山里亮太と赤江珠緒『由宇子の天秤』の感想を語る

町山智浩『由宇子の天秤』を語る たまむすび

山里亮太さんが2021年9月21日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『由宇子の天秤』を見た感想を町山智浩さんに伝えていました。

(山里亮太)あと町山さん。私たち、『由宇子の天秤』を見てきまして。

(町山智浩)ああ! どうでした?

(山里亮太)めちゃくちゃよかったんですけども。終わった後、映画館で……僕、ユーロスペースで見たんですけども。監督とか役者さんたちがみんな、挨拶に来ていて。別に舞台挨拶とかでもなく、終わりで。「感想を聞かせてください」って監督自ら出口で。それでお会いして。その時に僕が監督に言ったのは「いや、ものすごいものを見せていただいたのはわかるんですけど……僕のやっている仕事柄、これに対して1回見て『すごかったです』とかっていう言葉で言えるものじゃなくて。今、どうやって表現したら僕らはいいんだろうか?っていう状況で。ただ、めっちゃくちゃこの映画を見てよかったです」っていう感想で。

(町山智浩)そうですね。山ちゃんとしては、内容的に重いよね。

監督に直接感想を伝える

(赤江珠緒)実は私も事前に見てたんですよ、この映画。「コメントを書きませんか?」みたいなご依頼をいただいてたんですけども。あんまりにも衝撃で、あんまりにもすごい映画で。なんか心を揺さぶられたまま考えが……全く頭が整理が付かないので。ちょっと私、コメントを……もう手に余るというか。すごすぎる映画だっていう感じでしたね。

(町山智浩)でも見た後にね、自分の中でどう整理をしたらいいのかわからない映画っていうのは、いい映画なんですよね。

(赤江珠緒)そう。本当にどうしていいんだろう?っていう。

(山里亮太)あと……ネタバレにならないかな? いろんな問題があの中にはあるじゃないですか。

(町山智浩)はいはい。いじめの問題とかね、ワイドショーの問題とかね。

(山里亮太)本当に主人公の天秤と……いつの間にか、自分もその中に同じように天秤ができて。「あれ? これ、何が正しいんだ?」って揺さぶられ続けるから。本当に2時間半が……。

(赤江珠緒)あと先週ね、町山さんの解説を聞いて、また改めてなるほどって。そういえば曲も使われてないわ、とか。BGMね。

(町山智浩)音楽が一切ないんですよね。

(赤江珠緒)あと、ずっと由宇子さんが出てるので。だから由宇子さん以上の事実が自分たちに入ってこないから、ずっと映画が衝撃なんですよね。

(町山智浩)そうなんですよ。一瞬だけ、あの塾の子の家が映るところがあるぐらいかな? あとはもう、ほとんど由宇子さんからカメラは離れないですからね。

(赤江珠緒)あのドキュメンタリーを取った由宇子さんたちが1回、撮ったディレクターがナレーションをつけるとかっていうのが前の方にあるじゃないですか。あのへんも、リアルですよね!

(山里亮太)査察が入るやつね。

(赤江珠緒)そうそうそう。

(町山智浩)ねえ。僕も実はそういう番組を作っているじゃないですか。現地に行って。アメリカですけどもね。『町山智浩のアメリカの今を知るTV』っていうのを。でもやっぱり、局との関係とか、いろいろあるので。やっぱりあれ、わかるんですよね。「これはダメでした」とかね。

(山里亮太)それで結構町山さん、ああいう今、見れる劇場数って少ないじゃないですか。ああいうのがもっと、いろんな人たちが見やすくなるように、劇場数が増えてくるのってきっかけとか、そういうのってどういう時なんですか?

(町山智浩)今はね、昔と違ってシネコンじゃないですか。で、シネコンの良さっていうのは、インディペンデント映画でもお客さん入ってると劇場数が増えていくんですよ。前にほら、『カメラを止めるな!』ってあったじゃないですか。あれ、劇場がどんどん増えていったじゃないですか。

(赤江珠緒)まさにあれとはちょっとベクトルは違いますけど。でも、しゃべれない度合いはあれぐらいの映画ですもんね。

視点によって見え方が変わる

(町山智浩)そうですね。でも、似ているところもありますよ。最初に見たものと、あとからいろんな情報を得てから、それが違うものに見えてくるっていう話ですよね。両方ともね。ひとつのものがね、その視点によって。だからそのへんで非常に似たところがあって。両方とも、偽ドキュメンタリーみたいなものであるところも似ていますね。だからまあ、『カメラを止めるな!』の劇場が広がったので、こういう映画もね、劇場が広がると思います。

(山里亮太)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

町山智浩『由宇子の天秤』を語る
町山智浩さんが2021年9月13日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『由宇子の天秤』を紹介していました。
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