?

ラプチャー

(町山智浩)それは「ラプチャー(Rapture)」って言うんですね。キリスト教原理主義者の人だけが天国に吸い寄せられるっていうことはラプチャーって言うんですけど。そのラプチャーっていうのを信じている人はものすごく多くて。それをそのまま映画にした作品が延々と作られ続けているぐらいの、一種の人気商品なんですよ。

(赤江珠緒)おおーっ!

(町山智浩)すごいですよ。道で車を運転していたり飛行機を飛ばしていたりする人たちの中で、キリスト教を信じている人だけが急にバーッと消えちゃうんですよ。で、車が暴走して大事故を起こしたりするんですよ。

(赤江珠緒)都合がいい……。

(町山智浩)そう。で、地球に残された人たちはキリスト教を本気で信じていない人たちで。その人たちはキリスト教を信じていた人たちが消えたから、これから地球が滅びるということで戦々恐々するっていうパニック映画がありましてですね。で、それを本気で信じている人たちがいるんですよ。で、彼らの信じているのは中東戦争から黙示録に書かれている世界全面核戦争が起きるから、それを起こすためにはイスラエルを徹底的に支援して中東に不安定な状態を起こすんだと言っているんですよ。

(赤江珠緒)えええーっ!

(町山智浩)本当に困ったもんですけど、結構映画がバンバン作られているぐらい、それを求めている人が人口の数割いるんですね。

(赤江珠緒)そうなんですか。

(町山智浩)「本当かよ!」とか思いますけども。

(赤江珠緒)ねえ。何をゴールにしているんですか?っていうね。

(町山智浩)何をゴールにしているんだよ、あなたらは!っていうね。本当にまあ、でもこのトランプのやっていることはよくわからないっていうことですけどね。

<書き起こしおわり>

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