星野源さんが2025年3月25日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で下北沢の定食屋「おはち」についてトーク。今は違う定食屋になっている場所にかつて存在したお店・おはちを思い出すために手を尽くしたことを紹介していました。
(星野源)先週、ダウ90000の星野ブロードウェイ。人数が多いのもあって地下のイマジンスタジオからの生放送だったんですけど。その放送の後、ちょっとみんなで若干、写真を撮ったりしながらダべる時間みたいなのがあって。それもすごい楽しかったです。ダウ90000のみんなの、なんて言えばいいんだろうな? 本当に自然な感じっていうか。放送の中ともうほぼ変わらないという……ツッコミとボケの構図みたいなものが割と薄まる。で、友達色が強くなるっていう感じで。なんか裏表なく、かつグラデーションでプライベート感がちょっと上がってくるぐらいの変化なんですよ。
それもすごく新鮮で。「自然体だな」なんて思いながら話してたんですけど。ダウ90000の、みんなではないよね? 吉原さん以外がみんな、日大の芸術学部だったんだっけ? たしか、そうだよね。で、江古田に学校、あるじゃないですか。僕も江古田に住んでた時があるんですよ。
ダウ90000と江古田トークで盛り上がる
(星野源)なので江古田トークで盛り上がりまして。「あそこって、まだあるの?」みたいな。「僕はそこら辺に住んでたんだよ」みたいな話をして。「たぶんみんなが通ってる頃にはないと思うんだけど、プアハウスって知らないよね? めちゃくちゃカレーが美味しい喫茶店があったんだけど」「「いや、知らないですね」」「ああ、そうだよね。ないよね」「僕らはあそこによく行ってました」「ああ、逆に俺、それは知らないわ」みたいな。
でもなんか、自分が住んでたところのトークは面白いですね。昔の。でも今はない店とか、やっぱり多くて。からし焼きのお店……洋庖丁か。なんかそこら辺に僕、よくいたんですけど。ご飯が美味しくて。あとは「前にTSUTAYAだったところさ……」「ああ、今はセカストですよね」「ああ、そうそう」みたいな。「その前はね、ファミレスだったんだよ」「ええーっ!?」みたいな。非常に楽しいですね、あれ。
で、なんか前にもちょっと話したことあるかもしれないけど僕、Googleのストリートビューのタイムマシン機能みたいなので自分が昔、住んでたところを見たりするんですよ。で、「あの店がなくなった」とか。それでタイムスリップすることによって昔のGoogleのカメラでストリートビューを撮った景色みたいなのが見れるじゃないですか。そこを見て懐かしんだりするんだけど。あれ、いいよね。やっぱりだいたい想像の中だけとかで止まっちゃうだけども。「そういえばあそこ、あんなのあったような」って。だけど、実際に写真として残ってるから結構、ちゃんと記憶で合っていたみたいな。
で、記憶がしっかり合ってるところと、その隣の建物……たとえば「このお店って昔、漫画がいっぱい置いてあったお店だよな」なんて。でもそこの記憶はめちゃくちゃ合っているんだけど、その隣にあった建物が全く記憶にないとか。なんか抜け落ちてるところと、しっかり覚えてるところの差があってちょっと面白いなって思って。
で、先週、そんなことを思いながら帰ったわけですよ。で、昨日? 一昨日かな? 相変わらず制作をやってるんですけど。スタジオでご飯を食べながら話をしたりとかするんですよ。そこでも話したんですけど。その日になんか家にいた時、ふとね、「トゥンク」ってあるじゃないですか。「トゥンク」って。「キュン」みたいなことなんですけど。擬音としてね。「そういえば『トゥンク』ってそもそも『トゥクン』だったよね? で、その前は『トクン』だったよね?」って思って。「それが最初に『トゥンク』になったきっかけって、何だったっけ? いつなんだろう?」と思ってネットで調べてみたんですよ。
「トゥンク」の起源
(星野源)で、俺の記憶ではまず、漫画の中でラブストーリーっていうか、恋愛漫画みたいなのでキュンとしたリアクションの時……なんかイケメンにすごい素敵なことを言われてキュンってする、その顔の横にある擬音の文字が「キュン」じゃなくて「トクン」って。なんか心臓がドキンとするみたいな。それを「ドキン」じゃなくて、そっとドキンとする音を表現したのが「トクン」だったと思うんですよ。で、その「トクン」がなんていうか丁寧に書かれた時に「トゥクン」だったと思う。それが次だったのか……「トクン」の方が後だったような気もするんだけど。ちょっとそこら辺は曖昧なんですけど。まず「トゥクン」があった。その次に「トゥクン」があって。「トゥクン」はわかるじゃないですか。
なんていえばいいのかな? 「CD」が「シーデー」と「シーディー」みたいなもんですよ。なんかちょっと大雑把すぎるけど。なんか、そういうもんじゃないですか。で、「トゥクン」があって、その漫画のかわいい感じの女の子がキュンとしている絵柄の横に「トゥクン」てあるト書きの文字をコラージュで入れ替えて「トゥンク」って誰かがしたっていうのが俺は最初だと記憶してるわけですよ。それをインターネットで見た記憶があるわけ。
その前はたぶん「トゥンク」はなかったはずなの。で、その「トゥンク」っていうのをその時に見て爆笑した思い出があるわけ。それは誰かが……俺の記憶ではなんだけど。誰かが公式で出したっていうよりかは誰かがしっかり出版してあるやつを入れ替えて「トゥンク」ってしたっていう、そのふざけっていうか、ネタみたいな。それが最初だったよなって思っていて。でもインターネットを見てみたら、その最初がどこにも書いてないわけ。でも元は「トクンだったという説があります」みたいなのがあるんだけども。「俺の記憶では説じゃないと思うんだよな。説じゃなくてそうなんだけど……」って。でもいろいろある中のひとつの説であるみたいな。「ええっ?」って思って。でも、その最初の画像とか残ってていいはずなんだけど。あれだけ……当時は「バズる」って言葉なかったけど。俺の記憶の中ではバズっていたはずで。
でもたぶん10年とか15年ぐらい前な感じで。なんとなく。SNSが出来たてぐらいの感じっていうか。なんか……「あれ?」って思って。でもよくよくインターネットを見ていたら、俺の「トゥンク」の認識はおもしろっていうか、そのキュンとしたことを照れとか、そういうのも加味してふざけて「トゥンク」って使うっていう認識だったんだけど。既にもう「トゥンク」が「キュン」の意味に変化してたんですよ。そういうネタ的なところの解釈もあるんだけど。
いろいろ見てたらもう「トゥンク」が「トゥクン」の意味になってたわけ。その中で、その言葉の意味が変容していく様を見たんですよ。それが「怖っ!」ってちょっと思って。俺の記憶の中ではそうだから、俺の記憶が間違ってる可能性も全然あるんだけど。でも、「トゥンク」が正式な「キュン」とか「トゥクン」の意味じゃなかったことはたぶん間違いないんだけど。確実に意味が変容して、普通に「キュン」の表現として「トゥンク」って言ってる人も多いわけ。「うわっ、すごいな」と思って。その記憶、それからインターネットの中でずっと永遠にいろんなものが残って積み重なっていくんだろうと思ってたんだけどそうじゃなくて。消えていくんだなって思ったんですよ。
消えてなくなっていくんだなって思って。それをご飯を食べながら、そのレコーディングの時にスタッフのみんなと一緒にしていたわけ。で、その話をして「そうだと思ったんだよね」って。それで食べていたご飯を見た時に、それはとある定食チェーンのご飯だったんですよ。それを持ち帰りしてっていうか、宅配してもらって、みんなで食べていたの。スタジオのロビーみたいなところで。で、「ああ、そういえば俺、ずっと行ってた定食屋さんがあって。それがいつの間にかなくなっていて。『あの店って何だったんだっけ?』ってその前を通るたびに思ってたな」っていうのを思い出したの。
その定食屋さんが下北沢にあったのは確実で。で、中目黒にもあったような気がする。その中目黒と下北沢の現在のそこのテナントに入ってるお店は同じ定食屋なんですよ。以前のとは違う定食屋なんだけど、両方とも同じ名前で。「ああ、違う名前の定食屋にここもなったんだ」って思ったのも記憶にはあるの。でもその、今の定食屋はわかるじゃないですか。名前が。実際に今、あるわけだから。でも、その元々の定食屋さんの名前が全く思い出せなくて。「なんだっけ?」と思って。